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強制新入女児社員(没)

 冒頭部分だけ描いたものの、設定変更に伴い没になった小説の供養です。後半はセリフだけ書いてそのままになっていますが、良ければお楽しみください。   * * * 「強制新入女児社員(没)」 「三年間、あの会社で経験を積みなさい。無事に勤め上げたら、その時こそ博海――お前をグループの後継者として指名しよう」 「はい、父さん。必ず期待に応えて見せます」   *  東京都西部、館川駅の北口から徒歩五分ほどの雑居ビル三階に、女児服ブランド〈スペサルティン〉のオフィスがある。  平日の朝早く、その扉の前に「少女」が立っていた。  丸襟のブラウスに、紺のイートンジャケットと、吊りスカート。赤いリボンのついた紺のカンカン帽をかぶり、足元はレースの付いたハイソックスに、ハートバックルのシューズを履き、背中にはピンクのリュックを背負っている。まるで、女子小学生の制服だ。  つややかな黒髪はおかっぱに切りそろえ、頭の左右をリボンのついたヘアゴムでくくった短いピッグ・テール。耳の半ばほどから下は剃りあげて、青々とした後頭部が覗いているのは、当世では珍しい昭和風のおかっぱだ。  髪型や服装から見れば、「少女」としか呼びようがない。  しかし――その「少女」の背丈は、大人の女性としてもやや高い一六〇センチ半ば。おまけに肩幅も、小学生の少女としては広すぎた。全体的にサイズが合っていないのか、ブラウスもジャケットも妙にぴちぴちしていたし、本来ならば膝近くまでくるスカートの丈も、太腿の半ばほどまでしか届いていない。  まるで、大人がワンサイズ小さい女児服を着せられているかのような、戯画じみた可笑しさがあった。  顔立ちも、「少女」と呼ぶにはとうが立っていた。線が細く、造作も整っているため見苦しくはないのだが、服から受ける「少女」の印象からは明らかに乖離している。もっとも、顔つきはとても「大人びている」とは言えない。柔弱な、それでいて恨みがましくねじけた表情は、精神的な未熟さと歪んだ性根をあらわしていた。  「少女」は、ジャケットの脇ポケットから、うさぎのマスコットがついたキーホルダーを取り出すと、鍵を差し込んでオフィスのドアを開けた。 「お、おはようございます……」  誰もいないオフィスに律義に挨拶して入りつつ、「少女」は照明をつける。 ワンフロアをほぼ占有する大部屋は、パーティション――間仕切りによって、二つに分けられていた。  一方は経理や庶務、営業などのデスクワーカーが詰める殺風景な事務室。  もう一方は、商品開発を行うデザイナーやパタンナーが作業をするスペース。こちらは中央に置かれた大きなテーブルに色や生地の見本が置かれ、周囲にはミシン台と、丸めた生地を立てて詰め込んである段ボール箱、種別ごとに小物を分けてあるキャビネットが置かれ、女児服を着せられたマネキンも並んでいる。  その片隅には、ピンクのカーテンで囲まれた狭い空間があり――「少女」はまっすぐそこに向かって、カーテンを開いた。  そこは淡いピンクの壁に、クリーム色とオレンジ色のカーペットが市松模様に敷かれ、少女向けの真っ白な勉強机が置かれている。机の上には〈スペサルティン〉のカタログが広げられ、本棚にはそのバックナンバーや、少女向けファッション雑誌。空いたスペースには、ピンクのドレスを着せられたうさぎの着せ替えぐるみが、ちょこんと座っている。隣にはドレッサーも置いてあり、少女向けのアクセサリーが散らばっていた。  まるで子供部屋の一角を再現したかのようなそこは、簡易的な、商品撮影のためのスペースだった。  入ってきた「少女」は、靴を脱いでスペースに上がると、帽子を取り、リュックを下ろして勉強机の上に置き、ドレッサーの前に立つ。正面の鏡に映った自分の姿に泣きそうに顔を歪める――が、すぐに目を背けるように視線を落とすと、がドレッサーの上から手に取ったのは、たくさんのアクセサリーの中にあってはやや奇異なものだった。  チューリップの花の形をした、赤い名札。  しかし中に入っているのは、〈スペサルティン〉の社員証だった。 「桐生博海 〈スペサルティン〉   上記のものは当社の社員であることを証明する」  そんな文面と、社員番号とともに貼付されている若い男性の顔写真は――その社員証を手にしている「少女」によく似ていた。  ついているのは安全ピンではなく、輪になった赤い紐。「少女」はそれを頭に通して、首から下げると、社員証ではなく裏面のほうを前に向ける。そこにはチューリップの形に最もふさわしく、 「きりゅう ひろみ」  と、まるで小学生のような拙い文字で書かれていた。  「少女」は鏡の前で、嫌そうに身だしなみをチェックしたのち、「子供部屋」のスペースを離れて、窓のブラインドを開け始めた。空気の籠った事務室にさわやかな朝の風が入り込み、「少女」はほんの少しだけほっとした表情になる――が、表通りからこちらを見上げた女子高生に、ぎょっとして窓から離れる。 (み、見られた……!)  激しい動悸に、胸に手を当てて深呼吸を繰り返しながら、「少女」は羞恥と、そして屈辱にきつく目を閉じる。 (もうこの格好で「通勤」してるから今さらといえば、今さらなんだけど……) (でもやっぱり、恥ずかしすぎる……!)  「少女」はしばらくそうしていたが――やがて小さくため息をつくと、事務室側の隅にあるロッカーからモップを取り出し、床を掃除しだした。  新人が始業前に、職場の掃除をさせられる――ブラック企業が横行する昨今では珍しくもないことだったが、いくら女児服ブランドのオフィスとはいえ、小学生の女子制服で「通勤」し、そのまま働くのは異常といえた。  モップで一通り床を綺麗にし、コピー機に紙を補充し終えたところで、見上げた時計は八時前。 (そろそろ、みんな出社してくる頃か――)  「少女」が泣きそうな顔で嘆息したとたんに、 「おはよう、ヒロミちゃん」  立てたフラグを回収するかのように、二〇代半ばほどと見える女性が、姿を現した。  綾音――この〈スペサルティン〉の副社長であり、デザイナーでもある楠本綾音は、美貌に軽侮の笑みを浮かべて「少女」を見た。  身長は一七〇センチと、「少女」よりもさらに高い。胸も、腰も、ボリュームを持ちながら引き締まったプロポーションで、ストライプのウイングカラーブラウスと黒のパンツも、それを強調するかのように細身のものであった。  一挙手一投足には自信が満ち、整った細面には覇気が溢れている。くすんだ赤毛を後ろでまとめただけで、化粧けも何もないが、もともとの美貌と、何より全身から発散されるエネルギーが、見るものを魅了し、従わせずにはおかぬカリスマを具えていた。 「お、おはようございます、綾音お姉様」  「少女」は慌ててモップの柄を握りしめ、深々とお辞儀をする。  そんないじらしい姿に、彼女は嗜虐的な表情を隠そうともせずに、 「おはよう、桐生グループの御曹司・桐生博海くん」  言い放った瞬間、「少女」の顔が、いっそうきつく歪んだ。  桐生グループ。  もとは戦後に解体された旧財閥で、高度経済成長とバブルを経て再興した企業連合である。金融、流通、不動産、建築、服飾、出版――特に知られているのが、全国展開の百貨店で、ここ館川駅の駅ビルも、桐生グループの経営であった。  この〈スペサルティン〉も、その傘下にある。もともとは総合アパレル企業から女児服部門を切り離して子会社化されたものだったが、デザイナーでもあった楠本綾音が取締役となって一年ほどの間に急成長させたのだ。  そしてヒロミと呼ばれたこの「少女」こそ――桐生グループの嫡流に当たる、桐生博海に他ならなかった。  大学で経営学を学び、卒業したばかりの二十二歳。父親からこの〈スペサルティン〉で経験を積めと言われたときは、これがトップとしての赴任であることを疑わなかったのだが―― 「ふふっ、それとも、いまのその格好だと、ヒロミちゃんって呼んだほうがいいのかしら?」 「くっ……は、はい。ヒロミって、呼んでください」  博海は声を詰まらせながら、そう答える。  大卒の青年が、まるで女子小学生の制服のような格好で「通勤」し、少女のようにふるまうことを強要される――その屈辱がいかばかりか、彼の表情から察するに余りあった。 「ふふっ……たった一週間で、すっかり女のコになっちゃったわね。さ、今日もたくさん可愛いお洋服を着られるの、嬉しいでしょ?」 「は、はい、ヒロミ、とっても、うれしい、です……」  搾りだすような声は、それが決して本心ではないことを如実に示していた。上目遣いに見上げた視線も、とても従順とは言い難い。  しかし綾音は、屈辱に満ちた視線と声こそ極上の美酒とばかり、目を細め、朱唇をつりあげて嗤笑する。  さらに―― 「おはよう、ヒロミちゃん!」  再び開いた入口からは、こちらは「少女」と呼んでも差し支えのなさそうな外見の女性が入ってきた。ブラウスとプリーツスカート、ジャケットの通勤スーツよりも、学生服のほうが似合いそうな外見である。 「おはよう、椎名さん」 「あ、おはようございます、チーフ」  綾音に気付くと、一転して丁寧に頭を下げた彼女は、〈スペサルティン〉一の若手社員、椎名紗耶香だった。身長は百五〇センチ足らずでぴょんぴょんと跳ねるその姿は、うさぎのような活発な小動物をほうふつとさせる。  愛らしいその姿に、博海もこんな状況でなければ鼻の下を伸ばすところだったが―― 「お、おはようございます、紗耶香お姉ちゃん」  本来ならば同期入社。しかも大卒の博海に対して、紗耶香は高卒である。だが彼女はインターンで何度もこの会社を訪れ、必要な資格も身につけて、入社半月足らずで庶務全般を任されている先輩格。社内での立場は、博海よりはるかに上だった。 「うんうん、ちゃんと挨拶できてえらいねー、いいこいいこ」  まるで年下の相手にするかのように、紗耶香は手を伸ばして博海の頭を撫でる。一五センチ以上身長差があるため、かかとを浮かせて背伸びしないと届かないほどであったが、博海にとってはそれがいっそうの辱めだ。 「今日のパンツは何柄かなぁ?」 「きょ、今日の、ヒロミの、ぱんつは、ピンクの、イチゴ柄です……どうぞ、見てください」 「あらー、かわいいじゃない! そうそう、今日の当番は私だから、ヒロミちゃんが喜びそうなお洋服、見繕っておいてあげたわよ。はい、これ!」 「う……わ、わぁ、ヒロミ、とっても嬉しい! あ、ありがとう、紗耶香お姉様……!」 「あははっ、ヒロミちゃんに喜んでもらえてよかった。それじゃ、着替えちゃって」 「は、はい……」 (今日もまた、他の社員が出社してから、みんなが見てる前で、着替えを……) (屈辱だ……なんでグループの代表取締役の息子であるオレが……いくら女児服ブランドに出向させられたからって、オレ自身が、こうして女児服を着せられなくちゃいけないんだ……) (畜生、いまに見てろよっ……本社に戻ったら親父に報告して、全員クビにしてやるからなっ……!) 「紗耶香お姉様、ひ、ヒロミ、着替え終わりました」 「あーら可愛い。やっぱりヒロミちゃんには、ピンクがよく似合うわね」 「は、はい。ありがとうございます、紗耶香お姉様」 「おはようございます、真弓お姉様」 「はい、おはよう。ちゃんとパンツは脱ぎました?」 「は、はい。パンツも脱ぎました。どうぞ、ヒロミの情けないつるつる、お、おちんぽを、ご確認、ください……」 「……ええ、確認しました」 「相変わらず、お粗末な包茎チンポ。小さすぎて、フジツボでも生えてるのかと思ったわ」 「っ……!」 「っと、いけないいけない。朝礼を始めるから、他の先輩方にも声をかけてくださいね」 「は、はい、か、かしこまりました……」 「みなさん、おはよう。今日も一日、頑張っていきましょう。」 「おはようございます」 「ヒロミちゃん、前に出なさい」 「は、はい……」 「しゃ、社員のみなさま、おはようございます。女児服女装、マゾ、奴隷の、ヒロミです。本日は紗耶香お姉様に、『スペサルティン』春の新作の、肩フリルピンタックブラウスと、ギンガムフルーツエプロンドレスのセットを用意して、いただきました」 「他にも、エプロンドレスとのセットになっているフルーツリボンヘアゴムと、ボンボン付きフリルハイソックス、それから、ええと、シューズは……」 「リボンバックルスカラップシューズよ。まったく、まだちゃんと覚えてないのね」 「は、はい、申し訳、ございません……もっとちゃんと、女児服のこと、お勉強します……」 「お、お洋服一つ、ちゃんとおぼえられない、の、能無しの、変態、マゾ、奴隷の、ヒロミですが、今日も精一杯、ご奉仕いたしますので、どうぞ何なりと、ご命令くださいませ……」 「あら、何もできないんだから、命令しても意味ないでしょ?」 「せめてその可愛らしい姿で、私たちを楽しませてちょうだいな」 「は、はい。申し訳、ございません……」 「謝ってもしょうがないでしょ、ほんと役立たずなんだから」 「あははっ、大卒なのにその程度の役にしかたたないのね。いったい何のお勉強をしてきたのかしら」 「そ、それでは、お姉様、どうか、ヒロミの恥ずかしい場所を、ぜんぶご覧くださいませ」 「わぁー、自分からスカートめくって、粗チンからアナルまで丸出しにして、みっともなーい」 「可愛い女児服を着てるのに、恥ずかしいと思わないの?」 「は、はい、じょ、女児服を着せられて、包茎、チンポを大きくしてしまう、変態マゾで、申し訳、ございません……」   (ここまで)

Comments

ここまで書いたところで筆が止まったんですよね……(´・x・`)

十月兔

なんで、(ここまで)⁉️

amuchi


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