NokiMo
HATE(ヘイト)
HATE(ヘイト)

fanbox


堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2

■前回

堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.1/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.1

■試合内容 当サークルのFANBOXで一番人気を誇る【堕ちた王者】シリーズの第3話です。 前回ニノを全く寄せ付けず圧倒的な勝利を収めたソフィアが、今度は元王者である凛香へとその牙を向きます!! 果たして最近連敗続きの凛香さんはこの強敵相手にどう立ち向かっていくのか!? といった感じの対決で、今回は試合前~序...

■試合内容

左手一本で相手されているにも関わらず、こちらの攻撃は全て躱され挙句の果てには1ラウンドで失神させられてしまった凛香。

果たして彼女はこの逆境を乗り越える事が出来るのか!?


といった感じの対決で、今回は試合の中盤戦までをお送りします!!


挿絵は全6枚、SSは約10000文字です(pixiv換算で読了まで約20分)。

それでは対戦よろしくお願いします~。


■Content of the match

Rinka, who is being fought with only her left hand, has been able to avoid all of her attacks and has even been knocked unconscious in one round.

Can she overcome this adversity?


This time, we will show you up to the middle of the match!


Please enjoy the game!


There are a total of 6 illustrations including standing pictures and differences.


◯前書き

いつもご支援、いいね、コメント、アンケート回答など、誠にありがとうございます!!

また専用の特典が無いにも関わらず、ご支援プランの方でもご支援頂き重ねてお礼申し上げます。


やはりフィードバックがあるとやる気がモリモリ湧いてくるので、大変助かります。


これからこの試合はますます盛り上がって行きますので、是非楽しんでいって下さいませ~。


◯Preface

Thank you very much for your support, likes, comments, and survey responses!

We also thank you for your join of our support plan, even though we don't offer exclusive benefits.


I still find it very helpful to receive feedback, as it motivates me to do more.


We are looking forward to seeing you at this event, and we hope you will enjoy it as much as we do.



★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。

There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)


★For non-Japanese users★

Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m


---

堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2

The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2



「それにしても凛香選手、ピクリとも動く気配が見られません!!

 もしや……既に失神してしまっているのかぁ!!?」


実況が叫ぶ通り、下顎を横殴りにされ脳を揺らされた結果、少女の意識は既に断ち切られてしまっている。




「んぁっ…………ぅ……ぅぁ……………………」


無様な失神顔がアップで全世界に配信されている中、”堕ちない少女”と呼ばれているそのJKボクサーは口から力ない呻き声を漏らし続けていく。



「安心しなさい……アンタみたいなアンダードッグに使う程、アタシの右は安くないから…………って、聞こえてないか♪」


そんな黒髪の少女とは対照的に銀髪の少女は勝ち誇った表情を浮かべ、冷たいキャンバスに這いつくばる惨めな対戦相手を見下ろしていた。






「……………………んぁっ……ぁ…………ふぇっ!!?」


まるで男を誘うかの様に尻を突き出し煽情的なダウン姿を晒していた凛香だったが、カウント6を数える辺りで意識を取り戻し、口から間抜けな声を漏らしていく。


(あれ?……ダウン取られちゃってる…………いや、それより早く立たないと!!)


下顎を射抜かれたフックを貰った際の記憶が抜け落ちていた為に困惑気味ではあったものの、それでも自身がするべき事を瞬時に把握し、辛うじてカウント9で立ち上がる事に成功していった。




「あら残念……”あの時”みたく1ラウンドKOしてくれた方が、ギャラリーも盛り上がるでしょうに」


全く空気が読めないわね、などと言いながらニヤニヤとした笑みを浮かべているソフィア。

陶磁器の様に白い肌には汗の一筋すらかいておらず、既に汗だくで所々肌が朱に染まっている凛香とは対称的な姿となっていた。



(あ、これっ……結構効かされちゃってるかも…………)


失神ダウンから立ち上がった少女だが、綺麗に脳を揺らされてしまった為か三半規管がかき乱されており、足取りは覚束なく視界もぐにゃりと歪んでしまっている。


しかもまだ相手は左手だけしか使っていない上にこちらは一発も当てられておらず、状況は最悪に近いと言って良い。



(でも…………)



だが、その二つ名の通り強靭な精神力を持っている少女はこの程度で闘志が衰える筈もなく、むしろ瞳の中の炎は更に燃え上がっていた。


(こんな奴に、このままやられっぱなしでたまるもんですか!!)


気合を入れ直すため、凛香はグローブに包まれた両手を胸の前で打ち合わせていく。


圧倒的な劣勢を演じているにも関わらず、元女王という肩書に加えて"堕ちない少女(アンブロークン)”という二つ名に相応しい立派な地下女子ボクサーの姿がそこにはあった。






「ぶひゅっ、あぶぅっ、ぐへぇっっ!!!」


「ソフィア選手の左がまたしても冴え渡る~~~!!

 凛香選手、全く動きについていけておりません!!!」


試合は既に3ラウンドの後半に差し掛かっているものの、元王者であった筈の黒髪の少女は対戦相手の疾さと技術に翻弄されてしまい、その大層な肩書とは裏腹に好き放題打たれっぱなしになってしまっている。



「りっちゃん、相手まだ狙ってるわよ、ガード上げて!!」


「んぶぅっっ…………ぶふぅぅぅっっ!!!」





セコンドの指示すら耳に届いていないのか、凛香は無防備な顔面を弾かれてしまいその表情にはダメージと焦燥感が滲み出てしまっていた。




「くぅっ、ちょこまかと……これでもくらいなさいっ!!」


案山子の様に殴られるばかりではなく、黒髪の少女は時折反撃を繰り出していく。


硬く握りしめられた拳で放たれるそれは、元女王という肩書に相応しい威力を秘めていたものの─────対戦相手の鼻先すら掠める事なく、虚しく空を殴りつける事しか出来ないでいた。



「アハッ♪……せっかくガード解いてるんだから、一発くらい当ててみなさいよ」


涼し気な表情で強打を躱した銀髪の女は、両腕をブラブラさせながら対戦相手を煽っていく。


その白い肌にはうっすらと汗を浮かべており、自身の日本人離れしたスタイルと相まって実に健康的な色香を醸し出していた。




(くっ……せめて、懐に入りさえすれば…………)


唾液に塗れたマウスピースを噛み締めながら悔しげな表情を浮かべていく凛香。


8分以上殴り合って──正確には殴られ続けて──いるにも関わらず、未だ相手に拳を当てる事はおろか左腕一本で完封されてしまっているという事実は、彼女の心に少なくない屈辱感を与えていた。




そんな中、これまで軽快なリズムでフットワークを刻んでいたソフィアの動きが一度止まり、重心を前に傾けたかと思った直後、鍛えた下半身から繰り出される爆発的な加速で凛香の前へと瞬時に躍り出ていく。


「…………ッッ!!!」


慌てて迎撃の為に手を出す凛香だが、そんな雑な攻撃がソフィアに当たる筈もなく、逆にカウンターでボディアッパーを貰う羽目になってしまっていた。


「ごぼぉっっ…………!!」


「ソフィア選手、一瞬でインファイトに切り替えてからの見事な左ボディが炸裂~~~~!! 凛香選手は完全に悶絶してしまったかぁ!!?」


痛烈な一撃を貰い身体をくの字に折り曲げてしまった少女は、半分白目を剥きながら胃液混じりの唾液を吐き出し続けていく。



「アハッ♪ 情けない顔…………それじゃ、次は”こっち”行くわよ?」


ピクピクと全身を痙攣させている対戦相手へと見せびらかす様に、”右手”をヒラヒラと掲げていくソフィア。



「がっ……んがぁっ…………」

(この距離はヤバいっ……早くガードを固めないと)


持ち前の根性ですぐさま立ち直った凛香は、今にでも飛んでくるであろう”右の大砲”に備えるべく、相手の右手を注視する───否、注視”させられてしまった”。



故に彼女は気付けなかった。


「そっちじゃないわりっちゃん、下よ!!!」


左下から本命である”左アッパー”が迫って来ている事に。



「がひゅっっっっっ!!!!!」


「凛香選手の無防備な顎に豪快な左アッパーが突き刺さっていった~~~!!

 盛大に吹っ飛ばされて……あ~っとダウン、凛香選手またしてもダウンです!!!」




「ぅ…………ぁ……………………」


両腕をバンザイの形で突き上げ足はガニ股で開いたまま、白目を剥き無様なダウン姿を晒してしまっているJKリーグの元王者。


徹底的に左ジャブで叩かれ続けた右目は紅く腫れ上がっており、彼女の視界が狭まってしまっている事を如実に物語っている。



「凛香選手、これでこの試合4度目のダウンです!!

 失神している様に見えますが、果たして今度は立ち上がれるのでしょうか!!?」



「何度も同じ手に引っかかって…………元チャンプとして恥ずかしくないワケ?」


呆れた様な声を発してはいるものの、自身の代名詞とも言えるミスディレクションが決まってソフィアは得意げな表情を浮かべている。


ただ単にスピードとテクニックで上回っているだけではなく、要所要所でこの技を使い凛香を翻弄しているからこそ、彼女はここまで圧倒的優勢に試合を進めて来ていた。



(ま……そう簡単に防げる代物でもないんだけどね)


使わないと宣言している右拳に意識を集中させるという至極単純なフェイントであり、対戦相手の少女もその手口には気づいている。


だが、身体に染み付いたボクサーとしての本能が反応してしまう為、少女は分かっていて尚その技を攻略出来ずにいた。






「もう少しでゴングだから、何とか立って戻って来なさい!!」

「おねぇ早く起きて!! カウント進んじゃってるよ!!」


壊れた人形の様に腕を投げ出しピクピクと痙攣を繰り返す少女のすぐ下で、彼女のセコンドである親友と妹が必死に声を張り上げていく。



「……んぁっ…………よ、よしの………………」


二人の懸命な叫び声が届いたのか、依然として焦点の合わない瞳ではあるものの少女の身体に再び力が入り、よろよろと立ち上がっていった。


「凛香選手、またしても立ち上がりました~~~!! 素晴らしいタフネスと精神力、 "堕ちない少女(アンブロークン)”の二つ名は伊達ではありません!!!」



「ぜぇっ……はぁっ…………ま、まだ全然やれますっ!!」


海外団体で王者に君臨していた女の拳が効いていない訳はなく、少女の肉体からは体力、気力、集中力といった闘う為の力が着実に削られていっている。


だがそれでも尚、 "堕ちない少女”は瞳に闘志を浮かべ、レフェリーに向かってファイティングポーズを取っていった。






「ボックスッッ!!」


「さぁ試合再開です! ここまで全く良い所がない凛香選手ですが、元女王としてデビュー2戦目のルーキーに負ける訳にはいきません!! 果たして意地を見せる事が出来るのか!!?」



(この人、本当に強い…………まずは一発当てないと……でも、どうやって)


先程のダウンのダメージもあって凛香が動き出せないでいる中、ソフィアは猛然と駆け出し大きく”右腕”を引き絞っていく。


「もう一発行くわよ……歯ぁ、食いしばりなさい!!」



(また右が来る……って、今度は騙されないわよ!!)


テレフォンパンチとも呼べる程に大振りで放たれようとしている右の強打。


いかにもこれ見よがしなその一撃は先程と同じくフェイントであると判断し、右手に着目したい本能からの要求を無視して凛香は強引に相手の”左腕”へと意識を集中させていった。


(ミスディレクション……今度こそ打ち破ってやるんだから!!)




”ミスディレクション”


ソフィアの得意技であり、主にマジックで使われる視線誘導の技術である。


その本質は注意を誤った方向へと向かわせる事で、相手の思考や行動を意のままに操る事であり─────



(左が動かない…………って事は、本当に右がっ!!?)


少女は気付けなかった。


この一瞬の為だけに、銀髪の女は敢えて左腕だけで闘っていた事に。

大げさなパフォーマンスも過激な発言もその全てが、この一瞬少女の思考から”右の選択肢”を排除する為だけの仕込みだったという事に。



「ば~~か♪」


かくして相手に幻影を見せる事に成功した銀髪の少女は、勝ち誇った顔で閃光の様な一撃を放っていく。


そして、親友を奪われた恨みを込めた本気の右拳が、少女の顎を盛大に弾き飛ばしていった。


「ぶぎゅっっっっっっ!!!!!」




「ソフィア選手の豪快な右アッパーが炸裂~~~~~~!!

 凛香選手の無警戒な顎を強烈に弾き飛ばしていきました!!!」


高々と舞い上がる純白のマウスピースがその一撃の力強さを物語っており、この試合初めて見せるソフィアの”右”で会場は大いに湧き上がっていく。


「凛香っ!!!」

「おねぇっっ!!!」


盛り上がる会場内とは裏腹に少女のセコンド陣は悲痛な叫び声を上げているものの、その声は観客達の歓声でかき消されてしまっていた。





「ぁ……んぁっ…………」


致命的な一撃を受け意識を完全に断ち切られてしまい、情けない失神顔を全世界に生配信されてしまっている凛香。


そのままよたよたと後退し、背中に当たったロープの反動で再びソフィアの前まで踊り出てしまった為─────追撃の右フックで再び顔面を弾き飛ばされてしまっていた。


「ぶひゅぅぅぅっっ……………………」


”全力でぶん殴る”ことだけを考えた右のフルスイング。


今までの技巧派ぶりとはかけ離れたソフィアの一撃は、その鋼のように引き締まった肉体から生み出される力を余すことなく相手の顔面へと叩き込んでおり、爆発的な火力を発揮していた。



「ぁ…………ぅぁぁ………………」


元王者の少女はインパクトと同時に体ごと半回転させられてしまい、艶のある長い黒髪をふんわりと舞わせていく。


また激しく動きすぎた為に胸部のコスチュームがずれてしまい、乙女として晒してはいけない大切な部分が露わになってしまっていた。



生気の抜け落ちた瞳に力なく崩れ落ちる肉体。

またしてもダウンを奪われてしまうかと思われたのだが──────



カーン!!!


「あ~っとゴング、ここでゴングです!!

 凛香選手、奇跡的なタイミングでゴングに救われました!!!」


劇的な展開にまたしても観客達がヒートアップする中、少女の肉体はがらくたの様に投げ出され、ボトムロープをギシギシと揺らしていった。




「………………ぅ…………ぅぁ………………………………」


口の端から長い涎の糸を垂れ流し、小刻みに痙攣を繰り返している凛香。

インターバルに入っている事はおろか、自らが全世界に乳首を生配信してしまっている事にすら気付けていない。



「あはっ♪……あんまり粘るもんだから、つい”こっち”が出ちゃった」


尻をピクピクと震わせ無様に失神している対戦相手を見下ろしながら、銀髪の少女は”タイミングの調整に成功した”事で心の底からの笑顔を浮かべていく。


(アタシからエリーを奪った罪…………左だけで済ませるハズがないでしょ!! これから、徹底的にボコボコにしてやるんだから)


だがその笑顔の奥底には、身を焦がす程の激しい憎悪の炎が渦巻いていた。






「…………んぁっ………………あー、ちゃん………試合、は……?」


インターバルも終盤に差し掛かる中で、少女はようやく意識を取り戻していく。

だが、まだ完全には覚醒していないのか、目はトロんとしており口調もどこか覚束ない。


「今はインターバルよ……でもそれもそろそろ終わり…………大丈夫、まだやれそう?」


傷ついた親友へと優しく声をかけていくあきらだが、そこにいつもの明るさはない。

これがもし地下試合でなければとっくにタオルを投げていたであろう事が、その不安げな瞳に表れていた。



「えぇ、まだ全然闘えるわ…………でも……今はちょっと休ませて頂戴」


気丈に振る舞う凛香だが、未だにガクガクと膝が震えてしまっており、ダメージが癒えていないのは明らかである。



(ソフィアさん、予想より遥かに強い…………こんなの、一体どうすれば)


こちらはまだ一発もパンチを当てられていない上に、先のラウンドではゴングに救われなければ確実にKOされてたであろう状態。


打開策は何も思い浮かばず、このまま闘った所で勝ち目なんてないのではないか、と少女の心が折れそうになる中─────



「おねぇ、まだ試合はこれからだよ!!

 諦めちゃダメだからね!!」


それでも尚、由乃だけは凛香の勝利を心から信じており、曇りなき眼で尊敬すべき姉を見つめていた。



(…………そうよね、由乃の信頼は裏切れないわよね)


これだけ情けない姿を晒していても、未だに自分の事を信じてくれる愛する妹の姿。

それは凛香の気持ちを持ち直すのには十分過ぎるほどだった。






カーン!!!


「さぁ第4ラウンドが始まりました、が…………凛香選手、完全に足にキちゃってますねぇ。

 これではソフィア選手の動きについて行くのは厳しいか!!?」


心の方は持ち直したとは言えど身体のダメージは抜けてはおらず、凛香の足取りは明らかに重い。


だがその顔色には悲観など一切なく、確かな闘志を燃やしていた。



(強烈なダウンを奪った後だからきっと油断してる筈……だから、攻めるなら今しかない!!)



こちらの様子を伺っているのか、未だ大きく動かないでいる対戦相手へと凛香は強襲を仕掛けていく。


(由乃の期待を裏切らない為にも…………私は、絶対に負けられないのよ!!)


脳裏に浮かんでいるのは先ほど見た愛する妹の真剣な眼差し。

少女は動きが鈍くなりつつある肉体を強引に動かし、この日一番の疾さとキレで瞬時にソフィアの前へと躍り出ていった。



「凛香選手、ここで勝負に出たか!!?

 高速の踏み込みでソフィア選手へ肉薄していったぁ!!!」


「やぁぁぁっっっっ!!!!」



遂に辿り着いたインファイトの間合い。


この距離なら自分に分があると凛香は確信しており、反撃の嚆矢となる左ストレートを踏み込みの勢いのまま放っていく、が──────無情にも、次の瞬間リングに響き渡ったのは黒髪の少女の情けない嬌声だった。


「ぶひゅぅぅっっっっ…………」




「凛香選手、懐に入ったものの呆気なくカウンターの餌食となってしまいました!!」



強烈な一撃で身体ごと吹き飛ばされながら、"堕ちない少女”と呼ばれている地下女子ボクサーは眉一つ動かさずにカウンターを決めた対戦相手へと虚ろな眼差しを向けていく。


「ぁ…………ぅぁ……………………」


自身の拳の威力がそのまま跳ね返ってきた事もあり、肉体的ダメージは大きい。


だがそれよりも深刻な問題は─────この一撃で、少女の中での”格付け”が完了してしまったという事だった。


(ダメっ、ソフィアさん強すぎる…………どうしよう……頭、ぼーっとしてきた…………)


打ち倒すべき目の前の女を”格上だと認めてしまった”事がトリガーとなり、少女の悪癖が顔を出していく。



「あ~っと、さっきの一撃が効いてしまったのか!?

 凛香選手、棒立ちのまま動けません!!!」


「ぅっ…………ぁ……………………」


”それ”は圧倒的強者に為す術なく蹂躙され、幾度となく惨敗を喫してしまった事で身体に植え付けられた無力感。


相手が格上だと認識するや否や、思考回路が働くのを停止し、試合中なのにも関わらずまるでサンドバッグの様に棒立ちとなってしまう悪癖。


リングの上で闘う者にとって余りにも致命的な”それ”は、彼女が絶賛6連敗を喫してしまっている一因でもあった。




「あら、もう終わり?…………なら、こっちから行くわよ!!」


目の前にはガクガクと膝を震わせるだけで動けないでいる弱った獲物。

距離を取って闘う必要すらないと判断した銀髪の少女はその鍛え上げた両腕に力を込め、渾身の連撃を放っていった。



「ぐひゅっっ、ぶべぇっっ、ごはぁっっ、んぶぅぅぅっっ!!!」


「あ~っとこれはいけません!!

 凛香、棒立ちのまま凄まじいラッシュに晒されてしまっております!!」


怨嗟を込めて硬く握りしめられた漆黒の拳が少女の顔を、腹を、これでもかと容赦なく殴りつけていく。


激しい打撃音が響く度に元王者の口からは情けない嬌声が奏でられ、身体からは汗や涙や涎といった濃厚な雌のフェロモンを纏った体液が飛び散っていた。



「へぶっっっ、んがぁっっ…………あべっっ、ぶひゅっっっ!!!」

(なんとかしなくちゃダメなのに…………身体が、動かない……)


対戦相手の拳で殴られ続けている中、少女の脳内ではこの窮地に対する打開策────ではなく、今まで同じ様に蹂躙され惨めな敗北を喫してしまった過去の試合の光景がフラッシュバックしており、それがより一層彼女の身体を硬直させていった。



「凛香選手、為す術なく滅多打ちにされてしまっております!!!

 元王者の彼女がここまで一方的にやられてしまうとは……ソフィア選手恐るべし!!」






「アハッ♪本当にサンドバッグになっちゃった…………なら、アイツを見習ってアレでもやろうかしら?」


長時間ラッシュを振るった事で息が上がってきたソフィアは、一度攻撃の手を止めると共に、にやりと口角を釣り上げていた。


「ぅぅ…………んぁっ……………………」


そして辛うじて立ち続けてはいるものの、もはや意識が残されているのかすらわからない無様なサンドバッグ目掛けて、銀髪の少女は再び拳を振るっていく。


ただし狙いを変えて。


それは彼女の親友であるエリザベスが得意とする技、すなわち──────無防備な腹への容赦ない連撃であった。




「まるでエリザベス選手のお株を奪う様なボディラッシュが炸裂~~~~~!!!

 凛香選手の腹を徹底的に壊すつもりなのかぁ!!?」


「ごぼぉっっ、おぶぅっっ、ゔえ゙っっっ、んぶぅぅぅぅっっ!!!」


凛香のくびれたウエスト目掛けて、黒の嵐は勢いよく吹き荒れていく。


情けない喘ぎ声の度に形の良い胸が上下に跳ね、既に痛めつけられた腹筋はもはや防御を諦めたかのように軟らかく相手の拳を奥深くまで受け入れてしまっていた。



「あ゙え゙え゙っっ…………がぅっっ…………ぶふぅぅぅっっっ…………」

(うぅっ……これっ、だめぇっ…………)


ボディを貫く轟音が響くたび、口から粘度の高い唾液を吹き出して背中をくの字に折り曲げてしまう凛香。


もはや”熱い想いを胸に闘う元王者”ではなく”ただ嬲られ続ける哀れな弱者”へと堕ちかけてしまっている彼女だが、それでもこの状態はマズいと半ば無意識で防御の姿勢を取っていく。



「あ~っと凛香選手、コーナーで丸まってしまいました!!

 流石にあのボディラッシュは堪えたかぁ!!?」


「ぅっ…………お゙え゙っ……………………」


お腹を抑えながらまるで亀の様に丸まり殴り合いを拒否しているその姿は、もはや誇り高い地下女子ボクサーではなく、ただの年相応の無力な少女の様であった。



そして、そんな情けない対戦相手を見てソフィアは大きく右腕を引き絞っていき─────


「こ~らっ……サンドバッグが生意気な事しちゃダメで、しょっ!!」


少女のガラ空きの顎を勢いよくカチ上げていった。


「んびゅっっっっっ!!!!」




「ソフィア選手のアッパーが炸裂~~~~!!

 凛香選手は虚ろな瞳を浮かべてしまっておりますが、果たして大丈夫なのかぁ!?」


「お゙っ………………ん゙あ゙っ…………」


正確に顎を打ち抜かれた凛香は一瞬で意識を断ち切られてしまっており、今はコーナーに背を預けて何とか立ち続けている有様である。


「アハハッ♪ 貴女、やれば出来るじゃない……よりサンドバッグらしさが出てるわよ♡」


ケラケラと涙を浮かべて笑いながら、銀髪の少女は再び大きく腕を引き絞り追撃の構えを見せていく。


「それじゃ…………よく出来たご褒美に」



「起きなさい凛香、何でも良いから早くガードして!!」

「おねぇ起きて!! アレは貰っちゃ駄目っ!!!」


ピクピクと痙攣しながら失神している足元では、少女の愛する者たちが必死に声を上げているものの、当然ながらその声が届く事はなく──────



「これでも…………食らいなっっ!!!」


ソフィアの放った渾身のボディアッパーが、もはや力の込められていない柔らかな腹筋を貫いていった。


「おぶぅぅぅぅっっっ!!!!!」


幸か不幸かその一撃でトンでいた意識が呼び戻された事により、脳内に耐え難い激痛が迸り、元王者の少女はたまらず悶絶してしまっている。



「凛香!!!」

「おねぇ!!!」


悲痛な声を上げる赤コーナーのセコンド陣。

だがタオルを投げる権利すらない彼女達は、自分の愛する少女が喘いでいる様を見守る事しか出来ない。



そんな中、ラウンド終了10秒前を告げる拍子木が打ち鳴らされていく。



「あら……楽しい時間はあっという間ね」


拳を腹の奥深くにグリグリと捻り込みながら、ソフィアが残念そうな口ぶりで嘆く。


「お゙っっ…………ん゙あ゙っっ……………………」


内臓を直接圧迫される様な痛みと不快感で脳が支配されてしまっており、凛香は反撃はおろか相手の腕を振りほどく事すら出来ないでいた。



「それじゃ……ギャラリーも盛り上がってる事だし、もう一発重いのイッときましょうか!!」


第3ラウンド終了間際と同様に”敢えてダウンを奪わない”タイミングで力の限りの一撃を叩き込むべく、ソフィアは凛香の腹肉に埋まった拳を引き抜いて、大きく腕を引き絞っていく。



「こひゅっ…………ぅ、ぁぁ……………………」


意識が朦朧としてしまっているのか、虚ろな瞳を浮かべ全身ビクビクと痙攣してしまっている凛香には、その一撃を避ける事も防ぐ事も出来ない事は明らかである。



「行くわよサンドバッグちゃん…………可愛いリアクション、期待してるからね♪」


助走の為に数歩ほど後ずさり舌なめずりをしたソフィアは、観客へのアピールの為に腕をぐるぐると回し、勢いよく獲物へ向けて駆け出そうとしたのだが──────



その銀閃が放たれる事はなく、黒髪の少女は自ら膝を屈してキャンバスへと崩れ落ちてしまっていた。




「あ~っと凛香選手、自ら膝を屈してしまったぁ!!!

 直前のボディのダメージか…………もしくは、心が折れてしまったのかぁ!!?」


お腹を抑えながらビクビクと小刻みに震え、瞳に大粒の涙を浮かべている少女。

痛みに悶えながらもその散々殴られて腫れ上がった赤い顔には、隠せない程の悔しさが滲み出ている。



「呆れた…………貴女、元チャンプとしてのプライドとかない訳?」


路傍の石を見るかの様な目つきで眼下に転がっている対戦相手を見下していくソフィア。


つまらなそうな表情を浮かべてはいるものの、その胸中は憎き女が無様な姿を晒しているという愉悦で満ちていた。



「ゔえ゙っっ…………がっ……あ゙がぁっっ……………………」


もはや強者の風格など微塵も残されてはおらず、情けない呻き声を零しながら力なく震えるだけとなってしまった哀れな少女。


"堕ちない少女(アンブロークン)”、”デビューから無敗でベルトを巻いた元王者”といった彼女に付けられていた大層な二つ名や肩書は、今や惨めさをより一層引き立てるだけの皮肉な飾りと化してしまっていた。




【堕ちた王者と幻影の銀閃】Part.3に続く__________


■次回

堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.3/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.3

■前回 ■試合内容 ソフィアに手も足も出ずボコられてしまっている凛香さんですが、果たしてここから元王者の意地を見せる事が出来るのか!? といった感じの対決で、今回は試合の後半戦までをお送りします。 ドミネーション多めかもです!! 挿絵は全6枚、SSは約10500文字です(pixiv換算で読了まで約21分)。 それでは対戦...





堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2 堕ちた王者と幻影の銀閃~凛香VSソフィア~Part.2/The Fallen Champion and the Silver Flash of Illusion - Rinka VS Sophia - Part.2

Comments

凛香さんも元王者としての意地がありますし、ソフィアさんのファイトスタイル的にも今回は1ラウンドKOとはなりませんでしたね。

ナッツが主食

内心では連続1ラウンドKO敗北を望んでいたのですが、それは実現しませんでした…

けんけん

由乃の事をよく理解して下さりありがとうございます。 凛香へ全幅の信頼を寄せている由乃は、きっとここまでズタボロにされていても姉の勝利を信じている事でしょう。

ナッツが主食

Thanks for having fun! Please keep an eye on ...... to see how far she will fall!

ナッツが主食

それでも、由乃さんは凛香さんへの期待を捨てないでしょう。由乃さんはそんな妹だからです。しかし、その期待が凛香さんにはもしかしたら悪影響を及ぼすかもしれません。

fUkcovid

Rinka, the falling is ongoing! Very awesome! I always expect to your story, especially Fallen Rinka series. Cheer up!

Garland01

Thank you so much for your kind words! I'm really glad you stumbled upon my work and enjoyed this episode as well. I'll keep doing my best to create more good stories, so I hope you'll continue to enjoy them!

ナッツが主食

そう仰って下さりありがとうございます。 もしかしたらその対戦カードはいずれまたやるかもしれませんので、気長にお待ち頂けますと幸いです~。

ナッツが主食

そうでしたか。過去にカンナとの試合を非常に印象深く見た記憶があったので、一度聞いてみたのです。凛香のあの試合をまた見たかったんです。

wsd

It was quite a stroke of luck for me to come across your work. Thank you for this episode as well.

JayLoCco

果たして彼女は一体どこまで堕ちてしまうのか…… 是非今後のエピソードにもご期待下さいませ~。

ナッツが主食

凛香選手は、いつか自分が到達するランクを目指して着実に堕落しているように感じます。もしかしたら、私たちが期待している順位よりもさらに下になる可能性もあるかもしれませんね...。

ろにゃ

楽しんで頂けた様で何よりです! そう言って頂けて凛香さんもさぞ誇らしいでしょう(!?)

ナッツが主食

凛香さんが一度も攻撃に成功しなかったという描写が本当に良かったです!やはりリョナに最も適した主人公…

Mo Mo

楽しんで頂きありがとうございます😊 (翻訳の手違いで私が意味を取り違えてたとしたら申し訳ありません)

ナッツが主食

申し訳ありません、『堕ちた王者』シリーズは今のところ全編ボクシングの予定となっております。。。 かなり先になるとは思いますが、プロレスもまたやるつもりではありますので、気長にお待ち頂けますと幸いです~。

ナッツが主食

凛香さん、確かに今の所は完全に遊ばれてしまってますね😎 流石に下位ランカーであるまこと相手に元王者の凛香さんが負ける筈はないと思いますが…………もしかしたら、二人の対決も行われるかもしれません!?

ナッツが主食

"堕ちない少女(アンブロークン)”の二つ名は伊達じゃないという事か、もしくはわざと”生かされて”いるのか…… 楽しみにして頂きありがとうございます! ですが、彼女もこのままやられっぱなしで終わるとは限らないので、どうなるかは是非試合の結末をお楽しみに~。

ナッツが主食

You guessed it, perhaps next time we can go into the reasons and other stories about that area.

ナッツが主食

That's right, as long as she doesn't give up, I'm sure she still has a chance.

ナッツが主食

なぜ笑いたくなるのか分からん😂

NM$L

『堕ちた王者』のエピソードで、凛香のプロレス試合も予定されていますか?

wsd

完全に玩具になってしまったよ~凛香ちゃん。 今の凛香なら、まことちゃんにも完敗してしまうかもしれないね?早く見たいな~🤣

イテ-い

凛香さん、よくも4ラウンドまで持ちこたえたね?(あ?ソフィアさんがわざと見逃してくれたのかな?w) 一方的に支配されてしまった凛香さんの新たなKOシーンを見られるかもしれないという期待感で、喜びの感情が次から次へと湧き上がっています!

きのこ

I don't know why, but I got the impression that Sofia was deliberately not ending the game. But she feels that she can end the game anytime she loses interest. That must be a sad thing to say to Rinka :)

Marcacis

Surely things can still be turned around?

Seth Davenport


Related Creators