連載小説「女児装転生」 (2)
Added 2020-06-10 08:32:05 +0000 UTC追記:途中まで書きましたが、「一人称が思っていたより書きにくい」「設定が思っていたより萌えない」という理由から打ち切らせていただきます。申し訳ありません。また改めて「妹がサキュバスで同級生な女子小学生女装モノ」として書き直しますので、そちらをよろしくお願いいたします。 * * * (2) 期待に心が躍るが、待て、ときに落ち着け。女の子の部屋にいるからと言って、女の子になってしまったとは限らないんだ――といいつつ、すでに先走る心は確信を持ちかかっていた。 いよいよ本題――自分の体を見下ろす。 まず目に入るのは、フリルがついた、大きな白い丸襟。それと一体になった白い半円形の生地(台襟と言うらしい)が胸元に広がって、細かなレースで縁取られ、前ボタンの両側にはお洒落な折り目(ピンタックと言うらしい)もついている。胸のすぐ下にゴムが入っているため、ちょっとしたふくらみがあるようにも見えた。袖は肩口で大きく膨らんだあと口の部分で窄まって、白いレースの付いたフリルになっている。 上半身だけでもまるでお姫様のような格好だったが、それだけではない。 袖から伸びる腕は、くたびれた30男のものではなく――白磁のように艶やかできめ細かい、指先まで綺麗な手だったのだ。胸元のふくらみは見えないが、二次性徴前ということもあり得るから判断材料にはならないな、うん。 顔を押さえ、髪に触れる。髭の跡などまったくない、きめ細かく滑らかな口元。絹糸の如き手触りの黒髪はかなり長く、胸元にかかるほど伸びている。 何より――体が、痛くない。 慢性的な寝不足とストレスのせいで頭は常に鈍痛を発し、肩から背骨、腰にかけては寝ているときでさえ軋みを上げ、視力は眼鏡なしだと手元すらまともに見えない、手足を動かすことも重くて億劫な、30前にして廃品同然の惨状だった体が――どこも痛くないし、むしろびっくりするほど軽い。もう何も怖くない、そんな気分だ。 いや、待て、まだだ。 ベッドから足を下ろし、立ち上がる。明らかになった全身に纏っているのはパジャマではなく、裾にフリルがついたロング丈のネグリジェ。足首までがすっぽりと包まれて、本当にお姫様のような寝間着だ。サイズ感が判らないので確信は持てなかったが、どうやら身長もかなり低そうだ。 裾を踏んづけないように注意して歩きながら、姿見へ向かう。 前に立つと――そこに、美少女が映りこんでいた。 「おお……!」 声をあげると、鏡の中の少女も同じように口を動かし、目を丸くする。なかなかの美少女だ。年のころは10歳前後――小学校の高学年くらいだろうか。ぱっちりとした目元に細い鼻梁、小さな唇に、ほのかに赤みを帯びた頬。寝乱れた黒髪が緩やかに波打って、どこか淫靡ですらある。もはや前の自分のくたびれた顔など、思い出したくもない。 「やっぱり俺、本当に女の子に……? この感じだと、性転換じゃなくて、女の子として転生したのか……?」 いわゆるTS転生という奴だ。TSモノではたまに見る、女の子に転生するストーリー。前の自分がどうなってしまったのか知るすべもないが、そんなことはどうだっていい。 「よ、よし、最後の確認をしないとな……!」 もはやほとんど確信していたが、それでも確認は大事だ。当り前だと思っていた事実が実は違ったなんて、仕事上ではよくあるトラブルの元――いや、仕事のことはもう忘れよう、いまの俺は女子小学生なんだ。誰が何と言おうと女子小学生なんだ。 ネグリジェの裾の左右を掴み、ゆっくりとたくし上げてゆく。足首、ふくらはぎ、膝と露わになり、白く細い太腿へ。そしてついにその付け根の間に、ピンクのショーツが覗く。 「ごくっ……」 自分の体と判っていても、思わず昂奮する。いや、俺はロリコンではないけれど。 ショーツはネグリジェとセットらしく、色はピンクでウエスト部分はフリルになり、白いレースもついている。かなりのローライズで、おへその下から鼠径部のラインまでが丸見えだ。当然、男にはあるはずのふくらみもなく――なく…… 「……えっ?」 あった。 布面積が小さいローライズショーツの中に――女の子ではありえないふくらみ。慌てて片手でネグリジェの前をおへそのあたりに押さえ、もう片方の手でショーツをずり下ろす。 「は、生えてる……!」 そこには少年の証――小ぶりな竿と玉袋が、だらんと垂れ下がっていた。もともとの自分のものに比べれば小さいが、毛も生えていないし、皴びてもいないし、これはこれで可愛らしい――ではなく。 「な、なんで生えてるんだよ……!?」 女子小学生になったはずじゃないのか――まさかまさかのどんでん返しに、思わず叫んだその瞬間、 「おはよう、お兄ちゃん。お昼寝から覚めたと思ったら、ずいぶん元気ね」 ふいにドアが開いて、一人の少女が入ってきた。 いまの「俺」とよく似た顔立ちの、しかし柔らかで素直そうな顔立ちが可愛らしい子だ。年齢的にも「俺」と同じくらい、つまりは10歳前後。髪は「俺」と違ってショートカット、左右の前髪をヘアピンで留めている。服装は、部屋着らしいパステルカラーのパーカーとショートパンツだ。 どうやらこの子は「俺」の妹であるらしい。頭が混乱しそうになるが、とりあえず最優先で確かめたいのは―― 「お、お兄ちゃん……? 俺が? 女子小学生じゃ、なくて?」 「もう、お兄ちゃんったら、まだ寝ぼけてるの?」 少女は何事も無いかのように微笑んで――いっしゅんその表情が、奇妙に大人っぽい悪戯さを浮かべ、 「お兄ちゃんは、サキのお兄ちゃんで――でも、サキと同じ学校に通う同級生の、女子小学生なんだよ、お兄ちゃん」 (続く)