「おむつぐみ」(72)
Added 2020-05-13 11:29:14 +0000 UTC「んぅっ、んっ……」 ドクドクと溢れ出す精液が、肉竿と、それを包むおむつを熱く濡らしてゆく。 筆舌に尽くしがたいほどの快感に、和実はしばし、身をゆだねていたが―― (ああ、やっちゃった……!) 熱波のような昂奮が去ると、一転してずっしりと重い後悔と慚愧の念が押し寄せてくる。大事な幼稚園の入園式で、リアル園児たちの前で射精してしまった罪悪感――しかし同時に、倒錯的な行為だからこそ感じてしまっているのもまた事実で、 (自分がこんな変態だなんて、思ってなかった……) 罪悪感をおぼえながらも、おしゃぶりの隙間から熱っぽい吐息を漏らしていると、 「うんうん、いいお顔だったわよ、みーたん」 当然のように一連の表情を撮影した母親が、満足げに言った。 「息子の入園式で、こんなに可愛い表情の記念撮影が取れるなんて、とっても嬉しいわ。せっかくだからおしゃぶりも外して、もっと笑顔をちゃんと見せてちょうだい」 「んうっ……う、うんっ……」 射精後特有の「賢者タイム」で、醒めた意識に苛まれながらも、和実はおしゃぶりを外して片手に持ったまま、「にこーっ」っと今まで以上の笑顔を浮かべてみせる。 母親は大興奮で、 「ああー、可愛いわよ、みーたん! ふふっ、楓子さんや千代ちゃんも、これを見たらきっと喜ぶわ」 「うっ……ふーこおねーたんや、ちよおねーたんにも……」 「ええ。さて、次はママと一緒に、お写真撮りましょうか。水無瀬先生、お願いしてもよろしいかしら?」 「もちろんです」 水無瀬貴子にカメラを渡すと、母親は和実の隣に立つ。ピンクグレーのレディーススーツは、いかにも娘の入園に付き添う保護者の格好だった――が、そうして門の前に立つ親子はほとんど同じ背丈で、 (こんなの、絶対おかしいよぉ……!) カメラに向かって微笑みながらも、和実はまた泣きそうになるのだった。 ともあれ、何枚か撮ったところで無事に記念撮影も済み、 「はい、それじゃあ和実ちゃんは、早苗お姉ちゃんと香織お姉ちゃんに手を引いてもらって、園の中に入ってちょうだい」 「んっ、うんっ……」 再びおしゃぶりを咥え直すと、少し離れた場所で撮影の様子を見ていた早苗と香織が、彼の両手をそれぞれ掴む。 「はい、みーたん、こっちよ」 「手を引いてあげるから、いらっしゃい」 「んっ……」 和実たちの用意が整ったのを見て、貴子は園の中に声をかける。 「みんな! 入園生の倉石和実ちゃんが来るから、準備してちょうだーい!」 「はーい!」 少女たちの、元気な声。 そして和実が、早苗と香織に手を引かれて門の中に入ると――そこには左右から花のアーチを掲げた幼稚園児たちが一列に並び、 「くらいしかずみちゃん、ごにゅうえん、おめでとうございます!」 和実に向かって、不揃いな歓迎の声を上げた。 (ああ、たくさんの園児たちに出迎えられてる……!) (ほんとは15のぼくが――幼稚園児たちに、年下の子として――) 情けないような、恥ずかしいような、申し訳ないような気持ちでいっぱいになる和実だったが――しかし同時に、奇妙な高揚感と喜びの感情、そして何より幼稚園児としての実感が、胸の奥から湧き上がってくる。 (みーたん、「お姉ちゃん」たちに出迎えられて、この幼稚園に、入園するんだ――) とはいえ出迎える少女たちの表情は、やや当惑したものだった。なにしろ自分よりずっと体の大きい「入園生」が、自分たちのとよく似た、しかしベビー服のような「制服」を着て立っているのだから。 和実は最初のアーチをくぐる前にいったん立ち止まり、感謝の気持ちを込めて、「お姉ちゃん」たちにお辞儀する。そして改めて、 「さ、いきましょ」 早苗の声再び歩き出し、少女たちが掲げている花のアーチの下をくぐって、入園式の会場である体育館へと向かってゆく。 (ついに、ついに――) 緊張に、臍下丹田と陰嚢がきゅっと締め付けられるような痛みを発する。まるで、「おむつ組」へと堕ちるきっかけになった、悪夢の入学式の時と同じように―― (大丈夫、大丈夫……) 和実は歩を進めながら、自分に言い聞かせる。 一週間にわたっておむつおもらしを続けたせいで、実のところ尿意のコントロールはかなり怪しくなっている。二時間おきにおもらしするように言われているせいで膀胱の要領が小さくなってしまったうえ、本来なら無意識がストップをかけるおむつへのおもらしも、すっかり抵抗がなくなっているのだ。 しかし、それでも―― (大丈夫――いくら緊張しても、いくらおもらししても、今はちゃんと、おむつを当ててるんだから……!) (……って安心するのも、恥ずかしいけど) やはりまだ心まで「おむつ組」にはなりきれない和実だった。 (続く)