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2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa

※月2回更新の1回目です!!

*This is the first of two monthly updates!


■試合内容

試合も終盤に入り、両者とも体力の底が見えてきた状況。

互いに3連敗を賭けた試合の行方は果たして!?


的な感じでJKリーグ対女子リーグの対抗戦第3試合の完結編となります。


挿絵は立ち絵や差分など含む全7枚、内1枚はFANBOX用の新規描き下ろしです!!

またSSは約9500文字となります。(pixiv換算で読了まで約19分です)


■Content of the match

As the match entered the final stages, both fighters were beginning to see the bottom of their physical strength.

What will happen in the match where both sides are betting on a third straight loss?


This is the conclusion of the third match in the JK League vs. Women's League rivalry.


There are a total of 7 illustrations including standing pictures and differences, one of which is newly drawn for this plan!



★あと本編とは直接関係ないのですが、【ご支援プラン】でご支援を頂き誠にありがとうございます!!

FANBOX/Fantiaやゲーム制作の作業により多くのリソースを投入したいので専用の特典などはご用意出来ないのですが、とてもやる気が出るので大変助かります!!


★Also, this is not directly related to the main story, but thank you very much for your support with the [Support Plan]!

We want to put more resources into FANBOX/Fantia and game production work, so we can't offer any exclusive perks, but it is very motivating and very helpful!


■プラン内容の変更について

「3記事プラン」に関してなのですが、今月から「3記事プラン」→「3ヶ月プラン」に変更してます。


以前は毎月1記事更新だったのが現在は毎月2記事更新になってる為、3記事プランでは3ヶ月分見れない事に気付いたのでそれを修正した形となります。

気付くのが遅くなってしまい申し訳ありません。


多分月初の更新(予告ではなく本編の方)の際に「3ヶ月プラン」で閲覧出来る権限の修正を行う感じになると思います。


■Change of plan contents

As for the "3 article plan", we have changed it from "3 article plan" to "3 month plan" this month.


I noticed that the 3-article plan does not allow you to see 3 months worth of articles, since the plan used to be 1 article per month, but now it is 2 articles per month.

Sorry for the delay in noticing.


I will probably modify the permissions to view the "3 month plan" at the first update of the month (the main story, not the notice).


★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。

There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)


★For non-Japanese users★

Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m


---

【Part3(fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~

League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa

※JK=Jyoshi Kousei=High school girl



「おぶぅぅぅぅぅぅっっっっ!!!!」


「ミサ選手のボディアッパーが炸裂~~~~~~!!!

 エリザベス選手またしてもダウ~~ン……あぁ~っとこれは!!?」





「エリザベス選手、遂に堪えきれず嘔吐してしまったぁ~~~~!!!」


いつもの力強く凛々しい強者の姿はそこにはなく、全身を小刻みに震わせ口から胃液を吐き出し続けるだけの哀れな少女。


小さくなった瞳孔が激しく震えており、彼女の肉体のダメージの深さを物語っていた。




「あはっ♪ 壊し屋とか言われてるみたいだけど……アンタの方が先に壊れちゃったわね」


そして地べたに這い蹲り嗚咽を漏らすのみの少女を見下しながら、女は心底愉しげな笑みを浮かべていた。




「お゙ぅ……の゙ぉっ…………」


鍛え上げた腹筋を壊されあまつさえ神聖なリングに嘔吐をさせられてしまうという、少女にとって屈辱的な展開。


だがエリザベスはそんな事よりも、自身と対戦相手の女の間に存在する格差に絶望しつつあった。


(だめっ……格が違いすぎる。

 勝ち目どころか、このままじゃこのラウンド保たないかも……)


まともに攻撃が通ったのは序盤の奇襲からの流れのみであり、相手が立ち直って以降は自慢の強打が全て躱されカウンターの餌となってしまっている。


そんな、10分近くに渡る絶望的な時間は彼女の高いプライドを粉砕するのに十分過ぎる長さだった。



「4…………5…………6……………………」


「お゙っ……こぷっ…………お゙え゙っ…………」


力の差は歴然で、喉元からは現在進行系で胃液が逆流し口内が新鮮な苦味で満たされていく。


だがそんな中にあっても、少女は未だ試合を捨ててはいなかった。


(でも、アタシが負けたら対抗戦での負けが確定する。

 凛香にあんなカッコいい事言った手前……このまま負け訳にはいかないわ!!)


獣の様な声でえずきながらも再び己の足で立ち上がり、エリザベスはいつもより重く感じる腕を構えていった。






「ボックス!!!」


「エリザベス、立ち上がりましたが既に満身創痍!!

 果たしてラウンド終了まで持ちこたえられるのか!??」


レフェリーがそう思うのも無理からぬ程に少女は痛めつけられてしまっており、自慢の肉体も弱々しく震えてしまっている。



「全く、アンタらJKボクサーは本当にしぶといわね。

 でも……いい加減決めさせてもらうわ!!」


疲れと呆れが入り混じった表情を浮かべながら、ミサは目の前の女に引導を渡すべく右拳を振り上げていく。


「これで……終わりよっ!!!」


そして試合を決めるべく一気に駆け出し全体重を載せた右ストレートを放っていったのだが――――――




エリザベスは相手に抱きつく事によってその致命の一撃を回避していった。



「きゃっ……く、クリンチ!?」


普段の試合であれば可能性の一つとして考慮されるべきその選択肢は、エリザベスがこれまでの試合で一度もクリンチをしていなかった事によりミサの頭から完全に抜け落ちていた。


「あ~~っと、あのエリザベス選手がクリンチ!!

 この地下リングで試合を始めてから初のクリンチです!!」



「ぜぇっ……はぁっ…………」

(皆の為にも、アタシは絶対に負けられないのよ…………)


”クリンチは弱者の戦術”と切り捨て、試合で劣勢に立たされても頑なにその選択肢を拒んできたエリザベス。


だが自身のプライドよりも優先するべき物があると考えた少女は、自身の美学を投げ捨て文字通り必死に相手の身体へと縋りついていた。



「ちょっ、このっ……離れなさいよっ!!」


クリンチを嫌がり引き剥がそうとするミサだが純粋な膂力でエリザベスに叶うはずもなく、少女の太い腕は依然としてがっちり女の汗に濡れた柔肌を抱きとめていた。




「ぜぇっ……はぁっ…………」

(結構休めたし、そろそろ放さないとレフェリーに止められるわよね。 なら…………)


自身のプライドをかなぐり捨てたクリンチにより多少の体力を取り戻したエリザベス。


少女は腕に力を込めると、諦めた様子で体力の回復に努めている女の身体を強引に引き剥がし、前へ押し飛ばしていった。



「えっ……きゃっ!!」


突然押し飛ばされた結果、身体のバランスを崩してしまうミサ。


その無防備な顔面目掛けて紅いグローブが勢いよく迫ってくるのが見えていたのだが、崩れきった体勢ではどうする事も出来ず―――――――



「ぶひゅぅぅぅぅっっっっ!!!!」


少女の右フックで顔面を弾き飛ばされてしまった。



「エリザベス選手、ここで逆襲の右が炸裂~~~!!

 あぁっといけません、ミサ選手完全にグロッキーだぁ!!!」


「んぅっ……ふぁっ…………」


試合序盤に受けたラッシュのダメージに加えてこれまでの疲労もあり、ミサはたった一発貰っただけで意識が朦朧としてしまう。



もはや対戦相手の姿すら認識出来ていないのだが、その声だけは何故か鮮明に耳へと届いていた。



「It's Show Time……」





「おぶぅぅぅぅぅっっっっ!!!」


力の込められていない女の腹筋は”壊し屋”の拳に対して余りにも無力であり、深々と紅いグローブが突き刺さりその衝撃で内臓が揺らされていく。



「あ゙っ……がぁっっ…………はぶぅぅぅぅっっっ!!!」


余りの痛みで意識が覚醒したものの女は目を見開いて身体を震わせるばかりであり、その腹は次の一撃を何の抵抗もなく受け入れてしまう。


口からは粘度の高い唾液が飛沫をあげており、くの字に折り曲げられた身体はつま先が宙へと浮いてしまっていた。


そしてその二発を皮切りに、地獄の腹責めが幕を開けていった。




「あ゙ゔっっ……ごふぅっっ…………お゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ…………」


「エリザベス選手のボディラッシュが遂に炸裂~~~~~!!

 ミサ選手、圧倒的暴力の前になすすべなく打たれるがままだぁ!!!」


少女の拳が腹を抉る度に激しい衝撃音がリングに響き、女の身体から様々な液体が輝きを放ちながら舞い散っていく。



「あ゙ぅ゙っっ…………お゙びゅぅっっ………お゙あ゙あ゙っっっ、あ゙っ…………」


意識があるのか無いのか分からない光を失った瞳を浮かべ、ただひたすらに腹を殴られ続けているだけの地下女子ボクサー。


ランキング上位の強者にあるまじき情けない嬌声をあげながら年下の少女に甚振られ続け、完全にサンドバッグと化してしまっていた。




「これで…………フィニッシュ!!!」


ガラ空きの土手っ腹へ向けて筋骨隆々の剛腕が勢いよく迫っていく。

今まで幾多の少女をリングに沈めてきたエリザベス自慢の一撃は――――――



「お゙びゅぅぅぅっっっっっっ!!!!」


ミサの肉体の奥深くまで突き刺さっていった。





「お゙っぼっ……お゙え゙え゙え゙え゙え゙っっっっ………………」


「ミサ選手ダウ~~~ンッッ!!!

 完全に腹をやられてしまったのか、リング上で激しく嘔吐しております!!」


試合を優勢に進めていたにも関わらず一度のチャンスで全てひっくり返されてしまい、”壊し屋”の名前に偽りがない事を自身の腹で証明してしまった哀れな女。



「お゙っ……ごぷっ…………ゔぼえ゙っ…………」

(これっ、だめ……お腹……完全にオシャカになっちゃってるっ!!)


先程エリザベスが嘔吐していた時よりも遥かに大量の吐瀉物がリングに広がっていき、お互いに与えたダメージの格差が分かりやすく露わになってしまっていた。




「情けない声出してんじゃないわよミサ!!

 こんなんで負けるアンタじゃないでしょ!? 早く立ちなさい!!」


リング下ではセコンドが激を飛ばしているが、その瞳に不安の色は一切見えない。


ミサが男子との試合で滅多打ちにされても幾度となく立ち上がるタフネスの持ち主だとマリナは良く知っているからだ。



(無茶言ってくれちゃって…………でも、親友の期待には応えないとね)



瞳から大粒の涙を流し、時折嗚咽を漏らしながらもミサは立ち上がりファイティングポーズを構えていく。


「ぜっ……はぁっ…………ま、まだやれるわ…………」


膝はカクカクと笑っておりグローブを嵌めた拳も震えてしまっているが、それでも女はカウント内に立ち上がる事に成功していった。






「ボックス!!」


レフェリーの掛け声で試合が再開されていく。

満身創痍のミサにとって苦しい展開が続いていくのかと思われたが―――――


カーン!!


ゴングが鳴らされた事により、激動の第4ラウンドの終わりが告げられた。






「やったわねエリ―!!

 あのダメージは少し休んだだけで抜ける訳ないし、次のラウンドでKOね!!」


彼女のボディ責めの凶悪さを日々のスパーリングで身をもって体感している凛香。

故にその声は明るく、エリザベスの勝利を半ば確信していた。


「ぜぇっ……はぁっ…………」


それに対してセコンドの声に反応する事も出来ず、エリザベスは項垂れて深い呼吸を繰り返している。


「エリ―……」

(そうよね、あれだけ滅多打ちにされ続けてまだ立ってるのが不思議な位なんだし……)


第4ラウンドの終盤まで徹底的に痛めつけられた肉体は既に限界を迎えつつあり、その疲労度合いは凛香の想像以上の物だった。


「苦しいだろうけど、それはきっと向こうも同じだから……

 エリ―、頑張ってね!!」






「お疲れ様ミサ。 さっきのは良く立ったね、偉いわよ」


慣れた様子で傷ついた親友の介抱をしていくマリナ。

ミサが再び嘔吐した場合に備え、足元にはバケツが用意されていた。


「お゙っ……あ゙っ……お腹っ、もうダメかもっ…………」


両腕で必死にお腹を抑える地下女子ボクシングの上位ランカー。

ラウンド終盤に受けたボディラッシュの痛みは未だに彼女の体内を駆け巡っており、涙を流しながら震えている女の身体は時折ビクっと激しく跳ねていた。


「こっち向かなくていいから聞きなさい」


嗚咽を漏らしている親友の背中を擦りながらマリナが優しく言葉を投げかけていく。


「貴女も辛いだろうけど、見た感じ向こうも限界のはず。

 だから……次が最後のラウンドだと思って全力を出し切るのよ」



「ゔっ……あ゙っ……お゙っ、お゙え゙え゙え゙っ…………」


足元のバケツに大量の胃液が吐き出されていく。

セコンドからのアドバイスに対し、本日二度目の嘔吐という形でミサの身体は応えていった。






カーン!!!


「さぁ始まりました第5ラウンド!!

 ミサ選手、果たして先程のダメージから回復出来ているのか!?」


リング中央まで対戦相手が足を進めているのにも関わらず、依然として赤コーナーから動けないでいるミサ。


辛うじて両腕は上がっているものの、半ば虚ろな瞳で膝を震わせているその姿は彼女がダメージはから回復できていない事を雄弁に物語っていた。



「ワォ……来ないならアタシから行かせて貰うわ、よっ!!」


自然と相手をコーナーに追い詰めた形となったエリザベスが左のボディを繰り出していく。


最大限にカウンターを警戒したコンパクトな振り。

満身創痍とはいえど相手はあの”カウンタークイーン”である為、欠片も油断は出来ない事をエリザベスは重々承知していた。



「お゙ゔっっ!!!」


くの字に身体を折り曲げて口からマウスピースを零れ落ちさせてしまうミサ。

目の焦点があっておらず、たった一発で効かされてしまった事が容易に見て取れる。



「いい声ね……それじゃ、まだまだ行くわよ!!」


身体が訴えかける疲労の声を無視し、エリザベスは試合を決めるべく渾身のラッシュを打ち込んでいった。




「ばひゅっ……ぶふぅぅっっっ…………お゙え゙っ……がびゅぅぅぅっっっ!!!」


上下に打ち分けられた剛腕が、女のズタボロになってしまった肉体を更に痛めつけていく。


自陣側のコーナーで滅多打ちにされている為、すぐ下ではセコンドのマリナが心配そうな目で親友の姿を見つめていた。



「あ~~っとミサ選手、早速捕まってしまったぁ!!!

 やはりまだダメージが抜けていないのかぁ!?」



「んぶぅっっ…………ぐひゅっっっ……ぼひゅぅぅぅぅう!!!」


エリザベスの方も疲労がピークに近いため速度こそ遅いものの、一撃一撃に力が込められた拳が女の身体を蹂躙していき、その度に情けない雌の鳴き声と大量の唾液がリングを彩っていく。




「カウンタークイーンも大した事ないわね……このまま沈めてあげるわ!!」


紅潮した頬を浮かべ息を弾ませながら、拳を振るっていくエリザベス。

汗に塗れた肉体がスポットライトで照らされて、自慢の肉体がより一層その輝きを増していた。



「がぎゅっっ……ぶふぅぅぅっっ…………調子に、乗るなっっ!!!」


左右のフックで顔面を弾かれながらもミサの瞳はまだ死んでおらず、反撃のカウンターを放っていく。



度重なるダメージに加え体力も底を尽きかけており、最悪に近いコンディションで放たれたその一撃は――――――




「ぐふぅっっ!!」

「がびゅぅぅぅぅっっっ…………」


相手に一撃返す事に成功したものの、より強い殴打をその顔面に受け入れてしまう結果となった。


「あ、相打ち~~~~!!

 ミサ選手、決死のカウンターを放つも完全に打ち負けてしまっております!!」




「がっ……ぁ、うぅ…………」


当然の帰結として相打ちは純粋な打撃力で勝るエリザベスに軍配が上がった為、ミサはガードの腕もダラリと下がった無防備な姿を対戦相手の目の前に晒してしまう羽目になる。



「ふふっ……貴女のカウンター、効いたわよ。

 でも、これで……フィニッシュ!!!」


そして少女の勝ち誇った声と共に、グロッキーな女の顎先へと強烈なアッパーカットが突き刺さっていった。




「ぐぴゅっっっ…………」


勢いよく頭が弾かれた衝撃で髪留めが千切れ、艶やかな銀髪がふわりと広がっていく。


柔らかく広がった銀色はそのまま重力に従い落下していき―――――


女はこの試合4度目のダウンを喫してしまった。




「ミサ選手またしてもダウ~~~ン!!

 完全に失神してしまっておりますが、果たしてまだ闘えるのか!?」


「んぅ……ぁ……ぁぅ…………」


母親譲りの紅い瞳は焦点を失い、汗と痣だらけの肉体をピクピクと痙攣させながら口から唾液を垂れ流し続けているだけの”カウンタークイーン”。


自身の二つ名に余りにも似つかわしくないその姿は、誰がどう見ても試合続行が不可能な様に思われた。



「起きてミサ、何ボサッと寝てんのよ!!

 いつまでも情けない姿晒してんじゃないわよ!!」


意識の失われたミサの眼下では、エプロンサイドを叩きながらマリナが必死に声を張り上げていく。



「んぁ…………まりな…………??」


いつも余裕を崩さない親友の叫びが通じたのか、ミサは辛うじて意識を取り戻していった。






(アタシ……またダウンさせられちゃってるのね)


意識を取り戻したものの、肉体は全力で限界を訴えかけており女はピクリとも動けないでいる。


(頭ガンガンするし、身体中痛いし、馬鹿みたいに疲れたし…………最初は軽いバイトのつもりで始めたのに、何でこんな目にあってるんだろ)


元は純粋な金銭目的で地下ボクシングの世界に足を踏み入れたミサ。


持ち前のタフネスとカウンターのセンスで勝利を積み重ねる内に徐々にボクシングの世界にハマりつつあったのだが、自身ではその自覚が無いためネガティブな思考が頭を過った。



(もう立てそうもないしこのまま負け―――――――)


心の中で試合を諦めかけたその時、実況の興奮した声が耳に届けられていく。


「ミサ選手動けません!!

 このままJK相手に屈辱の3連敗を喫してしまうのかぁ!!?」




その言葉を聞いた瞬間、ミサの中で何かが弾けた。


(負ける……””また””…………?)


脳裏に浮かんだのはJK相手に連続でKO負けを喫した時の無様な記憶。


お金稼ぎで闘っていただけのハズなのに、敗北後目が覚めたら何故か猛烈に悔しさと涙が込み上げてきて翌日から必死に練習へと打ち込んだ、自分らしくない日々の記憶。



(また負けるとか……そんなダサい真似、いくら何でもありえないわ)


瞳は知性の光を取り戻し、動けなかった身体に力が込められていく。

今までのミサであれば立ち上がる事が叶わなかった肉体は、日々の鍛錬によりこの状況下でも動けるまでに成長を遂げていた。



(勝ちたい……だから、今は目の前のこの女をぶっ飛ばす事だけ考えてればいいや)


そのままロープを使って立ち上がると、女は再び闘う意志をその身体で示していく。


地下ボクシングの世界に足を踏み入れてある程度経つが、ここに来て初めて勝利に対する執着心が芽生えた事をミサは自覚していった。






「ボックス!!!」


「ミサ選手、あの状況から立ち上がるのは驚異的ですが既に満身創痍!!

 果たして試合になるのか!!?」


幽鬼の様に力なくふらつき、コーナーを背にして辛うじて立っているだけの女。

一見すると敗北寸前の弱った獲物にしか見えないのだが、何故かエリザベスの額には冷たい汗が流れていた。



(もうKO寸前の筈なのに…………なにこの嫌な感覚は?)


死に体の女から感じる奇妙な圧に一瞬戸惑うも、次の瞬間には試合を決めるべくコンパクトな、だが力強い右ストレートを繰り出していった。


(考えても仕方ない……とにかく、さっさと試合を終わらせるわよ!!)



「やぁっっ!!!」


逃げ場のないコーナーで打ち込まれた一撃。


限界を迎えた身体では俊敏な挙動を取る事は難しく、直撃は避けられないと思われたそれは―――――



「えっ…………?」


軽く頭を動かしたミサにより、紙一重の所で回避されてしまっていた。


「あ~~っとミサ選手、皮一枚で躱していくぅ!!

 だが依然として厳しい状況、果たしてどこまで凌げるのかぁ!!?」



「Shit…………まだまだっ!!」


舌打ちをするも、拳を引き戻すと同時に教科書通りのワンツーを放つエリザベス。


だが当たればKO必死の両の拳は、またしても女の柔肌の数センチ先を切り裂くに留まってしまう。


「んなっ……また避けられっ…………これならっ!!!」



残された僅かな力を振り絞り必死に拳を振るっていくも、元王者の攻撃はその尽くが皮一枚の所で躱され、何の成果もあげられずにいた。


「ミサ選手、見事なディフェンスで躱し続けていく~~~~!!

 コーナーを背にしているにも関わらず神がかった回避です!!!」




”カウンタークイーン”ことミサは、二つ名の通りカウンターを得意としている。


それは技術に裏打ちされた物ではなく純粋な身体能力、具体的には類まれなる動体視力と観察眼によるものであった。


勝利の為に本気で集中した彼女の瞳には、攻撃の初動で起こる筋肉の微細な動きさえ鮮明に捉えており、それ故半ば先読みに近い形での回避行動が可能となっていた。




(当たる気がしない…………これならまだ闘える!!)


加えて最小限の動きで回避を行っているため体力の消耗は限りなくゼロに近く、徐々に反撃の為の力が蓄えられつつあった。




「このっ……いい加減、当たりなさいよっ!!!」


そんな中、痺れを切らしたエリザベスによる大振りの右ストレートがミサに迫る。


威力こそあるものの疲れ切った肉体で放たれたそれは余りにも鈍重で―――――




「かふっ…………」


”カウンタークイーン”の格好の的となってしまった。



「ここに来て十八番のカウンターが火を吹いたぁ!!!

 あぁ~っといけません、エリザベス選手目が虚ろになってます!!」



「んっ……ぁぅ…………」


余分な力が込められていない分ミサのカウンターは以前よりも鋭さを増しており、必死に鍛え上げた肉体はたったの一撃で力を失いキャンバスへと沈んでいってしまう。



「ぉぅ……のぉ…………」


辛うじて意識こそ残されているものの、完全に脳を揺らされてしまっているため視界はぐちゃぐちゃで上下の感覚すらなく、少女は今自分がダウンしている事さえ把握できていない。


「エリザベス選手、一撃でダウンを奪われてしまいました!!

 やはり彼女の身体も限界が近いのかぁ!!?」


だらしなく弛緩しきっている肉体には至る所に対戦相手の拳で痛めつけられた痕があり、彼女のダメージの深さを物語っている。



「ぁ…………ぅぅ………………」


勝利を目の前にして必死の猛攻をしかけていたものの少女の体力は既に底をついており、気力だけで動いていた身体はカウンターで意識を混濁させられた事によってその動きを停止していた。




(ミサちゃん、見事に化けたわね……

 伸び代があるとは思ってたけど、まさかこれ程とは)


リングサイドのVIP席では女子リーグの現王者であるレイが試合を観戦しており、新たな強敵の誕生に喜びの笑みを隠せないでいた。




「エリー立って!!

 貴女が負けたら対抗戦は終わりなのよ!!」


声を張り上げて必死に叫ぶ凛香。

JKリーグはここまで対抗戦で2連敗を喫しており、もう後が無い状況であるため応援の熱もいつも以上に入っていた。



「ぁ……んぅっ…………」


友人でありライバルである凛香の声は今一度少女に闘う為の力を与えていき、エリザベスは疲れ切った身体に再び力を込めていく。


(そうよね……凛香達の為にも……アタシは、絶対に負けられないわ!!)




「ぁ……I still fight………………」


もはや腕を上げるだけで精一杯といった有様ではあるものの、少女はレフェリーに試合続行の意志を示していく。


対戦相手の女はKO出来なかった事に落胆する様子も見せず、冷めた瞳で少女の姿を見つめていた。






「ボックス!!」


試合再開後、二人の地下女子ボクサーは頼りない足取りでリング中央まで歩み寄り、互いの拳が届く距離で相対していく。


「ぜぇっ……はぁっ…………」

(多分これが最後の一発ね……でも大丈夫。 当たればアタシの勝ちなんだから)


再び息を吹き返したエリザベスだが、既に体力気力ともに限界を迎えており、ここが正念場だと悟る。


(マグレでも何でも良い……この一撃だけは絶対に当てる)



「やぁぁっっ!!!」


豪快な風切り音と共に真紅のグローブが振り抜かれていく。

満身創痍の少女が放ったとは思えない程、疾く鋭く放たれたその一撃は―――――




「あびゅっっっ…………」


少女の悲痛な想いを踏みにじる様な、無慈悲なカウンターで切って落とされてしまった。



「またしてもカウンター!!

 ここに来てミサ選手が止まりません!!!」


大量の唾液を纏ったマウスピースが弾け飛び、筋肉質な肉体は再び脱力状態に陥ってしまう。



(ごめん皆……この人、アタシじゃ……勝てな…………)


意識を失いかけていた少女は自身の敗北を悟りつつあったのだが、



「ぶぎゅぅぅぅっっっ!!!!!」


その思考が最後まで紡がれる前に、紅い拳が少女の顔面を押しつぶしていき強制的に思考を終了させられてしまった。



「ミサ選手、ここでダメ押しのストレート!!!

 エリザベス選手の身体が崩れ落ちて行く~~~~!!」



「お゙っ…………ん゙ぅ゙っ………………」


意識を失った少女の肉体は時折短い嬌声を上げながら、リング中央で壊れたおもちゃの如く小刻みに震えてしまっている。



自身の勝利を確信しているのか、ミサは対戦相手を殴り倒した右腕を真っ直ぐ上に持ち上げて観客にアピールしていた。



(ミサさん強すぎる……今やったら勝てないかも…………)


セコンドである凛香は声すら出す事が出来ず、固唾をのんでその光景を見つめている。



「ぁ…………ぅ……………………」

そして自慢の肉体を散々痛めつけられてしまった少女の意識が戻る事はなく―――――――



10カウントが数え上げられ、試合終了を告げるゴングの鐘が鳴らされていった。


カンカンカーン!!!




「ここで試合終了~~~~!! 危ない所まで追い詰められたものの、最後は”カウンタークイーン”がその名に恥じない強さを見せつけてくれました!!」


興奮冷めやらぬ様子の実況が言葉を続けていく。


「そして……これで対抗戦は女子リーグの勝利が確定となります。 JKリーグの選手は1勝も出来ずまさかの対抗戦3連敗!! 我々が思っていた以上に両者の間には実力差があったという事でしょうか!?」


個々の試合を見てみればギリギリの接戦も多く、実際にはそこまで圧倒的な力の差がある訳ではないのだが、3連敗という数字は観客に大きなインパクトを与えていた。



「3タテを決めた女子リーグ側の勝利は確定しているのですが、当初の予定通り対抗戦は残り2試合程行われます。 果たしてJKリーグの選手は女子リーグの強豪達を相手に一矢報いる事が出来るのか!?」





【リーグ対抗戦第4試合~アンナVSエリカ~】へと続く―――――――








2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa 2023.10【Part3(Fin)】リーグ対抗戦第3試合~エリザベスVSミサ~/League Match 3rd game - Elizabeth vs. Misa

Comments

リーグで1勝もあげられないのは流石に避けたいので、お察しの通り二人にかかるプレッシャーは相当の物になります。。。 プレッシャーに押しつぶされるのかどうか、是非今後の展開をお楽しみ下さいませ~。 カンナの方も楽しみにして下さってありがとうございます! ご期待に沿える様頑張りますので、是非お待ちくださいませ~。

ナッツが主食

Misa has been losing a lot in the past, but she has grown through this match and will become even stronger in the future. Thank you for looking forward to it! This will be a short story, but I'm sure it will be a good one, so please look forward to it.

ナッツが主食

Thanks for the request! I'll give some consideration to having her silver hair down!

ナッツが主食

I am very happy to hear that you enjoyed it! Misa has grown through this match and will be even stronger in the future. I am glad you like the scene with her hair down, as I personally like it very much!

ナッツが主食

Thanks for the nice comment! I'm glad you like the one with Mass's hair down, as it's a personal favorite of mine.

ナッツが主食

お察しの通り女子リーグ側の残り二人も強敵なので、アンナと凛香も苦しい試合展開になるかもです~。

ナッツが主食

カンナのスタイルがすごく好きなので、レスリングの試合もすごく楽しみにしています!また、どんな技で相手を苦しめることができるのか。。。(笑

きのこ

すでに3連敗してしまった以上。。。 アンナと凛香が感じるプレッシャーはさらに大きくなってしまいましたね。。。もしかしたら、悪い影響を与えるかもしれません?(笑

きのこ

Wow, I loved this fight, Misa proved to be a worthy boxer who deserves third place, she was finally able to defeat a JK and regain her pride. I'm looking forward to the fight between Anna and Kanna

Master-TuT

Oh and Misa's hair falling down after an extremely powerful blow was awesome. I was thinking that maybe in your upcoming game that when you defeat the final boss, (the girl with the silver hair and black outfit), her hair should also fall down so it's long

SHADOW

OMG that was an amazing match, and I can't believe I was wrong lol. I thought for sure Elizabeth was gonna win, especially since Misa was full of herself at the end of the last part. Looking down at your opponent usually ends up biting you in the ass, but Misa overcame it.

SHADOW

I was impressed with the variety of CG today! and especially impressed with how Misa's silver hair came loose and hung down! :)

Marcacis

唯一勝てると思っていたエリザベスも一歩及ばない様子··· 残りの2試合はJKたちにとって険しいだろうという予想が···(だからもっと楽しみな?! 😈)

イテ-い


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