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「還る場所」 3月2日

3月2日(月) 「お帰りなさい、お義姉さん」 「えっと……お邪魔します、沙羅さん」 「邪魔なんて……ここはお義姉さんの家なんですよ。ゆっくり休んでくださいね」  実家に帰ると、兄嫁の沙羅さんが出迎えてくれました。  緩やかにウェーブしたボブカットと、垂れ目がちのくりくりとした瞳が小動物のように可愛らしく、ぱっと見だと女子高生と間違えそうなほどです。兄は実はロリコンだったのではと、疑いたくなってしまいます。  リビングで軽くお茶をして、お互いの近況を話します。と言っても私の事情については触れず、主に沙羅さんが、兄のことについて話すのがほとんどでしたが。兄はどうやらかなり忙しいらしく、数日おきに泊りがけの出張に出ているようです。今夜も、私を迎える食事には帰れる予定だったのが、急な出張でおじゃんになったとのこと。  こんないい奥さんを置いて飛び回るなんて、兄は本当に気が利かないですね。  しばらく話をしたのち、私は高校まで使っていた自室に引き取らせてもらいました。中はほとんど変わってなくて、軽く掃除されているだけのようです。子供のころから使っていた勉強机と、物持ちがいいことに小学校から高校の制服まで残ったままのクローゼット、少女漫画が入った本棚――このあたりを沙羅さんに見られたのかもしれないと思うと、ほんのちょっぴり恥ずかしくなります。  夜になり、沙羅さんは豪華な夕食を作ってくれました。本当は手伝いたかったのですが、沙羅さんは「お義姉さんはゲストなのだから」と言って譲らなかったのです。 そうして出されたディナーはどれもこれも美味しくて、スパークリングワインを開け、けっこうな勢いで飲んでしまいました。今こうして自室に戻り、寝間着に着替えて日課の日記を書いていますが、意識はかなりもうろうとしています。  とにかく、水を多めに飲んで寝ましょう。来て早々、沙羅さんに迷惑をかけるわけにはいきませんから……。


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