緋田美琴ちゃんといちゃマゾする話《11,000文字》
Added 2021-12-30 12:00:00 +0000 UTC「手、冷たかったらごめん」 「うっ、ぐ、ァ」 「そうでもないみたい。身体熱いね。私もだけど」 長くしなやかな指先が、俺の剥き出しの素肌を滑ってゆく。性感帯や急所ですらない、腹を、胸を、脇腹を、愛おしむように。手のひらをそっと浮かせた両手の十指が、くるくると円を描いて這い回る。平時ならばくすぐったいよと笑い飛ばしてしまえるぐらいの、戯れの触り方。 さ〜〜わ、さわ、さわ。 つつ〜〜〜〜〜〜……っ! 「ふっ、ぐ、ァッ……」 されど、俺はその美琴の指先に無様にも踊らされていた。肌の下の筋肉の凸凹に触れられるだけで、熱い吐息を吐き出してしまう。脇腹のみたいな皮膚の薄い箇所に爪をひっかけられるだけで、背筋がくねってしまう。 ペニス。それから認めたくはないけれど、乳首……あとは尻の穴もそうか。性的な刺激を感知するためのレーダーが集中している場所。俺はてっきり、そういった場所を性感帯と呼ぶのだと思っていた。 その致命的なまでの勘違いが正されてゆく。なんでもなかったはずの場所が、美琴に触れられたそばからじんじんと疼き始める。まるで体中を覆っている見えないコーティングが彼女の指によって、ぺりぺりと剥がされているような感覚。その下に隠されていたものが露わになる。 レーダーだ。快感を感じるためのアンテナは、俺の全身にくまなく張り巡らされていたのだ。それらが美琴に触れられることで片っ端から機能を取り戻してゆく。 「鳥肌立ってるけど、気持ちいい?」 俺は答えない。ただ女に肌を撫でられるだけで気持ちいいだなんて、恥ずかしくて認められるわけがなかった。男という生き物は無様な姿を晒してなるものかという意気地によって、心が雁字搦めにされているからだ。 「ふふっ、いじっぱり」 美琴は囁く。男の意地に囚われている俺を前にして、口の中で笑いを噛み殺しているようだった。気持ちいいなら、気持ちいいって言えばいいのに。そんな呆れにも似た気持ちが伝わってきて、思わず歯を食いしばる強さに力がこもる。 俺だってできるならそうしたい。したいけれど、オスの見栄張りグセという性質はなかなかに厄介なもの。頭では理解しているつもりなのに、いざ弱みを見せようとすると自己保身の本能がはたらいて日和ってしまう。恐れてしまう。だって、俺は他人に踏み込ませないようにすることで自分を守って生きてきたから。 東京の学校に通っていたものの、記憶の中の背景はレッスン室のことばかり。そう語る美琴ほどではないかもしれないけれど、俺もまた異性に縁のない人生を送ってきた。だからこうして恋人同士になった今、俺たちはお互いにどうやって歩み寄ればいいのか分からなかった。 胸に抱いている想いを包み隠さず酌み交わし、貪るようにお互いを求め合えばいい。理想を描くのは簡単だ。しかし実際のところ半年の交際期間が過ぎても、未だ恋を覚えたての小学生のようなプラトニックな関係は続いていた。 いかんせん美琴も俺も、寒々しい都会の中で一人生きることに慣れてしまっていて、他人に寄りかかる弱さを身につけていなかった。あるいは過去に手に入れていたけれど必要ないと思って、手放したのかもしれない。 ろくに異性との付き合い方を学ぼうとしなかった俺たちが、代わりに身につけたものといえば、自分の殻へ閉じこもるすべばかり。年齢ばかりを重ねたせいで、今となってぬくもりが恋しいくせに人肌への臆病さを拗らせる厄介な大人に成り果ててしまっていた。 遠慮とか、不安とか、体裁とか。そういったものに足を取られて、お互いをがむしゃらに求めあうことができなくなっていたのだ。だから俺たちは、その枷がわずらわしくて仕方がなかったので——セックスで、全部ぐちゃぐちゃに壊すことにした。 「昨日より、反応良くなってる。……よかった。ちゃんと刺激に弱くなってるみたい」 喘ぎを漏らすまいとだんだん表情が不恰好に強張る俺とは対称的に、美琴の口元が綻んでゆく。真っ直ぐ見つめてくる切れ長の瞳は、俺の些細な表情の変化ですら見逃さないつもりらしい。絶対に目を逸らさないで、と言われているような気がしてならない。 さわ、さわ、さわ……。 さ〜わ、さわ、さわ、さわ。 ひとしきり上半身の前面を撫で尽くした美琴の指は、ある一点へと狙いを定めて円運動を狭めてゆく。 焦らされている。そう意識した瞬間、心臓がドクンと高ぶって痛いぐらいに鼓動が早くなる。アイドル緋田美琴に『男を焦らすこと』を覚えさせてしまった背徳感。加えて自分の弱点を認知されていることへの羞恥心が、俺の身体の感度をまた一段階引き上げる。 く〜〜る、くる、くる……くにっ。 やがて胸の中心にあるふたつの突起物に人差し指が引っかかると、背筋に電流が走った。食いしばった顎から力が抜ける。弛緩した歯の隙間から、意味を成さない吐息交じりの音が漏れた。 「くぅ、ぁっ」 甘く湿った、言い訳不可能な喘ぎ。頑なに意固地だった俺からようやくその音を引き出して、端正な形の眉が八の字に歪む。口元が緩むと形容するのがせいぜいだった口角は、もう明らかに吊り上っている。 雪国生まれの真っ白な肌が、俺を感じさせていることに高揚してほんのりと赤く色づく。女の微笑みは花の開花に喩えられるが、こんなに艶やかな花の盛りを見るのは初めてだった。俺はあの緋田美琴がオスをいじめてその蕾を綻ばせる瞬間を、特等席で目にしてしまったのだ。 「触ってなかったのに。どうして乳首硬くしてるの?」 「っ、ぐぅッ……❤︎」 「ほら。見なくてもわかるもの」 触れるか触れないかぐらいにあてがわれた指が、小さく小さくくるくると回転する。動かしているのは両手の人差し指の第二関節より先だけ。それでも芯に硬さを宿した乳首は、指の動きに釣られるようにして弄ばれてしまう。 ぴりぴりと甘い痺れがたちまち脳内に充満し、視界がぼやける。自分の目尻が垂れ落ちてきているのが分かる。身体だって小刻みに震えているし、吐息だってさっきから美琴の前髪を揺らしている。もう感じている事実を誤魔化しきれない。それでも視線を逸らせない。身体を前に傾ければ一歩も動かずにキスができる距離感で、感じている顔を見られているというのに。なけなしの矜持と、美琴の透き通った双眸とが逃亡を許さない。 「身体さわさわされるのが気持ちよくて、勃っちゃったんだ? 一昨日くらいはくすぐったがってるだけなのにね」 強がって、下唇を噛む。それでも吐息を、身体の中に閉じこめておけない。熱い吐息が唇の隙間を縫って漏れる。自分のものとは思いたくない女々しい悲鳴が、何より羞恥心を煽り立てた。 自分の身体が美琴の手によって感じやすく作りかえられているのがわかる。その感覚は日に日に強まり、今やもう、こうして乳頭をこねまわされているだけで涙が滲んでくる。頭がおかしくなるぐらい敏感な、オスとして恥ずかしい身体を、自分のものだと認めたくない。 射精に全く関与しない部位で感じさせられればさせられるほど、自分が弱い生き物だという自覚が根付かされていく。しかも、相手は美琴だ。これまでの人生で色恋沙汰に全く見向きもせずに、青春時代の殆どを自分の夢を叶えるために捧げてきた女性だ。 つまり俺は、オスに対して無知で無関心だった女の子の手で開発されてしまったのだ。ヒトの序列の中のものすごく下の方に放り込まれたような気分。男慣れした女の子や、テクニシャンに誑かされる性的弱者のいる層の更に下。性の強さにカースト制度があるのなら、その最下部。男に興味がなかった女の子に開発された俺はそこに叩き落とされたようで、この悔しすぎる事実を素直に受け入れられるはずがなかった。 なおかつ、さらに性質が悪いことは—— 「ふぅッ、ぅぅッ……!」 く〜に、くに、くに。 カリカリカリ……❤︎ 「ふふっ。強がってるの、かわいい……❤︎」 ——美琴が、オスを揶揄うことの味をしめてしまった。指を小刻みに動かしながら、反応をつぶさに観察してくる。どんな指の動かし方で俺が吐息を堪えきれなくなるのか。乳首を弾くのがいいのか、摘むのがいいのか、先端だけこね回すのが良いのか。はたまた、他の場所を撫で回すのがいいのか。 美琴の美点。努力熱心な性質のすべてが、俺を辱めるための愛撫に惜しげも無く注ぎ込まれていた。 「こら、逃げちゃだめだってば」 「に、げて、なっ」 「逃げてるよ。乳首弄られるのが気持ちよくて、逃げてる」 「ち、ちがっ」 「ちがうって、何が? こんなにピンピンにして説得力ないよ」 日に増して反応が良くなっていることは、もはや言い逃れようがない。こんなふうにされるまで、俺は気付かなかった。この連日連夜の愛撫はいわば、俺の身体を感じやすくさせるための下拵えだったのだ。人間は適応能力に秀でた生き物だ。微弱な刺激で興奮ばかりを掻き立てられて、射精に至らされることなく、はいおしまい。そんな夜を何日も繰り返されては、本能が勝手に学習し、そのように身体を順応させてしまう。 待てども待てども恋い焦がれた強い刺激は与えられない。それならば、アンテナをめいっぱいに開いて感じやすくなればいいのだと。射精に至る機会があれば、その時を逃すまいと。そうして俺の身体は、媚薬を盛られた発情メス猫もかくやな状態に仕上がってしまった。 犬の顎の下を撫でるみたいに、乳頭の下側を小さな動きで前後させる。ここ数日で24歳のアイドルは、男の乳首の可愛がり方を覚えてしまった。鍵盤の上を踊るようにピアノを弾き、ネイリストには綺麗だと持て囃される白い指が、男を嬲る性技を身につけた。俺のために。俺を感じさせるためだけに。 「こっち向いて」 「むい、てる、ッ」 「んーん、見て」 視界の中心に捉えているのに、目線なんか逸らしてないのに。こっちを向いてと美琴は繰り返す。不思議だ。俺の方が正しいはずなのに、美琴に指摘されるとなんだか俺が間違っているかのように思えてくる。ちゃんと言いつけは、約束は守ってるのに。今すぐ射精したくてたまらない気持ちを押し殺して、こうして生殺しのようなペッティングに大人しく耐えていると言うのに。 心に余裕がないせいで、ちゃんとやっているはずのそういう部分まで否定されたような気がして、俺はついムキになってしまった。 「向いてるって、ばぁっ……!」 まるで拗ねた子どもの癇癪だ。自分の理は通っていて言い分は正しいと思い込んでいるせいで、受け入れてもらえないことに気を荒立ててしまう。 カリカリっ……❤︎ くに、くに、くに。 すぐには応えてくれなくて、美琴の指先だけが動き続けている。右の手は硬くなった乳頭弾きに専心している一方で、左手はぺたぺたと胸元を這い上がり始めた。それから急所の位置を確かめるようにして俺の首へと差し掛かると、そっと頬に手のひらを添えられた。 「見えてないでしょ。うるうるしてるから、お目目拭かなきゃ。ふふっ、乳首がいくら敏感でも泣いちゃだめだよ。男の子なんだもん……❤︎」 笑みを深めた美琴が口にしたのは、更なる焚きつけ。俺の体裁をぐじゃぐじゃに溶かすための恥の上塗り。 諭すような優しい声色。それがかえって弱いオスだと窘められている気になって、茹だるように顔が熱くなった。 ——泣いてない。乳首焦らされて泣いてなんかない。 ——俺の身体をこんなにしたのは、美琴なのに。 ——こんなに弱いオスでも、嫌いにならないで。 感情の境目が失われたみたいだった。なんて言葉で言い返せばいいのか分からなくなってしまった、その刹那。 「ね。だぁくん」 「っ、みーちゃんっ……!」 かろうじて精いっぱい強がり、泣いてないと強く言い返すはずだったのに。『だぁくん』と呼びかけられた途端、俺は感極まってしまって、応じるがままに美琴の愛称を呼び返していた。 だぁくんと、みーちゃん。俺たちがプロデューサーでもアイドルでもない、一人の男と女になった時のお互いの間だけの秘密の呼び名。仕事とプライベートを隔てる区切りの役割を果たすためのものではあるが、付き合いたてのカップルさながらだ。青春の焼き回しをしている俺たちにはぴったりなのかもしれないが、そうは言っても気恥ずかしさは拭えない。 俺は気持ちのやり場を失って、たまらず向かい合って立つ美琴の二の腕を握った。触ろうと思えば、彼女の身体のどこだって触れられる距離感にいるし、それが許されている関係ではある。けれど、不用意に触れば『愛撫のしあいっこは順番』の約束を破ることになる。そう危惧してどうにかこうにか、やり過ごしてきていたのに。心身ともに責め立てられた俺はとうとう美琴本人に寄りかかるしかなくなってしまった。 「ふふっ、反則ギリギリだよ。泣き虫だぁくん」 二の腕を掴むことで、彼女の責めの手を緩ませる。そんな淡い期待と衝動的なやり返しを込めて、ほんのささやかな反撃だった。 むにゅむにゅむにゅぅぅッ……❤︎ 「うっ……❤︎」 俺の無骨な指の先が二の腕に埋まるように食い込んでゆく。毎日遅くまでレッスン室に通い詰めているのに、その身体は女の役目のための肉つきを残していた。身体の中で無駄な部位など存在しないと思わせるほど、美琴のフォルムは細くて美しい。それなのに触ると女性的な肉感がしっかり感じられる、むっちり加減なのだ。背反する矛盾を体現する美琴の身体はとても崇高なものであり、もっともっと味わいたいと思ってしまう。 しかしそれは射精に飢えている今、むしろ自分の首を絞める劇毒と化す。指先で感じ取ったやわらかな女体の感触は、今こそ射精のさせどきだと言わんばかりに、ペニスを雄々しく膨らませる。 「指に力入ってる」 「うッ、ご、ごめっ……」 「触れないのつらいね」 勃起したペニスに指一本触れられない、この気の狂わんばかりの切なさが美琴にわかるはずもない。なのにこうやって優しく言いきかされると、やはり自分の方が聞き分けの悪い駄々っ子であるような気がしてきてしまう。 余計に指先に力がこもる。乱暴に握っても指が食い込む女体の包容力と繊細さが脳の中枢へとフィードバックされ、さらに勃起の角度が上がる。それでまたもどかしくなってつい強く握ってしまう。結局は地獄の堂々巡りだ。発情を促進させる刺激をいたずらに脳の中心へと送り込み続けているだけだった。 「下着の中、見ていい?」 弄り続けていた手を緩ませ、俺の腹や鼠蹊部を撫で回しながら美琴は言う。こういう些細なソフトタッチも彼女が学び取った技術のひとつだ。性感帯に近づく際にはその近くを撫で回すだけで、男のガードは格段に緩くなる。男の脆弱性を理解した上で手玉にとる手管を行使され、動悸が激しさを増す。 どうせ触ってもらえないのなら、射精できないのなら生殺しだ。刺激はほんの少しでも少ないほうがいいし、何より今自分の下着の中がどうなっているか分かるからこそ、嫌だと断りたいのに。 「おちんちん、見ていい?」 「っ、ぅッ……❤︎」 「ね、お願い。見るだけだから」 その見るだけなのが、つらいのに。美琴は全然分かってな—— 「だぁくんが勃起してるところ、見たいの……❤︎」 ——ちがう。確信犯だ。美琴の艶めいたわるい笑みに、囁きの仄暗さに。射精欲をとことんまで嬲ろうとしている気概が透けて見える。 さわ、さわ、さわ……❤︎ つつ〜〜〜っ。なで、なで。 カリカリっ……❤︎ カリカリカリっ……❤︎ 鎖骨の周りや、肋骨の浮き出たところ。それから鼠蹊部の際や胸の突起などを弄り回しながら、美琴のお願いは続く。事務所のテレビを使わせてほしいと言ってきた時も、多忙な時期にレッスンの予約を入れて欲しいと交渉してきた時も。こんなに前のめりにお願いされたことはない。 通用しない。実現不可能。そういった見切りをつけた時は早々に諦めて、次の手を打つ。切り替えの早さはなかなかのものだと感心した記憶がある。 では、なにか。今されている、このおねだりは勝算があってのものだと言うのか。身体を撫でられるだけで、あからさまな誘惑に負けて、俺がそんな提案を呑んでしまうと。美琴は本気で思っているのか。 「おちんちん見たい。見たいよ、だぁくん……❤︎」 カリカリっ……❤︎ つつ〜〜〜〜っ……❤︎ ふぅぅぅぅ〜〜〜〜っ……❤︎ 生暖かい吐息を強張った顔面に吐きつけられ、それに合わせて身体の正中線を撫で上げられる。有無を言わせず、思考が真っ白に塗りつぶされてゆく。 ピンっ❤︎ ピンっ❤︎ 「はうッ❤︎❤︎」 やがて微弱な捏ねまわしに慣れすぎた乳首を勢いよく両指で弾かれた、そのはずみで。理性という名のストッパーが手の届かない場所まで弾き飛ばされてしまった。 「ね、いいでしょ?」 ……コクンっ❤︎ 俺の首肯を確認すると、その白魚のような指がボクサーパンツのゴムに差し込まれた。寛げられた瞬間、下着の中の熱気が開け放たれ、むせかえるようなオス臭さが立ち上る。入れ違いで冷たい外気が下着の中へと差し込まれ、俺の体はたまらず身震いする。 べっちゃぁぁぁ……❤︎❤︎ 「うわ、すごいね。ぐっちゃぐちゃだ……」 下着の中は酷い有様だった。カウパーと汗とが混じり合って蒸されていたせいで、凄まじい匂いがする。真夏の男子運動部のカバンの中みたいな、鼻をつくオス臭さが醸成されていた。俺が分かるということは、この焦らされきったチンポ臭が美琴の鼻腔にも充満しているはずだ。それなのに目の前の顔が良すぎる女は平然としている。平然とにまにましながら、俺の下着の中を覗き込んでいる。 「ローションをひっくりかえしちゃったみたいだね」 「そんなにっ、ひどく、ないよっ……」 カウパーの漏らし過ぎを咄嗟に否定してしまった。セックスしたくて必死にがっついているように見られたくない気持ちからだった。あるいは、もうさっきから美琴に言いようにやられすぎているせいで、心の防衛反応から反抗心が芽生えてしまっているのかもしれない。 「くすっ。ううん、ひどいよ」 「ッ……!」 「女の子にがっついてる感じの匂いがするし……❤︎」 「してなっ、いっ……❤︎」 「してる。くっさいし、セックスしたいよ〜っておちんちんピクピクしてる」 「そんなことっ言ってなっ」 「んーん、言ってる❤︎ おちんちん泣いてる」 一方の美琴も俺の生半な反論を許さない。真っ向から指摘されたくない場所、俺を辱められるポイントをひとつひとつ拾い上げて突きつけてくる。パンツのゴムの部分に引っ掛けた人差し指をくいくいと横へずらして、その下の金玉の状態まで覗きこもうとしている。 「『だ』めだめおちんぽの『だぁ』くん……❤︎」 「ッ❤︎」 「しょうがないよ。童貞だもんね」 「う、うぅッ……!」 胸がドクンと高鳴った。限界まで高められた興奮や羞恥心、悔しさ。そこに今、苛立ちが加わった。二人だけの秘密の愛称で、そんな風におちょくられたことがビキッと琴線に触れた。オマケと言わんばかりに付け加えられた童貞弄りも、今は目くじらを立てずにはいられない。 だって、それは美琴も同じだ。俺と同じ恋愛経験皆無のくせに。燻っていた反抗心が火種を得てムクムクと膨張し、俺はついつい美琴に食ってかかってしまった。 「み、みーちゃんだってっ、みーちゃんだって、処女のくせにっ……!!」 感情にまかせた、あまりに幼稚な反論。ペニスをおっ勃ってながら、女の子に噛み付く男のみっともなさったらない。 「ふ、ふふっ。うん、そう。そうだね。私も、だぁくんと一緒の、処女だよ」 かたや彼女にペニスを小馬鹿にされて童貞をからかわれて声を荒げる男と、かたや真っ直ぐに見つめ返しながら自分の純潔を恥ずかしげもなく口にできる女。この場の優劣関係なんて、火を見るよりも明らかだった。 「処女だけど、だぁくんのこと、気持ちよくできるよ。 んちゅ、ちゅく、ぢゅぐっ……❤︎」 恥ずかしげもなく語った小さな口がもぐもぐと咀嚼する。やがて唾液がたっぷり滴る長い舌が、れろりと俺の眼前に差し出された。たっぷりに唾液がコーティングされた赤い舌は甘い蜜に覆われたりんご飴のようで、思わず俺は喉を鳴らす。その舌に吸い付いても良いということだろうか。言い過ぎたお詫びに、特別に今キスくらいはさせてくれるということだろうか。俺はカラカラに乾いた口を開け、舌を近づけようとして。 「んぁぁ……れぇぇっ……❤︎ れぇぇぇ……❤︎」 その舌が絡めるためではなく、滴らせるために差し出されたのだと理解した。舌先から銀の滴が長い糸を引きながら、垂れ落ちる。人差し指を引っかけられて中身が寛げられたままの、ボクサーパンツの中に向かって、美琴の唾液が垂らされてゆく。 その様子をまざまざと俺に見せつけて、彼女は笑う。 「んぢゅ、んぢゅッ……ペッ❤︎ ちゅく、ちゅく……ペッ❤︎」 アイドルがしてはいけない、挑発的な笑みを浮かべながら。アイドルがしてはいけない、唾の吐き捨てを行う。焦らしに焦らしたペニスに対して、お情けを与えるかのように。 唾が捨てられる音が聞こえ、射精を待ち望むペニスに降りかかるたび、俺は酸欠になるような息苦しさに侵食されていった。やがてひとしきり唾を垂らし、吐きかけた美琴はボクサーパンツを引っ掛けていた人差し指を、おもむろに放した。 パチンッッ❤︎❤︎ 「あぅッッ❤︎❤︎」 「ん。あーぁ、ざんねん。ダメだったかぁ……❤︎」 呆然としていたせいで、なんの準備もできていなかった。無防備な状態のペニスに、美琴のいたずら心によって下着の収縮性が牙を剥いた。わけもわからず反射的に腰が跳ね上がった。腰ゴムの位置に剥き出しの亀頭でもあろうものなら、もしかしたら今の衝撃でパンツの中に無様な射精を晒してしまっていたかもしれない。 せっかく一生懸命がんばって貯めた精液なのに。万が一こんなところで漏らそうものなら、きっとまた最初からやり直しになってしまうではないか。 抗議の視線を向ける。すると、目の前の女はとうとう懲りたのか、両腕を腰の横で広げてみせた。それが俺からの接触を許し、抱擁を受け入れる姿勢だというニュアンスはすぐに伝わった。 考える間も無く、俺は一歩踏み出して美琴の身体を腕の中に閉じ込めていた。 「ふふっ。さっきまでちょっとご機嫌斜めだったのに」 誰のせいだと思ってるんだ、と抗議したいところではある。けれど今は腕の中に収まった女体の感触を脳が処理するので手一杯だった。身に纏うものは下着だけの、ほとんど生まれたままの姿。汗ばんだ素肌同士が、吸い付きあうみたいに重なった。 全身の肌感覚が敏感になりすぎている今、意中の女の子の柔肌はあまりに刺激が強すぎた。抱きしめたはいいが、今にも意識が飛びそうだ。毛の一本も生えておらず、肌荒れひとつない真っ白な肌が、身体のおもて面からずっとその調子で続いている。背中で手のひらを這いずらせてみても、凸凹ひとつ見つからない。 「く、あ、背中っ、すべすべでっ……」 「ん。すべすべでよかったね」 囁きが耳たぶに吹きかかる。ぞくぞくして背中を反らせようとした俺の腰を今度は美琴が掴んで、抱き寄せた。俺たちはお互いに背中で手を組んで互いが逃げられないようにしっかりとホールドし合う形となる。 こうなると、身体の前面の境界がほとんど消失した。下着越しでも隠しきれない美琴のふくよかな胸元が、俺の胸板に押し付けられてむにゅりとひしゃげている。ブラのホックを外せば、もっとこの乳房の重みを味わうことができる。美琴もさっきは度を過ぎるくらい俺のことを辱めたんだ。それぐらいは許されるだろう。そう思って手探りしてみるも、それらしき金具が指に触れない。 「フロントホックだよ。知らない?」 耳打ちは愉快そうな響きを孕んでいて、また俺は経験の浅さを笑われたものだと思った。だから気恥ずかしさから、無理やり話を逸らすために今度はお尻の方に指を伸ばそうとする。だがこちらは明確な、ルール違反のペッティング行為だ。独りよがりに踏み切れない俺は、こっちは許してよと思いながら、次のおねだりに話をすり替える。 「お尻っ、触りたい」 「それはだめ」 「なんでっ、なんでッ……」 「だって、射精しちゃったらどうするの」 羞恥心が頂点に達し、たまらず俺は美琴の身体を強く抱きしめた。そうすることでしか、己の歯がゆさを惜しみなく伝える手段がなかったからだ。 抱きしめあって女の子のお尻を揉んだだけで、辛抱たまらず射精。可能性としてはあり得ると検討されるほど、みーちゃんの目から見て俺はそんなに弱々しく情けないオスに映っているのか。悔しさで涙腺が緩み、声が震えた。 「しっ、しないよぉっ……!」 「ん、はいはい。よしよしよし……」 「お腹に当たってるこれ、入れるために我慢してきたんでしょ? だったらもうちょっとだけ、ね?」 格好を取り繕えなくなったせいで、子供扱いに拍車がかかる。シミの大きなボクサーパンツを腰ごと強く密着させながら、首筋の匂いを肺いっぱいに吸い込んで、大好きなみーちゃんの気配で身体の中を満たす。 「みーちゃんに童貞もらってほしいっ……」 「ん、貰ってあげる。金玉ずっしりさせられて、えらいね。がんばったんだもんね。あと一日、一日だけ童貞我慢しようね……❤︎」 アイドル緋田美琴の筆下ろし発言。自分も初めてなのに、俺がこうして取り繕わない自分の気持ちを素直に吐き出せるようにしてくれたばかりか、コンプレックスの源まで克服させてくれるという。夢にまで見た、大好きな人との初めて体験。今まで妄想の中や、創作の中で思い描くだけで、自分とは無縁のものだと思っていた全てに彩りが宿る。 「私にしてほしいことある?」 答えられない。答えられないけれど、されたいことがないから答えられないわけじゃない。逆だ、そんなに贅沢な悩みを抱えたことがなかったから、頭の中を数多のシチュエーションが埋め尽くしてすぐには答えられなかったのだ。俺はあれやこれやと思い浮かべた末に、もっとも分かりやすく愛情を感じられる奉仕の形をねだっていた。 「キスっ、キスしてッ……」 「ん、いいよ。私もね、したいと思ってた。今日やり過ぎちゃったから。お詫びを込めてね。だぁくんの身体、頭のてっぺんから足の先まで、心を込めてキスするよ」 「ッ、みーちゃんッ……❤︎」 好きな相手なら当然なのだろうけど、俺は格別にみーちゃんの顔が好きだった。ひたむきな一生懸命な顔や、笑った顔や照れた顔。どれもこれもキラキラと可愛らしい。だからそんなみーちゃんから、愛情たっぷりのキス顔を自分にだけ向けられると考えると、それだけでとんでもない多幸感と期待で満たされて仕方なくなってしまうのだ。 しかも頭の先からということは、今刺激が欲しくて欲しくてたまらないガチガチに立ったチンポの先まで口づけをしてくれるのだろうか。長い睫毛をそっと伏せ、弾力のある唇をちゅぱっと鳴らしてOの字に歪ませ、そのまま俺のペニスに——あぁ、ちくしょう。されたいなぁ、されてみたいなぁ。ダメ元でお願いしてみようかな。だってみーちゃんは歌やパフォーマンスでみんなに感動を与えるために、アイドルなんだから。アイドルとして自分の価値を高めることを誰より重く見ている女性だから、そういうのを全部踏みにじるようなプレイは受け入れられないと思うけど—— 「私、だぁくんの身体なら、お尻の穴にだって。顔を埋めて何時間だって舐めまわせるよ」 「ッッ!?❤︎❤︎」 「ふふっ、あーぁ……ざんねん。さっきのパンツのゴムパッチンはダメだったから、今度こそ、手を触れないで射精させられると思ったのに……❤︎」 「こ、このっ、みーちゃんッ……みーちゃんっっ……!!」 「ごめんね、いじわるして。ん、じゃあおちんちんヘナヘナになるまで、このままでいよっか」 「うぅっ、許さないっ、ぜったい許さないっ……」 「ごめんごめん。でもさっきの言葉は、本当だからね」 「う、ぁッ……」 「ほら、おちんちん小さくして?」 「無理っ、無理ぃっ……」 《おしまい》
Comments
>黒 やぁぁぁぁぁ……(ご感想が身体に染み渡ってゆく歓喜の悲鳴) ご感想ありがとうございます。内心とてもぴょんぴょんしております。 処女美人さんに「君と同じ立場なのに君より強くて、なんかごめんね」ってスタンスを取られて、意図せず彼我の強弱関係を敷かれてしまうの良いですよね……。 みーちゃんはまだいじわるに目覚めたばかりですので、これからもっともっとオスの弄り方をおぼえていくのだと思います。 私自身次にみーちゃんを書く際にはエロに振り切りたいなと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。 またお口にあったのでしたら、こんなに嬉しいことはございません。 お粗末様でございました。
おはこ
2022-01-04 16:11:24 +0000 UTC>matto うおおおあおおおゥァ……!! 熱量のこもったご感想ありがとうございます😭 歯切り悪くワンシーンを抜粋したような消化不良感が否めない仕上がりになってしまったので、その有難いお言葉は冷え切った身に染み入ります。 こちらこそ本当にありがとう……ありがとう……。 お陰様で良い年明けを迎えられました。 我が身に対して無頓着だった緋田美琴が、恋人の視線を通して自分を意識することで少しずつ「みーちゃん」になっていく。そうやって人肌を取り戻していってほしいなと願いをかけた産物でした。 繰り返しになりますが、愛してくれてありがとう。
おはこ
2022-01-04 16:02:55 +0000 UTC処女なのにセックス強い美人に甘々な呼び名呼び合いながら色々弄られるシチュ素晴らしかったです。 特に乳首責められて感じてる恥ずかしい顔見られてるシチュが最高でした。 是非またみーちゃんに童貞弄られるシチュか、奪われるシチュ書いて欲しいです。 年末に素晴らしい作品をありがとうございました。 来年もよろしくお願いします。
2021-12-30 15:47:34 +0000 UTCありがとう……ありがとう……これで年が越せます…… あと一日ってことは作中時間が外部と同じならちょうど大晦日の晩にだぁくんとみーちゃんの素敵な時間があるんですね…… お互い初々しいカップルでよわよわ男子とつよつよ女子ができてる場合、一般論や経験則ではなく相互理解の結果生じた関係なのが強調されてとても素敵でした。 プロデューサーの口調も後半しっかり幼めの甘えん坊口調になっていて、貰って、とキスして、のところが本当に良かったです。 美琴さんも、あのこだわりが強いのに一見飄々とした風情が今回の御作の趣向とベストマッチでしたね……すべすべでよかったね、のところほんとすごい。 末筆ながら、どうか良いお年をお迎えくださいませ。
matto
2021-12-30 12:37:34 +0000 UTC