メギィッ!!ズドォンッ!!ドズゥン!!
ズドオォォンッ!
「おげぇッ!!」
『またボディー!織慧選手!ボディー攻撃に苦戦の連続だ!』
地下闘技場猫の穴のリング上。試合序盤までは相手を追い込み有利な戦いを展開していた織慧だったが、4R中盤相次いでボディーをヒットさせ、以後コーナーで相手選手のボディーに一方的に殴られていた。
「この雌豚!今までよくもふざけてくれたな! 」
メギィッ!!ズドォォンッ!!ドズゥン!!
「うぶうぅぅッ...!!おぶぅッ!!」
『織慧選手!ボディーに撃沈!なんとか次のラウンドまで持ち堪えようとしたが、結局ボディーに逆転負けだ!』
ユメミに勝った後、次の試合を敗戦で飾った織慧が控え室から出ていく時だった。
「久しぶりじゃないか令嬢殿。ザコ相手にぶん殴られて、見ないうちにまたろくでなしいサンドバッグに戻ってしまったのかよ。」
「お、おまえ…!どうして...。」
成金みたいな一寸ださい派手なファッションに、男のような体格の女が織慧に近づいてくると、織慧が眉をひそめる。
熊切 龍花(くまきり りゅうか)。一帯を牛耳るヤクザ熊切組の娘で、織慧とは父親の縁で知り合った長年の悪縁。いくら傍若無人な織慧でも煙たい相手だった。
「ああん!?ここうちの父が管理していたの知らなかったのか? 偶然にお前を見つけてけりをつけるつもりだったのによ。これは使えないな。」
「それは悪かったね!私はお前なんか相手にする気ないんだから、これ以上用がなければ帰る!」
「そうはいかないなぁ!うちの子たちが血眼になってお前を探しているんだぞ? 父親が死んだ当日、突然行方不明になったお前をね。」
「え…?今何て…?」
聞き間違い?お父さんが死んだ?あの人が…?
「あれ?くくっ、その顔。知らなかったのかよ?まぁいいじゃん。そんなに嫌いだったお父さんだったし。だからこんな闘技場までうろうろする外道までしたんじゃない。金持ちの分際で。」
「其の話はいい!それって本当?それに何で警察じゃなくてヤクザが俺を探しているのよ!」
「落ちぶれても結構残っていたということよ。お前のお父さんの遺産。今、お前のお父さんの恋人だった女が相続することになっているんだが、後にでもお前が現れて相続権を主張したら、面倒くさいじゃない?」
「...だから私を拉致したって? お金のために?」
「誘拐?バカかお前。山に埋めれば終わることを何でそんな煩わしいことをする。急にいなくなって気づいて行方をくらましたと思ったのにさ。」
「くっ...!」
「ふん、碌でなしになったお前を見て、そのまま上に知らせてしまおうかと思ったが、サンドバッグなんかに負けたまま埋めてしまったら、僕の一生の汚点になってしまう。だからさ、丁度一か月待ってやる。その時まで実力を戻せないと、お前はリングの上で私にぶん殴っで死ぬのよ。わかった?」
龍花が脅すように通り過ぎた所から少し離れた場所で、伊勢島といのりが廊下を並んで歩いていた。
「熊切 龍花。長い間見えないからといって油断したね。」
「最後の試合で柚花さんに負けた以来、一年半ぶりでしょうか。この一週間、外に流出された気配はありませんが、どうするつもりですか?時間の問題だと思いますが。」
「すでにおきてしまった事よ。あちらから動くまでは、していたとおりにしろ。」
「ふうん、そうだったわけね!」
伊勢島といのりが後ろを振り向くと織慧がいる。
「盗み聞きとは、相変わらず癖の悪いガキだな。」
「おばさんは関係ない!小石川!あなたちょっと顔貸して!」
....
...
「お聞き及びのとおり.. あなたのお父さんは、あなたがここに来る前日事故で亡くなりました。」
「何故黙っていたんだよ!」
「矢張りショックだったんですか?」
「別に...あいつヤクザと絡んで、家では暴力を振るうクズだったし。死んだって何共ないの...。」
しばらく沈黙が続くと、いのりが言葉をつなぐ。
「今回のことは、遺産のなかで一つの土地文書が原因です。元はつまらない土地でしたが、この前再開発が決まっで、ヤクザたちが欲しがる十分な価値を持つようになったそうです。偶然暗殺の情報を入手した伊勢島さんは、密かに先手を打って柚花さんを誘拐しリングに隠すことになったのです。」
(どう考えても変だと思った。その打算的に見えるおばさんがたかだか借金で拉致監禁だなんて…。)
「伊勢島さんはリング独立のための取引材料として、柚花さんが必要だったのです。熊切組はこの地下リング。猫の穴の弱点を握って毎月巨額の上納金を要求していたからです。」
リングの弱点?かなり気になるんだけど···。
「何よそれ...リングの弱点て?」
「それは...。」
少しじらしていたいのりが何か決意したように言葉を継ぐ。
「このリングで人が死んだんです。」
え?どうやって?脳死状態の人間も生かすのが現代医学。絶対に普通ではなかった。
「人が死んだ?それ大スキャンダルじゃない。ひょっとしたらここから抜け出せるカギになるかもしれない。そのスキャンダルについて詳しく教えて!」
しかし、今まですらすらと話してくれたのとは違って、いのりから戻ってきたのは拒否の意思だった。
「その件については何も話すことがないんです。」
それはいつもの無味乾燥な話し方とは違う、寒気が感じられるほどとても冷たい話し方だった。これはもしかして...。
「お前も何か絡んでいるんじゃない?」
「....」
「どうなの?」
「私が教えられるのはここまでです。」
いのりの意志は揺るぎないものに見えた。
そういえば、こいつとはここに来て長い間一緒に過ごしたのに、私はこいつのことは何も知らないんだ。こいつは一体何?
そうにらみつけてかなり時間が経ったにも何の進展もないと、織慧が先に我慢できずに爆発する。
「あなたね!ここまでよく話していたくせにいきなりなんなの?使用人とか言うくせに不利になるからもうそんな設定いらないってこと?」
今まで視線をそっと避けていたいのりが瞳を動かして織慧に視線を合わせる。
「それじゃ一つだけ。唯一つだけはっきりと答えさせていただきます。」
一つだけ?こいつ生真面目で一度決めたからには最後まで口をつぐむと思ったのに...
そうだとしても、だからこそ本当の最後のチャンス。
聞くとしたら何を?
いや、迷うこともない。ここは当然…
Google Form: 1FAIpQLSepBsWSP9kRmtNLmxC-mNK1nIHI7SNWLZJ6qDccgkGfyjTQWQ
※Ending分岐です。分岐によって最終戦の相手が決まります。
投票は6月3日18時に締め切られます。
※ This vote is the turning point of the Ending
The result of the vote determines the opponent of the final match
Voting closes on 06/03/21 09:00(UTC)
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Haju
2021-05-29 02:22:06 +0000 UTCpurplet
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