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連載小説 第六話「セーラー服とレオタードと」(9)

「な――」  言いかけた声が、のどに詰まったように止まる。  腋下、胸部、腹部、大きく広げた太腿から陰部に至るまで、セクシーなラインを強調するようなぴったりとした純白のレオタード姿で、据え膳のように無防備に横たわる鏡花。  つい先日まで童貞どころか、妹以外とはろくに女子と手をつないだこともなかったような夢月には、あまりにも刺激が強い。  むしろ鏡花のほうが余裕たっぷりに、 「どうしました、夢月さん? 別に性行為をしましょうと言っているわけでもありませんのに、何をためらっておられますの?」 「う……ご、ごめん」  夢月はやましい考えを頭から振り払い、今度は鏡花の足の間に膝を下ろして、 「ええと、どうすればいいのかな」 「鼠径部に沿ってマッサージをお願いします。股間の筋をほぐすように」 「うん」  恐る恐る、純白のレオタードの腰――綺麗な肌に浮かんだ左右の骨盤に手を伸ばし、その付近の筋を、親指の腹でなぞるようにゆっくりマッサージし始めた。 「んっ……」  気持ちいいのかくすぐったいのか、あるいは感じているのか――鏡花の口から漏れる、淫靡な喘ぎ声。マッサージによるものだと判っていながらも、体は反応してしまう。  中央のくっきりと浮かんだ割れ目は奇妙な吸引力でも持っているかのように夢月の視線を吸い寄せ、同時に手もそちらに延びそうになってしまうのをぐっとこらえなければならなかった。  しかし鏡花のほうから、 「夢月さん、もうちょっと陰部の近くをお願いしますわ」 「う、うん……!」  喉を鳴らしつつ、夢月はゆっくりと手の位置を中心にずらしてゆく。  徐々に淫裂に近づく指先に、破裂しそうに高鳴る心臓。まともにものが考えられず、視野は狭窄になり、ただレオタードに浮かんだスジとシミを見つめながら手を動かすばかりだ。 「はぁっ、はぁっ……!」  すでに指先は、淫裂のすぐ横――その左右にある恥丘に当たっている。プニプニとした柔らかな感触に、脳もろとも理性が蒸発しそうになりそうになるのをこらえなければならなかった。  しかし繰り返すうちに、親指が滑らかなレオタードの表面を滑って、その内側へ――レオタードの生地ごと淫裂に指が押し付けられて、 「んぅっ……!」 「あっ、ご、ごめん!」  夢月は慌てて手を引くが、ほんの一瞬とはいえ潜り込んだ内側の柔らかさと温度に、火傷をしたようにその場所を押さえた。 「い、いえ、構いませんわ。むしろ不意打ちで、ちょっと絶頂に達してしまいました」  鏡花は微かに恥じらいながらも、満足したのか立ち上がる。そして、 「ではお礼に、わたくしも夢月さんにマッサージして差し上げますわね。さぁ、こちらに寝転がってくださいませ」 「え、俺は別に、マッサージは必要ないし……」 「必要でしょう? 男性器をそんなにガチガチにされては、六時間目の授業に差し障りますわ」 「うっ……それは、そうだけど……」  鏡花の指摘通り、股間に高々とテントを張る夢月のペニスは、もはや限界だった。  昨日と違って今朝は射精させてもらえたとは言え、セーラー服での通学と授業。女子更衣室での着替えから、恥ずかしいレオタード姿への着替えと体操――そして今のマッサージで、触ってもいないのにビクビクと震え、いつ射精してもおかしくない状態だ。 「そんなに苦しそうにしておいでなのに、放ってなどおけませんわ。さぁ、わたくしにお任せしてください。マッサージして差し上げますから」 「う、うん……お手柔らかに、お願いします……」  夢月は素直にうなずいて、まだ鏡花の体温が残るマットレスに横たわり、彼女に身をゆだねる。不安に組んだ両手を胸の中心にあてがい、両脚は軽く閉じている。 「ふふっ、まるで初夜を迎えた生娘のようなお姿ですわね。わたくしが夢月さんを襲っているかのようですわね。体格は同じくらいですし、この体勢からならわたくしのほうが有利――いっそこのまま、襲ってしまおうかしら」 「あの、鏡花さん!?」  真剣に身の危険を感じる夢月に、 「冗談ですわ。もちろん夢月さんさえよければ、男女の関係になることもやぶさかではありませんけれども」  鏡花はそう言って、彼のお腹をまたぐように立つ。  その位置だと、ちょうど夢月からは彼女の股間を見上げるような角度。太腿の間にくっきりと刻まれた割れ目を見ると、先ほど指に触れた熱を思い出し、夢月はますます滾ってしまう。  しかし鏡花はすぐに体の前後を入れ替え、今度はその形のいいお尻を夢月に向ける。そしてゆっくりと膝をつき、その細い腰を夢月の顔の真上に下ろし―― 「んっ……!」  抗議する暇もなく、夢月の顔は鏡花のお尻に覆われてしまった。  体重こそかかっていないが、お尻の肉は夢月の顔の上に密着し、ちょうど鼻先がお尻の谷間、唇が割れ目に密着している状態だ。  さらに強烈なのは、その匂いだった。これまで何度も嗅いできたせいで、もはや鼻が麻痺してしまっているほどの「女」の匂い。しかしいま、夢月の鼻腔と胸腔を満たしているのは、それよりはるかに濃密なものだった。 「さぁ、夢月さん。わたくしがマッサージで気持ちよくして差し上げます。ですから――わたくしの匂いを嗅ぎながら、果ててくださいませね」  声も出せない夢月の頭上から、鏡花の嗜虐的な声が響いてきた。   (続く)


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