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連載小説「偽りのジュニアアイドル」(1)

(なんで……どうして俺が、こんなことを……!)  ――都内某所。  雑居ビル三階にある、小さな撮影スタジオだ。薄いカーテンのかかった大窓を背にソファが置かれ、それを正面のカメラが撮影する形になっている。  そのカメラに、 「初めまして、水瀬ナオです!」  制服姿の「少女」――水瀬ナオは、元気よくそういった。  身長は150センチ足らずで、可愛らしい笑顔をした「少女」だ。おかっぱ頭の左右をリボンのついたヘアゴムをくくってピッグテールにしている。、声も高く、天真爛漫そのものだったが――その笑顔は微妙に引きつり、ほっぺたは熱でもあるかのように赤く、声も微かに震えているのは、なぜだろうか。  服装は大きな丸襟の長袖ブラウスに、襟元に結んだ赤いリボン、紺のスカートにニットベスト。足元は白のハイソックスに、赤い縁のついた上履き。左胸には黄色い名札が付けられ、「みなせ なお」と書かれていた。  頭には丸つばの黄色い通学帽、背負ったランドセルからは差し込んだリコーダーが覗いている。いかにも女子小学生の制服姿――と言ったところだ。 (スカートだけでも落ち着かないのに、赤いランドセル、帽子に名札まで……) (これじゃまるで、本当に女子小学生みたい……)  そんなナオに、画面の外側――カメラのすぐそばに立っている女性から、声がかかる。 「ナオちゃんね。まずは、そこに座ってくれる?」 「はーい!」  ナオはカメラに背を向けてソファの前まで移動し、振り向いて両脚を上げながら腰を下ろす。お転婆な仕草にスカートが大きく跳ね、ほんの一瞬、内側の白いものが覗いた。 (なるべく元気よく、ジャンプするように座れって言われたけど――これ、やっぱりスカートの中も撮られてるよね……!?) (うう、なんで男の俺が、カメラに向かってパンチラなんかしなくちゃいけないんだよ……) 「うん、いい子ね。それじゃあナオちゃん、まず、改めてお名前と年、それから特技を教えてくれるかな?」 「はい! 水瀬ナオ、10歳! 小学5年生です! 特技はダンスと……な、縄跳びです!」 (嘘だ……本当は、18歳の男子大学生なんだ……!) 「縄跳びが得意なのね。じゃあ、あとで見せてちょうだい」 「はーい!」 「次に、ナオちゃんの好きなもの、教えてちょうだい?」 「えっとね、ナオは、可愛いお洋服が大好きなの! あと、プリンも好き!」 (何が「ナオは」だよ……自分のことを自分の名前で呼ぶなんて、せいぜい小学校低学年くらいの子じゃないか……俺の妹なんて、小学校に上がるころには卒業してたぞ……) (だいたい、本当はちゃんと、「直樹」って名前があるのに……!) 「そっか、ナオちゃんは、可愛いお洋服が好きなんだー。どんな感じのが好きなのかな? ついでに、好きな色も教えてくれる?」 「んー、ふりふりのとか、あとリボンとかがいっぱいついてるのがいい! 色は~、赤とかピンクとか、黄色が好き!」 「いま着てるお洋服はどう? 気に入ってくれた?」 「うん! とっても可愛いお洋服を着られて、ナオ、嬉しい!」 (第一なんだよ、この設定……ふりふりとかピンクとか、高学年にもなってイタすぎるだろ……口調だって、まるで低学年みたいだし……) (うう、その「低学年みたいなやりとり」をしてる自分が恥ずかしすぎる……!) 「良かった。なら、よく見せてくれる?」 「はーい!」  ナオは元気よく立ち上がると、ニッコリ笑顔のまま、その場で次々とポーズをとる。  左足を軽く後ろに引いてつま先を立てるようにしながら、襟元のリボンを両手でつまんでみせるポーズ。  肩掛けベルトを握って体を右に捻り、女子小学生の象徴のような赤いランドセルが見えるようにするポーズ。  そのまま背中を向け、ランドセルを見せつけるようにしながら振り向くポーズ。  さらに正面に向き直り、スカートの裾をつまんで大きく広げて見せるポーズ―― (恥ずかしい、恥ずかしい……っ!) (撮影前に「写真を見せるからその通りにポーズを取って」って言われてだからその通りにしてるけど、どれもこれも恥ずかしい格好ばっかり……そりゃ、この制服で撮影するって時点で覚悟はしてたけど……) (でもまだまだ、始まったばかり――) (これからもっと、恥ずかしい撮影が待ってるんだ……!)   (続く)   *  前置きが長くなりすぎそうだったのでいきなり撮影から入る展開に変えました。三度目の正直目指して頑張ります。

Comments

ありがとうございます~!

十月兔

やっぱり口調強制は最高だぜ!

ありがとうございます! 今回どうしようか考えたのですが、ファンボックスの連載小説ということで、直接的なシーン多めのほうがいいかなぁと思いこういう形を取りました。販売作品のように一気に読めるのなら「溜め」の部分を長くとってもいいんですけどねぇ。 ジュニアアイドルIV風のシーンに「ナオ」の心情セリフを重ねる形式がなかなか楽しいので、今後も頑張って書いていきます!

十月兔

いや~、今度の導入部も良いですねえ🎵 いきなり羞恥シーンから始まってくれるのも、美味しゅうございます❤️ 読者を直ぐにお話しの世界に引っ張り込めるので、冒頭の展開としてはアリなんじゃないでしょうか😀 ただエリみたいなじっくり読みたい派としては、これからどんな羞恥シーンが有るのか…と、ワクワク・ドキドキするのも好きなので、前回迄のようゆっくりとした展開も好きなんですけどね❤️

elli-kasuga


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