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連載小説「失禁改善合宿(仮)」(10)

 1-1.奇策   (10) 「あ、あの、これは――」  一目で見破られては、隠し通すこともできない。しどろもどろになりながらも、歩実はコインランドリーでの顛末を口にする。その間に、勃起が止んでくれることを祈りつつ。  しかし劣情に膨れ上がった少年のしるしは、一向に収まる気配はない。相変わらずスカートの前に膨らみを残したままで、歩実は話の締めに入らざるを得なかった。 「――ということで、女性に、触られたせいで……」 「本当に、そうかな?」  長々とした歩実の説明を、しかしレイカは冷ややかに切って捨てた。 「単に女性に触られたから――それだけでそんなに強く勃起するものではないと思うけどね? いちおうこれでも泌尿器科の端くれだ、男性の勃起のメカニズムについても、たしょうの理解はある」 「…………」 「キミ、女の子の服に昂奮してるんだね?」 「!」  先ほどちらりと頭をかすめた可能性を真正面から言い当てられて、歩実の体が雷に打たれたように震えた。 「女性化した自分に昂奮するオートガイネフィリア、あるいは女性の衣服に昂奮するフェチズムか。あるいは女児服を通して女児に欲情するペドフィリアかな? 君、もしかしてロリコンだったりする?」 「それは違います」  赤くなりながらも、きっぱりと否定する歩実。女子小学生に欲情するような趣味はない――というか、実のところ今まで「欲情」というものを感じること自体がほどんどなかった。たまにするオナニーですら、生理的な「溜まった」状態の解消程度の意味合いしか持っていなかったのだ。グラビアやAVにもほとんど興味はなく、同級生の女子に欲情したことだってないのだから。  なのに、今は―― 「ふむ。ならば女児服それ自体、あるいは女装という行為そのものか、女の子になりきった自分自身に昂奮している、ということになるね。まぁ、それはともかく、だ」  レイカは改めて、テーブルの上で指を組み、 「とりあえずいったん座って。こちらもこの後、ちょっと立て込んでいてね。キミが着替えるより先に、説明を終わらせたいところなんだ。恥ずかしいかもしれないが、そのまま放しを聞いてほしい」 「は、はい……」  歩実は大人しく、レイカの向かいに着席して、両手の着替えを隣の椅子に置く。どうやらまだもうちょっと、女児服モードを続けなければいけないらしい。 「さて、まず最初にだ。合宿に参加する気は、本当にないのかな? キミならじゅうぶん、女児の振りをして参加することも可能だと思うけれど」 「それは……」  コインランドリーに行く前は、「無理」と切り捨てていた可能性。女児服を着たのだって、服を洗濯する間の弥縫策としか思っていなかったのだ。実のところ、女児の振りをしてまで合宿に行こうという気はほとんどなかった。  しかし、今は―― 「で、でも、ぱっと見で女の子だと思われても、一緒に生活してたらすぐにバレちゃうんじゃ……」 「そこはキミ次第さ。声もさいわい、ちょっと低めの女の子くらいで通る。あとは立ち居振る舞いと、女の子としての知識、経験――ファッションや音楽といった、女の子の流行を押さえるようにするとかね。ちなみに、他の参加者は3年生と4年生だから、6年生の振りをすれば、たしょう話題がずれていたとしてもごまかせるだろう」 「3、4年生……」  つまりは10歳以下の少女たちと一緒におもらし改善の合宿に参加する――しかも、小学6年生の女児の振りをして。想像するだけで、またもいたたまれなくなるほどの恥ずかしさがこみあげてくる。  考え込む歩実の姿に、レイカはくつくつと喉の奥で笑って、 「それにしても、真っ先にバレることを心配するなんて、ずいぶんと乗り気になったじゃないか。大丈夫、私はもちろん、同行するもう一人のスタッフもサポートするから、よほどのことがない限りどうにかなるだろう。もちろん、君自身がちゃんと女の子になりきってくれたら、の話だけどね」 「女の子に、なりきる……」 「そうとも。合宿までの間、女児服で過ごして、女の子らしい言葉遣いや立ち居振る舞いを身につけるんだ。少女漫画や女児アニメ、女子小学生向けのファッション誌を読んで勉強したり、お化粧や、髪のセットも覚えたほうがいいかもしれないね。そのあたりはご家族の協力も必要だろうけど」 「それはたぶん、大丈夫だと思います。母はその……もともと、女の子のほうが欲しかったみたいですから」 「ふむ」  歩実のほろ苦い口調に、レイカは慎重に口をつぐみ、 「なら後は、キミ自身のやる気の問題だね。女の子の振りをして合宿に行く気があるかどうか」 「う……」  心は行く方に傾きかけているが、まだ不安要素は残っていた。 「その、今みたいに――なったら、まずいですし……」 「勃起のことかい?」 「っ……は、はい……」 「それについても心配はいらない。いま君が穿いているのは昼用の薄型タイプだが、もっと大容量の夜用にすれば、勃起したとしてもほとんど目立たなくなるだろう。仮に膨らんでいたとしても、おもらししたことにしてしまえばいい」 「う……それもそれで、恥ずかしいんですけど……」  とはいえ、まるきり解決策がないわけでもないわけだ。本当に、あとは歩実の心ひとつ。 「――わ、わかりました」  歩実はひとつ、大きく深呼吸をして、その決意を口にする。 「ぼく、女子小学生の振りをして、合宿に参加します――」   (続く)


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