第7話「巨乳とアルバイトと」(4)
Added 2019-11-27 10:11:51 +0000 UTCそして、学校。 「夢月さん、おはようございます」 「おはよう、三村!」 「三村ぁ、ちーっす」 「お、おはよう、三人とも――で」 もはやおなじみになったいつもの三人――黒髪清楚なお転婆お嬢様・山咲鏡花、長身短髪のスポーツガール・風見典子、ゆるふわ巨乳の眼鏡女子・久能香澄と挨拶を交わしながら、夢月はジト目になり、 「なんで三人とも、いきなり俺の胸を揉んでるんだよっ!?」 教室に入って自分の席についたとたん、すぐ隣でたむろっていたこの三人に、挨拶と一緒に胸を揉まれたのである。まだ朝の余韻が残っているせいで、再び乳房が熱を帯びてくる。身を引いて両手で隠すと、 「あらごめんなさい、つい大きかったもので」 「悪ぃ悪ぃ、でかいおっぱいを見ると感触を確かめずにはいられなくてさー」 「んー、あたしのとサイズ的には同じくらいかー。ただ三村のほうが弾力はあるなー」 三人は反省した様子もなく笑いつつ、 「さ、お詫びにわたくしのおっぱいも揉んでください。昨日みたいにねっとり、たっぷりと」 「そうだな! お礼にあたしのも揉んでいいぞ!」 「い、いや、別に、そういうのはいいから!」 胸を押し付けるように近づけて来る鏡花と典子に慌てて首を振るが、 「そうはいきませんわ。おあいこです」 「遠慮すんなって! ほらほら!」 二人はそれぞれ彼の腕をつかんで、手のひらを自分の胸元に押し付けてくる。 「うぅっ……!」 口では拒んだものの、その感触までは拒めない。 昨日も触った鏡花の胸は、やや小さいもののふんわりとした大福もちのような柔らかさ。対して典子の胸は、筋肉質でしっかりしたグミのような弾力があった。 しかし女子の胸を触っている恥ずかしさに耐えきれず、夢月は強引に手を引いた。 「も、もう……じゅうぶん、満足したから!」 鏡花は名残惜しそうに溜息をつき、 「あら、そうですの。もう少し触ってくださってもよろしかったのに。何なら両手で直接」 ただ一人、常識人枠の香澄は触らせる気はないらしい。胸を支えるように腕を組みながら笑って見ているだけの彼女に、夢月は何となく納得する。 (久能さんだけは割と普通だよなぁ……もともとわりとこの三人のツッコミ役というか、歯止め役だったし、アプリで認知が歪んでる今でも割とまともなのはそのせいなのかな) そう思いながら見つめていると、 「ほら、香澄さん。夢月さんが見てますよ。香澄さんも触ったんですから、胸を触らせて差し上げるべきでは?」 「そうだぞー、香澄ー。ついでにあたしに揉ませろー!」 彼の視線の意味を誤解した二人が騒ぎ出すと、香澄はパッと胸を隠し、 「い、いいだろ、あたしのは!」 「よくありませんわ。夢月さんのを揉んだのですから、香澄さんも揉ませるべきでしょう」 「そ、それは……そうかも、知れないけど……」 「そうだぞー。それに、更衣室で夢月を取り押さえたときは気にもしてなかったじゃん」 「あ、あれは場の勢いというか、ノリというか、そういうのであって、こうして改まって触られるってなると、心の準備が必要っていうか……!」 いつもの飄然とした態度はどこへやら、真っ赤になって胸元を押さえる香澄。 「う……でも確かに、先に揉んだのはあたしのほうだし、鏡花の言うことも一理ある……いやでも、やっぱり、男子に揉まれるのは恥ずかしいし……」 何やら葛藤している彼女の様子に、 「可愛い……」 「あら? 夢月さん、いま何かおっしゃいました?」 「あっ、いや、なにも……それより久能さん、俺は気にしてないから、別にその、揉んだりしなくても……」 「そ、そっか。助かった」 香澄はほっと息をつく。 「なんだ、面白くありませんわね」 「だったら代わりに、あたしたちで揉んどくか!」 「ちょっ、こら、二人とも、やめ――!」 香澄の胸を揉みにかかる鏡花と典子。やがてどったんばったんと暴れ始める三人に、夢月が苦笑したその時――スピーカーから始業を告げるチャイムの音が鳴り響いて、この話はお開きになったのだった。 (続く)