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「おむつぐみ」(65)

「んっ……」  「おむつ交換」のポーズで寝転がった和実は、小さくうなずいて見せる。 (そういえば、水無瀬先生におむつ交換されるのは三回目だっけ――)  一回は、ドラッグストアのトイレで。  一回は、大おもらしをした後の駐車場、車の後部座席で。  特に二回目の時は、車内にたちこめる悪臭にもかかわらずおむつを交換してもらったせいで、頭が上がらない。あの後も窓を開けっぱなしにして車を走らせたが、匂いはいつまでも残っていたはずだ。  その時に比べればまだ恥ずかしさは少ないし、手順も判っている彼女なら、すぐに交換してくれる――と、思いきや。 「はーい、じゃあ和実ちゃん。おむつ交換でどうすればいいか、一つ一つ、声に出して教えてくれるかなー?」  今までのことなど忘れたかのように言いながら横に座る貴子に、和実は目を丸くして、 「え……お、おむちゅこうかんの、やりかた、ちぇんちぇいは、ちってる、はずじゃ……」 「ちっちっ、甘いわよ、和実ちゃん。この試験はね、おむつ交換してくれるお姉ちゃんに、やり方を伝える練習も兼ねてるの。だからちゃんと、判るように伝える必要があるのよ」 「お――おねえちゃん、たちに、おむちゅ、こうかん……?」  青ざめる和実に、貴子はかがみこんで顔を近づけながら、 「あら、言ってなかったかしら? 『おむつ組』の子のお世話をするのは、なにもあたしたち保育士だけじゃないのよ。同じ幼稚園の園児たちや、附属の小学校、中学校、高校からも、お世話のための委員が選ばれて、面倒を見てくれることになってるの。お食事やお昼寝、お着換えだけじゃなくて、おむつ交換も――ね。あ、高校もおむつ組委員は女子のみだから、そのあたりは安心してちょうだい」 「しょ、しょんなっ……!」  「幼稚園のお姉ちゃんたちにお世話される」とは聞いていたが、おむつ交換までされるとは思っていなかった和実は、いよいよ青ざめる。 「しょんなこと、ちたら、みーたん、おとこのこだって、バレちゃう……おちんちん、みられちゃうっ……!」 「大丈夫よ、和実ちゃん。事前に説明したうえで、お世話してもらうことになってるんだから。和実ちゃんが本当は、元高校生の男の子で、『おむつ組』に落第したんだって、お写真付きでね。どの学年も志願者が多くて、抽選になったらしいわよ」 「しょんな……!」  貴子に撮られた覚えはなかったが、おそらくは美容室か「ピンクリボン」で、他の人に混じって撮影されたのだろう。「制服」にせよ「普段着」にせよ、そんな姿が陸奥学園附属校の全生徒・児童に見られたのだと考えると、顔から火が出る思いだった。  なにより、元男子高校生だった自分が、女子幼稚園「おむつ組」の女児として、赤ちゃんのようにおむつのお世話をされる――しかも保育士からだけではなく、幼稚園児、小学生、中学生、高校生の少女たちからというのは―― 「ふふっ、そんな、この世の終わりみたいな顔をしないでちょうだい。むしろ『おむつ組』の生活は、まだ始まってもいないんだから」 「でも――でも……と、とちちたの、お――おねえちゃん、たちに、おちぇわ、ちてもらう、なんて、はじゅかち、ちゅぎるよぉ……!」 「いいじゃないの。みんな和実ちゃんの格好を見た上で、志願してくれてるのよ。それだけみんな、可愛い和実ちゃんのお世話がしたいってことで――今さら辞めるなんて言ったら、女の子たち、きっとがっかりするでしょうね」 「う、うぅ……」  次々と明かされた事実に真っ赤になる和実だったが、 (でも、写真まで見られて、学園中に知れ渡っちゃったんなら――もう今さら逃げ隠れしても始まらない……) (そうだ……さっきの園長先生の話の通り、ぼくはちゃんと、「おむつ組」として過ごさないと、いけないんだ――) 「ふふっ、逆に覚悟が決まったみたいね。じゃ、『年下のお姉ちゃん』達にお世話してもらうために、試験を続けるわよ。最初にどうすればいいのか、きちんと教えてちょうだいね。あ、幼稚園の『お姉ちゃん』でもできるように、ちゃんと考えるのよ」 「う……うん……!」  和実は喉を鳴らして、しっかりした顔で貴子を見上げる。 (おむつ交換の時に、まず、お願いするべきことは――) 「さ、さいちょに、みーたんの、りゅっくから、かえの、おむちゅと、べびーぱうだーと、おちりふきを、とりだちて、くだちゃい」 「リュックから、替えのおむつと、ベビーパウダーと、お尻ふきね。次は?」 「えっと……みーたんの、あちもとに、きて、ろ、ろんぱーちゅの、おまたの、ちゅなっぷぼたんを、はずちて、くだちゃい」 「うんうん、いいじゃない。ちゃんとお願いできてるわね」  貴子は褒めつつ、和実の「お願い」に従っておむつ交換を進めてゆく。  ロンパースのスナップボタンを外したら、前側を大きく胸元までめくりあげ、いったんうつぶせになって、後ろ側も同様に上げてもらう――いつもなら、和実がお尻を上げている間に上げればいいのだが、幼稚園児では難しいと判断しての指示だ。  ロンパースとブラウスをたくし上げ、ヒヨコ柄のおむつカバーが丸見えになったら、左右のボタンを外し、前当て、横羽の順に剥がす。そしておむつも取り除くと――現れたのは、赤ちゃんのような、無毛の下半身。しかし赤ちゃんではありえない、ねっとりとした光沢を放つ精液にまみれていた。 「さぁ、和実ちゃん。おむつが取れて、おちんちんが丸見えになったわよ。そしたら同氏ればいいのか――教えてちょうだい」  貴子は意地悪く、和実の「お願い」を要求する。 「う、うう……」  パステルカラーのベビールームに似つかわしくない、青臭い雄の匂いが立ち込める中、和実は恥ずかしい「お願い」を口にした。 「み、みーたんの、ち、ちろい、ちっちに、よごれちゃった、おちんちんを、ふきふきちて、くだちゃい……!」   (続く)


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