連載小説 第三話「おねしょと制服通学と」(1)
Added 2019-10-06 09:25:09 +0000 UTC週が明けた、月曜日。 現実改変によって女装やおむつ、おもらしを強制するアプリ「おもらしガールリンク」によってさんざんな目に遭った週末も終わり、初めて迎える平日だ。 今までの流れだと女子制服を着て学校に行かなければいけないのかと、ただでさえ気の重い目覚めを迎えた三村夢月だったが、目を覚ました直後、そんな悩みさえも頭から吹き飛んでいた。 下半身を濡らす冷たさ。掛布団からベッドのマットレスまでびしょびしょだ。こんな事態になる現象を、夢月は一つしか知らない。慌てて飛び起きて、 「ま、まさか、……おねしょ……?」 「んふふっ、そうみたいね、お兄ちゃん」 隣に寝ていた紗月も体を起こす。二人とも、おそろいのネグリジェ姿だ。 まだ半分寝ぼけた状態の夢月は、 「そんな――小学五年生にもなって、おねしょをするなんて、紗月お前……」 「そうじゃないでしょ!? お兄ちゃん、現実とアプリを見て。ほら」 紗月はベッドわきに置いてあった兄のスマホを取ると、持ち主に突きつける。 そこに表示された本日の結果は―― おもらしイベント なし おねしょイベント あり(回避方法なし) 服装(日中)「学校指定女子制服」 (夜)「セーラーワンピースパジャマ」 髪型「黒髪ボブカット」 固定イベント「初めて?のおねしょ」(以後、おねしょイベントが一〇%で発生) アダルトイベント「シークレット」 「お、おねしょイベント……? ってことはつまり、これは……」 「もちろん、お兄ちゃんがしちゃったのよ。ほら、あたしのネグリジェは濡れてないけど、お兄ちゃんのは濡れてるでしょ?」 「確かに……」 ネグリジェの股間は、ぐっしょりと濡れている。中の下着も同様らしく、陰部からお尻にかけて、不快な冷たい感触が伝わってきていた。ようやく頭が回転するようになってきた夢月は、とんでもないことをしてしまったことを実感して肩を落とす。 「はぁ……もうずっと、おねしょなんてしたことなかったのに……」 「まったく、お兄ちゃんったら。これじゃあ、あたしがお兄ちゃんの朝勃ちをヌいてあげることもできないじゃない」 「いや、それはしなくていいから! なんでそんな不満そうなんだよ!?」 「別にー。そういえば昨日は、朝と夜以外ぜんぜんお兄ちゃんにえっちなことできなかったなぁって。神奈お姉ちゃんのおっぱいにデレデレしちゃって、ほんとスケベなんだから」 「そ、それは、その……朝と夜だけでも充分だろっていうか、寝起き一番に人の顔に跨ってた妹にスケベとか言われても……」 「ま、とりあえずパジャマを脱いで、シャワーを浴びてきて。ママにはあたしから言っておくから」 「う、うん。ありがとう、紗月」 夢月はネグリジェを脱いで丸め、ブラショーツ姿でバスルームに向かう。女子用のブラショーツ姿で家の中を歩くのも男子高校生としてはおかしいとは思うが、すでに慣れつつある自分が怖かった。 いっぽうで、半分以上は妹の悪戯が原因とはいえ、妹におもらしやおねしょの後始末をさせてしまうのは申し訳なく、情けない気持ちでいっぱいになる。 (俺、お兄ちゃんなのにな……) シャワーで体を清め、ついでに髪も洗う。すでにこちらはアプリの影響が出ていて、首筋のあたりで切りそろえるボブカットに変わっていた。 (そういえば、こんな風に長い髪もけっこう気持ちいいかも) 今まで千円カットで雑に切ってもらっていた夢月にとって、少女のように長い髪はもちろん初めてのこと。昨日おとといはとても楽しむ余裕などなかったが、長い髪に指を通すと、何とも言えない官能がある。 (……うん、騙されて始めたようなものだけど、当分はこのアプリから逃げられないんだし、楽しめる部分は楽しもう) できるだけ前向きにとらえることにする。 もっとも、どの程度楽しめるかはまた別の問題で、 「とりあえず、この女子制服を着るところからか……」 いきなりめげそうになり、夢月は小さくため息をついた。 脱衣所のバスケットの中に置かれているのは、入浴後の着替え一式だ。下着は赤いギンガムチェックにレースのついたブラショーツセットに紺のハイソックス。制服は女子用の白いブラウスに、紺のスカートとブレザー、キャメルのカーディガンに赤いリボン――夢月の通う都立高校の、指定制服だ。 初日は強制的に着衣を変更されていたが、どうやら昨日からは、自分で着替えるような形式に変わったらしい。とはいえ、こっそり男物を着ようにももはや男物の服自体が残ってないうえに、仮に着たところで強制的に変更されるだろうことは想像に難くない以上、自分で着るしか―― 「ん? もしかして、自分で着なくても……」 物は試し。夢月は全裸のまま、恐る恐る脱衣所から外に出る――と、その瞬間。 気付いたときにはもう、彼の体は制服一式を着用していた。ご丁寧に髪の毛も乾き、ほぼセットされたボブカットの状態になっている。 振り向いて確認してみれば、バスケットの中も空だった。 半分予想していたこととはいえ、実際に起きてみるとまるで魔法のような変化に、夢月は思わず感動する。 「おお、これはなかなか、便利……! って、女装限定って時点で素直に喜んでられないんだけど」 ぼやきつつ、夢月は女子制服姿でリビングへと向かった。 (続く)
Comments
素晴らしいアイデアですね! いつか使わせていただくかも…
十月兔
2019-10-07 03:36:56 +0000 UTCそのうち、下着(おむつ)を履いたままじゃないとおしっこが出来なくなるみたいなイベントがあったら良いな。
誠
2019-10-07 03:31:15 +0000 UTC