連載小説 第六話「セーラー服とレオタードと」(10)
Added 2019-11-20 08:31:38 +0000 UTC「きょ、鏡花さん……?」 クラスメイトの豹変に、夢月は困惑して両腕を上げようとする。 だがその上腕を、鏡花はマットレスに膝をつこうとする流れの中で、太腿とふくらはぎの間に搦めとるように挟み込んだ。 「ふふっ、わたくしこう見えて、合気道もやってますの。これで夢月さんはもう、身動き一つとれませんわね」 「うぅ……」 あえて確認するような言い方に、夢月はますますいきり勃ってしまう。タイツとレオタードの中に閉じ込められた怒張が窮屈なのもまた快感を呼び覚まし、触ってもいないのに激しく痙攣を繰り返して、それだけで射精に至ってしまいそうなほどだった。 視界は完全に鏡花のお尻によって塞がれ、何をされても全く分からない。その気になれば脚で抵抗することもできないではなかったが、不用意に動いて鏡花に痛い思いをさせるわけにもいかなかった。 おまけに唇に当たっている鏡花のレオカードから、内側からにじみ出した愛液でじっとりと濡れていて、強烈な匂いとも相まって、彼の欲情を加速させる。 「さぁ、どうして差し上げましょうか。今なら夢月さんにいたずらし放題……ふふっ」 鏡花は愉しそうに言いながら、夢月のハイレグに張ったテントへ人差し指をあてがい、くっきりと浮かび上がった雁首のラインを、左右に撫で始めた。 「あっ、ひぃっ……!」 閉ざされた視界での突然の刺激に、夢月は電気を浴びせられたように、ガクンと腰を躍り上がらせた。内側に履いているタイツのざらつきのせいで、敏感な亀頭がいっそう擦られて、間欠泉のように先走りが溢れ出してくる。 「や、やめっ、鏡花さ、んっ……!」 絶頂寸前で全身を震わせながら、夢月は苦しい息の下で抗議する。 口と鼻をふさぐ鏡花の下半身がもたらしていたのは、強烈な匂いだけではない。呼吸が苦しいせいで軽い酸欠に陥り、視野と思考にノイズが走る。 「だ、だめっ、もう、む、無理……!」 クリクリと雁首を逆立てるように擦られて、これまで以上に激しく痙攣するペニス。しかし絶妙な加減で与えられる愛撫は、ぎりぎり絶頂に至らないラインで、 「んっ――う、あっ、ひぃっ……!」 イけそうで、イけない。 気が狂いそうなほどの刺激に、夢月は悶絶することしかできない。両腕を押さえつけている鏡花の太腿に手をかけてタップしながら、 「い、イかせて、お願い……! だめっ、おかしくなりそう……!」 「ふふっ、夢月さんったら。まるで痴女のようによがっておねだりしてくださるなんて、嬉しいですわ」 しかし鏡花は意地悪く、 「けど、まだ駄目ですよ、夢月さん。もっとこれから、気持ちよくなるんですから。あと五分、我慢してくださいな。もし出したら――その時は、お仕置きですわよ」 「そ、そんな、う、あっ……!」 夢月は甘い喘ぎ声を漏らしつつ、懸命にお尻の穴に力を込めて、射精をこらえる。 「ああ、射精をこらえる夢月さんも、とてもけなげで可愛らしいですわ。表情が見れないのは残念ですが――これもこれで夢月さんの表情が想像できて素晴らしいですわ。垂れこめて春の行方知らぬもなほ、という趣ですね」 うっとりとした鏡花の声も、夢月の頭には入ってこない。 鏡花の指が亀頭、雁首、裏筋と、撫で、くすぐり、時にひっかく。そのたびに夢月は腰を躍らせ、くぐもった悲鳴を上げて、あともう少しのところで手が届く射精の快感にお預けを食わされる。 マットレスの上では何度も背中や腰が浮き、脚も小刻みに痙攣して突っ張り、今にもこむら返りを起こしそうだったが、そんな危惧が頭をかすめるほどの余裕すらない。テントはすでに裾野までびっしょりと濡れて、もはや射精していないのが不思議なほどの状態だ。 しかしそんな状態が、長く続くはずもなく―― 「む、無理、もう……我慢、できな……!」 甲高い声とともに頂きに昇り詰めようとした、その刹那。 「ふふっ、まだダメです」 残酷な一言とともに鏡花は手を放すと、お尻を上げ、夢月の腕に搦めていた脚を伸ばして立ち上がった。 「えっ――」 とつぜん解放されて、夢月は間抜けな声を上げた。 視界が眩しいほど明るくなり、新鮮な空気が肺に流れ込む。しかし起き上がるにはまだ眩暈がおさまらず、彼は大の字に寝っ転がったまま、荒い呼吸を繰り返した。 「はっ、はっ……きょ、鏡花さん……?」 ようやくノイズがおさまってきた視界の中で、鏡花が嫣然と微笑みながらこちらを見下ろしていた。 いつの間にか頭頂部にお団子にしていた黒髪は下ろされ、風にほどけて揺れている。純白のレオタードにこの上なく映え、清純でありながら淫靡な印象だ。 「ふふっ、ダメですよ、夢月さん。五分間我慢してくださいと申し上げたのに、まだ三分も経っていませんわよ? 罰として、このままお預けです。着替えに戻りましょう」 「そ、そんな……!」 あまりに無慈悲な寸止めに、夢月は上体を半分ほど起こしながら、息せきって懇願する。レオタードのハイレグを引きちぎらんばかりに張ったテントは、限界を超えても射精できない苦しみに、変調をきたしたかのように痙攣を繰り返していた。 「お願い、鏡花さん……! このままじゃ、苦しくて、苦しくて……イかせて、お願いだから……!」 「あらまぁ、そんなにみっともなくお願いされては、仕方ありませんわね。お仕置きは別にして、射精はさせて差し上げましょうか」 鏡花はそう言うと――白いタイツに包まれた足をついと動かして、そのつま先で、テントを支えている肉柱をグッと踏みつけた。 (続く)