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連載小説「強制女装ハーレム転生(仮)」(2)

  (2) 「あ、あの、これは、そのっ……!」  男子生徒の自分が女子制服を、それも超絶ミニのスカートを穿いて通学している――どう言いつくろおうが変態そのものでしかない状況を、クラスいちの美少女に見られ、千秋の赤い顔は一転、真っ青に変わる。  今後2年間、「ミニスカ女子制服で通学しようとした変態男子」として過ごさなければならなくなる絶望に、 (さよなら、ぼくのまともな高校生活――ぼくの青春――)  心の中で涙を流しながら倒れそうになる千秋だったが、 「どうしたの、伊沢くん。そんなところに、ずっと立ったままで――早く学校に行かないと、遅刻してしまいますよ?」  口元を押さえてころころと笑う宮子に、かえって千秋のほうが面食らい、 「え……あ、あの――ぼ、ぼく、本当はちゃんと、男子用の制服を着てきたんだけど、なんか、急に女子制服に変わってて――」  狼狽のあまり、聞かれてもいないことを説明し始める。  すると宮子は優雅な仕草で小首を傾げる。絹糸のような黒髪が、さらりと横に流れた。 「変なことを言うのね、伊沢くん。うちは女子校なんだから、男子制服なんてあるわけないじゃない」 「え、で、でも――」 「そんなことよりも」  宮子はちらりと、視線を下げる。  ちょうどスカートと太腿の境目を見られていることに気付いて、千秋は反射的にスクールバッグで隠そうとするが、 「伊沢くん、そのスカートの丈、大丈夫? 校則違反にならないかしら?」 「えっ……う、うん、ちょっと、短すぎるよね……でもそれを言ったら、三枝さんも――」 「ふふっ、まぁ、今月は始まったばかりだし、指摘されたら直せばいいだけだから、とにかく行きましょうか」 「う、うん」  とにかく状況が判らないので、それを知るためにも学校に行ってみることにする。クラスいちの美少女と並んで登校することに顔を熱くしながらも、 (高校が、女子校になってる……? なのに男のぼくも、そこに通ってるってことでいいみたいだし……いったい、どうなってるんだ……?)  歩きながら、宮子との会話で出てきた情報を少しでも整理しようとする。  しかしほとんど付け根近くまで露出している太腿をスカートの裾と春風に撫でられ、落ち着かないことこの上ない。結局ろくに考えをまとめることもできずに、校門前までやってきて―― 「あら、今朝も校門前で、スカート丈のチェックをやってますわね」 「す、スカート丈の、チェック……?」 「ええ。もう何度もやってるんですから、驚くこともないでしょうに」 「驚くよ! うちってそんなに校則厳しかったっけ……?」  校門前での服装チェック、しかもスカート丈の測定なんて、遠い世界の話だと思っていた。比較的のんびりした校風が取り柄の都立高校だったはずなのに――複数の少女たちが定規を手にスカート丈を測っているのを見て、千秋はいよいよ頭を抱えたくなる。 (これからぼくも、スカート丈を測られちゃうのかな……それとも、男だって言われて追い出されたりして――)  ドキドキしながらも逆に逃げる勇気もなく、宮子とともに校門前へ。  すると眼鏡に三つ編みの、いかにも風紀委員と言った格好――ただしスカート丈は極限まで短く、普通に立っているだけで紫に黒レースの下着がちらちらと見えてしまっていた――の少女が近づいてくる。 (見えっ……っていうか、スカート丈もぼくたち以上に短いし、下着もすっごいエロいけど、あれこそ校則大丈夫なの!?)  戸惑いに思わず足が止まる千秋に、風紀委員の少女は真面目な顔で眼鏡を「クイッ」ともちあげて誰何する。 「二人とも、名前は?」 「2年3組、三枝宮子です」 「あ、あの、同じく、伊沢、千秋です……」 「2-3、三枝さん……それに、伊沢くんね。確認したわ」  何事も無いかのように「くん」付けで呼ぶ風紀委員に、 (どうやらほんとに、男子なのに女子校の生徒ってことになってるらしい……)  あまりにも現実離れしていて、実感がわかない。ぼんやりと校門を見ると、青銅色のプレートに学校名が彫られていた。 「私立 乙女園女学院 高等部学舎」 「……………………」  もちろん、千秋が入学した地味な名前の都立高ではない。半ば予期していたこととはいえ、高校自体がまったくの別物に入れ替わっている事態に絶句していると、 「……三枝さんは、股下ぴったり、オーケーね」 「はい、ありがとうございます」  早くもスカート丈の計測を終え、丁寧に頭を下げる宮子。 (股下ぴったりって、どれだけ短いんだよ……しかもそれでオーケーって、逆にどれだけ短かったら校則違反になるんだ……?)  あまりにも常識外れの「校則チェック」に、疑問符で頭をいっぱいにする千秋の前に、風紀委員は定規をもってやって来ると、 「さ、次はあなたね。測るから、そのまま動かないで」 「はい……」 (まさか男子に生まれて、学校前でスカートの丈を計測される羽目になるなんて――)  羞恥に竦みあがりながら、千秋は小さくうなずくのだった。   (続く)


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