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連載小説 第六話「セーラー服とレオタードと」(11)

「――――っ!?」  彼女の突然の行動に驚く暇もなく、夢月は全身を激しく痙攣させ、声にならない悲鳴を上げて射精していた。  びゅるるっ、という擬音すら聞こえそうなほどの勢いで噴出した白濁液が、あっという間にタイツのメッシュを通り抜けて、レオタードの表面にしみ出した。とうぜん内側にも垂れて、下腹部に溶岩のような精液の熱が広がってゆく。 「あ、ああ、あ……!」  一拍遅れて、夢月は情けない声を上げる。強制的に吸い上げられるような快感に、伸ばした四肢をビクビクと痙攣させていたが――やがて力尽きたように全身を弛緩させて、そのままマットレスに動けなくなる。  その頭上から、鏡花の淫蕩な含み笑いが降った。 「ふふっ、ふふふふふっ……夢月さんったら、わたくしの足に性器を踏まれたというのに、けだもののような声を上げてイってしまわれるなんて。本当に、はしたないですわね」  鏡花は妖艶な笑みを浮かべて、射精に至らせた足を戻すと、夢月の上に四つん這いになって顔を覗き込み、 「そんなにレオタードが気持ちよかったんですの? それとも、下着もつけずにレオタードを着て、勃起した乳首と男根をたくさんの女子に見られるのが?」 「う、うう……うん、どっちも、気持ち、よかった……」  射精後で冷静になった頭に浴びせられる言葉攻めに、夢月は情けない気持ちでいっぱいになりながら認めた。恥ずかしいのなんのといいながらも、本心では、この狂った現実での変態女装プレイを楽しんでしまっている。 「ふふっ、夢月さん、わたくしが思っている以上に変態ですわね。それじゃあ――あらためて、お仕置きといきましょうか」 「な、なにを……?」  怯える夢月に、鏡花は体を起こしながら、 「そうですわね……そんなにレオタードが好きなら、もうちょっとそのままでいていただこうかしら? ちょうどもう着替える時間もなさそうですし、六時間目の授業もレオタードで受けてくださいませ」 「ろ、六時間目も、このレオタードのまま……!?」  詰襟やセーラー服のクラスメイト達が並ぶ中、ただ一人ピンクのレオタード――想像するだけで、たった今出したばかりで萎えていたモノが羞恥に疼いてくる。 「ええ。ふふっ、レオタードが大好きな夢月さんには、お仕置きどころかご褒美かもしれませんけど」 「う……うん……」  夢月はうなずいてマットレスから起き、覚悟を決める。  最後にそのマットレスも片づけて、 「じゃあ、鍵をかけて行きましょうか」  二人は体育倉庫から出て、鍵をかける。  時間を見るともう授業が始まってから10分以上経過していて、 「あらあら、大変。仕方ありませんからわたくしもこのまま、授業に出ることにしましょうか。遅れてしまっているのは本当ですし――それに、このような格好でたくさんの人に見られるのは、たいへん気持ちよいですわ。ふふっ、これでは桜花のことを笑えませんわね」 「ま、まずいって! その、あちこち浮いてるし、濡れてるし……!」  夢月の言うとおり、いまの鏡花はとても普通であれば人前に出られる格好ではない。汗のしみ込んだ真っ白なレオタードは、乳房どころか、つんと勃った乳首まではっきりと浮かび上がらせていたし、わき腹や肋骨、おへそや鼠径部といったセクシュアルなラインも見えてしまっている。とりわけ陰部に縦に刻まれたすじには、まるでおもらししたかのようなシミが言い訳しようもないほど鮮明に広がっていた。  だが、 「あら、夢月さんには言われたくありませんわ」  ストレートな反論に、夢月は何も言い返せない。  鏡花のほうはまだシンプルな白のレオタードだったが、こちらはピンクのパフスリーブハイレグレオタード。胸も同じく乳首が浮かんでいるし、下に至ってはペニスのラインどころか、射精の痕跡さえごまかしようがない。 (本当に、この格好で、授業に――)  いくらアプリの力で大丈夫と判っていても、これで校内を歩き回るのは勇気が必要だ。隣に同じような格好をしてる鏡花がいるのは、なんだかんだ言って心強かった。  一階の女子更衣室に戻って着替えをバッグに詰めた二人は、レオタードのまま体育館の外――渡り廊下に出る。外からの涼しい風も、いまの夢月にとっては羞恥の火に油を注ぐばかりだった。  校舎に入れば、とうぜん教師とすれ違ったり、あるいは他の教室の前を通りかかったときに見られたりすることになる。しかし彼らは何事もなかったかのように、騒ぐこともなくスルーしていた。  そして、二人のクラスである一年三組の教室。 「すいません、三村と山咲です。前の授業の片づけをしてて遅れました」  授業中の教室に、夢月が前の扉から入ってそう言うと、教師とクラスメイトの視線が集中し―― (うっ……)  覚悟はしていた夢月だったが、反射的にひるんでしまう。  いつもの制服とは違うとはいえ、詰襟とセーラー服を着たクラスメイト達。そんな「普通」の彼らに、薄いタイツとピンクのレオタード――それも股間に精液のシミを作っているところを見られては、足が竦むというものだ。 しかし、 「そういうことなら仕方ないですね。すぐに着席して、授業を受けなさい」 「は、はい!」  教師の言葉に夢月はほっと胸をなでおろし、鏡花とともに席につくのだった。   (続く)


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