「二乃……学校で何かあったの?」
「え?」
中野家のリビングで、紅茶の中に砂糖を注ぎ込んでいた二乃は、突然の質問にきょとんとした表情を浮かべた。
「なんだか最近……やけに元気だと思ったら、昨日帰ってきてからずっと様子が変だから……」
「な、何言ってんのよっ。別に何もないわ」
姉妹――三玖の問いかけに、二乃は表情筋を強引に動かし、歪な笑みで返答した。
「本当に何もないならいいんだけど、二乃はすぐ感情的になるから隠し事してもバレる」
「ふん……何かあったとしても余計なお世話だわっ」
「手助けとかはできなくても、話を聞くくらいはできる」
「それが余計なお世話だって言うのよっ」
これ以上踏み込むな、という警告の意味を込めて、二乃は口調を強くして制止する。
三玖はその言葉にムッとした様子もなく立ち上がり、湯呑を両手で優しく持って自室へと歩を進めた。
(またやっちゃった……)
つい先ほど三玖に指摘されたばかりだと言うのに、すぐ冷静さを欠くのは自身の欠点なのだろうか、声を漏らさないように二乃は奥歯にぐっと力を込める。
家族に八つ当たりしてしまっているという事実を認識しているが故に、彼女は苦悩する。
せっかくの週末。姉妹を誘ってショッピングでも行こうかと考えていた土曜日は何一つ行動を起こさないまま終わってしまった。
こんな気分では、明日の日曜も穏やかに過ごせるはずがない。
「あーあ……どうしていつもこうなっちゃうのかしらね……」
そんな何気ない呟きを、三玖は部屋のドアをそっと閉めながら聞いていた。
◇
月曜日。
教室に入った二乃は、件の男の姿を横目で確認する。
ぐったりと机に伏せる男は、今何を考えているのだろうか。
席にカバンを置いてから、深呼吸を挟み、男の元へ向かう。
「ん」
「……ぁ、あぁ中野。おはよ」
眠たげな男は、ほんの少しだけ気まずそうに、それでいて普段と同じを装った挨拶をする。
「これ」
「何だよ?」
小さく折りたたまれた手紙を手渡し、また席へと帰っていく。
不審に思いつつ、確認しないわけにもいかないと思い、男はゆっくりとその手紙を開く。
『放課後 屋上』
丸い字で書かれていた二つの言葉。
ただそれだけの内容で、男は全てを理解する。
他人の都合をまるで考えていない約束の取り付け。だが無下にすることはできない。
二乃の端末に保存されている動かぬ証拠が、強引に予定を確定させてしまうからだ。
男の脳裏に、金曜日のことがじんわりと思い起こされる。
「……分かった」
男は聞こえるはずもない微かな声で、二乃の小さな背中に返答した。
◇
「んっ、んっ……」
「中野……っ! そこ……だめ……だっ」
二人がやってきた屋上にひっそりと設置されたベンチは、建物の構造的に周囲から見えない位置に配置されており、今の二人の姿は誰にも視認されることはない。
だらしなく浅座で上半身と性器を露出させている男は、横並びに座って甘い匂いを振り撒いている二乃に対して湧き上がる衝動を抑えることができていなかった。
二乃は舌先でチロチロと男の乳首を舐め回し、時には吸い付き、両手は男性器と、もう片方の乳首に愛撫を続けている。
(何よコレっ……。ち……ちん○って……こんなに大きいの……?)
脈打ち、熱を帯びた肉棒を初めて見て、初めて触って、二乃の脳内は興奮に支配されていた。
固く勃起した乳首を、唾液をつけた細い指先で弾き、味わうように舐める。
不慣れなことをなるべく悟られないように、忙しく全身を使って男を責め続けてはいるものの、自分自身の身体もプルプルと小刻みに震え、下腹部がムズムズと疼くのを懸命に堪えている状態。男の乳首を見ていると、自分の乳首にも意識が向いてしまい、ブラジャーに擦れる感触が敏感に伝わってきてしまう。
(私……乳首勃っちゃってる……っ。下も……なんだかモヤモヤして……っ)
しかし、今は自分のことに意識を向けている場合ではない。
ぼーっとしてきた頭をキッと切り替え、大量の唾液を含ませたまま、一層激しく男の乳首を舐め回した。
「ふ、ふーん。イッちゃったんだぁ? 私のて……手コキはそんなに気持ち良かった? えっろい顔して射精しちゃったわねぇ?」
自分の手にこびりついた精液をじっと見つめて、精一杯の強がりを絞り出す。
口を開けたまま目元を隠し、天を仰いで震えている男の姿を確認してから、そっと精液の匂いを鼻に近づける。
「……んっ」
鼻を通り抜ける匂いは、お世辞にも良い匂いとは言えなかった。
だが、彼女は無意識のうちに自分の太腿をギュッと閉じ、全身が力んでいることに気が付かなかった。
「こんだけ出したのに、まーだガッチガチなのね、もしかしてアンタって性欲おばけなの?」
「中野……もう、いいだろ? どうして……こんな……」
「二乃って呼べって言ったわよね? アンタってそんなに記憶力悪かったかしら?」
「に……二乃」
「ふんっ、別に良いじゃない。アンタは溜め込んだ思春期の性欲を思いっきり発散できるんだもの。同級生の、彼女でもない女に無理やりされても射精しちゃうような変態にはご褒美じゃないの?」
男の肩に頭をスリスリと擦りつけ、上目遣いに顔を覗き込む。
息を荒くした男が呼吸を整えるまでにはもう少し時間がかかるだろうが、徐々に落ち着きを取り戻してきている。
その時間を延長すべく、二乃はいたずらに笑って右の乳輪をくるくるとなぞり始めた。
「この顔、彼女にも見せてあげたいわね~。アンタのこんな顔、あの娘は見たことあるのかしら~?」
「お前……何を言って……ぅぁッ」
乳頭を優しくつまみ、押すように弄って弾いて、男の反論を切り捨てる。
(こんな目に合わされても乳首もちん○もまだまだ固くなってるし……どんだけえっちなのよ)
亀頭の先からダラダラと滴っている我慢汁が、先端を艶やかに包み込む。
その先の地面に溢れてしまった精液をチラッと横目で見た二乃は、自分の手にこびりついた精液に視線を引き戻した。
ペロッ、と、ほんの少しだけ舌先で触れてみる。
「んっ、甘いような苦いような、でもほとんど味しないのね」
「な、舐めたのか?」
「何よっ、文句でもあるの?」
「文句は……別にないけどさ……でも……」
「こんなみっともないガチガチのちん〇して……私に楯突くなんて生意気なのよ」
そう言って、二乃は地面に膝をついた。
男の足の間に身体を割り込ませ、顔を男性器へと近付ける。熱り立つ肉棒が、文字通り目と鼻の先で反り返る。零れ落ちる精液の残り香と我慢汁を間近で目の当たりにし、二乃はもう自分自身を抑え込むことができない限界に到達していた。
「……アンタのせい、これは、アンタのせいだからっ」
「二乃……?」
小さな口を大きく開け、二乃は勇気を振り絞った。
【Side:S 次女-ゴブンノイチ- つづく】
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どじょう
2021-07-04 18:45:28 +0000 UTC