差分……まあ、うんこだよね。
この格好でしないわけないよね。
勇者の訪問で沸いていた街に、魔物が襲撃を仕掛けてきた。
住民に乞われるまでもなく、勇者の少女は進んで魔物と戦い、見事勝利。大きな被害を出さぬまま、街を守ってみせた。
しかし、全てが丸く収まったわけではなかった。
その戦いの直後、街の広場では異変が起きていた。
広場の片隅に、奇妙なものが生えていた。
ブルブルと震えながら奇妙なうめき声を上げるそれは、四肢を、そして頭部を地面に埋められた半裸の人間であった。
その正体が誰かということは、言うまでもない。うつぶせの胴体に押し潰された巨大な乳房、頭部が埋まっている位置から飛び出す黒髪、神々の紋章がかたどられた、股間に張り付く鎧らしき何か、そして何より、天に向かって突き出されたデカケツと、何故か隠されずむき出しになっている尻の穴。それらは全て、この街を守った勇者のモノと一致していた。
一体全体、何がどうなってこんなことになってしまったのか。
戦いが繰り広げられている間、避難していた住人達には全くわからない。唯一その場にいた当事者である勇者は、見ての通り会話が出来る状態ではない。
当然、街の人々は恩人である彼女を助けようとした。土に埋まっているだけなのだから、軽く掘ればいい。誰もがそう考えた。
しかしその予想に反して、土は異様な固さだった。
となれば、これが単なる物理的な拘束ではなく、魔法、もしくは何らかのまじないによって行われたものであることは明白で、それならばとこの街で最も優秀な魔法使い、そして神官達によって術の解除が試みられた。
だが、結果は芳しくない。彼らの力をもってしても、全く歯が立たない強力な術であったのだ。
こうなってしまうと、打つ手は限られる。他所へと使いを出し、この術を解くことが可能な程の力を持った者を探し出し、代わりに術を解いてもらうか、もしくはそのような者がこの街を訪れることに期待するか……いずれにせよ、今すぐどうにかすることは不可能である。
そんなわけで、勇者はしばらくこの格好のまま過ごすこととなった。
「苦しくはないか?」「食べ物はいるか?」といったいくつかの質問に対し、首の代わりに尻を縦や横に振らせることで答えさせたところ、少なくともこのまま窒息や飢えで死んでしまったりはしないらしいことがわかった。流石は勇者様だと、街の人々は感心した。
コンプレックスのひとつであるデカケツが大勢の人達に晒されている……勇者自身も、そんな現状は把握していた。あまりの恥ずかしさに、穴があったら入りたいと強く願っていた。
そんな中、突然何かを打ち付けるような音と衝撃が、丁度お尻側から響いてきた。
最初は何事かと思ったが、音はすぐに止み、それによって自分や、街に危害が加えられたわけではなさそうだとわかると、少しほっとするのだった。
その時土の上では、一人の住人が立て札を立てていた。
その立て札には、魔物の襲撃前に撮影された、勇者の写真が貼り付けられていた。
「この立派な尻は、街や我々を救ってくれた、立派な勇者様のものである」
そんな意図が込められたその立て札は、街の人々の感謝と敬意の産物であった。
もちろん、100%の嘘偽り無い善意である。
たとえそれが、傍から見れば「この前は隠してるのに糞穴は丸出しのアホみたいな格好で無様にデカケツを突き出しているエロ女はこんな顔だ!」と周囲に知らしめているようにしか見えなかったとしても。
それからしばらく経ち、勇者は新たな危機に直面していた。
神の加護により、今の少女は飢えとは無縁となっているが、その方法は体内に直接食物を送るというものであった。その結果どうなるか。
そう、少女は今、便意に襲われていた。それも、かなり強烈な。
しかも神が選んだ少女の腹に送り込む食物というのが「健康のために必要なありとあらゆる栄養素がバランスよく含まれている神の完全栄養食だが、量あたりの栄養価が劣悪なのでたくさん食べる必要があり、ついでにお通じも良くなる」というものであったために、少女は土の中で何も食べていないにもかかわらず、常に腹に何かを溜め込んでいるという状況になっていた。
そしてその貯蔵量が今、限界を迎えているのだ。
腹は強烈な痛みを伴いながらゴロゴロと鳴り、「はよ出せ」と訴えかけてくる。
少女にしてみれば、当然人前での脱糞などお断りであり、顔が見えないのをいいことに、とても人には見せられないような苦悶の表情を浮かべ、歯を食いしばりながら必死に耐えていた。
街の人々も異変には気付いていた。
勇者の腹から雷鳴のような音が轟き、それと同時に先ほどまでとは違う、苦しそうなうめき声も土の下から聞こえる。そして時折ビクッと大きく震える尻と、しきりにキュッと締まっている後ろの穴。
人々はこれも魔物の術の効果かと疑い、そして勇者の無事を願い、彼女の周りに集まった。
街中の人々が、うんこ漏らしそうな自分の尻を見守っていることに、少女は気付かない。とにかく出さないよう、全身全霊の力を込めて、耐えている今の彼女には、それ以外のことに気を回す余裕など全く無かった。
それから数時間、人々の祈りと、少女の我慢は続いた。
少女の強靭な意志の力が、限界を迎えてなお、ここまで決壊を防ぎ続けたのだ。
しかしそれも、ついに終わりを迎える。
それは突然のことであった。
ブピッ!
突然鳴り響いた、汚らしい破裂音。そして漂うすさまじい悪臭。
急な事態に驚く人々が、それを勇者の放屁であると認識するより早く、
ブリッ! ブビビイィィィッ!
ガスだけが炸裂するのとはまた違う、若干の水気を含んだ破裂音と共に、勇者の“ミ”が飛び出してきた。
むき出しの穴を内側から押し広げ、ムリムリッと這い出てくるそれは、太く、瑞々しく、そしてとても臭い、立派な一本グソだった。
そしてそれが何本も何本も、後から後からひり出されては、ボトッと地面に落ちてゆく。
その勢いは留まることを知らず、勇者の脱糞ショーは長く、とても長く続いた。
そうしてようやく最後の糞を出し切った時、少女の肛門は閉じないままぽっかりと開きっぱなしになっており、そんな少女の股下には、悪臭を放つ茶色い小山が出来上がっていた。
全てを開放し、強烈な排泄の快楽の余韻で脱力していた少女の耳には、そのすさまじい光景と悪臭にうめく人々の声が、かすかに届いていた。恩人であっても、勇者であっても、臭いものは臭いのだ。
少女は恥ずかしさと情けなさ、そして申し訳なさに耐え切れず、土の中で一人涙した。
勇者のうんちは例によって大地の女神の祝福を受けており、それを利用した肥料は尋常ではない効果を発揮する。これにより、街の緑化や一帯の農業の活性化が著しく進み、人々はいっそう勇者への感謝を深めたという。
もちろん土の術を解くための術者探しもきちんと進められたが、そちらは予想外に難航し、勇者はかなりの期間を実質糞ひり出し装置として過ごすことになる。
毎日毎日、数時間おきに大勢の人に見守られながら大量のうんこをひり出し、その後始末も他人にしてもらう。少女にしてみれば地獄のような日々であったが、街の役には立てている、これも勇者の強めだと、必死に耐えるのであった。
その後、なんやかんやで勇者が何とか土の中から脱出し、街を発ってからしばらくして、ひとつの像が街の広場に設置された。
それは、この街をあらゆる意味で救った、勇者を讃える像。
その像は、四肢と頭を土に埋められ、肛門むき出しの大きな尻を天に向かって高々と突き出す少女の姿を、とても、それはもう必要以上に精巧に再現したものであった。
なお、土産物としてその像の小さなレプリカが出回り、やがてそれをどこか遠くの地で見かけた勇者は、頭を抱えたという。
Hector
2021-07-13 22:13:23 +0000 UTC