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SS第二話「ブルマーと初おもらし」(4)

「う、うん……」  夢月は諦めて、カーディガンを脱ぐ。  昨日の制服の時とは違い、謎のパワーですぐに着せられるということはなく、そのまま脱ぎ捨てることができた。アプリ的にも、これが正解らしい。 「ええと、スカートは、どうすれば……?」 「もう、お兄ちゃんったら、女の子の服の脱がせ方も判らないの?」 「しょうがないだろ! 着たことないし、脱がせたことも、ない、んだから……」  言ってて情けなくなってくる。スカートやブラウスの脱がせ方をおぼえるのに、女の子ではなく、自分の体を使うことになるなんて。 「んふふっ、じゃああたしが手伝ってあげる。ほら、左脇にファスナーがあるから、これを下げて、ホックを外して――はい、脱げた。ブラウスは、ボタンが左右逆だから注意してね。それとも、ブラウスもあたしが脱がせてあげよっか?」 「だ、大丈夫だよ、一人で脱げるから!」  まるで幼稚園児扱いで、夢月はむきになって、一人でブラウスを脱ぐ。 レーシィなブラとショーツ、そしてニーソックスという格好になった兄を見て、紗月はピンク色の舌をのぞかせて唇を舐め、 「うん、これはこれで……!」 「ちょっと、紗月」  股間を押さえつつ、もじもじしながら妹をにらむ夢月。これではまるであべこべだ。  あとは体操着とブルマーを穿くだけ――なのだが、ここでひとつ、問題が生じる。 「お兄ちゃん、おむつはどうするの? 今日はおもらしイベントも控えてるんだけど」 「う……確かにおむつなしでおもらししたら、周りからバレちゃうけど……」  おそらくそうなったとしても、アプリの力で「おかしなことはない」と改変されるのだろうが――恥ずかしいものは恥ずかしい。だが一方で、ブルマーのようなぴったりしたものの下にもこもこのおむつを穿いたら、一目でバレてしまうだろう。 「穿くべきか、穿かざるべきか、それが問題だ……」  夢月は顎に手を当て、視線を彷徨わせながら熟考する。どう考えても男子高校生のや悩みではないが、本人は真剣そのものだ。  しばしの沈思黙考ののち、 「い、いや、たぶん、大丈夫なはず……! それよりも、ブルマーの下におむつを穿いているのが丸わかりになるほうが恥ずかしいし……万一おもらししちゃったら……その時は、その時で……!」  そう言って、体操着とブルマーを着用する。ついでにニーソックスも、可愛らしい白から、汚れの目立たない黒へ。 「うう、恥ずかしい……!」  首回りと袖口以外はゆったりと作られた体操着と、下半身にぴったり密着するブルマー。二つの異なる感触がもたらす羞恥に、夢月は真っ赤になって悶える。 「んふふっ、いいじゃない、お兄ちゃん。ほんとに小学生みたい。明日から、あたしの代わりに小学校に通ってみる?」 「い、嫌だよ、普通にばれるって……」  顔も体つきも少女らしいため似合ってはいるのだが、いかんせん一六〇センチ近い身長のせいで、コスプレにしか見えない。男子高校生としては小柄でも、女子小学生としては目立つほどの大柄になってしまう。  おまけに―― 「確かにね。ブルマーの前がこんなにもっこりしてたら、一発でバレちゃうよね」 「う、ううっ……」  妹の冷静な指摘に、夢月は泣きそうになる。  ブラジャーによって微かに膨らんだ、体操着の胸元。ブルマーからすらりと伸びる脚。ニーソックスはやや変則的だが、これはこれでコスプレ感が漂っていてエロティックですらある。  ただ問題は、ブルマーの前に隠し切れない、少年のふくらみで―― 「んー、お兄ちゃんの、ちっちゃくなってる時はちっちゃいから、そんなに目立たないと思ってたんだけどなぁ。ま、アプリの力があるから大丈夫でしょ」 「ち、ちっちゃいって言うな! そもそも紗月、なんでそんなにすんなりと、このゲームのおかしな指示を受け入れてるんだよ!?」  このアプリを始めてからというもの、妹の行動はいささか常軌を逸していた。 夢月がオナニーしているところに入ってくるばかりか、自らのハンカチを使って射精を促し、夜にはネグリジェで同じベッドへ――そして朝にはシックスナインからの亀頭舐め。 「やっぱり、紗月がこんなになったのも、あのアプリの影響で……?」 「ん? 別にこれは違うよ? もともとお兄ちゃんとえっちしたかったし」 「ぶっ!?」  妹のあまりにも直截な物言いに、夢月は思わずむせる。 「鈍いなぁ。つい最近だって、お風呂一緒に入ろうとか、一緒に寝ようとか誘ったでしょ? お風呂とベッドを一緒にするって、そういう意味に決まってるじゃない」 「判らないよ!? もっと素直な、子供らしい意味だと思ってたよ!」  若干ブラコン気味なところがある妹だとは思っていたし、自分自身もシスコン気味の自覚はあったが、まさかここまでとは。 「だいたい、そうでなかったら、アダルトモードをオンにさせるわけないって。あれ、普通にプレイヤーとトレーナーがセックスするとかあるんだから」 「そ、そんなのがあるなんて初耳だよ! つ、つまり……」 「うん」  にんまり笑った紗月の両手が、夢月の頬を包む。そして顔をぐっと近づけ、恋人のような自然さで唇を寄せ、音を立ててバードキスをした。 「いずれあたしと、エッチするってことだよ。お兄ちゃん」  嬉しそうにそう言って、そのまま部屋を出て行った。 「……………………」  あとに残された夢月は、唇を押さえて立ち尽くす。そこに残る、鮮烈な熱を伴う柔らかい感触に、彼はしばらく何も考えることができなかった。   (続く)


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