「おむつぐみ」(24)
Added 2020-02-24 11:49:58 +0000 UTC「それじゃ、今日はこの辺にしてまた来るね。和実ちゃんも、幼稚園生活頑張って」 「う、うん。来てくれてありがとう、藤原さん。それに……おむつも、換えてくれて」 「ならあたしも帰るわ。いつでもお手伝いするから、遠慮なく言ってね。おむつでもベビー服でも、必要なものがあれば相談に乗るからさ」 「は、はい! 佐々木さんも、その、ありがとうございました」 遊び着から再び水色のイートンジャケットに着替え、ひとしきり鑑賞会が済んだのち、和実は千代と楓子を送り出していた。 今やブルマーにたっぷりおむつを当てられ、いよいよ赤ちゃんめいた「おむつ組」の制服姿、玄関どころか部屋の外に出るのも恥ずかしい和実だったが、礼儀として送り出さないわけにはいかない。 二人は土間でそれぞれ靴を履いて、 「それでは、お邪魔しました。和実ちゃんも、ごきげんよう」 「お邪魔しました。あのベビー服、パジャマにしてちょうだいね」 そういって、ドアを開け、玄関を出てゆく。 (本当は、ここで終わりにしたいけど――) 羞恥に胸を焼かれながらも、和実もレースの付いたハイソックスを履いた足に靴を履く。中学時代のローファーは、「おむつ組」の制服と合わせてもそれほど違和感はない。 しばしのためらいののち、玄関のドアを開き、 「うっ……」 眼前に広がるのは、いつもと同じ玄関先の光景。柵に囲まれた小さな庭と、その向こうを横切る生活道路、そして茜色に染まった、見慣れた住宅街――なのに、外気に触れるだけでも鳥肌が立つほどの恐ろしさを感じて、膝がガクガクと震える。特に露出している太腿は、まるで毒ガスにでも触れているかのような気分だった。 それでも、和実はきちんと玄関の外に出て、まだ庭先に残ってガーデニングを眺めていた千代を見送りに出る。 彼女もすぐに気が付くと、振り返ってにっこりと微笑み、 「あ、見送ってくれるの? ありがとう」 「う……うん。わざわざ、心配して見に来てくれたんだし……」 「ふふっ、嬉しい。そうだ、せっかくだから、そこの公園まで一緒に行かない?」 「こ、公園……」 ほんの目と鼻の先の、小さな児童公園。 距離にして50メートルもないほどだったが、考えるだけで足が竦む。それでも、 「明日はその制服で、あちこちお出かけしないといけないんでしょ? 慣れるための練習だと思って、ね?」 「ううう……うん……」 和実はごくりと喉を鳴らし、千代のあとをついて、庭のステップを踏み、道路に出る門扉を抜けて外に出る。前を歩く千代のひざ丈スカートすらも、太腿丸出しの今の和実にとっては羨ましく感じるほどだった。 住宅街に人通りはない。それでも和実は、その曲がり角からいつ誰が出てくるか、周りの家から見られていないかとビクビクしながら、千代と並んで歩き、やがて公園へとたどり着く。 (子供たちが遊んでいたら、どうしよう――) そんな和実の不安は、さいわい杞憂に終わった。狭い公園には人っ子一人おらず、老朽化した遊具が、黒々とした影を砂利の上に投げかけているばかりだ。 「誰もいなくてよかったわね、和実ちゃん」 「うん」 ホッとしつつ、千代と並んでブランコに座る。制服のせいもあり、まるで幼稚園児に戻ってしまったかのような錯覚に陥っていると、 「実はね、あたし、ここの公園に来たことがあるんだ」 「そ、そうなの?」 彼女の住んでいる「藤原の森」からこのあたりは、けっこう離れている。歩いて10分ほどだが、子供の足では結構な距離だ。わざわざ遊びに来るような公園でもない。 「うん。幼稚園の頃のことだけどね。ちょうど、和実ちゃんと同じような制服を着てた頃」 「う……」 「でね――」 千代が何かを言いかけた、その時だった。 「あら」 公園の入り口から聞こえた声に、和実はギクッと背筋を伸ばす。 恐る恐るそちらを見ると、そこには二組の親子――いずれも若いママと幼稚園の娘が、目を丸くして和実たちを見つめていた。 しかもその娘たちは、いずれも水色のイートンジャケットとスカート、丸襟ブラウスに赤いリボンという、陸奥学園の附属女子幼稚園――つまり和実がこれから通うことになっている園の制服を着ていて、 「あらあら」 真っ先に驚きから立ち直った千代が、口元を押さえながらおかしそうに、 「園の『先輩』の『お姉ちゃん』たちみたい。ちゃんと挨拶しないとね、『おむつ組』の和実ちゃん」 (続く)
Comments
ありがとうございます! 制服ブルマーの魅力が伝わって、とても嬉しいです……!
十月兔
2020-02-24 14:34:54 +0000 UTCベビー服で初めての外出のシーン、いいですよね。大好きです。 それと、ミニスカートからオムツがはみ出してるのも恥ずかしくてよきですけど、太ももも、おむつで膨らんだ大きなお尻も丸出しなのもグッドですよね・・・
絹屋敷
2020-02-24 14:30:50 +0000 UTC