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「ナオのはじめて」(5)

(それに、ビキニのお尻側がゆるくなってる……! 横を紐で結んで骨盤に引っ掛けてる感じだから、下手に動くと落ちちゃいそうだ……) (せめてカメラが回ってる間だけでも、何とか持ってくれよ……撮り直しなんて嫌だからな……!)  教卓に上体を伏せ、顔だけこちらに振り向いてお尻を突き出したまま、ナオは体をくねらせる。まるで、バックから犯されるのを待ち望んでいるかのように。  視点がゆっくりおりてゆき、お尻をほぼ真下から見上げる角度になる。  ふいにナオはくるりと体を反転させ、両手とお尻を教卓のへりについて、もたれかかる。腰を前に突き出し、上体を軽く逸らせたそのポーズだ。見上げると、真っ白な太腿と、股間を包む逆三角形のビキニが、これ以上ないほど強調された。 「もう、そんな場所から、どこみてるの? えっち……♡」  ナオは言葉の意味もよく判っていないように、悪戯に笑って言う。  視点がやや後退し、それに合わせて、ナオはゆっくり、身体をくねらせて歩き始める。肘を曲げて上げた腕を大きく振り、内ももをこすりつけるような、モデル歩き――数歩歩いたところでターンを決めて背中を向け、今度は同じようにして、教卓側に歩いてゆく。ジュニアアイドル――それもランドセルが似合う小学生とは思えない、妙な色気があった。 (演劇部で一応、こういう動きも習ったけど、まさかじっさいに、こんな形で使うことになるなんて……) (リンネさんは「ナイス!」みたいに親指立ててるけど、やるこっちの身にもなって欲しいよ……まぁ、人気が出れば、それだけ稼げるって考えるしかないけどさ……)  教卓まで戻ったナオは再び振り返り、先ほど机に置いたランドセルに近寄る。上の隙間から突き出しているリコーダーの袋を、両手で握りこむように掴んで、ゆっくりと引っ張り出そうとする――が、握力が足りないのか、半ばほどまで出したものの、手が滑って失敗してしまう。 「あれ~うまく抜けないよぉ。うんしょ、うんしょ♪」  ナオは両手を交互に、わざと滑らせ始める。それは少女特有のいたいけな悪ふざけの動きだったが、まるで何か太いものを、小さな手のひらと細い指でしごきあげるような、そんな猥雑な暗喩にも見えた。 (これ絶対、手コキのメタファーだよね……うう、茶色い革製のリコーダー入れが、でっかいチンコに見えてきた……)  しばらくその動きを続けていたナオだったが、やがて飽きたのか普通にランドセルを開けて、リコーダー袋を取り出す。さらに袋の中から、小ぶりのソプラノリコーダーを出して構える。 「~♪」  指を動かし、吹き始める。リコーダーを演奏しているだけの、ごく一般的な光景だが、白のビキニを着た状態で吹いているせいで、どこか現実離れした画になっていた。 「~♪」  さらに視点が、ナオの口元をズームアップする。リードを咥える艶やかな朱唇と、軽やかに動く指先が艶っぽい。さらに視点は横に動いて、ほっそりとした首筋から、ブラの紐を結んだうなじ、肩甲骨へと降りてゆく。上半身の背中側は、ブラを留めている紐以外はつけていないため、ほとんど裸も同然だ。 (リコーダーは自己紹介動画の時もやったけど……うう、完全にフェラじゃん……本物のジュニアアイドルも、こんなことやらされてるの……?) (っと、カメラがこっちを見てる。ちゃんと笑顔を作らないと) (無邪気に、でもちょっぴりえっちな感じにって、注文が難しいよ……) (しかも――もう何度も言うけど、俺、男子大学生なのに……)  ひとしきり吹き終えた後、ナオはリコーダーを袋に入れ、ランドセルにしまって、蓋を閉じる。そして再び、机の上から持ち上げたそれを背負い、肩ベルトを両手でつかむ。  ビキニ水着に、赤いランドセル――普通の小学生ならまずありえないナオの姿を、視点が嘗め回すように動く。ビキニを大写しにするように下からせりあがり、おへそ、肋骨の浮いた脇腹、三角ブラに包まれた胸元から、鎖骨へ――純真な、それでいて微かに淫靡な笑顔を映した後、やや離れて俯瞰するように、ランドセルを背負った背中側へ。小学生の象徴のような赤いカバンが強調されるが、見えている体の部分が肌色しかないため、まるで裸でランドセルを背負っているかのようだった。  そのまま首だけ振り返って、しばらくこちらを見る。さらにランドセルを大きく左右に振ると、大きくジャンプしながら体を正面に向けた。 (水着に、ランドセル――マニアックにもほどがあるよ……) (俺のこの映像を見て、沢山の男たちがヌくんだろうな……中身が男だとも知らずに、変態どもめ……)  ナオは悪戯に含み笑いをすると、 「ばいばーい!」  軽く体を傾けて、満面の笑顔で手を振るのだった。 (よし、何とかやり切った――恥ずかしかったけど、ちょっとだけ達成感……) (緩んでたビキニも、落ちずにすん――) (あっ) (うわあああああぁっ、見られた、見られたっ……! カットが入ってカメラは止まってたけど、リンネさんとカメラさんに、思いっきり見られた……!) (うう~~……カメラさん、「本当に男の子だったんだ」じゃないよ、もう……なんであんなに接写してるカメラさんでも気づかないんだ……って、理由は聞きたくもないけど……) (はぁ……次でラストシーン……もうちょっとだけ、頑張ろう……)   (続く)


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