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【限+文】Side:S 次女-ゴブンノイチ- #08

貪り合うように、初めての男女のやり取りとは思えないほど、お互いの口の感触を確かめ合った。

男が舌を伸ばし、二乃がそれを受け入れる。

上顎の内側まで舌先が侵入し、甘い声が漏れ出る。

お互いの距離を理解していないがゆえに、こつっと歯が接触してしまい、少しずつその回数が減っていく。

二乃が舌を伸ばし、唇を舐め回し、男の真似をして舌を絡め合わせる。

(キスって……こんなに気持ち良いんだ……っ)

貴重な初めてを、こんなにあっさりと済ませてしまったという事実よりも、今は際限なしに肥大する高揚感のほうが勝る。

ようやく唇が離れ、とろんと垂れた二乃の目が、その激しさを物語っていた。

「二乃……」

「はぁ……はぁ……アンタ……いきなり激しすぎよ……」

「ご、ごめん……」

仰向けでベッドに転がり、精液のこびりついたショーツを隠すように内股で太ももを引き締める。

「悪いと思ってるなら……いい加減……あ、アンタが動きなさいよ」

男の枕に頭を預け、乳房を持ち上げるように両腕で挟み込む。

「わ、わかった」

言って、男が二乃のショーツを横にずらし、陰唇に亀頭を押し付ける。

両足を拡げさせ、熱り立った性器を一思いに根本まで挿入した。

亀頭が肉壁を掻き分け、スムーズに奥までズプズプと入っていく。

「あ……っ、ん……っ」

何度か中を突いていると、ようやく二乃も慣れてきたようで、その表情にも余裕が出始めていた。

そうなると、視界が広がり、見えてくる景色も違ったものになる。

シーツや枕を必死に握りしめていた両手から力が抜け、幾らか自由に動かせるようになっていたのだ。

「ほらっ、もっと頑張らないと……私をイカせられないわよっ」

視線を下に落とすと、根本まで肉棒がズッポリと入っているのが見える。

だがこの状態にあっても、二乃は優位な状態をアピールしなくてはならなかった。

「いつでも、どこでも、ずーっとコリコリに固くして……生意気なのよっ」

男の乳首を親指で弄りながら、優しく摘みながらピストンを受け入れる。

「ぅあぁ……気持ち良い……っ」

「エロい声出してんじゃないわよっ」

「でも……ちん◯も乳首も……気持ちよすぎて……俺……っ」

「が、我慢しなさいっ! アンタの精液濃すぎなんだから……三回も中に出したらどうなるか分かってるわよね?」

「そんなこと……言われても……ッ」






「できたわよ」

「え?」

小皿に薄く注がれたスープを男の口元に運び、二乃が味見を促した。

「何間抜けな顔してるの? 冴えない顔がもっと冴えなく見えるわ、ほらっ」

少しだけ背伸びをして、小さく開かれた男の口にスープを流し込んだ。

「どう?」

「あ、あぁ、美味いよ」

「そ」

淡白な反応を演じ、二乃自身も同じ小皿で味見をする。

「まぁまぁね」

あれから一時間。

辺りはすっかり暗くなってしまったが、二乃は帰宅する様子が全く無い。

それどころか、先程までの情事が幻だったかのように、穏やかな空気が台所に漂っていた。

二乃は並べられた茶碗に手際よくスープをよそってから、できていたオムライスと一緒にテーブルへと並べる。

手慣れている様子に感心しながら、男は冷蔵庫からお茶を取り出していた。

「まったく……ろくな食材がないんだもの。こんなんじゃまともな料理なんてできないわ」

「いや、十分まともだろ? 手作りの晩飯なんて久しぶりだよ」

「ふーん」

男が後ろを向いている間に、二乃はケチャップをくるりとかけていく。

「さ、食べましょ」

「あぁ」

着席した男の目の前には、大きなハートマークが書かれたオムライスが鎮座している。

でかでかと『にの』と書かれているように見えるのは、男の気のせいだろうか。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

明らかに塩分が多いだろとは思いつつ、男は不満をぐっと飲み込んでから両手を合わせた。

ぱくぱくと食べ進められるのは、空腹ゆえではない。

二乃の料理が、明らかに卓越した味を出していたからだ。

「美味しい?」

「んあぁ、美味い、めっちゃ美味いです」

「なら良いけど。手作りの晩御飯が久しぶりって、いつも何食べてるのよ」

「弁当、カップ麺、とか?」

「はぁ……ちょっとは気を使いなさいよね、ってか、彼女がいるんだから作ってもらえばいいのに」

スプーンを口に運び、二乃も食事を進めていく。

この家には食材と呼べる食材はほとんどなく、冷凍のミックスベジタブルに卵、ウィンナーくらいしかまともなものがなかったのだ。

必然的に料理の幅が狭くなってしまうが、辛うじて見つけた食材たちを使って、このメニューを作り出した。

玉ねぎが一つだけ入っていた野菜室と、冷凍パスタやチャーハンが少しだけ入っていた冷凍室。

まともな生活を送っていないことは容易に想像できたのだが、彼女がいることを前提に考えればもう少しまともであっても良いはずだ。

もっとも、男の彼女が料理好きだとは決まっていないのだが。

頬張ったオムライスを飲み込んでから、男が口を開く。

「二乃……なんか勘違いしてないか?」

ようやく板についてきた『二乃』という呼び方に心地よい響きを感じながら、スープを置いた二乃が尋ねる。

「私が何を勘違いしてるっていうのよ?」

「俺……彼女なんかいないんだけど……」

【Side:S 次女-ゴブンノイチ- つづく】

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次回:8/29(日)(二乃編は一週お休みです。)

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