「幼い女王と園児な私」(1)
Added 2020-04-02 15:55:27 +0000 UTC私、大学二年生の香川奈美子は、教育実習で女子幼稚園を訪れていた。 「教育実習生の香川奈美子です。よろしくお願いします」 二週間ほどの実習。その間に幼稚園児たちと交流しつつ、幼稚園家庭の教育について理解を深める――はずだった。 ところが。 「奈美子さん、あなたに対して、藤川みのりちゃんとそのお母様から苦情が届いていますよ」 「は、はい……」 「粗相をした園児には、十分配慮して他の子に知られないように対処すること――そういいましたよね? なのにあなたは、大声で『おもらししちゃったの』なんて……」 「ご、ごめんなさいっ……!」 「謝るのは園長の私にではなく、みのりちゃんにです。さ、いってらっしゃい」 やってしまった。とにかく謝って、許してもらうしかない。この女子幼稚園は名門私立で、両家の娘さんたちが多く通っている。特にみのりちゃんは、その中でもトップクラスに権力のある、金融グループ企業の家の娘さんだと小耳にはさんでいた。 藤川家に連絡を入れて数日後、ようやくみのりちゃんへの「謁見」を許された私が、藤川邸の応接間に通されると、上座のみのりちゃんは可愛らしい――しかしどこか意地悪な目で、私を見た。 そして謝る私に、 「うん、許してあげる。ただし――条件が三つあるわ」 「み、三つ……はい、私に、出来ることなら、何でも……」 「んふふっ、言ったわね。じゃあひとつ――今日からこの家に住んで、メイドさんとして働くこと」 「メイド……は、はい、それくらいなら……」 「ふたつ――これから一年間、みのりと同じ幼稚園に、園児として通うこと」 「え――えぇっ!? そんな、私、大学が――」 「ダイガクなら、ちゃんとタンイが出るようにしてあげる。そのかわりにもし逃げたら――ふふっ、どこのダイガクもジュケンできないし、どこのカイシャもとってくれないかもね」 権力の片鱗を見せつけて言い放つ彼女に、逆らえるはずもなかった。 「は、はい、判りました……」 「うんうん、素直な子は大好きよ。それで、みっつめ――その間はずっと、おトイレ禁止」 「え……と、トイレ、禁止って――?」 「そのままの意味よ。これから奈美子先生――ううん、奈美ちゃんは、おトイレじゃなくておむつと、おまるに出すの」 「そっ、そんなっ……! で、でも……」 ここで彼女に逆らったら、今後あらゆる就学就業の目を潰されてしまう。どんなに恥ずかしかろうと、逆らうことはできなかった。それになにより――もともとは私が、彼女に恥ずかしい思いをさせたことが原因なのだ。 「それじゃさっそく、まずは幼稚園の制服に着替えてちょうだいね」 そう言ってみのりちゃんが、すぐ後ろに控えていたメイドさんに目配せすると――メイドさんはすでに準備してあった服を、私の目の前に置いた。 ピンクのイートンジャケットにジャンパースカート、白のリボンという、私立幼稚園の制服――しかしサイズだけは私でも着られる、160。それを見た私はようやく、謝罪のための「謁見」に数日待たされた意味を理解した。 「こ、こんな制服を、用意するために――」 「んふっ、制服だけじゃないわよ」 別のメイドが、また新しいものをテーブルに並べてゆく。 大量の、ドビー織布おむつ。 様々な色柄の布おむつカバー。 どちらも赤ちゃん用とは思えないくらい大きくて。 「こ、これも、わたし用に……!?」 「うん。気に入ってもらえた?」 みのりちゃんは、幼稚園児とは思えないくらい意地の悪い顔で笑って訊く。 すでに試されてる――私は真っ赤になりながらも、彼女の御心のままに答えるしかない。 「は、はい。とても、気に入りました。ありがとうございます――」 その答えに、幼い女王は満足げに嗤うのだった。 (続く?)
Comments
続き期待
アンブレラ
2020-04-03 19:35:05 +0000 UTCありがとうございます!
十月兔
2020-04-02 23:38:27 +0000 UTC是非とも続いてほしいですね。
hiro
2020-04-02 18:26:49 +0000 UTC