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2023.3【Part2】地下女子ボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~/First revenge match with underground boxer Anna - Anna vs. Elizabeth

※月二回更新の二回目です!!

*This is the second of two monthly updates!

■試合内容

JKリーグの元王者だったアンナさんが自身からベルトを奪った相手であるエリザベスにリベンジマッチを挑む回です。


敗北を経て強くなったアンナだが、エリザベスの圧倒的なパワーの前にまたしても苦戦を強いられてしまい……的な内容になります。


挿絵は立ち絵や差分など含む全4枚、内1枚はFANBOX用の新規描き下ろしです!!

またSSは約10000文字となります。(pixiv換算で読了まで約20分です)


■Content of the match

This is the time when Anna, a former champion of the High School Girl League, challenges Elizabeth, the opponent who took the belt from her, to a revenge match.


Anna's body was destroyed early on and her prized abdominal muscles were destroyed.

Elizabeth's onslaught continued from the second round onward and ...... like it's the perfect ending!


There are a total of 4 illustrations including standing pictures and differences, two of which is newly drawn for this plan!

■今回のSSに関して

当初想定していたプロットよりも書きたいことが大幅に増えてしまった為、前編後編で合計約17000文字になってしまいました。


正直やらかし感が半端ない(ここまでボリュームが膨らむのであればイラスト増やして2ヶ月に渡って連載するべきだったかもしれない的な)ので、来月からは元の文章量に戻ると思います。


■Regarding this SS

Since I had much more to write than I had originally intended in the plot, the total length of the first part and the second part came to about 17,000 words.(Word counts are converted in Japanese)


To be honest, I feel like I've done something wrong (if the volume had grown this much, I probably should have increased the number of illustrations and serialized the story over two months), so I think I will go back to the original writing volume starting next month.

■来月以降の更新について

二分割にするか今までの様にまとめて更新にするかはもうちょっと検討してみます。

あと来月の対戦カードは現在検討中なので、多分来月頭に発表予定です~。


■Updates in the next month and beyond

We'll be considering whether to split it into two parts or to update it all at once as we have done in the past.

Also, we are currently working on next month's match-up card, so we will probably announce it at the beginning of next month.

■名前の変更に関して

諸事情で今月からFANBOXの管理者名を変更しているのですが、

作画・運営担当は今まで通りのメンバーでお送りします。


■Regarding the name change

We are changing the name of the administrator of FANBOX from this month for various reasons,

However, the members in charge of drawing and management will remain the same as before.



★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。

There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)


★For non-Japanese users★

Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m


○各キャラ登場作品紹介/Introduction of works in which each character appears

▼エリザベス登場の「JKボクサー凜香と復讐の地下リング」

▼"High School Girl Boxer Rinka and the Underground Ring of Revenge" with Elizabeth's appearance (trial version available).

https://www.dlsite.com/maniax/announce/=/product_id/RJ325990.html


▼アンナ登場の「JKボクサー凜香と復讐の地下リング」スピンオフSSまとめ

Summary of "High School Girl Boxer Rinka and the Underground Ring of Revenge" spin-off SS with Anna's appearance.

https://hate.fanbox.cc/posts/3896185



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【Part2】JKボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~

First revenge match with high school girl boxer Anna - Anna vs. Elizabeth



痛みで疼く腹部を抱えながら、黒髪の少女はスツールに座り身体を休めている。


(まだ1ラウンド目なのに大分打たれちゃった……特にボディは結構ヤバいかも)


想定していたより大分芳しくない戦況に思いを馳せていると、脳裏に前回の試合の光景が蘇る。



それは今向かい側にいる女に完膚なきまでの惨敗を喫してしまった苦々しい記憶。


(エリザベスやっぱり強い…………私、勝てるのかな)


自分もあれから鍛え直し強くなったとは言え、日々鍛錬を積み重ねているのはあちらも同じ。


あの一方的に蹂躙された時から彼我の戦力差はどれほど埋められているのか、そもそも少しでも縮まっているのだろうか、そんな考えが頭を過っていく。


(らしくないわね。 こんな弱気な事考えるなんて…………)


敗北と共に心の奥深くに打ち込まれた一本の楔。

自身ですら気付けていないそれが、彼女の思考に少なくない影響を与えていた。



(今はダメージを少しでも回復させないと)


未だに軽くヒクついている自身のそれを眺めながら、少女は瞳を閉じ体力の回復に専念していった。






カーン!!



「ハァイ、アンナ♪ ボディのダメージはもう抜けたかしら?」


お互いの声が届く距離まで近づいた直後、未だ余裕に満ち溢れている金髪の美女が目の前の女に向かって声をかけていく。


「……えぇ、さっきは情けない姿を晒しちゃったけど、もう何とも無いわよ」


試合相手に弱みを見せる訳にはいかない、例えそれがバレバレの嘘だとしても。


相手の拳で赤く染められてしまっている腹筋を堂々と見せながら、少女はいつも通り平坦な声色で言葉を返していく。



「ふふっ……それは良かった。

 それじゃギア上げてくから、簡単にダウンするんじゃないわよ!!」


その言葉と同時、金髪の少女はキャンバスを踏みつけ勢いよく駆け出すと、黒髪の少女へと肉薄していった。



「やぁっ!!」


振るわれるのは一切疲労の色を感じさせない紅い剛腕。

アンナが防御の構えを取るのもお構いなしに、ガードの上から強引に殴りつける。


「くっ……相変わらずの馬鹿力ね。

 でも、そんな雑な攻撃……いくらでも防いであげるわ!!」


しっかりと初弾を防いだ相手の姿を見て笑みを深めたエリザベスは、そのままの勢いで連続して拳を打ち込んでいく。


「うっ……くぅっ……んんっ!!」


筋肉に裏打ちされた破壊力から来る圧力に動じること無く、しっかりと拳を見切り、その全てをアンナは防いでいく。



「つぅ……んっ…………そこっ!!!」


そしてラッシュの切れ間、エリザベスが呼吸をする瞬間を狙い撃ちして反撃のボディブローを放っていった。



「おぶぅっっっ!!!」


これまで彼女の試合を徹底的に研究してきたからこそ出来る芸当。

腹筋に全く力の入っていないタイミングでの打撃故に、エリザベスの腹の奥深くまで拳がめり込んでいく。


(良いのが入った!! ここから反撃を…………)



衝撃は内蔵まで届いており間違いなく相当のダメージを与える一撃ではあったのだが、それでもなおエリザベスの勢いは止まらない。



「お゙ゔっっ……ん゙っ…………今のは効いたわ、よっ!!」


腹にグローブを捩じ込まれながらの体勢で、強引に紅いグローブが振るわれていく。



「えっ!?」

(嘘、あそこから反撃なんて……ガード、まにあわ)


至近距離で放たれたショートフック。

攻める事に集中していたアンナにはそれを防ぐ手立ては残されておらず--------



「ぶふぇっっっ…………」


頬肉が大きく波打ち、女の白い身体から飛散した汗がスポットライトに反射して眩しく光を放つ。


マウスピースが口から零れ落ちそうになりながらも少女は何とか堪えて踏み止まり、即座に追撃に備えてガードを上げていく。



だがその行動を読んでいたかの如く、金髪の女は相手の腹目掛けて自慢の拳を振り下ろしていった。



「ぼひゅぅっっっ!!!」


情けない声と共に口から唾液に濡れたマウスピースが零れ落ち、瞳には大粒の涙が浮かび上がっていく。


「アンナ選手、手痛い連打を貰って動きが止まってしまったぁ!!!」




「お゙ごっ……あ゙っ…………」


先のラウンドで痛めつけられたボディの傷はまだ癒えておらず、少女の顔面は苦痛に歪み、膝はガクガクと震えてしまっていた。


(お腹っ……やばっ……でも、いま動かなきゃ負ける!!)


激痛が脳内を駆け巡る中でもアンナは冷静な思考を失っておらず、この場における最適解を即座に実行していく。




「あーっとアンナ選手、ここでクリンチを選択していったぁ!!」


殴り倒すべき相手に自ら抱きつくという無様な行為ではあるが、最終的な勝利だけを見据えているアンナに躊躇いはない。


汗まみれの美女同士が密着する姿は観客たちの目を楽しませ、リング上には淫靡な空間が形成されていった。






「はぁっ……はぁ…………」


「元王者ともあろう者がクリンチだなんて……恥ずかしくないの?」


呆れた声色を隠さず、煽るようにエリザベスが言葉を落としていく。


「……アンタにまた負けるよりよっぽどマシ」


一息つけると思ったアンナは必死に呼吸を整えるも、いつも通り冷静な態度で言葉を返す。



「へぇ……そう、そういう考え方もあるのね」


自身では絶対にしないであろうそれに対しても一定の理解を示したエリザベスだが、ふと口角を吊り上げると腕に力を込め、



「でも、そんなんでアタシを止められると思ってるのなら……大間違いよっ!!」


一際隆起した筋肉で押さえつけられている腕を強引に振り払い、エリザベスはあっさりとクリンチを振り解いていく。



(流石にそこまで甘くないか……でも)


目論見が外れて対して時間稼ぎが出来なかったにも関わらず、アンナは冷静に次の行動に移り、


「やぁっっ!!!」


再び筋肉の鎧に漆黒のグローブが突き立てていった。



「ぼひゅっっっ…………やってくれたわねアンナ。

 次はこっちの番、よっ!!」


口から涎を吹き出し目を見開くも、なおもエリザベスは動きを止めず反撃の構えを取っていった。



(今お腹に貰うのはまずいっ!! ここはガードを下げないと…………)


この状況で再びボディを貰えば取り返しがつかない事になると判断したアンナは、即座に腹部を守る体勢を取る。


--------が、自身の顎に迫りくる紅い拳を見てその行動が裏目に出てしまった事を悟った。



「こひゅっっ…………」


エリザベスの強烈な右フックが無防備な顎を勢いよく弾く。

インパクトの瞬間少女の瞳の焦点がぶれ、次いで瞳孔がゆっくりと上ずっていってしまう。



「ぁ……ふぁ…………」


顎先への衝撃で激しく脳を揺らされてしまったアンナは瞬時に意識を断ち切られてしまい、汗に濡れた女の肉体が力無く後ろに倒れ込んでいく。


「アンナ選手の身体が崩れ落ちていく~~~~!!

 このままダウンしてしまうのかぁ!!?」


打たれた腹を抑えて少しばかり苦々しい表情を浮かべているエリザベスの目の前で、アンナはキャンバス上に綺麗な大の字を描いて倒れ込んでいった。






「アンナ選手ダウ~~~ン!!! どう見ても失神してしまっておりますが、果たしてカウント内に立ち上がれるのかぁ!?」


「んぁっ…………ぁぅ…………」


焦点の失われた瞳からは止めどなく涙が溢れており、圧倒的な暴力に晒された少女の肉体は小刻みに震えている。



「ぅ…………ぁ………………」


カウントが進んでも少女の肉体は脱力したままで、その瑞々しい唇からは甘いうめき声が漏れるばかりである。


そんな、普通の選手であれば試合が決まってもおかしくない状況ではあるのだが、観客も含め、この会場内にいる全ての人間が彼女が再び立ち上がる事を確信していた。



(今のは手応えあったけど……貴女の事だからどうせ立ち上がってくるのよね?)



そしてその確信通り黒髪の少女は再び意識を取り戻して立ち上がり、試合続行の意思をレフェリーに示していく。



「はぁ……はぁっ…………まだやれるから……早く試合、再開して」


その瞳には依然として闘志の炎が強く燃え盛っており、口元には不敵な笑みすら浮かべていた。そんな彼女の様子を見て、エリザベスは愉しげな表情を浮かべて舌なめずりをする。


「そうこなくっちゃね」



そして、レフェリーによって試合再開の宣言がなされていった。

「ボックス!!」






「またしてもダウーン!!

 アンナ選手、これでこのラウンド3度目のダウンです!!」


試合は4ラウンドの終盤に差し掛かっているものの、依然としてエリザベスが試合の主導権を完全に握っており、アンナにとって苦しい状況が続いていた。



「んぁっ…………ぅぅ………………」


だらりと力無くリングに投げ出された女体に意思の灯されていない暗い瞳。

地下リングの元王者は、宿敵の猛攻を浴びて完全に失神させられてしまっていた。


「あーっとアンナ選手、またしても失神してしまっております!!

 果たして今度も立ち上がることが出来るのかぁ!!?」



「ぜぇっ……はぁっ…………全く、しぶとい女ね」


体中に汗を流し、ニュートラルコーナーで荒い呼吸を繰り返すエリザベス。

ダウンこそ奪われていないもののその腹部は至る所に赤黒いあざが刻まれてしまっており、これまでアンナが打ち込んできたボディブローの多さが分かりやすく示されていた。




「………………ん、ぁっ…………ふぇ?」


カウント中盤で意識を取り戻すとアンナが間抜けな声をあげていく。


(また……オチちゃってた…………早く、立たない……と…………)


少しよろめきながらも己の足で立ち上がり、少女は再びファイティングポーズを構えていく。


二桁近くのダウンを奪われているにも関わらず、彼女の戦意がまだ折れていない事は誰の目にも明らかだった。



「はぁっ……はぁっ…………来なさいエリザベス。

 私は……まだまだやれるわよ」


これだけ圧倒的に不利な状況下でも一切試合を諦める事無く、女は瞳に静かな闘志を燃やし続けている。


肉体だけでなく精神力も一級品、故に少女は”鉄の女”と呼ばれていた。




「ボックス!!!」




「ぜぇ……はぁ……しつこい女ね…………

 でも、いい加減に引導を渡してあげるわ!!」


顔面こそ綺麗なままだが腹をあざだらけにされている金髪の女が一気に詰め寄ると、黒髪の少女へ向けて連打を放っていく。


先のダウンのダメージから抜け出せていないのか、アンナはまともに防御も出来ずエリザベスの剛腕をその肉体に受け入れてしまっていた。


「あぐっ、ぶひゅっ……お゙あ゙っ…………ぅぁ…………あびゅっっ!!!」


恵まれた体躯から放たれる重量級の一撃が少女の肉体を穿つ度、アンナの口からは乙女にあるまじき嬌声が漏れ、既に見る影もない美貌は苦痛に歪んでいく。



「ロープ際で滅多打ち~~~~!!

 アンナ選手、流石にこれは万事休すかぁ!!?」


「ごふっ……んぶぅっっ……ぶっ、あべっ…………」


次第に瞳がとろんと虚ろな色を灯し始め、両の腕は下がりきり、身体が脱力していく。


観客はおろか目の前にいるエリザベスですら、このまま再びダウンを奪える事を確信しつつある状況であったが、リング上で殴られ続けている少女は虎視眈々とその瞬間を狙っていた。



(まだっ……わたしは……おわってない………………いまっ!!!)





どぷん。


漆黒の拳が女の腹に深くめり込む。




「え…………?」

リングに響くのは、金髪の女から発せられる間抜けな声。


女が目線を下げると自分の腹にグローブが捩じ込まれているのが視界に入り、そして猛烈な痛みがこみ上げてくる。


「あ゙っ……ごあ゙っ…………お゙っ、お゙お゙ぅ゙っっ…………」


連打の切れ目、息継ぎの瞬間を的確に穿ち抜いたアンナの一撃は、エリザベスの散々痛めつけられた腹筋の防壁を軽々と突破していき、宿敵を悶絶させる事に成功していた。


「アンナ選手、ここに来て反撃のボディ一閃!!

 これは効いている!! ここから逆転劇が始まっていくのかぁ!!?」



(良いのが入った…………この隙にもう一発)


ラッシュのダメージが抜けていないアンナは追撃を行うべくゆっくりと動き出す。



「お゙っ……あ゙あ゙っ…………」


マウスピースが零れ落ちた口からは絶え間なく唾液が垂れ流しになっており、美しく輝く蒼い瞳からは止めどなく涙が溢れている。




--------だが元王者は止まらない。

腹部に奔る痛みの一切を無視し、口から涎を垂れ流しながらも強引にその剛腕を振るっていった。




「…………え? ちょ…………おぶうぅぅぅっっっ!!!!」


先程の意趣返しの如く、全く同じ箇所に紅いグローブが突き刺さっていく。



「お゙お゙っ……あ゙っ…………あ゙ゔゔぅぅっ………………」


エリザベスの腹筋以上に虐め抜かれてしまっていたアンナのそれでは壊し屋の一撃を防ぐ事は叶わず、少女は身体をくの字に曲げ、またしても悶絶させられてしまう。


そして目を大きく見開き下を向いてしまっている格好の獲物に向けて、エリザベスは追撃のアッパーカットを放っていった。


「お゙っ……あ゙っ…………ぐひゅぅっっっ!!!」




「ロープの外側に身体が落ちてしまうド派手なダウン!!

 アンナ選手、これはもはや立ち上がれないか~~~~~!!?」


紅い拳に殴られ続けた身体は弱々しく震え、与えられたダメージの深さを物語る。

唇の端からは唾液が垂れ流しになっており、端正な顔立ちは無惨にも腫れ上がってしまっていた。



「はぁっ……はぁっ……鉄の女とか呼ばれてる割に、案外脆いじゃない」


打たれた腹を抱え苦悶の表情を浮かべながらも、エリザベスはうめき声をあげている試合相手の女を見下ろしていった。






「ぅ……ぁ………………」


ロープ越えのダウンを喫してしまったもののアンナの意識は辛うじて残されており、ぼやけた意識の中で思考を働かせていく。


(甘かった……私だけじゃなく、この女も強くなってるのに…………)


滅多打ちにされ続けた身体の痛みが、前回惨敗を喫した際に埋め込まれた心の楔を呼び起こし、少女の心に暗い感情が満ちていく。




(このまま……負けるのかな…………)


そして脳内を駆け巡る激痛と急速に膨れ上がった暗い感情に身を任せ、少女は瞳を閉じていった。






(でも…………)


目を閉じて浮かび上がったのは、始めてベルトを巻いた時の情景。

絶対に勝てないと言われていた当時のチャンピオンを倒し、ボロボロになりながらも王座に輝いた時の忘れられない感情。



(再びチャンピオンになる為には、絶対に乗り越えなきゃいけない壁だから)



次に目を開いた時、気付けば視界はクリアになっていた。

心に満ちた暗い感情も刻み込まれた楔も全て振り払い、何とか立ち上がろうと少女は懸命に四肢に力を込めていく。


(今度は…………絶対に負けない!!)




「あああああああ!!!!」


無表情で知られる少女の叫びがリングに木霊する。

震える腕で必死にロープを掴み強引に身体を持ち上げると、何とかカウント内に復帰する事に成功していった。






「Oh my……貴女、ロメロもビックリのゾンビっぷりね…………」


苦々しい表情を隠そうともせずに言葉を投げかけるエリザベス。

その腕は未だ自身のお腹に添えられている。


「はぁっ……はぁっ……アンタに勝つためなら、いくらでも立ってやるわよ」


確かな闘志を秘めた瞳で宿敵を見返すと、アンナは言葉を続けていく。


「それに…………鉄って、硬いだけじゃなくて粘り強いものだしね」




「へぇ……それじゃ、今度は念入りに、粉々に、徹底的に打ち砕いてあげないとね」


お互いファイティングポーズを構えて試合が再開されると思った直後、リングにゴングの鐘が鳴り響いていく。



カーン!!



「あら残念、ゴングに救われたわねっ…………あ゙っ……お゙お゙っ!!!」


赤コーナーに戻ろうと踵を返したエリザベスだが、唐突に嗚咽を漏らしてキャンバスに膝をついてしまう。


(Shit!! ……ボディ、流石に貰い過ぎた…………)


口から勢いよくマウスピースを吐き出していき、震える身体で荒い呼吸を繰り返す。

アンナの執拗な腹責めによって限界を越えてしまっていたボディの痛みが少し気を緩めた瞬間に顔を出し、女の脳内を激しい激痛が駆け巡っていく。


「お゙っ……あ゙っ…………」

口から零れ落ちる唾液は止まる気配を見せず、たまらずセコンドが駆け寄って少女の介抱に回る。



「救われたのは果たしてどちらかしらね…………」

不敵な笑みを浮かべながら、アンナは自らの足で青コーナーに戻っていった。






(やっと……ここまで辿り着いた)


圧倒的な暴力に晒され続けながらもひたすらに相手の腹を叩き続け、ボディへのダメージの蓄積とスタミナ切れを狙うという、もはやお決まりになりつつあるアンナの作戦。


大慌てになっている赤コーナーの様子を見て、アンナは努力が実を結んだ事を悟る。


「勝負はこれからね…………」


だがこちらが支払った代償も大きい。

アンナの身体は既にズタボロにされてしまっており、顔面も散々殴られたせいで片目はほとんど塞がりかけ、視界が少し狭まってしまっている。


(…………今度は、私の番)


それでもなお黒髪の少女は拳を握りしめ、真剣な眼差しで対戦相手を見つめていった。






カーン!!


「お゙っ、あ゙っ…………さっきは無様な姿を晒しちゃったけれど、このラウンドで止めを刺してあげるわ」


未だに腹のダメージが回復していないのか、嗚咽を漏らしながらエリザベスがリング中央へ足を進めていく。


「覚悟しなさいアンナ…………やぁっ!!」


そして振るわれた紅い剛腕。

だが速度も精度も格段に下がってしまっていたそれは、アンナのカウンターの格好の的になってしまい--------



「ぶぎゅっっっ!!!」


整った顔面のド真ん中に、漆黒のグローブが突き立てられていった。


「ファーストヒットはアンナ選手!! エリザベス選手、動きに精彩を欠いております!! スタミナが切れてしまったのかぁ!!?」




「おぅ……のぉ…………」


顔面を抑えてたたらを踏む金髪の少女。

その獲物に追撃を加えるべく、アンナは鋭いステップで踏み込んでいく。


(これなら行ける…………)


そして、今までの鬱憤を晴らすかの如く容赦の無い連打をお見舞していった。






「ぶっ……ぶひゅっ……がひゅっ…………おごぅっ!!!」


悲鳴を上げるだけのサンドバッグと化した少女の身体に、無慈悲な拳が絶え間なく叩き込まれていく。


「エリザベス選手、全く動きについて行けてません!!

 ここぞとばかりにアンナ選手が攻め込んでいく~~~!!!」


「ぶふっ……ぐぶっ……ごべっ…………お゙あ゙あ゙っ…………」


アンナの拳は一発一発にしっかり重さと速度が込められており、エリザベスの顔面はみるみると腫れ上がっていく。


(まだまだ…………もっと……もっと行ける!!)




「あぶっ……ごひゅっ…………こ、の……ぶふぇっっっ!!!」


時折反撃を試みるエリザベスだったが、攻撃の出始めを正確に潰されてしまいアンナのされるがままになってしまっている。



「お゙ゔ…………ぶべぇっ…………がひゅぅっ…………」


一方的に打ち込まれ続ける打撃の雨。

リング上では今までのラウンドとは全く逆の光景が繰り広げられており、試合の流れが完全に変わった事を観客達は肌で感じていた。




「お゙っ…………あ゙ぁ゙ぁ゙……………………」


「エリザベス選手、リング中央で沈黙~~~~~~!!

 これは完全にグロッキーかぁ!!?」


虚ろな瞳を浮かべてうめき声をあげる宿敵の姿を見て、黒髪の少女が動きを止める。




「良い表情ね、エリザベス…………

 そうだ……このまま勝っても面白くないし、一発打たせてあげる」



その言葉を聞いた直後、エリザベスは再び瞳に光を浮かべていくと同時に、自身のあらん限りの力を込めて拳を握りしめていく。


「調子に乗るんじゃ……ないわよっ!!!」


そして放たれるのは幾度となく少女をキャンバスへと沈めた紅い剛腕。

ボディを抉るその一撃は、激しい音を立てながら無防備な腹へと炸裂していった。




散々痛めつけられたアンナの腹筋では到底耐える事が出来ないと思われたのだが、



「んっ……ぅ、ん…………全然、効かないわね」


彼女は堂々と、胸を張ってリングに立ち続けていた。

その姿は正に”鉄の女”の名に相応しいものであり、観客席からも大きな歓声が巻き起こっていく。




「そ、んな…………」


自身の得意技が通じない事実に驚愕の表情を浮かべるエリザベス。

そんな呆然自失としていた彼女へと、反撃の一打が打ち込まれていく。


「お゙ぶぅぅっっっっっ!!!」


鳩尾に差し込まれた黒い拳はエリザベスを一瞬で悶絶させていき、


「これで……沈めっ!!」


動きの止まった金髪の少女の顎に、無慈悲なアッパーカットが叩きつけられていった。




「エリザベス選手ダウ~~~~ン!!

 アンナ選手強い!! このまま逆転勝利なるか!!?」


「お゙っ…………んぁ…………ぁ………………」


リングに尻もちをつき虚ろな瞳を浮かべるエリザベス。

意識こそまだ残されているもののスタミナは完全に底をついており、力無く呼吸を繰り返す事しか出来ない。




(もう闘う力なんて残ってない…………でも、このまま無様に負けるのは私のプライドに反するわ!!)


生まれたての子鹿の様にガクガクと足を震わせながらも、自身の誇りを守る為、エリザベスは立ち上がっていった。






「ボックス!!!」


「アンナ、貴女こんなに強くなってたなんてね…………」

ふらふらの足取りで、それでもなお楽しそうにエリザベスは語りかけていく。


「貴女を楽しませるのには足りてるかしら?」

不敵な笑みを浮かべながらそれに言葉を返していくアンナ。



「えぇ勿論、最高に楽しいわよ…………でも、勝つのはアタシよっ!!」


残された全ての力をこの攻防で使い果たす決意を固めたエリザベスは、その言葉と同時に硬く拳を握りしめ、アンナへ向けて振るっていった。




「ぶひゅっ……それはどうかな!!」


フックで顔面を弾き飛ばされたものの、すぐに体勢を立て直しアンナは反撃の右フックを放っていく。



「がひゅぅっっ…………ぅぁ…………く、このっ!!」


アンナの拳で顔面が90度回転してしまい、軽く失神してしまったエリザベスだが、意識を取り戻した直後、得意のボディアッパーを打ち込んでいく。



「んあっ……まだまだっ!!!」


衝撃で一瞬目を見開き動きを止めたものの、アンナはお返しとばかりにボディアッパーを宿敵の腹へとお見舞いしていった。



「ごひゅぅぅぅっっ……お゙っ……あ゙あ゙っ………………」


腹に突き立てられたその一撃でまたしても悶絶してしまい、金髪の女は完全に動きを止める。


スタミナ切れに加えボディに蓄積されたダメージで動きが鈍いエリザベスに対し、あれだけ殴られていても未だ闘う力を十分に残しているアンナ。


どちらに軍配が上がるかは、火を見るよりも明らかだった。





「…………貴女もお腹も、大分いい感じにほぐれて来たわね」


ぐりぐりと、腹にめり込んだままの拳を捻り上げながらアンナは呟く。


「お゙っ……ん゙あ゙っ…………あ゙あ゙っ…………」


「それじゃ……ショウタイムといきましょうか」


そして涙目で悶絶している宿敵の腹に向けて、容赦のないラッシュを繰り出していった。






「お゙ん゙っ……ぼひゅっ……ん゙あ゙っ……」


既に力が入らなくなってしまった見せかけだけの筋肉の鎧に、黒い拳が次々と突き刺さる。


そんな中、いつも通りの無表情を浮かべた少女が、目の前の悶絶しっぱなしの女へ向けて言葉を投げかけていく。


「ねぇ……刀の鍛え方って知ってる?」


言葉を投げかけながらもボディへのラッシュを止める事はしない。


「あ゙っ…………ごひゅっっ…………お゙あ゙あ゙あ゙っっ…………」


嗚咽にも似た嬌声が返事として返ってくるも、アンナは気にした様子もなく手と口を動かし続ける。



「刀ってね、熱した鉄を何度も鎚で打ち込んで行くんだって……何度も、何度も」


「お゙…………あ゙………………ん゙ぁ゙………………………………」


既に意識を失ってしまっているのか、口から嗚咽すら吐き出さなくなってしまったエリザベスへ向けて、アンナは言葉とラッシュを続けていく。




「打ち込まれる度により鋭く、より強靭に…………格好いいと思わない?」


「………………………………」


完全に失神してしまったエリザベスを見てアンナは黒い嵐を収めると、次いでその右拳を大きく振り上げ硬く握りしめていく。



「私も……そんな感じになれたらなって、ちょっと思うのよね」


そして、鍛え上げられた一振りの刀が真っ直ぐ宿敵の元へと振り下ろされていった。


「お゙ゔゔゔぅ゙ぅ゙ぅ゙っっっ!!!」





いつもの力強く凛々しい強者の姿はそこにはなく、全身を小刻みに震わせ口から胃液を吐き出し続けるだけの哀れな敗北者が存在している。


「あ゙っ…………お゙ぅ゙っ……………………」


10カウントが数え上げられても金髪の少女の瞳に意思の色が戻る事はなく、試合終了を告げる鐘の音が会場内に響いていった。



カンカンカーン!!!


「試合終了~~~~~!!!

 アンナ選手、圧倒的な逆境を乗り越え見事リベンジを果たしました!!!」





(ちょっとは強く……なれたかな)


劇的な逆転KOの余韻で観客が湧き上がっている中、少女は己の拳を見つめ、胸の中に湧き上がる温かな感情を噛み締めていた。








2023.3【Part2】地下女子ボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~/First revenge match with underground boxer Anna - Anna vs. Elizabeth 2023.3【Part2】地下女子ボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~/First revenge match with underground boxer Anna - Anna vs. Elizabeth 2023.3【Part2】地下女子ボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~/First revenge match with underground boxer Anna - Anna vs. Elizabeth 2023.3【Part2】地下女子ボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~/First revenge match with underground boxer Anna - Anna vs. Elizabeth 2023.3【Part2】地下女子ボクサーアンナとはじめてのリベンジマッチ~アンナVSエリザベス~/First revenge match with underground boxer Anna - Anna vs. Elizabeth

Comments

いつの日かまた王座に返り咲く日が来ると思うので、是非気長にお待ち下さいませー。

ナッツが主食

アンナの復帰は遠い未来の話になってしまいましたね... (;´∩`;)

細氷

ありがとうございます! 新シリーズは数カ月後に始まる予定なので是非お楽しみに~。

ナッツが主食

新シリーズ楽しみですね! 来月から始まるのですか?

あかつき

うーん、分かりました。 それではその日が来るのを待っています。

wsd

この後に中長期の新シリーズが控えており、その後になるのでちょっと先になりそうですー。

ナッツが主食

アンナのタイトル挑戦はいつになったら見られるのでしょうか?

wsd

ありがとうございます! アンケートの結果的に来月はボクシングになりそうですが、プロレスもまたやると思いますので是非お待ちくださいませー。

ナッツが主食

トラウマを乗り越えまた1つ成長したアンナの今後の活躍を是非ご期待くださいませー。

ナッツが主食

Thanks for looking forward to it! It may be a little ways down the road, but look forward to Anna having another chance to play an active role!

ナッツが主食

プロレスも面白そうですね

イテ-い

アンナはこれでもっと強くなったのかな??? (・ω・)

細氷

I'm looking forward to seeing how strong Anna will be in the next game.. :)

Marcacis


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