※投票結果によってB分岐で進行します。
「!?こいつ…!」
下着の上をこする感覚に、ウィップがばか臭くて出ようとする空笑いを飲み込む。
(クンニですって?ばかばかしい!ぶん殴られて頭がおかしくなったのか?)
「そんなに舐めたければ思う存分舐めてみな、ただし…!」
「!?」
ウィップがポジションを変更し、自分の陰部を鈴の口に当てた姿勢でトライアングルチョークをかけると、鈴の首の上にかかった足が処刑場のギロチンのように鈴の首を圧迫する。
「ぐずぐずすると、首の骨が折れてしまうことになるのよ?」
悪魔族上位個体に属するサキュバスは精気を吸って生きる分他の種族の平均値を上回る強い精神力を持っており、いかなる性交でも優位に立てるように訓練を重ねる。
それは人間の技なんかでどうするものではない、況してこんな小娘など。しかし、その確信がまちがったことを気付くのにそう長くにはかからなかった。
(な、何たって...!?)
クリから感じる予想以上の強い刺激にウィップは少なからず動揺していた。クリに直接触れているわけでもない、たかが下着の上をなめているだけなのに人間の小娘なんかがどやって…!
「んひっ...!」
思わず噴き出した嬌声。その事実に驚いたウィップが技を解き、鈴から逃げてしまう。
『抜け出した!これは一体…!?ウィップ選手、突然技を解いたみたいなんだが、何か事故があったんでしょうか?』
一方、ロープに逃げた鈴は自分に起きた小さな異変に気づく。立ち尽くすのが精いっぱいのほんの少しだけの体力だったが、たしかに回復していた。
(体力が戻った…?)
「こ、このガキ一体何をした!」
下着から流れ出る哀液を手で塞ぎながらふらつく足をまともに支えられないそれは、とんでもない格好をしていた。プロレスのせいでなおざりにしたとはいえ、サキュバスがわずか人間の女の子の性交から逃げたという事実に、ウィップの顔は怒りと羞恥心で真っ赤に染まっていた。
「何かしたって…!勝つためにこんな罠まで仕掛けたあなたが言うことなんですか!」
「黙れ小娘が!くっ...!ぶっ殺してやる!」
ロープに振って飛付くウィップ。体力が少し戻ってきたとはいえ、体はまだ重い。
よけられるか?しかし、ウィップのキックは、股間のズキズキとした感覚に、その軌道が揺れてしまって、鈴のローリングソバットがウィップの顔面を蹴っ飛ばす。
ドカッ! 「ぶうッ!!」
鈴がバランスを失って倒れかけた体をロープの方に傾け、その反動でウィップに向かって突っ込む。 ウィップが鈴を打ち返そうとするが、鈴が先にローキックを飛ばして反撃を遮断する。
(くっ...!また彼の技を...!させるか!)
鈴がローキックに続き、上半身を狙ったスーパーキックを飛ばすが、ウィップが予想していたかのように両手で受け止め、会心の笑みを浮かべる。
相手に無差別にキックを乱射する鈴のコンビネーションキックは、ローキックとスーパーキックでそれぞれ下半身と上半身を崩す事前動作が必要だった。それさえ知っていれば、こんな技など…!
ドカッ!!
「くっ!!」
『延髄斬り!ファイターエンジェルの延髄斬りが的中!』
急に上体を後ろに引いて致命傷まではいかなかったが、あごをかすめた衝撃が脳を大きく揺さぶり、バランスを失ったウィップのお腹に鈴のミドルキックが突き刺さる。
「ぶえぇッ!!」
先ほどニーキックに殴られた場所にピンポイントでミドルキックが刺さると、苦しいうなり声をあげながら胃液を吐き出し、殴られた腹を押さえて武装が解除されたウィップにコンビネーションキックが流星の如く降り注ぐ。
「はあぁぁっ!!」
ドカ! ドカ! ドカッ!!
「ぐッ!!ぐう!!ぶうッ!!げッ!!」
キックの連続技に耐え切れず、倒れたウィップが体を這ってロープを掴むが、鈴も必死に追撃して攻撃を続行する。
「ファイターエンジェル!ロープで逃げたウィップにキックラッシュ!しかし止めるレフェリーがない!」
(あ、ありえねぇ!こんな小娘なんかに二度もやられる事など…!)
体力が枯渇してもうチャンスがないと直感した鈴の最後のラッシュ。しかし、結局限界に達した鈴が後ろに下がって息を荒くする。
「はぁっ...!はぁ...はぁ…!」 (ダメ、もう体力が…!)
「くく...!あと一歩だったのに残念だったわね!その様子じゃ、もう指一本動かすできないだろうな!」
ロープをつかんで立ち上がったウィップが顔面にエルボーを皮切りに、無防備になった鈴に攻撃を浴びせ始める。
ドムゥ!!
「がはあぁッ!!」
傷だらけのお腹にもう一度ニーキックが刺さると、鈴の口から溢れ出た鮮血がマットを赤く濡らす。
「もうお前に二度はない!ここで根絶やしにしてやる!」
(私は勝てないの?ここまで来て···!先輩!)
....
...
「鈴。今のあなたには決定的に不足なものが二つある。」
有里が行方不明になる前、彼女は鈴の個人的なトレーニングのめんどうを見ていた。
「最初はパワー。そして二つ目はそれを補完するための必殺技よ。」
「必殺技?今のままじゃだめですか?」
「あなたは技のバランスが良くない。打撃技は相手の階級が大きかったり、グラウンドみたいな状況で威力が半減したりする弱点がある。」
「それは···。」
「それにプロレスでは、試合中に有利な状況にあっても決定打がなくて負ける試合も多い。そのために今日は鈴に似合うフィニッシュムーブを考えてみます。」
「でも私、パワー系なら初歩的なDDTにしか...。」
(DDTか…シンプルだが簡単な分だけ威力もある。でも···。)
「...やっぱりだめでしょうね?」
「いや、それにしよう。鈴、あなたには私の取って置きを教えてあげる。」
....
...
「止めだ!」
ウィップが鈴をロープで投げた後、反対側のロープに体を振って、戻ってくる鈴に突撃する。
「くたばれ!ファイターエンジェル!!」
戻って来る鈴に最後のフライング二キックを打込むとした瞬間、鈴が急に後ろを向き、体が空中に跳ね返る。
「飛んだ!ロープも、リングポストもなしに、いきなり飛んだ!」
(ムーンサルトだとぉ...!!)
リング中央で行った突然のムーンサルトに、体が固まった瞬間、鈴がウィップの首をつかんで上半身に乗り込む。何かが大きく間違っていることに気付いた時にはもう手遅れになって、鈴必殺のDDTがウィップの頭を地面に華麗に打ち付けていた。
(私は負けられん!この戦だけは、絶対に...!!)
『ト、トルネードDDT!爆弾の着弾音とともにウィップ完全沈黙!最後の最後、再びエンジェルのDDTに撃沈された!』
(ただのトルネードDDTじゃない。ロープの反発力、ムーンサルトの落下力、それにDDTの慣性が加わったその破壊力は…。)
「まさか彼の技を使えこなせる人がもう1人いるとは思わなかったです。」
「リリナ様…。」
彼のトルネードDDT。それを使える人はあいつしかいない。でも、そのまえに...。
「また未来を見たんですか。」
「いいえ。マリア、知っていますか? 賭けというのは投機する人がお互い違う方向にかけてこそ成立するものですよ。そういうことです。」
悪魔神の神託により巫女として生まれたリリーナは、様々な異能を持っていたが、いずれもかなりの反動を持っており、マリアは彼女が異能を濫用することを望まなかった。 しかも、わずかではあるが、天使の味方をしたことも、マリアを釈然としないものにしていた。
「マリア。」
「はい。」
「今からでも自分と向き合ったほうがいいと思います。手遅れになる前に…。」
(自分たと...?それは私じゃない。リリナ様...迷っているのか。)
鈴の勝利として幕を閉じた地下デスマッチは予想外の展開に慌ただしい雰囲気を帯びていた。全ての体力が放電した鈴がリングの上で倒れると、球速から脱したリナが鈴に走ってくる。
「鈴!しっかりして!」
(まさか...! いや、気絶しているだけ。)
リナが気を失った鈴を抱きしめていたところだった。鈴に地下リングの位置を教えてくれた彼の男が近づいてくると、リナが冷たい視線を向ける。
「さあてと、君達。彼らの心が変わる前に退散することにしようか。おじさんが送ってあげよう。」
「あなたが彼の人間協力者ですね。」
「ふふ、そんなに警戒しなくても...。今私はあなたたちの味方だからね。ここは市外からも遠く離れている。其れとも、その体で歩いて行くつもりかい? 」
何かためらっていたリナが、気絶した鈴を男に預けて口を開く。
「ここから出るのは鈴だけ。私は行けません。」
リナの返事が意外だったのか、男も少しうろたえたようだった。
「君のせいでこんなことになったが...残るというのか?ここに残っていたら絶対無事では出られないぞ?」
「私にはまだやるべきことがあります。」
彼女の瞳に映った固い意思に、男は考え直して彼女を連れて行くのをやめる。
「そこまで言うなら…しかし彼女には何と伝えばいいんだ?目を開ければただでは済まないはずだが。」
「鈴には… 彼女が目覚めたら私の伝言を伝えてください。」
Note : カラー作業を矯正中なので、イラストが均一ではない事、ご了承ください。
ついにレッドウィップ編が終わりましたぱちぱち。この展開なら後にまた出なければならないようですねw
終わったついでにウィップについて話しますと、 実はこのキャラ、われわれの鈴がこんなに強いです! ということを見せるために作られ、今後登場させる予定なかったのですが...。
何か元このポジションだったネロミに負けてしまって…其の原因で鈴の戦闘力が最初の計画より弱体化してしまって、適当な相手を新たに設定する過程でウィップを復活、サイドアームズまで作るという話になってしまったんですね。
まあ適当に描いたデザインだったんですが、デフォルト的な美形悪魔に種族も認知度の高いサキュバスだったから、使い捨て用に使うにはもったいなかったのも理由の一つだったとかw
しかし、プロローグでだけ出ると思って苦手なロングヘアで描いてしまったのは本当不覚...。
それから、次は多分パプリカそれともポイズンローズでお伺いする予定です。
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キタ・ヤマト
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