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【無料公開】2022.8 地下女子ボクサー凛香とはじめての防衛戦~凛香VSアンナ~Part2/Underground boxer Rinka and her first defense match - Rinka VS Anna - Part2

○今回の作品について/About this work

■試合内容

※※前編のネタバレ含みます※※


前編はこちら

【無料公開】2022.7 地下女子ボクサー凛香とはじめての防衛戦~凛香VSアンナ~Part1/Underground boxer Rinka and her first defense match - Rinka VS Anna - Part1

○今回の作品について/About this work ■試合内容 JK限定ボクシングリーグの現王者である凛香。 初防衛戦の相手は、前回ミサとの闘いを制したJKリーグ元王者であるアンナだった。 エリザベスに敗れた時より大きく成長を遂げたアンナを前に、苦戦を強いられる凛香だが………… 的な内容で、タイトルマッチの前半戦までを収録...



王者である凛香の猛攻に蹂躙されていたアンナだったが、凛香の体力を絞り尽くす事に成功し反撃を開始していく。

逆にスタミナ切れになってしまった凛香は挑戦者の拳で滅多打ちにされてしまい…………


的な内容で、タイトルマッチの完結編となっております。


ドミネーション要素強めかもです!!



挿絵は立ち絵や差分など含む全7枚、内2枚はFANBOX用の新規描き下ろしです!!

SSは約12500文字となっております。


■Content of the match

**Includes spoilers from the first part*


Anna was being overrun by the onslaught of Rinka, the champion, but she succeeded in squeezing all of Rinka's strength and began to fight back.

Rinka, on the contrary, ran out of stamina and was beaten to a pulp by the challenger's fists............


This is the story of the completion of the title match.

It may have a strong domination element!


There are a total of seven illustrations including standing pictures and differences, two of which is newly drawn for this plan!



★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。

There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)


★For non-Japanese users★

Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m


---

○各キャラ登場作品紹介/Introduction of works in which each character appears

▼凜香登場の「JKボクサー凜香と復讐の地下リング」

▼"High School Girl Boxer Rinka and the Underground Ring of Revenge" with Rinka's appearance (trial version available).

https://www.dlsite.com/maniax/announce/=/product_id/RJ325990.html


▼アンナ登場の「JKボクサー凜香と復讐の地下リング」スピンオフSSまとめ

▼A spin-off SS of "High School Girl Boxer Rinka and the Underground Ring of Revenge" featuring Anna.

https://hate.fanbox.cc/posts/3896185



JKボクサー凛香とはじめての防衛戦~凛香VSアンナ~Part2

High School Girl Boxer Rinka and her first defense match - Rinka VS Anna - Part2

※JK=Jyoshi Kousei=High school girl



涙で歪んだ視界に映るのは、自らの吐き出したマウスピースとキャンバスに広がる大量の唾液。


「はぁ……ひゅっ……お゙え゙っえ゙え゙っ…………ぜぇっ……はぁ…………」


時折鈍い嗚咽を漏らしながら少女は浅く速い呼吸を繰り返し、ひたすら体力の回復に努めていた。





「チャンピオン倒れたまま動けない~~~!!

 このままチャレンジャーの逆転KOなるか!!?」



「お゙っ……あ゙あ゙っ…………」


(お腹……痛いし、身体も滅茶苦茶重い…………)


白いキャンバスに力なく身体を預けている王者。

喉から乾いた呼吸音を吐き出し瞳からは大粒の涙を流しつつも、未だその心は折れてはいなかった。


(でも……負けられない。

 …………早く……立たない、と…………)



「お~っとチャンピオン、カウント9で立ち上がりましたぁ!!

 試合続行です!!!」


立ち上がりはしたものの、膝はガクガクと震えており腕も中途半端にしか上がっておらず、誰が見ても立っているのがやっとといった状態の凛香。


とても反撃どころじゃない彼女の姿を見て、ここからアンナによる蹂躙劇が幕を開けるのかと会場の誰もが予想していたのだが--------




カーン!!!


王者にとって救いの鐘が鳴り響いた。



「ここで第4ラウンド終了です!!

 チャンピオン、ゴングに救われたか!!?」



「…………残念、ここからが楽しい所なのに」


言葉とは裏腹に無感情な声色でそう呟いたアンナは、今までのダメージを感じさせない軽快な足取りで青コーナーへと戻っていく。



「ぜぇ……はぁ……はぁ…………」

(た、助かった…………)


そんな挑戦者の姿とは対称的に、現王者は痛みの残るお腹を抑え、ロープに掴まりながら赤コーナーへと足を進めるのだった。






「大丈夫じゃ……なさそうね。 どう、まだやれそう?」


項垂れながらスツールに座り込んだ親友へ向けて、あきらは優しく声をかける。


「がっ、お゙あ゙っ…………え、えぇ……

  最後のボディ、かなり効かされちゃったけど……まだ全然大丈夫……よ」


嗚咽を溢しながらもセコンドの問いに言葉を返していき、失われた水分を少しでも取り戻すべくドリンクを口に含んでいく凛香。


--------が、


「お゙っ、お゙え゙ぇっっ!!!」


散々痛めつけられた少女の内蔵はそれを受け付けず、喉に流し込んだ液体をそのままバケツへと放出してしまう。


「がっ……あ゙え゙っっ…………ぜぇっ…………はぁっっ………………」


(この展開だけは避けたかったのに…………

 結局、アンナさんの必勝パターンに持ち込まれちゃった)


粘度の高い唾液の糸が口から伸びているのを涙目で眺めながら、凛香はただひたすらに呼吸を繰り返している。


(スタミナ完全に切れちゃってるし……喉の渇きも酷い…………

 次のラウンド、まともに動けるか怪しいわね……)


鈍り始めてきた思考でそんな事を考えていると、キャンバスに打ち捨てられていたマウスピースを回収した由乃が赤コーナーへと戻ってきた。


「おねぇ!!!」



「ぁ……由乃…………」


彼女がひどく心配そうな表情を浮かべていた事に気付いた凛香は顔を上げ、優しい笑顔を浮かべながら愛しい妹へ向けて声をかけていく。


「はぁ……はぁ……カッコ悪い所見せちゃってごめんね……

 次のラウンドで逆転するから……楽しみに……してなさい…………」


それがただの強がりである事など由乃は十分に理解していたが、それでもなお、大好きな姉を信じてリングへと送り出す。


「わかった。 あたし信じてるから……頑張ってね、おねぇ!!」






カーン!!!


「さぁ始まりました第5ラウンド!!

 チャンピオン、先程のダメージは果たしてどこまで回復しているのか!? 」


(身体が……鉛の様に重い…………けど、アンナさんだって私以上にダメージを受けててもう限界のハズ……なら、やられる前にこっちから行くしかない!!)


重い足を引きずってリング中央まで辿り着いた凛香は、一見隙だらけの様に見えていたアンナへと向けて拳を放っていく。


「やぁっ!!」



「先手はチャンピオンの右~~~!!

 青い拳がチャレンジャーの顔面に吸い込まれていったぁ!!!」


これまで幾度となくアンナからダウンを奪ってきた凛香の右ストレート。

今回も挑戦者の無様な嬌声が会場に響くかと思われたのだが、予想に反して王者の耳には酷く冷たい声が届けられていく。


「どんな物かと思って敢えて受けてあげたんだけど…………想像以上ね。

 凛香ちゃん……貴女、試合序盤のパンチ力はもう欠片も残ってないわよ」


「ッッ……そん、な………………」


体力が尽きてしまった凛香の拳は全くアンナにダメージを与える事が出来ず、その認めたくない現実を前に凛香の身体は完全に硬直してしまっていた。


そしてそんな格好の獲物を前に、アンナはお返しとばかりにボディアッパーを繰り出していく。


「おびゅっっ、っが……ぁ…………」


黒拳が柔らかな腹を抉ると同時、王者の口元から大量の飛沫が飛散する。


奥深くまで突き入れられたその拳の感触から、凛香はもはや腹筋にも力が込められない状態である事をアンナは理解した。


「チャンピオン、チャレンジャーの一撃で悶絶~~~~!!!

 これはもはや完全に形勢が逆転してしまったかぁ!!?」



「がっ、ぁ……ぅぅ…………」

(このまま打ち合うのは不味い……このラウンドは回復に専念しないと)


接近戦の間合いから逃げ出すべくバックステップで距離を取ろうとした凛香だったが、動きの遅くなったフットワークではアンナから逃れる事が出来ず、簡単に距離を詰められてしまう。


(ヤバい……逃げられない)


そして腫れ上がった顔のまま微笑みを浮かべた挑戦者が、力の込められた右フックを放っていった。


「ぶふぅっっっ!!」


既に腫れつつある頬を勢いよく抉られ、口元からはマウスピースがこんもりと盛り上がっている。


「チャレンジャーの右~~~~!!!

 チャンピオン、逃げようとするもあっさり捕まってしまったぁ!!!」


「ぁ、ぅ…………がひゅぅっっ!!!」


返しの左フックをまたしても顔面で受け止めてしまった凛香。

その瞳は既にあらぬ方向を見つめており、身体は泳いでしまっていた。



「”どちらが上かその身体に刻んであげる”、だったっけ?

 …………その台詞、そっくりそのまま返してあげるわ!!」


その言葉を皮切りに、獰猛な笑みを浮かべた挑戦者は自らの拳を全力で目の前の女へと打ち込んでいった!!


「ぶげっ、あびゃっ、ごふっ……ん゙あ゙あ゙っっ!!」


「アンナ選手、これまでの鬱憤を晴らすかの様な猛烈なラッシュだ~~~!!

 チャンピオン、為す術もなく顔面を滅多打ちにされてしまっております!!!」


重たい腕を強引に持ち上げて辛うじてガードの構えを取っている凛香だったが、そんな形だけの防御などアンナに通用するはずもなく、拳の嵐は更に勢いを増していく。


「くぅっ……がひゅ……ぁ、ぁぁ…………あびゅっっ!!!」


読者モデルにスカウトされる程に整った顔面が上下左右に勢いよく弾かれ、その度に汗や涙や涎といったJKボクサーの体液がリング上に撒き散らされていく。


(だ、だめ……このままだと…………何とかしないと!!)



朦朧とし始めた意識の中で彼女が選択したのはクリンチだった。

僅かなラッシュの途切れ目をついて、強引にアンナの身体へと抱きついていく。


「お~~っと、チャンピオンここでクリンチ!!

 上手くチャレンジャーの体へと組み付いていきました!!」



「ぜぇっ…………はぁっ……………………」


息を切らして必死に相手の身体にしがみつく凛香。

その姿からは王者のプライドなど欠片も感じ取る事が出来ない。



「クリンチで逃げ出すなんて…………

 貴女、チャンピオンとしての誇りとか無いわけ?」


「ぜぇっ、はぁっ……ぜぇっ…………」


小馬鹿にした声で煽られるも、既に言葉すら返す事が出来ない凛香。

ぷるぷると身体を震わせながら、それでも腕の力だけは緩めずにアンナへと自らの肉体を押し付けていく。


「まぁ良いわ。 まだこのラウンドは終わらないんだし……

 少し休ませてあげるわね……感謝しなさい、チャンピオンさん?」


強気な言葉とは裏腹に、自身もかなり限界が近いアンナ。

未だ公式戦無敗のチャンピオンを完全にKOするべく、体力の回復に努めるのだった。






「ボックスッッ!!」


レフェリーの手によって長いクリンチが終了されられ、試合が再開される。


再開直後、未だ体力が回復していないのかリング中央で棒立ちになっている王者へ向けて強烈なアッパーカットが放たれていった。


「あびゅっっ!!! ……ぁ、ふぁぁ………………」


「凛香選手の身体が派手に吹き飛ばされていく~~~!!

 チャンピオン、またしてもダウンを奪われてしまうのかぁ!!?」


アッパーの衝撃で後ろに力なく数歩程進み、凛香の背中がロープにぶつかる。

そのまま腰が落ち、ダウンを喫してしまうかと思われたのだが------


「あ~っとこれは……凛香選手、ロープに腕を絡めてダウンを拒否だぁ!!」


偶然にもロープに助けられ、凛香はダウンを回避する事に成功していた。




「へぇ、そういう事しちゃうんだ……」


既に満身創痍の状態である王者の姿を見て、アンナは愉しげな笑みを浮かべる。


「なら……お望み通りさっきの続きといきましょうか!!」



そうして、再びのショータイムが幕を開けていった。






「がひゅっ……ごふぅっ…………ぶぎゃっ、あ゙え゙っっ、ぐひゅっっっ!!!」


「チャンピオン、文字通り手も足も出な~~~~~い!!

 完全にチャレンジャーのサンドバックにされてしまっております!!!」



生配信もされているため、会場にいる大勢の観客だけではなく、途方もない数の人間がこの試合を------正しくは、この凄惨な蹂躙劇を目の当たりにしていた。



「そんな弱さでチャンピオンを名乗るだなんて飛んだお笑い草ね!!

 ほらほら、少しは反撃してみなさいよ!!!」


息を切らせながらも、それでもなおアンナは心底楽しそうに凛香のお腹へと目掛けてボディアッパーを打ち抜いていく。


「がっ、お゙っ……お゙え゙ぇ゙ぇぇっっ!!!」


対戦相手の挑発に対して拳どころかまともな言葉すら返す事が出来ず、代わりに横隔膜を殴りつけられた事による低い呻き声がリングに響き渡る。


「ふふっ……いい声。

 それじゃ次は顔面行くから、歯ぁ食いしばって耐えなさい!!」


「ぶはっ……へぶぅぅぅ…………」


左右のフックで頬を叩かれると同時、鈍い声と共に闘う乙女の飛沫が舞い散る。

JKリーグ随一の質量を誇る双丘が激しく跳ねており、挑戦者の一撃一撃が強打である事をわかりやすく証明していた。


「あ゙っ……お゙ゔっ…………ぶふぇっ……んがぁぁぁ……」


反撃の為の拳は既にダラリと落ちきってしまっており、背後のロープに体を預けるのみとなってしまったJKリーグの現チャンピオン。


「ぁ……ぅ、ぁ…………がひゅ……お゙え゙っ…………」


凛々しく整った顔も既に腫れ上がってしまっており、その表情からはもはや生気が失われつつある。


「これは酷い!! 余りにも一方的すぎる展開になってしまったぁ!!!

 頂点に立つ女とは思えない、痛々しい王者の姿が眼前に広がっております!!」


(いま安易にダウンを奪っても、凛香ちゃんなら必ず立ち上がって来る……

 ここは、徹底的にダメージを与えていかないと!!)


だがそんな状況でもアンナは一切の油断をせず、残された僅かな体力を振り絞って目の前の女へ向けてひたすらに拳を繰り出していった。






「ぅ……ぁ………ぁぁ……………………」


既に数え切れない程の拳が少女の肉体を犯し、王者の口からは呻き声すら発せられなくなって来た頃、とある変化が訪れる。


「チャンピオン、大分反応が薄くなって来ました!!

 もしかして既に失神…………お~っと、これは!!!」




「凛香選手……なんと、試合中に失禁してしまったぁ!!!」


JKリーグの頂点に立つ現王者のリング上での失禁。

そんな最大級の痴態を晒しても特に何の反応も示さない凛香の姿を見て、試合を見ている全ての人間が、彼女は既に失神してしまっている事を理解していた。


「だめ……もう見てらんない!!

 あきら姉ぇ、もうタオル投げようよ!! 流石にこれ以上は無理だよぉ……」


股ぐらから温かい液体を垂れ流しにしながらも未だ殴られ続けている悲痛な姉の姿を見て涙目で訴えかける由乃だが、あきらは苦々しい表情で言葉を返す。


「由乃ちゃん……貴女も分かっているとは思うけど、ここは地下リングよ。

 残念だけどセコンドによるタオル投入なんてルールはないの」


「そ、そんな…………」




「ぅ…………ぁ………………」


幸か不幸かここのルールではスタンディングダウンが存在しないため、完全に失神し、あまつさえ失禁してしまっている状況であるにも関わらず、凛香は未だダウンを取られずに試合が続けられている。



だが長らく続いたこの惨劇も、もうじき終わりを迎えようとしていた。


(そろそろトドメ、行っても良さそうね)


凛香の土壇場での粘り強さを警戒していたアンナは敢えてダウンを奪わずダメージを与える事に専念していたのだが、漸くフィニッシュブローを放つ頃合いだと判断する。


「はぁっ……はぁっ…………これでっ!!」


一旦拳の嵐を止め息を整えると、挑戦者は全力で拳を握りしめ、大きく腕を引き絞っていく。


「ふぁぁ…………」


虚ろな瞳で口から弱々しい声をあげるだけの王者には、目の前の危機的な状況を把握する事すら出来ない。


「終わりっっ!!!」


そして、体全身の力を込めたストレートが放たれていく。


予備動作も狙いも丸わかりで、通常の試合であれば簡単に回避されてしまうであろうその一撃は、既に失神してしまっている王者の顔面へと寸分の狂いもなく命中していき--------



「ぷぎゃっっっっ!!!!」


哀れなJKボクサーの身体ごと、大きく後ろに弾き飛ばしていった。




「おねぇ!!!」

「りっちゃん!!!」


リング下にいる凛香のセコンド陣が悲痛な叫び声をあげる中、当の本人の肉体はロープをギシギシと揺らしていく。


「これは…………致命的な一撃が炸裂してしまったぁ~~~~!!!

 チャンピオン、流石に万事休すかぁ!!?」


そしてロープの反動で意思を失った肉体が弾かれ、残り数秒でキャンバスへと叩きつけられようとしていたそんな時--------



カーン!!!


長かった第5ラウンドの終了を告げるゴングの鐘が鳴り響き、次いで王者の肉体がリングに崩れ落ちていった。



「ゴング、ここでゴングです!!

 チャンピオン、ギリギリのタイミングでゴングに救われましたぁ!!!」


試合を決めきれなかった事で一瞬悔しそうな表情を見せるも、次の瞬間には微笑みを浮かべ、キャンバスで無様にノビている王者へと向けて挑戦者は声をかけていく。


「はぁっ……はぁっ…………おめでとう。

 またゴングに救われちゃったわね……アンブロークンさん?」


強気な言葉を発してはいるものの、アンナもまた限りなく限界が近かった。

それ故それ以上凛香の姿を眺める事はなく、ロープを伝って青コーナーへと重い足を運んでいったのだった。






「…………ぇ…………ねぇ………………おねぇ、起きてよおねぇ!!」




インターバルも中盤に差し掛かった頃、凛香の意識はようやく覚醒していった。


「ぁ……ふぁ…………よひ、の…………?」


「おねぇ!! 良かった……目を覚ましたんだね」


瞳の端に涙を浮かべながら姉に寄り添う由乃。


「ひあぃ……は…………?」


そんな妹へ、まだ完全に覚醒しきっていない凛香はぼやけた声で問を投げかける。


「ゴングに救われて今はインターバルよ、りっちゃん。

 身体はどう? ………………まだ、闘えそう?」


心配そうな眼差しで目の前の傷ついた少女を見つめるあきら。

そんな親友に対して、凛香は視線を合わせてゆっくりと言葉を返していく。


「もひろん……まらまらやれるわ…………」


少々呂律が回らなくなって来てはいるものの、凛香はそれでもなお試合を続行する意思を示していった。



だがそれを聞いた瞬間由乃は驚いた表情を浮かべ、姉の手を握ると悲痛な声をあげていった。


「おねぇ……もう無理だよ、棄権しようよ!!

 さっきのラウンドだって……ただ一方的に殴られてただけじゃん!!」


「よしの……」


久しぶりに見る妹の泣き顔に対して、凛香は言葉を返せないでいる。


「もう勝ち目なんてないよ…………

 これ以上おねぇが傷つくの…………あたし耐えられない!!」


声を震わせながら涙目で懇願する由乃。

凛香はそんな妹の頭へとグローブを軽く乗せて、優しく言葉をかけていった。


「ありがとう由乃…………でも、ここで諦めたくないの。

 最後まで……おねぇちゃんに闘わせて欲しいな」


その真剣な眼差しを見た由乃は、これ以上何を言っても意味はないと察していた。

そして涙を引っ込めると、姉に対してお決まりの言葉を返していく。


「もう……おねぇのバカっ!!

 そんな顔されたら、あたし何も言えなくなるじゃん……でも、無理はしないでね」


「ふふっ……ありがと由乃、それにりっちゃんも」


あきらは短い時間で素早くセコンドの仕事をこなしており、それに対して凛香はお礼を述べていた。


「どういたしまして。 個人的には別に王座に拘る必要はないと思うけど……

 どうせなら最後まで頑張って来なさい、凛香」


「えぇ……そうさせて貰うわね」






カーン!!!


「さぁ始まりました第6ラウンド!!

 第5ラウンドでは一方的にボコボコにされてしまっておりましたが、

 果たしてまだチャンピオンに勝機は残されているのか!!?」


試合を諦めてはいない凛香だったが身体は既に限界を迎えてしまっており、コーナーから数歩程動いた所で足を止めてしまっていた。


もはや腕も上がらないのか、中途半端にガードを上げた不格好なファイティングポーズを構えている。


「このラウンドでキッチリ止めを刺してあげるから……覚悟しなさい、凛香ちゃん」


そんな凛香の元へアンナはゆっくりと近づいていき、間合いに入ると同時にジャブを数発放っていく。


「ぶっ、がっ……んぶぅぅっ!!!」


「先手を取ったのはやはりアンナ選手!!」


「しかも凛香選手……ただのジャブで身体が揺れてしまっている~~!!

 もう身体は限界なのか~~~!!?」




(くぅっ……苦しくても、手を……手を出さなきゃ!!)


体勢を崩されながらも反撃を試みるべく、右腕を引き絞っていく凛香。

それに対してアンナも同様に右腕を引き絞っていき、更にその腕に捻りを加えていった。


「チャレンジャーのこの構えは……もしかして”アレ”なのかぁ!!?」



「やぁぁぁぁ!!!」



王者が振り絞る様な叫び声をあげて右ストレートを放つもすんでの所で躱されてしまい、逆に捻りを加えた豪快な一撃をその顔面にお見舞いされてしまう!!



「がひゅっっっ!!!」



「決まった~~~~~コークスクリュー・ブロー!!

 チャンピオンのお株を奪う一撃がカウンターで突き刺さっていったぁ!!!」



「ぁ…………ぁぁ……………………」


その一撃は凛香の身体を派手に吹き飛ばし、少女の肉体は力なく半回転して崩れ落ちていってしまう。


それと同時に女の豊かに実った果実が激しく跳ね回り、大切な所を守る薄布が横にずれ、硬く屹立した突起が露わになってしまっていた。







「チャンピオン、またしてもダウ~~~~ン!!

 これは流石に決まってしまったかぁ~~~!!?」


虚ろな瞳で力なくロープに揺れる王者の姿を見て、”もはや彼女はもう立ち上がる事は出来ないだろう”、と会場の大半の人間はそう考えていた。


「おねぇ!!!」

「りっちゃん!!!」


凛香が倒れ伏しているすぐ下ではセコンドの二人が悲痛な叫び声をあげているが、肝心の凛香はピクピクと震えるのみでその声に反応する様子はない。


「ダウ~~~ンッ!!! 1…………2………………」



「こんな情けない女がチャンピオンだなんて……全く、呆れたものね」


今の一撃に確かな手応えを感じていた挑戦者は、肩で激しく息をしながらも勝ち誇った表情でそう告げていく。


「ぁ…………ぅ……………………」


何も出来ず一方的にダウンを奪われてしまった王者は、乳首が露出してしまった胸を晒しながらロープをギシギシと揺らすのみである。


「ねぇ貴女…………ここのリングに立つの、もう辞めたら?

  妹さんの復讐も済んで、これ以上貴女に闘う理由はないと思うんだけど」


そんなアンナの発言が限界状態の少女の脳内に届けられた直後、凛香の意識は深い思考の海へと落ちていった。






(…………ずっと考えてた)


(エリザベスを倒して由乃を救ったのに、何で私はまだ地下ボクシングのリングに立っているのだろうかと)


それは前々から感じてはいたものの、答えを出せずにいた問い。


(お金? ……確かに魅力的なファイトマネーではあるのだけれど、別にそれが欲しくてやってる訳じゃない)


(チャンピオンの地位? ……別にそれに対して執着心は持ってないわね)


(ボクシングが好き?……確かにそうなんだけど、部活でも普通に出来るし)




(ほんとに私……何でこんな痛くて辛い思いをしてまでここで闘ってるんだろ…………そんな事なら、いっそ……)


”このまま意識を落としてしまえば全てから解放される”と凛香が考え始めた時、なんとなく上を見上げると、巨大ディスプレイに自身のダウン姿が映し出されていた。


(……………………)


眼下に視線を向けると愛すべき人達が必死になって声を張り上げ、会場の2階席の壁にはチャンピオンベルトを巻いた自分のポスターが大きく張り出されており、耳を澄ませば大勢の観客の声援が聞こえてくる。



それらを全身で感じ取っていると、凛香の中に再び熱い感情が芽生えてきていた。



(そっか……いま、解った気がする)


(わたし……ここのリングが好きなんだ)


(自分よりも遥かに強いと思える相手が沢山いて、そんな素敵な人達と全力で拳をぶつけ合える)


(狂おしい程の熱量をもった大勢のお客さん達の声援を浴びて、いつも以上に力を出せて闘える…………そんな、ここのリングが私は好きだったんだ)



半年前までただの学生だった少女は、いつの間にか熱狂渦巻く地下リングの魅力に取り憑かれてしまっていた。


(だから…………最高に楽しいこの瞬間を、思いっきり堪能しなくちゃね!!)



再び瞳に光を宿し、少女が立ち上がっていく。

カウントは9。 先程とは異なりしっかりと腕を上げたファイティングポーズを構えレフェリーにアピールすると、試合が再開されていった。






「ありがとうアンナさん……貴女のお陰で大切な物に気付けたわ」


完全に死に体だと思われた王者が再び息を吹き返している。

その事実に動揺を隠せないながらも、挑戦者はなるべく平静を取り繕い口を開いた。


「へ、へぇ……そう、良かったじゃない。 お礼は拳で返してくれれば良いからね」


心に芽生えた一抹の不安をねじ伏せるかの様に、アンナは立ち上がった凛香に近づくと強引に腕を引き絞りストレートを放っていく。


「えぇ……それじゃお言葉に甘えて、遠慮なく!!」


アンナの意図にいち早く気付いた凛香は目の前の女と同じ様に右腕を引き絞ると、自身に迫りくる拳を迎撃すべく青いグローブを突き出していった。



バキャッッッッ!!!!!



激しい音を立てて女の拳がぶつかり合っていく。

奇しくもこのタイトルマッチが始まった時と全く同じ構図がリング上で繰り広げられていたが、その後の展開は異なるものになっていった。



「ぐっ……あぁぁっっ!!!」


「あ~~っと、チャレンジャー打ち負けてしまったぁ!!

 再びのストレート勝負はチャンピオンに軍配が上がった~~~!!!」


拳の痛みに耐えかね苦悶の表情を浮かべてたたらを踏むアンナ。

そんな無防備な姿を晒してしまった少女に対して、王者は容赦なく追撃の連打を放っていく!!



「がびゅっ、お゙あ゙っ……ごぷぅっ……へぶぅっっっ!!!」

(う、嘘でしょ……この女、どこにまだそんな力が)


動きのキレ、ハンドスピード、一発の重さ、どれをとっても完全にギアがトップに入っていると思わされる王者の姿。


「おぶぅっ……がぅっ……っぷぅっっ……んがぁぁ…………」


アドレナリンに支配された脳は、身体の隅々からなけなしのエネルギーをかき集め、少女の身体を強引に稼働させていた。


「なんと……ここにきて凛香選手が復活~~~~!!

 アンナ選手、なすすべもなく一方的に打たれてしまっております!!!」



「んぐっ……ぶほぉ゙っ……ぁ、ぐひゅっっ…………お゙え゙え゙ぇ゙っっっっ!!!」


反撃を行う隙すら見いだせずに滅多打ちにされてしまっている挑戦者。

鳩尾に深くボディアッパーを突き入れられてしまった結果、瞳から大粒の涙を溢し、くの字に折れ曲がってしまった身体は弱々しく震えていた。


「あ゙っ……あ゙あ゙ぁ゙っ………………」


(このままじゃ不味い…………何とか反撃しないと)


身体から送られてくる痛みの信号を無視し、反撃に移るべく強引に顔をあげるアンナ。


--------だが、



そんな彼女の顔面へと、王者の得意技が突き刺さっていった。



そして強烈な一撃を顔に受けてしまった挑戦者の肉体は勢いよく吹き飛ばされ、力なくキャンバスへと沈んでいってしまう。


「ダ、ダウ~~~~~~ンッッ!!!

 ”これが本当のコークスクリューだ”と言わんばかりの一撃で、チャンピオンがダウンを奪い返していったぁ!!!」




「………………」


仰向けに倒れているアンナの姿を数秒眺めた後、凛香は天へ向けて拳を突き上げる。

その凛々しい王者の姿に会場がこの日一番の熱狂を見せていった。




「ゔぅ゙っ……ぁ゙…………」


試合の序盤から中盤まで滅多打ちにされていたダメージや先のラウンドの猛攻による体力消費に加え、ここに来ての激しいラッシュ。


アンナの体力は完全に底を付いてしまっていた。


「何やってるのアンナちゃん!!

 あと少しでチャンピオンの座を取り戻せるのよ、根性見せなさい!!」


カウントが5を超えても未だ動く気配のないアンナへと、セコンドについているマリナが激を飛ばしていく。


彼女は知っていた。

表面上はなんでも無いように取り繕ってはいるものの、アンナがチャンピオンの座に対して並々ならぬ情熱を抱いている事を。



(そうだ……私はまた、チャンピオンに……なるんだ…………)


その声が響いたのかアンナはゆっくりと動き出す。

限界を超えた身体にムチを打ち、カウント9で起き上がる事に成功していった。




「ぜぇ……はぁ……なに、もう勝った気になってんのよ。

 悪いけど、チャンピオンの座は返してもらうっ、からね…………」


「えぇ……そうよね、まだイケるわよね。

 でも私も負ける気はないから……全力でやりあいましょうか!!」


頬を上気させながら愉しげに喋る凛香に対し、瞳に闘志の炎を浮かべてはいるものの、膝をガクガクとさせ拳にも力が入らなくなりつつあるアンナ。


彼女は既に理解してしまっていた。

再び”狩る側”から”狩られる側”になってしまった事を。


(けど、ここまで来て負ける訳にはいかない。

 絶対に……あのベルトを取り戻してやる!!)






「ボックスッッ!!!」


試合再開と同時に両者はリング中央に向き直ると、全ての想いを拳に乗せたノーガードでの打ち合いが始まっていった。


「ベルトと女の意地を賭けた真っ向からの殴り合い~~~~~!!!

 果たしてどちらに軍配があがるのか!!?」




「ぶぎゃっ……このぉっ!!」


「がふっっ!! ぁ、ぅ……まだまだっ!!」


一発ずつ拳を交換していき、それぞれの嬌声が会場内に響き渡る。

悲鳴が響き渡ると同時にお互いの体液が周囲に飛散していき、リング上に蠱惑的な空間が形成されていく。



「ぐふぅっ! ……今度はこっち!!」


「あびゅぅぅっ!! ぅ……んぁ……ま、まだまだぁっ!!」


一撃ずつの交換ではあるが、元々打撃力で勝っている上にトップギアに入っている凛香に対し、体力はおろか気力すら尽きかけてしまっているアンナでは勝負になる筈もなく、たった数発で完全に形勢が傾いてしまっていた。


「チャレンジャー、押されております!!

 果たしてここから盛り返す事は出来るのかぁ!!?」




「ぶひゅっっ……まだまだぁっ!!!」


「お゙あ゙あ゙っっ!!! …………ぅ……ぁ………………」


そして拳の交換が始まってから約30秒ほどで、アンナの手が止まる。


「あら、もう終わり?

 ……それなら遠慮なく行かせて貰うわよ!!!」


その言葉を皮切りに、JKリーグ現王者による拳の嵐が挑戦者へと襲いかかっていった。




「ぶぎゃ……お゙あ゙っ……あびゅっ…………ぶへぇっっ…………」


「チャレンジャー、手も足も出ず滅多打ちぃ~~~~!!

 虚ろな瞳を浮かべているが、果たしてまだ意識は残されているのかぁ!!?」


「ぁ…………んぅ……」


僅かに意識は残されているものの、もはや満足に身体が動かせない状態のアンナ。

既に気力すらも尽き果ててしまっていた。


(だめ…………かてな、い…………)


王者の拳が身体に食い込む度に情けない声を上げさせられ、その度に体が大きく揺れてしまっている。


「はぶっ……ごぶぅっっ!!! ……ぉ、ぁ…………ぶぎゅぅぅぅぅっっっ!!!」


(この女…………つよすぎ……る………………)



そんな中、ロープ前で完全にグロッキーな姿を晒してしまっているアンナに対して、凛香は息を切らせながらも笑顔で語りかけていく。


「楽しかったわよアンナさん……また、闘(や)りましょうね!!!」


(わたし……ま……け………………)


そして--------


「がひゅぅぅぅぅっっっ!!!!!」


凛香のアッパーカットが、アンナの微かに残っていた意識を完全に刈り取っていった。




「チャレンジャーまたしてもダウ~~~ンッッ!!!

 激しく身体が震えてしまっておりますが、立ち上がる事は出来るのかぁ!!?」


余りの威力にロープから身体がはみ出し、辛うじて片足だけリングの中に残っている状態のアンナ。


「ぁ…………ぅ……………………」


整っていた顔は完全に腫れ上がってしまっており、身体の至る所に激闘の痕が刻まれている。




そして激しく身体を震わせているその少女が意識を取り戻す事はなく、レフェリーによって10カウントが数え上げられていった。


カンカンカーン!!!


「ウィナー、凛香~~~~!!!!」



「試合終了~~~~~!!! 一時は追い込まれる場面もあったものの、凛香選手見事に逆転勝利を掴み取り、初防衛に成功しました!!!」




レフェリーに腕を上げられている中凛香はマイクを要求し、観客へ向けてマイクパフォーマンスを行っていく。


「今日は応援してくれてありがとう。 アンナさん本当に強くて…………

 途中負けちゃいそうだったんだけど、皆のお陰で勝てたわ!!」


普段は勝利後のマイクパフォーマンスを行わない凛香の言葉に対し、会場は静まり返って耳を傾けている。


「ボコボコにされちゃう事も多い頼りないチャンピオンかもだけど、全力で頑張るから……これからも応援してね!!」


痛々しく腫れ上がった顔面に加えて全身あざだらけの身体ではあるが、この会場で誰よりも輝く少女の姿がそこにはあった。








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Comments

またいつか再挑戦する機会があるかもしれませんので、その際は応援よろしくお願いします~。

ナッツが主食

このままあきらめないで、アンナちゃん! 再挑戦して何倍で返してくれるの!

細氷

負けたって…? こうやって負けちゃうの…? (;´∩`;)

細氷

凛香を応援して頂きありがとうございます! 時には負ける事もあるかと思うのですが、これからも応援して貰えると嬉しいですー。

ナッツが主食

凛香、無事に勝てて良かったです。これで敗北してふさぎ込んでしまったらどうしようと内心 心配していました。

ryou1414

楽しんで頂きありがとうございます。 虚しいとまで言っていただける程アンナさんを好きになってくれて嬉しいです。 またアンナが今より成長を遂げて活躍する時もあると思うので、是非その時は応援してあげて下さいませ。

ナッツが主食

コメントありがとうございます。 すぐではないのですが、またアンナさんが試合するのを是非楽しみにして下さい。

ナッツが主食

楽しかったです。しかしアンナがエリザベスに敗れた後タイトルマッチまで到達する過程を見守ったので今回の敗北はとても虚しい敗北だと思います。 アンナは確かにチャンピオンになる資質があったが、不運で無念に負けてしまいました。 でも私は相変わらずアンナはもっと成長して凛香に再挑戦して圧勝できるボクサーだと思います!

wsd

アンナはりんかの強い敵であることが証明された、アンナが将来強くなっても驚かないだろう。

Master-TuT

コメントありがとうございます。 アンナさんはまたいつか活躍するので、その時また応援してあげて下さいませ。

ナッツが主食

要請が受け入れられたことはとても嬉しいことだが...ここまで来てアンナの敗北はとても悲しいことです...

イテ-い


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