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「おむつぐみ」(13)

「気持ちよく……って、おもらしが……?」 「ええ」  楓子のささやきが、急速に甘くなる。先ほどまでのオタクっぽい印象からは想像もつかぬ、淫靡な声。眼鏡の奥の眠たげな目つきは婀娜っぽい流し目に変わり、厚ぼったい唇も淫らなセクシャルアピールを帯び始める。 「おもらしってね、とっても気持ちいいことなの。ほら、我慢していたおしっこを一気に出すと切って、気持ちいいでしょう?」 「そ、それはトイレでするからで、おもらしなんて、恥ずかしいし、パンツが濡れて、気持ち悪いだけだって!」 「おむつの中なら、大丈夫。お姉さんの言うとおりにおもらしすれば、とっても気持ちよくなるから。ね?」 「う……」 どんなに歪んだ誘いであれ、年上のお姉さんに後ろから抱きしめられながらつやっぽい声で囁かれると、心が動いてしまう。 (できればもうちょっと男らしい、ロマンチックな状況が良かったけど――)  女児ベビー服めいた「おむつ組」の園児服を着て座り込み、後ろからお姉さんに抱き留められているという状況に、和実はまたも情けない気分になるが、 「まずは、目を閉じて。腕を下ろして、足を伸ばして、だらーんと力を抜くの。呼吸はゆっくり。鼻から吸って、口から吐いて。吸って、吐いて――」 「すー、はぁー、すー、はぁー……」  楓子に言われるがまま目を閉じて脱力し、声に合わせて深呼吸する。 視覚情報が遮断された分、残る五感が鋭敏になる。弛緩した体は楓子に寄りかかり、いっそう強く体温が伝わってくると同時、女性特有の甘い匂いが鼻腔をくすぐって、 (すごいリラックスして、気持ちいい……) 「そう、全身から力を抜いて、お姉さんの言うことだけを聞いて。そうすれば、もっと気持ちよくなるからね――」 「もっと、気持ちよく……」 「ええ」  楓子はねっとりと言いながら、後ろから和実の腹部に回していた腕の片方を、密着したまま這いまわるように動かして、スモックの裾から覗いているブルマーの前へと宛がう。声といい動きといい、蛇のようだ。 「んっ……!」  「おむつ組」制服ブルマーの表面をこすられて、その内側でむらむらと、劣情が疼き始める。少しずつ硬く、大きくなってゆくものが、ドビー織のざらつきに擦られ、腰の奥が締め付けられるような痛みに、思わず体が硬くなるが、 「ほら、ゆっくり、力を抜いて――リラックス、リラックス――吸って、吐いて――」  再び深呼吸に誘導する声に、勃起することすらも封じられて、萎えたまま痙攣するという情けない状態のまま、疼きに悶えるほかない。 「そうよ、リラックスしたまま聞いてちょうだい。おへその下に水風船みたいに、中から圧迫するような感覚があるのが判るかな?」 「う、うん……」 「その中に入ってる水を出すと、すっごく気持ちよくなるの。だから出したいって感覚に逆らわずに、身をゆだねてちょうだい。おへその下にある水風船の口が、ゆっくり開いて、中に入ってる温かい水が少しずつ下に流れて、おちんちんを通って、外に出てゆくイメージよ」 「ん……」  リラックスしきった和実の脳に、楓子の語るイメージが、ダイレクトにしみ込んでくる。  腰の奥にわだかまっている、水風船のような何か。その口がゆっくりと開いて、腰の奥から尿道を通って、外に漏れだしてゆく―― 「そうよ、あともうちょっと。お尻の穴を緩めて、おちんちんからも力を抜いて――」  楓子の言葉の一つ一つが、和実の排尿を押しとどめている筋肉の緊張をほどいてゆく。能動的な排尿とは違う「おもらし」の予兆に、 「や、やだ、怖い……!」 「怖くないわ。お姉さんがついてるから、何も心配することはないの」 「う……うん……」  これまで以上に強く抱きしめられて、和実はついに、わずかに残っていた理性すらも手放す。  腕の中でぐったりと弛緩する少年の体に、楓子も終わりが近いことを悟り――ふいに甘く優しかったその声が、嗜虐的な響きを帯びて、 「さぁ、『おむつ組』の和実ちゃんは、おむつの取れない赤ちゃんらしく、おむつの中にちっちしましょうねー」 「あ……や、いやっ……!」  暗示から覚めた和実は、悲痛な声を上げる。しかし手足はまだ動かず、楓子がブルマーの前を擦る動きに合わせて不随意に痙攣するばかりで、抵抗することもかなわない。 「やっ……おもらしなんて……もう、高校生なのに……!」 「高校生だった、でしょ? いまの和実ちゃんは、ほーら、可愛い可愛い園児服を着た、幼稚園児なんだから。しかもこんな、特別製のブルマーを当てた、年少さんより下の『おむつ組』なのよ。おむつの中におもらしするのが、とうぜんでしょ?」 「や……ちがっ……」  何か言おうとするが、見下ろした自分――幼稚園児でしかありえないピンクのスモックと、幼稚園児よりさらに幼いブルマーを穿いた自分の姿に、反論の言葉すら出て来なくなる。  楓子はにんまりと笑い、 「ほら、おむつの中にちっちしましょうねー。しー、しー、しー、しーっ……」 最後のひと押しとばかりに和実の耳元に囁いて尿意を促し―― 「あ……いや、あぁっ……!」  腰の奥から溢れ出す、温かい感触。  それは萎えたペニスの内側――尿道をくすぐりながら通り抜け、先端から外へと溢れ出した。 ブルマーの中に当てていた3枚のおむつはあっという間に熱く濡れ、股間の前だけではなく、お尻まで生温かい温度に包まれる。  制御の効かない排尿と、服を着たままで下半身だけが熱く濡れるその感覚に――入学式の時の、悪夢の記憶がよみがえった。   (続く)


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