連載小説 第五話「入学式とお友達と」(11)
Added 2019-11-05 08:41:22 +0000 UTC夢月が述べた、恥辱に満ちた「新入生挨拶」。 それを聞きながら自分を見つめる在校生たちが、ちょっぴり意地悪そうな、「へぇ、そうなんだ……」と言わんばかりの笑みを浮かべているのもいっそう恥ずかしい。 しかしそれを否定することもできず、夢月はスカートを下ろして、再び台本を読みはじめる。 「今後の女子小学生生活で、フゾク小学校の制服や、体操着や、スクール水着を着られるかと思うと、いまからドキドキが止まりません。こんなヘンタイな夢月ですが、ザイコウセイのお姉ちゃんたち、どうか、よろしくお願いします」 変態性癖告白にしか思えない「新入生挨拶」もようやく終わり、夢月は台本を閉じて渡井教諭に渡すと、改めて「聖ジョアンナ女子」流のお辞儀をする。 在校生たちから割れんばかりの拍手が上がり、夢月はほっと安堵する。事前の説明では、後はもう閉会の辞があるだけ――そう、思っていたのだが。 「新入生の三村夢月ちゃん、ありがとうございました。それでは――」 「あ、少々お待ちください」 ふいに、夢月の隣にいた渡井教諭が、横から舞台のマイクに向かってこんなことを言い出した。ビロウドのように艶やかなハスキーボイスが、体育館に響く。 「先ほどご覧になった通り、新入生の三村夢月ちゃんの勃起はかなり限界に達しています。プログラムにはございませんが、このままでは苦しそうですので――この場で、夢月ちゃんが射精することをお許しいただきたく思います」 「せ、先生、何を――!」 事前には何も言われていない突発的な流れに、夢月は二の句を継ぐことができず――その間にも、事態は、彼の意志など完全に無視して推移する。 「――とのことですが、どうでしょうか。今から夢月ちゃんが射精することに賛成の方は、拍手をお願いします」 司会進行の声とともに、体育館に再び万雷の拍手が巻き起こる。女児入学スーツを着せられた少年が目の前で射精することに賛同する女子小学生たちの姿は、悪夢かと思われるほど異常な状況だったが、止める人はどこにもいなかった。 「ありがとうございます。それでは夢月ちゃん、どうぞその場で、オナニーしてください」 「そ、そ、そんなの、できる、わけ……!」 いくら夢月が、女児スーツを着て人に見られることに昂奮してしまう変態でも、五〇〇人近い女子小学生たちが見ている前で、「はい判りました」とオナニーできるわけがない。 だが、恥ずかしい事態を回避しようとした夢月の言葉は、さらなる破局を招き寄せる。 「あら、できないの? さっき自分で、おちんちんをシコシコして、ザーメンをどぴゅどぴゅ出したいって、言ってたじゃない」 「そ、それはっ……!」 台本を読んだだけ――そう言い返したかったが、真面目そうな渡井教諭の口から淫猥な擬音が発せられたことに心臓がバクバクと高鳴り、うまく言葉が出てこない。 渡井教諭はクスリと、それだけ見れば優しい先生然と笑って、 「もう、小学生にもなって一人でオナニーできないなんて、夢月ちゃんったらお子様なんだから。それとも、人に見られると緊張しちゃってできないのかな? しょうがないわね――先生が手伝ってあげるから、こっちにいらっしゃい」 「え――いや、あ、ああっ!?」 夢月は逃げる間もなく、背後から抱き着かれるように、渡井教諭の腕の中に搦めとられていた。 背中に当たる、意外なほどむっちりとした胸の感触。 鼻腔を満たす、蠱惑的な「女の匂い」。 右耳をくすぐるハスキーな息遣いと、吐息の温度。 (や、やばい、これっ……!) 「ほら、脱がせてあげるから、大人しくなさい」 危険を感じて身をすくめた夢月の腰に、彼女の両腕が左右から絡みつく。 左手でスカートの裾をブラウスごとめくりあげると、ショーツばかりかおへそまで丸見えになった。さらに右手の親指をショーツのウエストゴムにかけて引きずり下ろし、今までそのシルエットのみが見えていた少年の証を、ついに露出させてしまう。 「ひっ……!」 既に包皮が剥け、垂れ流しの先走りに濡れそぼったペニス。 亀頭から陰嚢までが、冷たい外気と、五百人もの衆目に晒されて、ビクビクと激しく痙攣する。限界を超えた羞恥に、 「お、お願い、やめっ……!」 夢月はまるで、強姦されそうになっている少女のような悲痛な声で懇願するが、渡井教諭は放してくれない。そればかりか、耳元でハスキーボイスを吹き込み、さらに劣情を煽り立てる。 「さぁ、自分の手で、勃起おちんちんをシコシコしたいんでしょ? 遠慮はいらないわ。先生が支えていてあげるから、自分でシコシコしてごらんなさい」 「う、で、でも、こんな、みんなが見てる前でするのは……!」 「それがいいんでしょ?」 「――――っ!」 悪魔のような囁きに、心の奥底にある変態的行為への希求を抉り出されて、夢月の呼吸が止まる。 女児用入学スーツのスカートをめくられ、五〇〇人近くもの女子小学生たちに見られながら、勃起したペニスを自分の手でしごいて射精する――この異常な「特別入学式」のフィナーレを飾るのに、これほどふさわしい変態的行為があるだろうか。 理性と常識。快楽と背徳。二つの皿に重りが載って、天秤が揺れる。 そんな夢月の動揺を見透かして、渡井教諭がダメ押しの一言を口にする。 「どうしてもっていうなら先生が出してあげてもいいけど、それじゃつまらないわよね? せっかくだから自分の手で、おちんちんシコシコして、出したいのよね? 朝からずっと我慢していた射精――ここでしたら、きっととっても気持ちいいわよ?」 「……うん」 揺れていた心の天秤が、ついに片方に――背徳の側に堕ちる。 夢月はごくりと喉を鳴らすと、マイクに向かって、 「在校生の皆さん、先生がた、いまから、皆さんの前でオナニーさせてもらいます。女の子の格好をしてオナニーする夢月の恥ずかしい姿を、どうか見てください」 (続く)