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連載小説「失禁改善合宿(仮)」(19)

1-2.邂逅   (5)  数分後。 「と、とりあえず、こんなところかな……」  選び終えた下着をカゴにいれ、歩実は満足げに見おろす。  入っているのはどれもこれも、低学年向けのインゴムショーツばかりだった。  ピンクと水色、ボーダー柄ショーツ――いわゆる縞パン2枚。  ギンガムチェックにカラフルなフルーツがプリントされた3枚組。  スイーツやお姫様、コスメ用品など、バックプリントタイプの5枚組。  そして――ピンクの無地に、女児用アニメのキャラクターたちがプリントされたものが1枚。 (や、やっぱりちょっと、子供っぽすぎたかな……?)  出来るだけ女の子っぽいものを――そんな指標で選んだ余り、幼すぎたかもしれない。 (で、でも、このサイズが売られてるって言うことは、買う子もいるわけで――つまりは、ぼくくらいの身長の女の子が穿いててもいいはず、うん)  そう自分に言い聞かせる。  店員は笑顔で眺めていたが、 「ふふっ、可愛いの、いっぱい選んだわね。じゃあ、上はどうする?」 「う、上……?」 「あらあら、もともとはブラウスの試着のために、下着を選ぶって話だったじゃない」 「あっ……う、うん」 「それに女の子なんだから、キャミソールとかタンクトップとか、ちゃんと選んだほうがいいわ。むしろそろそろ、ブラジャーとかつけなくて大丈夫かしら?」 「ブッ……」  思わぬ単語に、歩実はむせそうになる。 (そ、そうだ……小学校も高学年になれば、早い子は胸も膨らむし、とうぜんブラジャーもつけるようになるんだ……!)  まるで思い至らなかったおのれの不明を恥じつつ、 「えっと……ぶ、ブラジャーは、まだ、大丈夫かなって……」 「あら、そうなの。ふふっ、じゃあキャミソールかタンクトップでいいわね。そっちも、なるべくかわいいのがいいのかしら?」 「う……うん」  歩実はすぐ近くの、肌着コーナーに目を向ける。こちらもショーツコーナーに劣らず、パステルカラーが華やかだ。すぐ隣にあるジュニアブラの棚がシンプルでお姉さんらしいだけに、いっそう低学年向けなのが強調される。 (キャ、キャミソールやタンクトップも、選んだほうがいいんだよね……?)  女子小学生たちの下着事情なんて、もちろん歩実には全く分からない。ただ勧められるがまま、なるべくショーツとセットで使えそうな肌着を選んでいった。  縞パンと合わせるための、白無地のキャミソール。  ギンガムチェックと無地の色違いタンクトップを、それぞれ3枚組。  さらに―― (うう、これも、合わせたほうがいいよね……?)  女児用アニメプリントキャミソール。冷静に考えたら、対象年齢は幼稚園児ではないかと思ってしまうが、今さらやめるとは言えずにカゴに入れる。  おまけに下着コーナーにあったソックスも買っておく。ピンクのイチゴ柄や赤い花柄など可愛らしい色柄で、穿き口に小さなフリルがついた、女児用ハイソックス4足組。レースの付いたシンプルな白いショートソックス3足組。  気付けば結構な量になった下着類を見て、店員はにっこり笑う。 「じゃあお嬢ちゃん、とりあえず、下着類だけ先に買う? そのうえで、改めてご試着ってことで」 「う、うん。お願いします」  店員に言われるまま、ひとまず下着類のみ清算を済ませる。 しかしお会計という段になって、歩実はようやく重大な問題に気付いた。 (あれ? そういえば、合宿中はおむつをつけることになってるんだから、ショーツを買う必要はなかったんじゃ……試着にしてもキャミソールだけでよかったわけだし……) (合宿前も紙おむつになれるように言われてるんだし、買ったところで穿く機会なんてないよね……うう、どうしよう……) 店員との会話の流れで、ついつい買ってしまったおのれの粗忽さを恨むが、 (い、今さら引き返せないし、もう、買うしか……!)  会計を済ませると、すでにけっこうな値段になってしまっていた。母親からある程度の予算はもらっているが、足が出た分は自分の財布からやりくりしなくてはならない。それでも、本来はいらない大量のショーツを買ってしまったことに、不思議と後悔はなかった。 「ふふっ、それじゃあ改めて、ブラウスの試着ね」 「えっと……うん、お願いします」  店員に先導されて、ドキドキしながら女児服売り場に戻る。  先ほど見た、大きな丸襟とピンタック、共布リボンが可愛らしい長袖ブラウス。この時期にはやや暑いかとも思ったが、 (可愛い系の女子小学生を目指してるんだし、こういうのも、1枚くらいあっていいよね) 「ついでに、ブラウスと合わせる服も選ぶ?」 「うん」  先ほど見た、ジャンパースカート類。チェック柄のシンプルなものから、ハイウエストでAラインになった女の子らしいものまで、意外と揃っている。その中で―― (こ、これ、すごい可愛い……!)  手に取ることすら躊躇われるような可愛らしい一着に、なぜか目が釘付けになる。  それはサロペットスカートと呼ばれる、後ろ側が交差する肩紐になったジャンパースカートのような構造の服だった。その胸元は丸みを帯びたウサギの顔になっていて、左右の肩紐は大きな耳を模している。さらにスカートのハイウエスト部分には、まるでウサギの女の子キャラが着ている服の丸襟のような、白い帯がついていて、フロントにはその襟に結んだかのような赤いリボン。スカートの色はピンクで、上からチェック、無地、ストライプと切替になった三段フリルになっている。  思わず見入ったまま固まっている歩実に、察した店員がくすっと笑って囁く。 「これ――着てみたいのね?」 「う……うん……」 「ふふっ、これなら150サイズまであるから、お嬢ちゃんでもじゅうぶん着られるわ。さ、どうぞ」  店員はそのサロペットをハンガーラックからとって歩実に手渡し、 「さ――試着室で、着てみてちょうだい。さっき買った下着と一緒に、ね」 「う、うん……」  断ることすら考えられず、歩実は手の中に納まったふりふりの女児用サロペットを凝然と見つめ、店員に促されるままに試着室に入るのだった。   (続く)


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