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連載小説 第六話「セーラー服とレオタードと」(7)

 ――といっても、実はこの更衣室も体育館の一角である。  この都立高校の体育館は三階建ての構造になっていて、一階に更衣室と柔剣道場、二階に体育科の準備室、そして三階が講堂と兼用の、いわゆる「体育館」である。  その一角に、合同2クラス分の女子40人近くが、レオタード姿で集まっていた。同じくレオタードの女性教諭がすでに号令をかけていて、遅れてこっそりと入ってきた山咲鏡花と三村夢月を叱責する。 「遅いわよ、山咲さん、三村くん」 「ご、ごめんなさい」  自分たちに一斉に集中する女子の姿勢に、夢月は陰嚢が竦みあがる。  何しろ今の夢月が着ているのは、白いタイツにピンクのレオタード。おまけに、他の女子たちがフレンチ袖やキャミソールなど、比較的シンプルなデザインで、色もベージュやクリーム色、サックスやライム色などの大人しいものが多い中で、ピンクのパフスリーブは余りにも目立つ。下もハイレグで、ほとんどタイツのウエストまで見えそうになっていた。  おまけに―― 「あらどうしたの、二人とも。アンダーウェアは?」 「その、すみません、忘れてしまって……」  夢月は真っ赤になって釈明する。  体操着を入れていたバッグにタイツとレオタードしか入っていなかったうえ、体操向けの下着ではなかったせいで、アンダーウェアなしで着用せざるを得なかったのである。きちんと体育の科目に合わせてレオタードを入れておいたアプリが、アンダーウェアに限って入れなかったのは、もはやこういう展開を用意していたとしか思えない。 (うう、あのアプリ、俺を辱めるのが好きすぎだろ……! おもらし改善じゃなくて、そういうアプリなんじゃないのか……?)  そんなことまで考えてしまうが、一方で、羞恥プレイに感じてしまうのは止められない。非勃起時ですら膨らみを隠せないハイレグレオタードの股間には、雄々しいシルエットが何かの冗談のように浮かび上がり、雁首のラインまでくっきりと浮かび上がっている。上もぴったりと貼りついているせいで、豆のような乳首がつんと勃っているのがまるわかりだ。  そんな姿を40人近い女子に見られる恥ずかしさに、夢月はさらにいきり勃ってしまう。  いや、本来であれば恥ずかしいで済む話ではない。そもそも男子である夢月が女子の体操に参加すること自体が有り得ないし、男性器が露出しているも同然のレオタードで授業に参加するなど、即座に生徒指導室に連行されて処分が下されてもおかしくないレベルの痴態である。  しかし体育教師はあっさりと、 「しかたないわね。山咲さんも?」 「わたくしもですわ。お許しください、先生」  同じくアンダーウェアをつけていない鏡花が、さらりと答える。こちらも乳首や淫裂が、清楚な純白のレオタードの上に浮かび上がってしまっていた。  体育教師は仕方なさそうに、 「じゃ、遅れた罰として二人とも前に出て、ストレッチのお手本になりなさい。それと三村くん、次からは、髪もきちんとまとめてらっしゃいね。ツインテールのままだと動きにくいわよ」 「は、はい」 (この格好で、前に――)  後ろにこっそり紛れてやり過ごそうと思っていた夢月の目論見は、あえなく崩れ去った。鏡花とともに先生の両隣に立つと、他の女子全員と向かい合う形になり――彼女たちの食い入るような視線に、思わず前かがみになって両手で股間を隠してしまう。  するとすぐに、 「ほら、おちんちん隠してないで、ストレッチを始めるわよ。まずは背伸びして――」  お叱りとともに、念入りなストレッチが始まった。  背筋を伸ばし、肩を伸ばし、ふくらはぎやアキレス腱を伸ばし――その間も、もちろん股間を隠すことはできない。たくさんの女子の前で、時には腰を前に出してふくらみを強調するようなポーズを取らなければならない恥ずかしさはひとしおで、いつしかレオタードのふくらみの頂点に、ぬらぬらと光るシミが浮かび上がっていた。 「はっ、はぁっ……」  ついつい息が荒くなる夢月に、体育教師の注意が飛ぶ。 「三村くん、授業中よ。我慢して集中しなさい」 「は、はいっ……」  そうは言われても、タイツとレオタードの中で擦れるせいで、ストレッチで動くだけでも刺激され、軽い絶頂に達してしまう。溢れ出すカウパー腺液を留めることはできず、シミはどんどん広がっていった。  ストレッチが終わると、体育教師はパンパンと手を叩いて、 「じゃあこれから、体操の授業について軽くガイダンスを行います。その後で基本的なポーズの練習に入るから――山咲さんと三村くんは、いまと同じようにこっち側で、他の子の見本になってちょうだい」 「は、はい……」  まだ解放してはもらえないらしい。夢月は恥ずかしさをこらえながら、鏡花とともに先生の指示するポーズをとっていった。  バレエ部にも所属している鏡花は新体操の心得もあるのか、見事にポーズを決めてゆく。細く華奢な体つきとも相まって、まるでプロの選手のようだ。  ところが―― 「三村くん、背筋をまっすぐに」 「ステップは足を曲げないで、かかとをつけないように」 「腕を伸ばすときは、指先にも注意なさい」  体操未経験の夢月には難しいポーズばかりで、文字通り一挙手一投足を注意され、手取り足取り指導される。「良い見本」の鏡花と、「悪い見本」の夢月――授業としてはいいのかもしれないが、そんな対比になっているのが恥ずかしくてたまらない。  その様子を見る女子の目は、好奇と揶揄、そして嗜虐心に満ちていて―― (は、早く、終わって……!)  絶頂に我慢汁を漏らしながら、夢月はひたすら祈るのだった。   (続く)


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