第8話「女児服とごっこ遊びと」(22)
Added 2020-01-10 10:04:09 +0000 UTC「幼稚園のみんな、ダンスを見せてくれて、ありがとう。とっても素敵だったわ」 「お遊戯」のあとは、東雲神奈によるお礼の言葉だ。 「さっきも言ったように、『お遊戯』のビデオは動画サイトにアップするから、楽しみに待っていてちょうだいね。URLについては、また後日お知らせするから」 「はーい!」 床に座る園児たちは、元気に返事をする。みんな「お遊戯」ののち、ふりふりピンクの舞台衣装から、年長組の紺の園児服に着替えていた。 夢月もまた、ピンクのイートンジャケットに吊りスカートという、年少組の園児服になっていた。二度の射精によってペニスもすっかり縮こまったため、ショーツを穿きなおしている。 (最初はあんなに恥ずかしかった年少組の制服と女児用パンツが、今はこんなにありがたく感じるだなんて……) (うう、でもまだおちんちんが、ピクピクしてちょっぴり痛い……射精した後に珠になる、残尿感みたいな痛さだ……) 「お遊戯」の昂奮も冷めやらず、こっそり股間を押さえる。 (けどこれで、おしまいだ――) 解放感と達成感に、緊張がゆるむ。最後に園児たちと一緒に立ち上がって、「聖ジョアンナ式」のお辞儀をしたところで、いよいよ会も終わりを迎え、 じわっ 「え……?」 スカートをめくりあげた瞬間、尿道がこじ開けられる感覚とともに股間に熱さが広がって、夢月は硬直する。 恐る恐る、下腹部を包むギンガムチェックのショーツを見下ろすと――縮こまったペニスのふくらみが浮かんだその股間に、黒々としたシミが油膜の如く広がっていた。しだいに表面にしみ出した水滴は、重力に従って下へ――太腿へと溢れ、見る間に幾筋もの流れとなって膝からふくらはぎ、そして足首のショートソックスへと達して、かすかに黄色く染め上げてゆく。 「あ、あ……!」 「あーっ、むーちゃん、おもらししてる!」 隣にいた雛子の無遠慮な声が、会場の空気を引き裂き、夢月を正気に戻した。 「い、いやぁっ! みないで、みないでぇっ! と、止まってよぉっ!」 夢月は叫ぶが、放尿は止まらない。ぎゅっとスカートの裾を握りしめたまま、流出した小水が下着を、脚を、ソックスを、上履きを、ついには真下に滴り落ちて床を濡らすのを、ただ見ているほかなかった。 やがて出来上がった足元の水たまりからは、生暖かい湯気とともにアンモニアの匂いが立ちのぼり、周囲の少女たちは輪になって、夢月を見つめる。 「おもらしだ……」 「むーちゃん、おもらししちゃったんだ……」 「年少さんだもんね、仕方ないよ……」 園児たちの囁く声に、 「い、いやっ! ちがうのっ! むーちゃん、おもらしなんて……っ!」 泣きそうな声で夢月は言い――ついにその場にへたりこんだ。水たまりの上におろしたおしりが冷たく濡れ、スカートの裾にもシミを作って、いっそうみじめな気分になる。 「そんな……むーちゃん、ほんとはこうこうせいなのに、おもらしなんて……!」 涙目になりながら呆然と呟いていると、 「あらあら、おもらししちゃうなんて困ったわねぇ」 志乃先生が呟いて近づいてくる。 さらに紗月も、静紅や榛名とともに、リュックを持って近づいてきて、 「んふふっ、こんなこともあろうかと、準備して来ておいてよかったわ。さ、ママたちがきれいにしてあげるから、たっちしてちょだい」 その周到さと、紗月の意味ありげな笑みに、夢月はハッと直感する。 「さ、さつきまま……もしかして、このこと、しって……!?」 「あら、なんのことかな? 今日のイベントに、『おもらし発生』ってあったことなんて、ママ知らないわよ?」 「う、うぅ……!」 恨みがましく涙目で「ママ」を見上げる夢月。 しかし事ここに及んでは、兄の尊厳などどこにもありはしなかった。夢月はただロールプレイに従って、幼稚園の年少さんとしてふるまうほかはない。 「んっ……お、おねがい、きれいにしてちょうだい、さつきまま……」 「んふふっ、いい子いい子。ちゃんとお願いできて、偉いわねぇ」 紗月の手が、優しく頭を撫でてくれる。 その感触は余りにも恥ずかしく胸を締め付け――しかし、おちんちんからお尻、太腿からふくらはぎに至るまでおもらしに濡れた、情けない今の状況では、安心するのもまた事実だった。 「それじゃ、ママがパパと一緒に手を引っ張ってあげるから、むーちゃんはたっちしてちょうだいね。いち、にの、さん」 「んっ……!」 「紗月ママ」と「静紅パパ」に手を引かれて、夢月は床から立ち上がる。パンツもスカートもびしょ濡れで、立ち上がるとまた、雨だれのように雫が床に広がった。 「まずはいったん、下を脱いですっぽんぽんになってちょうだい」 「う、うん……」 (園児の子たちが見てる前で脱ぐのは恥ずかしいけど……志乃先生、園児たちを別室に連れてってくれないかな……) ほんの少し期待して志乃先生のほうをうかがうが、彼女も園児たちの輪の外側で、優しく夢月を見守るばかり。おまけに、 「はーい、みんな。むーちゃんがおもらししちゃったから、これから特別授業をはじめるわね。ズバリ、年少さんがおもらししたときに、どうしてあげればいいか。小学校のお姉ちゃんたちがやって見せてくれるから、ちゃんと見てましょうねー」 「はーい!」 先生の呼びかけで、園児たちはいっそう夢月をじっと見つめる。 (うう、もうめちゃくちゃだよぉ……!) 夢月は半泣きになりながらも、大人しくジャケットを脱ぎ、濡れたスカートとソックスを脱ぎ、ショーツを脱ぎ――園児たちの真ん中で、ブラウスとリボンのみという姿になるのだった。 (続く)