約1年前、猫の穴のリングで女王として君臨した龍花は、新人デビューした織慧に惨敗してしまう。あれから時間が経った現在。
ズドッ!
「うぶッ…!!うぅッ!!」
「うわさはきこえたけど、想像以上に腐ってしまったな!何か反撃してみたらどう?」
ドズン!
ストレート一発で織慧のガードが壊れ、コーナーの端まで飛んでいく。龍花が無防備となったアヒルにラッシュをかけたその時、ラウンド終了を告げるボールが鳴る。
カーン!
「チッ!」
試合が開始されてわずか2ラウンドで織慧はぼろぼろになっていた。
「柚花さん、相手はインファイターとして全ての条件が柚花さんの優位に立っています。こんな泥仕合では勝算がありません。戦略を変えたほうが...。」
「アウトボクサーの真似でもしろというの?彼のだめアイドルも全く相手にならなかったのに、私がどうやって···!それにまだ勝負はついていない。このまま続ける!」
「...。」
カーン!
(パンチ力には自信がある。1発!1発だけぶち込めばいい...!)
一年前の試合で織慧は会心のボディーストレートでリュカをマットに沈めることができた。あの時のようにさえできたら…!
(今は堪えるんだ…!)
第3ラウンド中盤、リュカのラッシュに耐えてガードが緩んだ時を狙った織慧は、ついにそのタイミングをつかむことに成功する。
「今よ!」
リュカの腹部深く突き刺すストレート。織慧の渾身の一撃だった。しかし···。
「こ、これって...?!」
皮下脂肪の内側に隠された腹筋が織慧の拳を遮断し、致命打を与えることができず、途中で塞がれてしまう。背筋がぞっとする感覚に頭を上げてみると、勝利の微笑を浮かべているリュカと目が合う。まるですべてを知っていたかのように。
(くっ!やられた...!)
慌てて体を後ろに引くが、すでにリュカの間隔。リュカのボディーアッパーがアヒルの柔らかい腹部を突き破る。
「ぐうッ!!うえぇッ!!くえぇッ!!」
「ふん、バカめ。私が今までお前のようにあそんでいたと思う? 私はあの時みたいに馬鹿らしい敗北を経験しないために、この究極の肉体を完成させたのよ。」
こんな腹筋、1年前の試合の時はなかったはずなのに…!
リュカの筋肉量が1年前より飛躍的に増加したことは、腕のふえた筋肉だけを見ても簡単に分かる事実だった。でも頼れる戦略がこれしかなかったから、認めたくなかったからわざと目をそらせていたんだ。
「うぶえぇぇッ!!」
リュカのグローブが下腹に刺さったまま、織慧が多量の胃液をマットにこぼす。ガードまで下に落とした織慧をリュカが無差別に暴行し始める。
....
...
..
ドン!ドン!バシ!
子供の頃。その日、龍花が織慧をサンドバッグに縛って殴っていた。
「今のフォーム、どうだった?」
「素晴らしいストレートでした。お嬢さん。」
織慧を連れてビジネスで熊切組を訪れた織慧の父と熊切組の組長が、龍華が織慧をリンチするのをそばで見守っていた。
「最近、娘が闘技場に行ってきてボクシングに興味が強くなってね...。こんな誕生日プレゼントまで準備してくれるとは。それにしても君の娘の教育方針もよっぽどタフだな。」
「自分の母に似ていて社会教育が足りない子です。 何...うちの子会社で新たに開発した新薬を使えば、このくらいは簡単に回復します。もうすぐ投薬を行うので、見ていただいて 新しくバージョンアップしたナノ治療剤の件についても…。」
....
...
..
「ぐぶッ...!!」
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