「おむつぐみ」(47)
Added 2020-04-03 10:22:24 +0000 UTCガラガラに誘導されるように歩くこと数メートル。行列から離れ、先ほど店員が示した扉の付近まで来たところで、 「ふふっ、ちゃんと歩けて偉いわよ、和実ちゃん」 「う……ひ、ひどいですよ、水無瀬先生っ……!」 ついにたまりかねて、和実は声を震わせて抗議する。 おもらし自体も元はといえば貴子が飲ませたコーヒーのせいだし、さらに衆人環視での射精まで――もしも誰かが騒いで、警察でも呼ばれたらどうするつもりだったのか。 しかし貴子はどこ吹く風、 「大丈夫だったんだからいいでしょう? それに和実ちゃんだって、大勢の人に見られて腰が抜けるくらい気持ちよくなってたじゃない、ねぇ?」 「そ、それは――でもだからって――」 「はいはい、文句はおむつを交換してる間に聞いてあげるから、とにかくいらっしゃい。入園前におむつかぶれしちゃうわよ」 「ううっ……」 抵抗したい気持ちもあったが、ぐっしょりと濡れたおむつはどんどん重くずり下がり、小水に濡れた肌の表面のかゆみも増している。和実はせめてもの抵抗で貴子をにらみながらも、大人しく従った。 扉をくぐって多目的トイレに入った和実は、その広さに驚いた。3メートル四方の空間には、トイレのほかに、大人が転がっても余裕があるほどのおむつ交換台が置かれているのだ。 「ふふっ、すごいでしょう? もちろん赤ちゃんのおむつを交換できるように作られてるんだけど、こんなに広いのは『おむつ組』の園児が使うことも想定してるのよ。ま、『おむつ組』の園児は和実ちゃんが初めてだから、今までは必要なかったんだけどね」 「ぼくが、初めて――」 改めてそう言われると、また情けなさに胸がいっぱいになる。 「じゃあ、そこに寝転がってちょうだい。実は先生も……初めてなのよ」 「初めて……?」 妙な意味ではないと分かっていながらも、年上の美人女性の仄めかすような言葉に、和実はドキッとしてしまう。 「ええ。園児のおもらしの後始末や、おむつの交換はしたことがあるけど――和実ちゃんくらい大きい『赤ちゃん』のおむつ交換は初めて」 そう言って、タートルネックの袖を肘までまくり、 「さ、台の上に載って、寝転がって――先生に「お願い」して、手順を教えてちょうだい。もう何度かおむつを交換してもらって、流れは判っているんでしょう?」 「それは……はい」 靴を脱いで台に上がりながら、和実は赤くなって肯く。おむつを交換されること自体も恥ずかしかったが、 (ぼく自身が、あれこれと「お願い」しなくちゃいけないなんて――) 最初にジャケットのボタンを外して脱ぎ、黄色の通園バッグと共に貴子に渡して、壁のフックにかけてもらう。上着を脱ぐと吊りブルマーのサスペンダーが露わになり、いっそうベビー服めいた自分の姿に情けなくなりながら、台に仰向けに横たわり、両手を顔の横において、足は立膝を大きく開く。 「ふふっ、そんなポーズをすると、本当に体が大きいだけの、赤ちゃんみたい。『おむつ組』に入ったのが、和実ちゃんみたいな可愛い子でよかったわ。汗臭くてむさい男だったら、正直困っちゃうもの」 「う……だからって……」 返事に困った和実は口ごもったあと、 「じゃ、じゃあ……まずは、ブルマーの、クロッチ部分の、スナップボタンを、外してください……」 「ええ。これを外せばいいのね」 貴子の手が、和実のブルマーの股間に並んだスナップボタンを、音を立てて外してゆく。プツッと意外なほど大きな音が響くたび、和実はびくっと体をすくませ、それを見た貴子の嗜虐心に、また火が点いたようだった。 そして三回目の音ののち、ようやくブルマーが前後に外れて――その間から、水色のおむつカバーが露出した。 次はブルマーとブラウスを上にずらす作業だが、せめてこのくらいは自分でしようと手を伸ばした和実に、 「ダメよ、和実ちゃん。ちゃんと先生に教えてちょうだい。やってあげるから、ね」 手を元の位置に戻され、和実は抵抗を諦めて「お願い」する。 「う……じゃ、じゃあ、ブルマーを、ブラウスごと上にずらしてください……」 「はーい、ずらしたわよ。ふふっ、こうしてみると、ほんとに真ん丸に膨らんでるのね」 「うう……つ、次に、おむつカバーのボタンを、左右とも外してください……」 「これね。まずは、ひとつ、ふたつ、みっつと。はんたいがわも、ひとーつ、ふたーつ、みっつ。次は?」 「そ、そしたら……おむつカバーの、前当てを剥がして、横羽もマジックテープを剥がして、左右に……」 言わずもがなのことまで、逐一指示を求める貴子に、和実は恨みがましい目を向けながらも、「お願い」だけは素直に出す。 (ぜったい、本当は判ってやってるでしょ、この先生……!) その邪推が確信に変わったのは、おむつカバーの前当てと横羽を代の上に広げ、和実の下半身を隠すものが濡れたおむつだけになってもなお、貴子が言った時だった。 「うんうん、これでおむつカバーも外れたわね。そしたら、和実ちゃん――どうすればいいのか、教えてちょうだい?」 「う……は、はい……」 和実は真っ赤になりながらも、貴子への「お願い」を口にする。 「ぼ、ぼくの、おちんちんの上にかかってるおむつを――どかして、ください……!」 (続く)