「どうしたんですかパイセンさん、さっきからただのサンドバッグじゃないですか。」
試合が始まってもう4ラウンド。認知はしていたものの、思った以上に優れたユメミの動体視力は、織慧に全く有効打を許さず、織慧はコーナーに追い込まれ、ユメミに一方的になぐられているだけだった。パンチ力は大したものではなかったが、このまま消耗戦が続けば、織慧の敗北は明白だった。
メギィッ!!ズドォォンッ!!ドズゥン!!
「ぐッ...!!ぐえッ...!!」
「こんなくそ弱い腹部でよくスーパールーキーとか、私の先輩に成り済ましたんですか?ガラス腹部のパイセンのため、この可愛い後輩がキチンと鍛えさせてあげますわ~!」
(こ、こいつ!おもいきりなめちゃって...!)
カーン!
(終わっ...)
ラウンド終了のゴングが鳴ってガードを下ろしたその瞬間、ユメミのボディーが織慧の腹部深く突き刺さる。
「ふふ、馬鹿なパイセン。最後まで油断しちゃだめでしょうね?」
「ぐうッッ...!うえぇぇッ...!」
ユメミが織慧の腹に差し込んだ拳を捩じると、織慧の口からこぼれた胃液がマットにまき散らす。 レフリーの介入で、ようやくユメミのボディーから解放された織慧が殴られた腹を抱えて、自分のコーナーに逃げ込むように戻る。
「おぶッッ...!!うぅぅッ...!!うえぇッッ...!!」
「大丈夫ですか?」
いのりから渡されたバケツに織慧が口いっぱいに含んでいた胃液をお腹の苦痛とともに吐き出す。
「かはッ…!大丈夫じゃない!あいつ、腹だけねらって…!」
「ご存知だと思いますが、彼女も織慧さんの以前の試合を見ました。ボディーが弱点だということぐらい、分かっているはずです。」
(ボディーだと?そういえば…。)
(一週間前のあいつの試合、確かあいつの腹もあざだらけだったような…。)
カーン!
1分間の休憩が終わって再びリングに立つと、もうぼろぼろになった織慧をユメミが嘗めた態度で挑発する。
「そろそろKOされる準備はできましたか? パイセン。」
「KOですて?残念だけど、本番はこれからよ!見つけたんだよ、お前の弱点。」
「ふふ、弱点ですって?今さらそんなはったりが通じると思いますか?まだ勝つかもしれないという夢なんか見て、そろそろ現実を悟らせてあげますよ!」
初戦からユメミが自分のスリーピングアウェーを盲信してノーガードで攻めてくる。
「どうしたんですかパイセン?さっさとその弱点か何だかを攻略してみませんか?それともやっぱり馬鹿な女の妄想だったのかなあ?」
(こいつ!ガードまで下げて、思い切りなめているじゃない!それなら一度かけてみるしかない...!)
ユメミの猛攻に一歩後退したオリエがライトフックを振りかざして反撃する。しかしそれはユメミも予想した行動だった。プライドが強い織慧なら、こんななめた態度を見過ごすことはできないはず。このパンチを避ける同時にカウンターに一発KO。ユメミは自分の動体視力に絶対的な自信があった。
(ばかな女。そんな大きなフック当たるはずないのに、少し早いけどこのままマットに静めてあげる!)
ズドオォォンッ!
「がはッッ...!!」
ライトフックが当たるより先にユメミがストレートで織慧の顔面を醜く潰す。しかし···!
「おっと!これは…!!」
(フェ、フェイクだとう…?!)
いつの間にか、サイドから攻めてきた織慧のラフトフックが、同時にユメミの肋骨を打ち砕いていた。両手を全部使った特攻だったため、ガードなしに生顔で受けてしまう事になったが、衝撃に備えていた織慧とは違ってユメミは大きなダメージを受けてしまう。
(息が…! どういうばか力なの…!)
ドズゥゥンッ!!
「ごほぇッ…!!」
ユメミが息を整える間もなく、織慧が今度はライトフックで右肋骨を強打する。
「スリーピングアウェーだったけ? 確かすごい技だけど、やっぱり視線が届かないボディはちゃんと避けられないようだね!」
「こ、この…!」
両方のボディーフックにつづいたボディーアッパーに打たれたユメミが自分の口から出た豚の鳴き声に驚いて両手で口を塞ぐ。
(ダ、ダメ!私はアイドルよ。こんな豚みたいな声を口に出してんじゃ…しまった!)
反射的に両手を上げて口を塞いだが、おかげでノーガードになったボディー。まずいと思っで、下にガードを下げた瞬間...。
「織慧のストレートがユメミの顔面についにクリーンヒット!反撃の狼煙が上がったのか?!」
「今までよくもサンドバッグ扱いしてたよね?先輩をなめたらどうなるかきちんとつけさせてもらうわ!後輩さん!」
ズンッ!!ズドォォンッ!!ドズゥゥンッ!!
「おッ...!!ごほッ...!!ぐへッ...!!ぶふぅッ...!!」
織慧のパンチラッシュがロープを背にしてグロッキーになってしまったユメミをサンドバッグをたたくようにぼこぼこにする。
(あり得ないわ...!私がこんなところで...!こんなサンドバッグなんかに...!!)
潰れる視野の中でユメミはリングの外から彼女の試合を見守っていた和博と目が合う。しかし、その顔は、いままでと違う何か汚らわしいものを見てしまったような、腐った顔をしていた。
(ダメ、私をそんな目で見ちゃ…!)
「うげえぇぇえッッ…!!」
「ユメミ選手ダウン!無敗のアイドル生命にも赤信号が灯ったんだろうか!」
「許せないわ! 私には叶えなければならない夢があるのよ!こんな所に殺られてたまるもんですか!クソ女絶対にぶっ殺してやる!!」
ユメミがリングの外にいる下っ端たちに目で何かの信号を送る。
(念のための保険まで使うことになるとは…!見てろよ!私を怒らせた対価を払わせてやる!!)
....
...
..
ユメミとの試合一週間前、織慧は何か不満そうな顔をしていた。
「矢張り問題がある。」
「何がですか?」
「これよ!」
織慧が自分の肛門につながっているアナールプラグの尻尾を引っ張る。
「私をここに拉致した連中達じゃない!試合中にどんな手を使うかどう分かるのよ!」
「それが心配でしたら、周波数を変更させていただきましょうか?」
「周波数?」
「完璧な措置とは言えないですが、私の権限で可能なのはそのくらいです。周波数を変更すれば、リモコンの周波数を再び調整しない限り、装置が作動することはないはずです。」
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(Voting closes on 02/10/20 09:00(UTC))
2) 投票期間中、5話がLEVEL1Planで公開されます。
(Episode 5 will be released as LEVEL1 Plan during the voting period)
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