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第8話「女児服とごっこ遊びと」(19)

 外遊びの後、園児たちは女子高生三人とともに、レクリエーション室に戻っていた。  その中にはとうぜん、夢月もいた。相変わらずスモックの園児服――とはいえ先ほど、園児たちの手で射精させられたせいで勃起は収まり、今はスカートの前のふくらみも目立たない。にもかかわらず、これまで以上に憂鬱と不安に満ちた表情を浮かべている理由は、 (次のプログラムは、お遊戯披露――) (幼稚園児に混じって、歌ったり踊ったりするんだ……!)  そんな彼のことなどお構いなしに、大きな段ボール箱を抱えてレクリエーション室に入ってきた志乃先生が、園児たちに呼びかける。 「次はお遊戯の時間ねー。みんな、衣装に着替えてー」 「はーい!」 「え……い、いしょう?」  思わぬ単語に戸惑っていると、 「そうよ、むーちゃん。お遊戯の時には、可愛い衣装に着替えるの」  すぐ隣にいた奈波が、楽しそうに答え、 「ほら、あれ!」  志乃先生が段ボールから取り出して園児たちに渡している衣装を指さす。  それは、ピンクのフリルがたっぷりとついたキャミソールと、ミニスカートのセットだった。胸元やスカートの裾など、ところどころについている黒いリボンがアクセントになり、可愛いながらもどこか小悪魔な――幼稚園の女の子が背伸びしているような可愛らしさのある衣装である。ソックスもおそろいの、ピンクのふりふりハイソックスだ。 「あ、あ……!」  しかしもちろん、男子高校生にとっては着るだけでもこの上ない辱めである。まして幼稚園児たちとおそろいの衣装で「お遊戯」なんて―― 「ほら、むーちゃん、あたしたちも、取りに行きましょ」 「やっ、いやぁっ!」  夢月は叫ぶが、奈波の腕力はかなわない。引きずられるように、先生たちの元へ連れて行かれた。  園児たちは続々と衣装を受け取っては、制服を脱いで下着姿になり、ふりふり衣装に着替えてゆく。そしていよいよ奈波と夢月の番になり、 「せんせー、あたしはさいず110ね!」 「はい、奈波ちゃんは110ね。むーちゃんは……あったあった、特別製の、130サイズ。ちょっとちっちゃいかもしれないけど、着てちょうだいね」 「な、なんでそんなものが――っていうか、130はちょっと、ちっちゃすぎるよぉ……」  高校生としては小柄とはいえ、150センチ半ば。20センチ以上も小さい「衣装」は、受け取るとやはりとても小さくて、着られるとは思えない。表面のフリルのごわつく感触も、スカートの短さも、持っているだけで羞恥が込み上げてきて、萎えたままのペニスが、またもむずむずと疼きだす。 「大丈夫よ。伸縮性のある衣装だから、じゅうぶん着られるわ。ほんとは男子高校生でも、むーちゃんくらい細ければ、ね」 「う、ううっ……」 「はいはい、時間もないから、早くお洋服を脱いでちょうだいね。奈波ちゃん、悪いけど、夢月ちゃんのお着換えを見てあげてくれる?」 「はーい! ほら、むーちゃん、お着換えしましょ」 「う、うん……」  夢月は半泣きになりながら、教室の隅で着替えを開始する。スマホがあればアプリから着替えられたかもしれなかったが、あいにく家を出る前に、榛名に預けられている。 (あれ……そういえば、榛名ちゃんはどこに……? この教室にはいないみたいだけど……?)  疑問に思いながらもスモックを脱ぎ、ブラウスを脱ぎ――スカートを脱ごうとしたところで手が止まる。ノーパン状態でこれを脱いだら、園児たちのいるこの教室で、完全に下半身を露出してしまうのだ。  だが、迷っている暇はない。すでに隣では、下着姿の奈波が衣装を着ているところである。自分の着替えが終わったら、「面倒を見てあげて」と言われていた奈波にも迷惑をかけてしまうのだ。 「ううー……!」  観念して、スカートを脱ぐ。股間で萎えたペニスが揺れ、勃起しているのとはまた違う恥ずかしさに悶えながら、さらにリボンを外し、ブラウスを脱いでキャミソール一枚になる。このまま着替えようとすると、 「むーちゃん、下着も脱がないと、見えちゃうわよ」 「う、うん……」  奈波に指摘されて、夢月は泣く泣くキャミソールも脱ぐ。幼稚園のレクリエーション室で、園児の少女たちが着替えているなか全裸になる――あまりにも異常なシチュエーションに、頭が沸騰しそうだ。 「ま、まずは、スカートから……」  一刻も早く下半身を隠したい思いで、夢月はスカートを手にする。幼稚園児にとっては明らかに大きすぎるが、しかし夢月にとってはぎりぎり穿けるか穿けないか、仮に穿いたとしても恥ずかしいことになる130サイズ。「イベント」で衣装を用意するならせめてぴったりにしてくれえればいいのに、わざとツーサイズ小さいものを着せるあたり、どこまでも夢月の羞恥を煽っている。 (あのアプリ、性能は凄いけど性格は悪いだろ……!)  ぼやきつつもスカートをずり上げる。ウエストがゴムのため伸縮性があり、ヒップがややきつかったものの、本当に穿けてしまった。ただし、 (み、短いっ……勃ってない時でも、ぎりぎり隠せてないよ……!)  股間を隠そうと可能な限りのローライズにしても、ふんわりと広がったフリルの裾は股下プラスマイナスゼロ。当然、そこから垂れ下がっているペニスの先端がちらちらと見えてしまっている。まして勃起したらどうなるか、考えるまでもない。おへそはもちろん鼠蹊部まで見えているうえ、後ろ側もお尻が半分覗いていて、何とも恥ずかしい状態だったが、これ以上はいかんともしがたかった。  そして、ふりふりのキャミソール――これまた伸縮性があるものの、小さいことに変わりはない。破かないように注意しつつ、腕を通し、頭を出し、裾を下げる――が、こちらも絶望的に丈が足りない。お腹も丸出しで、ほとんどチューブトップ状態で、 (うう、これじゃ、裸と大して変わらないよ……)  ため息をつきながら周りを見ると、他の少女たちもほとんどが着替え終わっていた。もちろんこちらはピッタリサイズのため、夢月のような恥ずかしいことにはなっておらず、おへそも太腿もちゃんと隠れている。 (俺一人だけ、こんな破廉恥な格好で「お遊戯」しなくちゃいけないんだ……)  改めて泣きそうになっていると、 「うんうん、いいじゃない。にあってるわよ、むーちゃん。だから泣かないで、元気出して」  隣で着替えていた奈波が、夢月を慰める。 「う……ありがとう、ななみおねえちゃん……」 (恥ずかしすぎて、楽しむどころじゃないけど……『お姉ちゃんたち』に迷惑をかけないよう、精いっぱい、頑張らないと……!) (お遊戯さえ終われば、あとはまだマシだから、それまでの辛抱だ……)  そう考え、少しでも自分を鼓舞しようとする夢月。  だが―― 「むーちゃん、パパとママも、来てるわよ?」 「えっ……!?」  志乃先生の声に振り向いた夢月は、絶句した。  そこにいたのは、家で待っているはずの女子小学生三人――「紗月ママ」と「静紅パパ」、そして先程から姿が見えなかった「榛名お姉ちゃん」の三人で―― 「ふふっ、むーちゃんが遅いから、見に来ちゃった。ずいぶん楽しいことしてるみたいね?」 「おお、可愛い衣装じゃないか、むーちゃん。似合ってるぞー」 「むーちゃん、パパとママ、連れてきたぞ! だからお遊戯、がんばれー!」  「家族」の励ましに、 「あ、あ、あ……!」  改めて、このお遊戯会が恥辱に満ちたものになることを確信したのだった。   (続く)


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