第8話「女児服とごっこ遊びと」(6)
Added 2019-12-20 10:03:39 +0000 UTC「ママ」は前ボタンを留め終えると、袖口のボタンも留めてくれる。 「はい、これでブラウスはオッケーね。どう? ドキドキする?」 「はぁっ、はぁっ……うん、すごく……!」 「ふぅーん……じゃ、ちょっと確認させてもらおっかな」 「確認って……んぅっ!?」 何の前触れもなく、紗月の指が夢月の股間――ブラウスの裾から覗くショーツに伸びると、その前に浮き上がった膨らみに触れた。 「ブラウスを着せられただけでこんなに喜ぶなんて、やっぱり夢月ちゃんは、園児服が大好きなのね」 「んっ……う……うん、大好き……」 夢月は恥ずかしさをこらえ、幼稚園児になりきって答える。 朝から可愛い女児服を着せられ、妹の友達に見られた上、今から幼稚園の制服を着せられようとしている――このシチュエーションだけですでに勃起が止まらないのに、ショーツの上から撫でられているのだからたまらない。ビクビクと激しく脈打ち、今にも射精しそうだったが―― 「んふふっ、あんまり触りすぎてると、そのまま射精しちゃいそうね。それももったいないし、どんどん着せてあげる。ほら、立っちして」 妹はあっさりと、手を離してしまう。 (う……出されるのも恥ずかしいけど、出されないのもつらい……!) 夢月が名残惜しさをおぼえながら立ち上がると、その前に、園児服の吊りスカートが大きく広げられていた。ピンクの吊スカートは、幼稚園以外ではまずありえない幼さだ。 「ママの肩に手を置いて、片足ずつ通してごらん。まずは右足からね」 「う……うん……」 体格的にはかなり無理があったが、前かがみ気味になりながら、妹の肩に手を置く。兄が妹にお世話されている戯画的状況が、ますます恥ずかしい。 紗月が広げているスカートに、片足ずつ足を通す。あとはスカート左脇のホックを留めて、ファスナーを閉じ、肩紐を上げるだけ――夢月一人でも充分できるのに、 「はーい、おててを広げてー」 「んっ……」 それすらも、今の夢月には許されていない。ただ幼稚園児のように、「ママ」に言われるがままに両手を広げ、「ママ」にホックを留めてもらい、ファスナーを上げてもらい、垂れ下がっていた紐を肩にかけてもらうだけだ。 「次はリボンね。ママがつけてあげるから、じっとしてるのよー」 「う、うん……」 立ち上がった「ママ」は、夢月のブラウスの丸襟を立てると、抱き着くようにして首の後ろにリボンを通し、そのままホックを留めてアジャスターを調節する。そして丸襟を整え直し、リボンもまっすぐにすると、 「うんうん、可愛いわよ、夢月ちゃん。ほーら、自分でも見てごらん」 「え……ま、待って、やっ……!」 あまりの恥ずかしさに、思わず抵抗する――が、妹の腕力にすら勝てずに、手を引かれ、鏡の前に連れ出される。おそらく筋力も、アプリによって何らかの調整が加えられているのだろうが、鏡で自分の姿を見せられた夢月には、それを考える余裕もない。 「やっぱり可愛い園児服が、よく似合うわね!」 「あ、ああ……」 もはや見慣れたはずの、自分の女装した姿。特に、ブラウスにスカート、リボンという制服系のファッションは、ほとんど毎日着ているような感じである。 しかし、いま着ているこの「制服」は、まったくの別格だった。丸襟ブラウスに吊りスカートは、女子高生用のものとは大きく違う。むしろ「小学生の姉」役である榛名が着ているのに近く――しかもあちらが紺なのに対して、こちらはピンク。どちらがいっそう幼い女の子なのか、まざまざと思い知らされる。大きな赤いリボンのついたピッグテールという髪型も、制服にぴったりと似合った幼さだ。 「どう? これで自分が、幼稚園児の女の子なんだって、自覚出来た?」 「う、うんっ……」 こんな姿を見たら、自覚せざるを得ない。自分はただ身長が大きいだけの、幼稚園児の女の子なのだ。たとえ、そのスカートの前方に、ショーツを押し上げているなにかがシルエットを浮き上がらせ、カーテン状にしているとしても。 幼稚園児のような自らの姿に、自我が崩壊しかかっている夢月。 そんな兄に向かい、紗月がねっとりと笑いかける。 「じゃあ、まずはあたしたちへの呼びかけをちゃんとしましょうね。ほら、あたしのことは、なんて呼ぶのかな?」 「う……さ、紗月、ママ……」 「はい、よくできました。いいこいいこ」 手を伸ばし、自分より背の高い「娘」の頭を優しく撫でる。 そんな「妻」に続き、スーツ姿の静紅がすぐそばまでやってきて、 「じゃあ、俺のことは何て呼べばいいか、判るよな?」 「んっ……し、静紅、パパ……」 「そうだ。いい子だぞ、夢月」 「パパ」もまた、「娘」の頭を撫でる。 最後に、吊りスカートの小学生制服を着た榛名もやってきて、 「なぁ、なぁ! あたしのことも呼んでくれよー、夢月ちゃん!」 「う、うん……は、榛名、お姉ちゃん……」 「えへへー、よしよし、よく言えたな、夢月ちゃん!」 「お姉ちゃん」も、「妹」の頭を撫でる。 (恥ずかしい……おまけに、ほんのちょっぴり嬉しいのが、ますます恥ずかしい……!) 三人の少女から「娘」「妹」としてよしよしされる――そんな羞恥に満ちたロールプレイは、まだ始まったばかりだった。 (続く)