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連載小説「失禁改善合宿(仮)」(7)

 1-1.奇策   (7) 「はぁ……結局、こうなっちゃうのか……」  そして再び、オフィスの応接室。  歩実は中央のテーブルにリュックを下ろして、テーブルに置かれたTシャツを見下ろす。  レイカが用意した、女児用のTシャツ。当初は恥ずかしくて着るのを拒んでいたが、こうなっては是非もない。  丸襟の周りが白のレース、肩のフリルがギンガムチェックの、ピンクのTシャツだ。中央には「Angelic Baby」のブランドロゴと、それを縁取る波打つギンガムテープ、左上の角に重なるリボン。女児用にしても可愛らしいデザインは、有名ブランドの春物と言ったところだ――もちろん、歩実は全く知らなかったが。 「恥ずかしいけど……でも、お化粧してもらったんだし、お礼に見せないと、だめだよね。うん、これは、あの二人へのお礼なんだから――」  自分に言い聞かせながらも、左胸でドクン、ドクンと暴れるように脈打つ心臓を押さえる。緊張と、羞恥――そしてもう一つ、得体のしれない情動が動悸をもたらしている。 「はーっ、はーっ……よ、よし、着るぞ……」  何度かの深呼吸ののち、ようやく覚悟が決まった。  歩実は着ていたシャツを脱ぎ、女児用シャツの後ろ前を確認して、頭からかぶる。  女児用の150とあってボーイズSよりもさらに小さかったが、着られないというほどではない。右袖、左袖と通して、最後に頭を出すと、さんざん迷ったのが馬鹿らしくなるほど、あっけなく着られてしまった。 「う……しかも、妙にぴったりだし……」  もっとピチピチできつくなるかと思いきや、驚くほど体にフィットして、苦しくもなければダボダボでもない。ボーイズSサイズのほうが、よほどダボダボでみっともないくらいだ。 「確かにこれなら、女子小学生の振りもできそうなくらいだけど……うう、それもそれで恥ずかしいな……」  ぼやきつつ、隣に置いてあるものにも目を向ける。  水色のショートソックス。穿き口には白いフリルがついていて、コインランドリーに行く直前になって、レイカが出したものだ。女児用のピンクのスニーカーも、カラーマットのそばに置かれていた。 「……うん。こうなったらもう、履くしかないよね……」  女児用ソックスをもってカラーマットまで移動し、シューズとソックスを履き替える。こちらもボーイズのものよりフィットして、 「服も、靴もぴったり……もしかしてぼく、女児体型……?」  男物だと服はダボダボ、靴も合わなくて靴擦れに悩まされていただけに、そう考えると納得できてしまう。 「と、とにかくこれで、ぜんぶ着られたから、コインランドリーに行って、お姉さんたちに見せなくちゃ――」  何か大切なことを忘れているような気もしたが、女児服を着ている恥ずかしさと昂奮で頭が回らない。いそいそと部屋を出ようとしたところで、 「おや」  とつぜん奥のドアが開いて、レイカが顔をのぞかせる。表情はあまり変わらないが、切れ長の目がきつい光を放って、彼女の内心を表していた。 「ずいぶんゆっくり戻ってきたと思ったら、黙ってお着換えとは。戻ってきたら合宿について説明するから声をかけるように、言ったはずだけどね」 「あっ、ご、ごめんなさい。その、いろいろあって……」  すっかり失念していた。歩実は謝罪ののち、コインランドリーであったことを手短に説明する。  それを聞くうち、レイカはやや機嫌を直したようで、 「なるほど。まぁ、そういうことなら仕方ないが、それでも戻ってきたらすぐに声をかけて説明してほしかったな」 「す、すみません……」 「ふむふむ、それはそれとして――化粧をしてちゃんと着替えると、いよいよ男子高校生には見えないね。お化粧に目覚めたお洒落な女子小学生、ってところか。これなら十分、合宿に参加できるんじゃないかな?」 「そうでしょうか……?」 「ああ。体格も――やや腰が細いのが気になるくらいか。自分でも見てみるといい」  レイカはパンプスを脱いでマットにあがると、隅に置いてある鏡の布を取り払って、歩実に向けた。 「え、あの、ちょっ――」  とっさに反応できず、真正面から自分の全身像を見てしまう歩実。しかしすぐ、さらなる驚きに目を丸くして、 「え……こ、この女の子が、ぼく……?」  ピンクのフリル袖Tシャツと、水色デニムのプリーツスカートを穿き、水色のソックスとスニーカーを履いた「少女」――いや、「女児」と言ったほうがぴったりくるだろう。髪は小学生らしいおかっぱ頭で、顔だちもやや化粧がされているものの、今どきの小学生ならこのくらいの子はいる。むしろ、身長に似合わぬ少女趣味な女児服のほうが違和感があるくらいだった。ひとむかし前の、低学年の女の子が着るような服なのだ。 「どうかな? これなら、女子小学生の振りもできそうだろう?」 「そ、そうでしょうか……?」 「そうだとも。気になるのは、腰回りが細いことくらいだけど――ふむ」  レイカはロッカーを開けて女児服を漁ると、新たなスカートを取り出して、 「こっちに替えたほうがいいかな。ぴったりとしたスカートよりも、広がるタイプのほうが腰の細さをごまかせるだろう」 「うっ……は、はい」  いかにも女の子らしい、三段フリルのティアードスカート。色はピンクで、フリルの下には白いレース、ウエストの後ろ側には大きなリボンがついている。丈はかなり短く、 (この丈だと、すぐにめくれて下着が見えちゃうんじゃ……?)  普通の男子高校生がまず考えないことに頭を悩ませる歩実だったが、スカートの内側を見てその悩みは杞憂と悟る。中がショートパンツ状の、いわゆるスカパンと呼ばれるものだったのだ。 「じゃあ、コインランドリーから戻ったら改めて話をするから、今度こそ忘れないように」  レイカはそう言って、再び部屋の奥に戻る。 「え、ええと……」  残された歩実は、しばらく手の中のスカパンと、鏡に映った自分の姿――女子小学生らしくはあるものの、言われてみればやや腰が細いのが気になる姿を見比べていたが、 「……、着替えよう」  毒を食らわば皿まで。どうせなら、徹底的に女の子らしくなった方がいいと、諦めてデニムスカートを脱ぎ始めるのだった。   (続く)

Comments

ありがとうございます~! このシリーズではじっくりゆっくり女の子にしていこうと思いますので、お楽しみいただければ幸いです!

十月兔

徐々に女児っぽくなっていく歩実ちゃん🥰💕 こんな風に丁寧に過程を追って表現してくれるストーリーって、ワクワクさせてくれて大好き😍です❤️

elli-kasuga


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