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第7話「巨乳とアルバイトと」(6)

 しばらく接客マニュアルを教わったあと、夢月はいよいよ、店内に向かう。 「大丈夫、きちんと胸を張って、リラックスして、覚えたことだけ忘れないようにー」 「は、はいっ」  緊張するなと言われても、体が硬くなるのは止まらない。  ドキドキしながら店内に入ると、一気に視界が明るくなって、店内が一望できる。開放感のあるフロアに、オレンジ色の明るい照明。40席の店内は、5組のグループ客がテーブルを囲み、窓際のカウンター席も半分ほど埋まっていた。  その光景に、夢月の心臓がまた跳ね上がる。 (本当に、「ダイナーズ」のウエイトレスとして、接客を――)  朝一番での巨乳化はそれだけでも戸惑うものだったが、こうして胸元を強調する「ダイナーズ」のウエイトレス制服を着て接客することになるなんて。アプリの起こすイベントに対しては諦め半分、できるだけ楽しもうというスタンスの夢月だったが、それにしても恥ずかしさが止まらない。  しかも、胸はFカップになっているとはいえ、下はちゃんと生えたまま。それどころか性欲はいっそう強くなって、エプロンドレスのタイトスカートにくっきりとした屹立のシルエットを浮かべてしまっている。 (なんか、おかしな夢の中に迷い込んだみたい……悪夢ってほどじゃないけど、現実とは思えない……)  ふわふわした気分で店内を見回していると、 「久能さん、ヘルプを呼んでくれてありがとう。その子がお友達?」  店内を歩いていたウエイトレスのうち、最年長――といっても20代後半の、おっとりとした糸目の女性が二人に近づいてくる。 ふんわりとウェーブした栗色の髪で、温和な笑みを浮かべていたが、その胸は推定Hカップと、香澄や今の夢月すら圧倒する大迫力だ。ピンタックが入ったブラウスの胸元が、エプロンドレスによってアンダーバストを締められて、いわゆる乳袋を作り出していた。 (この店のウエイトレスの採用条件には、巨乳であることが入ってるのかな……?)  夢月が余計なことを考えていると、 「はい。友達の、三村夢月さんです」  香澄の紹介に、夢月は慌てて頭を下げる。 「三村夢月です。本日は、よろしくお願いします」  年長のウエイトレスはにこりと笑って、 「三村さんね。初めまして。私がチーフの、桜木綾音と申します。今日はお店の手伝いをしてくださって、ありがとうございます。久能さんから、一通りのことは教わったわね?」 「は、はいっ」 「じゃあ、よろしくお願いね。オーダーと配膳、あとはお客様の案内をしてくれればいいわ。困ったら、あたしか久能さんを呼んでちょうだい。お客様も、その制服とネームプレートを見れば、新人さん――という名目のヘルプさんだって、判るはずだから」 「はい!」 「うん。とっても元気で、いいご返事ね。でも――」  綾音はチラリと、夢月のタイトスカートの前を見る。いくら下方に押し込んでも再び起き上がってくるモノが、ピンと張った表面になだらかな丘陵を作り出してしまっていた。 「下のほうが元気過ぎるのは、ちょっと問題かしらねぇ」 「ご、ごめんなさい! これは、その……」 「ふふ、そんなに怯えなくても大丈夫よ。ちょっと目立っちゃってるけど、まぁ、問題ないでしょう。あ、でも、さすがに射精したらお客様に迷惑だから、そこは我慢してちょうだいね」 「は、はい!」  このあたりは、やはり認知が狂っている。ダメ出しされるよりはマシとはいえ、自分が男子だと判るふくらみを見られながら接客することになるかと思うと、ますますその部分が疼いてくる。 (冗談抜きで、射精しないように注意しなくちゃ……) 「それじゃ――二人とも、よろしく」 「はーい」 「はい!」  二人が返事をしたところで、いよいよ夢月のウエイトレスデビューが始まり――さっそく店内からのコールに、 「3番テーブルのお客様ね。三村くん、さっそく行ってくれる?」 「は、はい」  夢月は緊張しながら、指定された3番テーブルへ。そこにいたのは、夢月が通う高校の制服を着た女子高生三人組だった。  注文管理用のタブレットを片手に持ちつつ、夢月は丁寧にお辞儀して、 「お待たせしました。ご注文はお決まりでしょうか?」 「えーっとねぇ、とりあえずドリンクバー三つ」  どうやら居座ってだべるモードらしい。夢月は注文票に記入して、 「かしこまりました。以上でよろしかったでしょうか?」 「はーい」  初接客は、大過なく終わったようだ。ほっとしつつお辞儀をして立ち去ろうとする夢月だったが――   (続く)


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