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連載小説 第四話「女子更衣室とフェラチオと」(6)

 ストレッチのあとは創作ダンス、といってもすぐにオリジナルのダンスをするわけではなく、サンプルのダンスを短い曲に合わせて踊ることになった。  ただでさえブルマーを穿いてることに加え、自分以外は全員女子、時には体が触れあったりする場面もあり、夢月は終始ドキドキしっぱなしであったが、それでも大過なく授業を終了することができた――最初のストレッチで射精させられた時点で、じゅうぶん致命傷なのだが。何しろブルマーは精液まみれで、前には大きなシミが広がり、それが乾いてふちが白くかたまってしまっているのである。  ともあれ鏡花たちとともに女子更衣室に戻り、再び平然と下着姿を見せつける女子たちの中で、体操着を脱ごうとしていると、 「そうですわ、夢月さん。わたくしと、制服を交換いたしません?」 「……はい?」  既に体操着とハーフパンツを脱ぎ、清楚な白の下着姿で突拍子もないことを言い出す鏡花に、夢月は目が点になる。 「ですから、制服の交換です」 「ええと、つまり、鏡花さんが俺の制服を着て、俺が、鏡花さんの制服を……」 「はい。身長は同じくらいですから、ちょうどぴったりだと思いますわ」 「そ、それはそうだろうけど……でも、なんで?」 「もちろん、夢月さんの汗が染みついた制服を、わたくしが着たいに決まっているじゃありませんか。逆にわたくしの汗が染みついた制服を、夢月さんがお召しになるというのも、それはそれで昂奮いたしますけれども」  鏡花は白い頬を朱に染めて、そっと手で押さえながらかぶりを振る。黒髪をなびかせて恥じらうその様子は、いかにも貞淑な日本美人といったふぜいだったが、 (でも制服交換とか言ってるのは鏡花さんなんだよなぁ……) 「け、けど、鏡花さん。制服交換なんて、その……」  夢月は頭を回転させ、何とか彼女を説得できないかと考え始める――が、 「三村ー、説得しようとか無駄だからやめとけー。鏡花のやつ、これで頑固だからなー」 「確かに……」  香澄の言葉に、夢月は深々と同意する。昨日の一件で、彼女の頑固さは学んだ。 「じゃあ、俺が鏡花さんの制服で、鏡花さんが、俺の……」 「はい。身につけさせていただきますね」  そう言って二人は、互いの制服を入れたロッカーに移動した。  ロッカーの中に綺麗に畳まれた鏡花の着替えに、夢月はごくりと喉を鳴らす。ブラウス、ブレザー、スカート、紺のニットベストに、リボン―― (女子制服を着るだけでも恥ずかしいのに、鏡花さんのを着るだなんて……)  ドキドキしながら、まずは体操着の上下を脱ぐ。  横ではちょうど、鏡花も夢月のブラウスを羽織っているところだった。ほっ、と熱っぽい吐息がその唇から漏れているところを見るに、彼女もだいぶ昂奮しているようだ。  夢月もまた、鏡花のブラウスを羽織る。  その瞬間、鏡花の体臭と、汗の匂いと、デオドラントの匂いが入り混じった「女子の匂い」が鼻腔をくすぐって、先ほど出されたばかりだというのに、またも勃起してしまいそうなほどだった。  ほんのり汗が染み込んだブラウスはひんやりとして、サイズが夢月のものより少し小さいのか、体にぴったりと密着してくる。触れている肌から、鏡花の汗が染み込んでくるような錯覚があった。  夢月のほうも、思わず詰めていた息を大きく吐き出す。  続いてスカート、リボン、そして紺のニットベスト――これは初めてだったが、ブラウスの白い袖と襟、襟元の赤いリボンとの対比がとても上品なコーディネートだ。黒髪ボブカットということもあり、元気系から真面目系にチェンジしていた。  隣を見ると、鏡花もちょうど夢月のカーディガンを身に着けているところだった。こちらは長袖のキャメルだ。こちらも清楚さはそのままに、ほんの少し砕けた印象になる。  ベストとカーディガンを入れ替えただけでもかわる雰囲気に、 「お! 二人とも、よく似合ってるじゃんか!」 「ほー、入れ替えてみると新鮮だなー」  典子と香澄が、感心したように声を上げた。ちなみに典子は、ベスト類なし。香澄はグレーの前開きニットベストで、余った裾のせいでスカートが短く見えていた。  最後に、互いのブレザーを羽織れば―― 「制服交換完了、ですわね」 「う、うん……」  ほんのりと香る、鏡花の匂い。全身にぴったりと纏いつくような女子制服に、夢月は喉を鳴らす。それはまるで―― 「うふふ……なんだかまるで、夢月さんに包まれているみたい」 「う……」  愉しげに言う鏡花に、思っていた印象をそのまま言い当てられ、夢月はいっそう赤くなる。  ちょっとした紆余曲折はあったものの、全員が着替え終わったところで、 「さて、それでは教室に戻って、お昼にいたしましょうか。制服は放課後にでも、また交換いたしましょう」  鏡花の一言とともに、夢月たちは女子更衣室を出る。 (そういえば――)  廊下を歩きながらふと気になった夢月は、こっそりスマホを操作して、アプリ「おもらしガールリンク」を確認する。さすがに今日のイベントはこれで終わり――そう思っていたのだが。  アダルトイベント「シークレット」  いまだに秘密のまま。昨日はイベントが発生した後は表示されたため、そういうシステムになっているのだろうと思うが、つまり、これは―― 「ま、まだ、何かあるの……?」  てっきり先ほどの更衣室での一幕や、典子の手による強制射精がそれだとばかり思っていた夢月は、がっくりと肩を落とす。 (そういえば昨日、紗月が「明日のイベントはあたしと」とか言ってたっけ……つまり、家に帰ってからが本題か……)  すでに疲労困憊で、これ以上のイベントは勘弁願いたいところなのだが、アプリの力を見るとそういうわけにもいかなさそうだ。夢月はひそかに、がっくりと肩を落とすのだった。   (続く)


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