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連載小説 第五話「入学式とお友達と」(10)

 そんな、夢月と在校生たちがスカートをめくって下着を見せ合う異様な光景の中、入学式のプログラムが、淡々と行われていった。  国歌斉唱。  学校長挨拶。  学級担任紹介。  在校生代表の挨拶。  在校生からの歓迎の歌。  その間も、夢月はただ舞台の上で聞いているだけではなかった。誰かが舞台に上るたびに前に出て、向かい合ってその話を聞かなくてはならないのだ。話の間は両手を体の横にして聞けばよい――といっても、新入生の女の子スタイルで人前に出るだけで恥ずかしい――のだが、挨拶の度に「聖ジョアンナ女子」流の挨拶を返さなくてはならない。  自らの手でスカートを持ち上げ、テントの張ったショーツを会場じゅうの人にみられるたびに、夢月はまた我慢汁を漏らしてしまう。 (まだ我慢汁で済んでるけど、入学式の真っ最中に射精しちゃったらどうしよう……!)  朝から一体、何度絶頂に達しているのだろう。射精できないまま気をやりつづけ、もはや鋭敏になっているのか、鈍麻しているのかすらも判らなかった。  しかし最後まで、気が抜けない。なぜなら―― 「続きましては、新入生の挨拶です」  司会進行の声に、夢月は雷に打たれたように背を伸ばした。 (ついに、来た……!) 「新入生の三村夢月ちゃん、お願いします」 「は、はい!」  呼ばれた夢月は元気よく返事をしてから、スカートをめくったまま立ち上がり、在校生たちに向かってお辞儀をする。そして舞台の中央に据えられたマイクの前までくると、改めてスカートをめくって一礼して、舞台下の列席者と向かい合った。 (み、みんな、俺を見てる……!)  今までは壇上に上がった人との一対一を見られるだけだったが、今回は自分一人で500人近い人数と向き合わなければならない。緊張に心臓が握りつぶされそうだったが、同時に昂奮も湧きあがる。  少しでも油断しようものなら、このまま射精してしまいそうな状態で、 「夢月さん、これ」  いつの間にか隣にいた渡井教諭が、式の前に説明していた通り、そっと二つ折りの台本を差し出す。  夢月はお辞儀をしてそれを受け取ると、両手を前に出して開き、中に書かれた文章――「新入生挨拶」を読み始めた。 「ザイコウセイの皆さん、センセイがた、は、はじめまして。新入生の、三村、夢月です。ホンジツは、夢月のために入学式を開いてくれて、ありがとうございます」  まるで本当に小学一年生の新入生が、ひらがなだらけの文章を見ているかのようにつっかえつっかえに読みあげる夢月。それはカンペが、ひどく読みづらいひらがなばかりで書かれているせいだった。 (普通に漢字で書いてくれたら読めるのに、これじゃ読みづらくて、小学生が読んでるみたいになっちゃうよ……おまけに、一人称が自分の名前だなんて……!)  しかしそんなことを考えていられるのも、最初のうちだけだった。すぐに夢月は、そこに書かれた内容そのものに口ごもってしまう。 「聖ジョアンナ女子流の、あいさつで、ショーツを、見ていただいたときに、ゴランになったように、む、むつきは、本当は、お――男の子、です。それも、こ、コウコウ一年生の、十五歳です」  普通の小学校では絶対にありえない内容に、夢月は真っ赤になりながらも読み上げ続ける。 「で、でも、むつきは、女子小学生として、聖ジョアンナ女子大の、フゾク小学校に、か、かよいたくて、しかたがありませんでした。か、可愛い制服を着て、ランドセルを背負って、女子小学生としての生活を、送りたかったんです。だから、こうして、女の子として受け入れてもらえて、と、とっても、うれしいです。みなさん、ありがとうございます」  一息つくついでにチラリと在校生たちを窺うと、彼女たちは夢月の「挨拶」を受け入れてくれているかのように、優しい笑顔を浮かべている。 (嘘……こんなの、本心じゃないのに……)  そんな内心を吐露するわけにもゆかず、夢月は偽りの――しかし完全に嘘とは言い切れない「挨拶」を続ける。 「夢月はまだまだ、お、女の子になったばかりで、判らないことがたくさんあります。なので、在校生のお姉ちゃんたちに、いろいろ教えてもらえたら、嬉しいです。一人前の、女子小学生になれるように、セイイッパイ、頑張ります。  そ、それと……」  夢月はごくりと喉を鳴らす。  続く文章は、これまでにも増して恥ずかしい内容が書かれていた。 「そ、それと、夢月は、可愛い、女の子の服を着て、女の子になりきると、コーフンして、えっちな気分になっちゃう、へ、ヘンタイ、です。この、可愛い入学式用の女児スーツも、ブラウスや、スカートの着心地が気持ちよくて、着ているだけで、ドキドキして、お――おちんちんが、こんなに、おっきくなって、しまっています」  そう言って、夢月は台本をいったん閉じて左手で持つと、マイクの正面から少しずれた位置にうごいて、空いている右手でスカートをめくりあげた。もちろんこれも、台本にある指示の通りだ。  もはや何度晒されたか判らない、びしょ濡れのショーツ。読み上げている「挨拶」の通りに、女児スーツを着ているだけで勃起してしまっているのを、場にいるみんなに見せつけるようにしながら、 「み、見てください。こんなにボッキして、いますぐ自分の手でおちんちんをシコシコして、ザーメンをどびゅどびゅ出したくて、たまりません……!」  さらに台本の通りに、いっそう恥ずかしい言葉を口にする。そんな彼の姿はまさに、 (本当に、女の子の服を着て、女の子になりきって昂奮する変態だよ……!)  情けなさに、夢月のまなじりに涙がにじんだ。   (続く)

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女の子言葉で話し、自分のことは夢月と言うのも定番だねぇw


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