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連載小説「やりなおし」(21)

 1-2.邂逅   (7) (も、もうダメだ――おしまいだ――)  歩実は青い顔で、試着室へと踏み込んできた店員を迎える。  対して、入ってきた店員は笑顔のまま、歩実の姿を上から下までじっくり眺めて、 「あら、あら」  楽しげに、口の両端を吊り上げる。それは可愛い生き物が化けの皮を脱ぎ、凶暴な本性を現したかのような変貌であった。  そんな彼女の前で、歩実は捕食される小動物のように怯えて縮こまることしかできない。 「ふふっ、合わないなんて、とんでもない。とっても良く似合ってるわよ、お嬢ちゃん」 「で、でもっ……す、スカートが、短すぎて……!」  歩実はせめて前だけは見られまいと、前かがみになり、サロペットスカートの裾を引っ張って隠そうとする  しかしそうするととうぜん後ろ側が持ち上がり、お尻を包み紙おむつが背後にある鏡に映って、 「あら」  店員がまた、舌なめずりするように笑った。 「まぁまぁ、まだパンツじゃなくて、おむつをつけてるのね。ふふっ、道理で男の子にしては、腰が膨らんでると思ったわ」 「う……ば、バレて……」 「ええ。といっても、よく見なければわからないくらいだし、私もあのことさえなければ、確信は持てなかったんだけどね」 「あ、あのこと……?」 「ショーツを選ぶとき、サニタリー系から露骨に目をそらしてたでしょ?」  店員の指摘に、歩実は赤くなる。  ショーツコーナーには、一部にサニタリーショーツも並んでいた。しかし歩実は、女子のデリケートな領域であるそのショーツを直視できなかったのだ。 「お嬢ちゃんくらいの大きさなら必要になってもおかしくないのに、あんまり露骨なんだもの。逆に言えば、それさえなければ確信は持てないくらい似合ってるんだけどね」 「う……その、ごめんなさい……」 「いいのよ。もしも試着室の中で変なことをしてたら問題だから見に来たけど、そういうことをしてたわけでもなさそうだし」 「へ、変なこと――?」 「ふふっ。ごまかさなくてもいいわよ。さっき、おむつの前側も見えちゃってたし」 「う、う……」  歩実は真っ赤になって押し黙る。 「でも、確かにそのままだと試着室を出られないわね。ちょっと見れば、おむつの前が膨らんでるのがわかっちゃうし」 「は、はい。だからその、もう脱いで――」 「あら、そんなことよりいい方法があるわよ」 「いい方法……?」 「ええ。こっちに背を向けて、鏡を向いて立ってちょうだい」 「は、はい……」  半信半疑ながらも、ショップ店員ならではの解決策があるのかと期待して言われたとおりにする歩実。とうぜん、女児用ブラウスとサロペットを着た自分の姿を、再び直視してしまう。 (や、やっぱりこれ、スカートが、短い……!)  もともとハイウエストなこと、スカートが短いことに加え、ややサイズが小さいこと、いくら華奢とはいえ男子の体形であることなどが理由だろう。サロペットのスカートのウエスト部分はおへその上くらいの位置になり、ティアードスカートの一番下の裾は、おむつがギリギリ隠れるくらいでしかない。 (これ、ちょっと動いだけでめくれて、おむつが見えちゃうよね……とうぜん、おむつのふくらみも一緒に……)  果たして店員は、いったいどうやってこの問題を解決するのか。  歩実が期待と不安に満ちた目で、鏡越しに店員を見ていると、 「ふふっ、やっぱり可愛いわね、そのサロペット。可愛すぎるせいで150サイズがぜんぜん売れなくて困ってたんだけど、お嬢ちゃんが気に入ってくれたみたいでよかったわ」 「う……」  半分察していたこととはいえ、リアル女児でさえ着ないような服を選んで着ているのかと、改めて恥ずかしくなる。 「じゃあ――自分でスカートをめくって、おむつを見せてくれる?」 「え……す、スカートを……!?」 「ええ。さ、早く」 「うう……は、はい……」  もうどうにでもなれ――そんな気持ちで、歩実はスカートをめくりあげた。  露わになる、勃起の浮かんだ紙おむつ。もはや限界近くまでいきり勃って、今にもこすれただけで暴発しそうなほどだ。  背後に立った店員は、それを鏡越しに観察して、 「うんうん、これならすぐに――」  呟きながら歩実の背中に体を密着させると、腰の左右から両腕を回して、その両掌でおむつの前をそっと撫で始めた。   (続く)


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