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SS第二話「ブルマーと初おもらし」(2)

 おもらしイベント あり(固定イベントのため回避不可)  おねしょイベント なし  服装(室内)「ブラウス、スカート、カーディガン」 (外)「体操着/ブルマー」 (夜)「ネグリジェ」  髪型「ハーフアップ」  通常イベント「初めて?のおもらし」(以後、おもらしイベントが二〇%で発生)  アダルトイベント「女装で外出する」  確認した途端、夢月の服装は変わっていた。  白地に小花柄のパジャマから、レースのついた丸襟とくるみボタン、ピンタックが入ったブラウスと、裾にフリルがついたピンクのコルセットフレアスカート。さらにブラウスの上には、淡いピンクのカーディガンを羽織っていた。  ロリィタ風というほどではないが、フリルとレースにピンク中心で、とても可愛らしい。清純なくせに胸元が強調される、童貞が好きそうなコーディネートだ。下着はやや大人っぽい、ピンクのハートが刺繍されたブラとショーツのセット――なぜわかるかと言えば、薄手のブラウスからブラジャーが透けているからだった。脚にはピンクのリボンがついた、白いニーソックスを履いている。  髪型も昨日のミディアムボブから、長さはほとんどそのままに、後頭部の上半分をまとめてリボンで結ぶハーフアップへと変わっていた。前髪は切りそろえられ、左右の端の一房ずつだけが耳のあたりまで伸びている。髪色も、全体的に軽やかな亜麻色だ。 「きょ、今日は、これか……!」  夢月は鏡で自分の姿を確認して、小さく呻く。  女子が着ているのを見る限りであれば、夢月にとっても好みな服装。しかしそれを自分が着せられるとなれば、話は別だ。  薄手のブラウスは、男物の服とは比較にならないほど軽やかで肌触りもよく、だからこそ女装していることを強く意識してしまう。スカートの丈も、昨日の制服スカートと大差ないほど短いうえに、ニーソックスのせいでいっそう、その間から覗く太腿の肌――いわゆる絶対領域が強調されていた。 「うんうん、かわいいじゃん。まるでデートに行く女の子みたい」 「で、デー……!」  言われてみればその通りで、夢月はかぁっと赤くなる。彼も男子高校生、女の子とデートに行くことは一つの夢だったのに、まさか自分が、デートに行く女の子自身のような服を着せられることになるなんて。 「でも、それは家の中だけみたいね。外では――へぇ、ブルマーだって」 「ブ――しかも、外って……!」  今日も休日。外には出ずに、家の中で大人しくしているつもりだった夢月は、赤くしていた顔を一転、真っ青にする。しかしすぐ、 「べ、別に、外に出なければいいだけの話だし……」 「んふふっ、アダルトイベントでも女装外出って指定されてるくらいだし、そう簡単に行くかしら。それよりも、もっと大事なイベントがあるでしょ?」  紗月は笑うと、精液がついてないほうの指でスマホの画面を指さす。  通常イベント「初めて?のおもらし」。 「これは昨日のおむつと一緒で、回避方法のない固定イベントね。このイベントのあとから、おもらしイベントが発生するようになるみたい」 「お、おもらしなんて、高校生にもなった俺が、するはずは……」 「するはずない? 昨日一日で、このアプリの力はわかったはずでしょ?」 「う……」 「ま、大丈夫だと思うならショーツで過ごせばいいんじゃない? もししちゃったときが大変だろうけどね。んふふっ」  おかしそうに笑いながら、紗月は朝食前のシャワーへと向かった。  それを見送って、夢月は改めてスマホの画面を見る。  おもらし。ブルマー。女装外出。  不吉な文字列に戦慄しながら、ふと、足元に落ちているパジャマに気付く。さっきまで着ていた小花柄のパジャマとブラ、ショーツは、消えずに「脱いだ」扱いになったようだ。 「そういえば、昨日の制服もそのまま残ったっけ……」  壁にかかる女子制服を見る。ブラウスとカーディガンは洗濯に出しているが、ブレザーとスカート、リボンはそのまま残っている。それが部屋にあるだけで、まるで女子の部屋になってしまったようだ――と考えたところで、ふと気づく。 「な、なんで、男子制服がないんだ……?」  おととい壁にかけたはずの男子制服が、ない。まるでそのまま女子制服に変わってしまったかのようだ。不安になってクローゼットを開くと、 「う、うそ……!?」  今度こそ、夢月は目の前の光景に凍り付いた。  数こそ少ないとはいえ、シャツやジャケット、パンツなどが入っていたクローゼット。  その中身は全く見覚えのない、女子用のブラウスやスカート、ワンピースやジャンパースカート、さらにはメイド服やチア服のようなコスプレ衣装に変わっていた。数少ないパンツ類も、サロペットやショーパンなどで、 「そんな……男物が、ひとつ残らずなくなってる……!」  引き出しの中の下着類も、もちろんすべて変換済み。色も形もとりどりのブラジャーとショーツがぎっしりと詰め込まれている。ソックス類だけで、色や丈違いでたくさん入っていた。  昨日アプリを始めたときからか、あるいは寝ている間にか――ともかく、彼の持っている服の情報すら書き換えて、すべて女物にしてしまったらしい。 (とんでもないアプリを、始めちゃった――)  夢月は改めてそれを実感し、ぞっと戦慄するのだった。   (続く)


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