「……私がまだモンストルに着く前の話です」
ハッサンの異種交尾精通の告白。
その後の沈黙を経て、今度はアモスが口を開いた。
「一人流浪の旅をしていた私はある長い洞窟を進んでいました」
道中、モンスターは多かったがアモスの腕力に敵うはずもない。
その時も、アモスはモンスターの集団を問題なく退けた。
剣を振るって滴を払い、鞘に収める。
ダメージこそないものの、アモスの体は薄汚れ、汗にまみれていた。
行水くらいはしているが、しっかりとした入浴など望めるはずも無く戦いを続けている。
そして性処理もご無沙汰となればアモスの体からは熟れた男の堪らない体臭が漂うのは必然だった。
おそらくそれが原因の一つだろう、あるアクシデントがアモスを襲った。
「岩陰で小便をした後、急に催しましてね。性欲は強い方ですが、それにしてもあれは異常でしたよ」
逞しい両腕を肩から露出しているとはいえ重厚な鎧を纏ったアモスの巨体。
鉄壁の守備力を誇る戦士の体の中心から突き立った肉剣の先端は意外にも繊細な色艶を放っていた。
「その時です、何かヌルヌルした紐のようなものが私の逸物と玉袋を一瞬で縛り上げたんです」
刺激の元を辿るアモスが見たもの、それは三眼を忙しなく動かすカメレオンのようなモンスターだった。
「おおイグアナの舌でした。勿論追い払うことも出来ましたが……何と言ったらいいのか一瞬、魔が差しまして、その隙に……」
ハッサンは身をもって知っていた。
男という生き物は睾丸が一杯になると、時に自分でも予想だにしない行動に出てしまうことがある。
ハッサンも経験があるように、アモスにも運悪くその時が訪れたのだ。
「そのまま逸物と玉袋をまとめて、私の男の部分を全ておおイグアナの舌で扱かれました。あれは……」
「……」
今度はハッサンが喉を鳴らす番だった。
滑った細い舌に陰茎と睾丸をめちゃくちゃに扱かれる。
その刺激を想像するなという方が無理だった。
「凄かったですよ。滑った細長い舌が高速でしなりながら私の竿も玉も捏ね回すんです。しかし、それだけじゃなかった」
おおイグアナの舌はアモスの男性器全体を責めながら、その舌先で何をか探すように肉棒を這い回っていた。
「逸物の根元、鈴口、亀頭……モンスターに私の体を調べられているようでした」
そして、ある一点に辿り着いた爬虫類の舌は動きを止める。
アモスの肉体が大きく反応した点、裏筋の周辺だった。
「そして、一気に奴の責めが始まりました。玉袋、逸物、そして裏筋を飛沫が飛び散るような激しさで……」
既にハッサンは先走りで下穿きを濡らし、アモスも鎧の前垂れを跳ね上げていた。
だが、互いに今更隠しても仕方がなかった。
「屈辱でしたよ。モンスターに、私の男としての最大の弱点を見破られたわけですから」
しかし、爬虫類特有のどこか機械的な動きは無情な攻撃を繰り返す。
アモスの分厚い腰が前に突き出し、束縛された巨玉が上昇する。
「そして竿も玉も強く縛り上げられて、とどめに舌先で裏筋を抉られて……」
村の英雄の視線が彼方を彷徨う。
誰にも話さなかった秘密の絶頂、その瞬間が生々しく甦る。
「爬虫類に……射精させられました……」
ハッサンは気を抜くと股間のものを握り、扱きだしそうになる衝動を抑えなければならなかった。
人間には到底不可能な魔性の舌技で絶頂に追いやられる快楽は想像もできない。
「自分でも信じられない程の精液が出てしまいました。あまりの気持ち良さに目が霞むんです。しかし、その中で見ました。おおイグアナの三つ目が、射精中の私をじっと観察していました」
男の快感を知り尽くしたような舌を駆使しながら、その目は未だ貪欲に男体の神秘を探る。
強大な肉体を悦楽に捩らせながら青臭い粘液を放出する生物を凝視する。
「あの三つ目で玉袋を、逸物を、そして感じてしまっている私の顔を冷静に観察されるんです……屈辱でしたよ」
悔しさのあまりアモスはなんとか射精を止めようとする。
だが、冷酷な爬虫類が抵抗を許すはずがなかった。
「あいつが私の玉を搾る度にえげつない快感が襲ってきて、勝手に精液が飛び出るんです。私は男の部分を完全にあの舌に支配されてしまっていた……」
精密機械のような舌の動きはアモスの精を執拗に搾り取る。
そこからのアモスの記憶は曖昧だった。
それでも逞しい下半身だけはモンスターの舌責めに合わせて腰を使った。
「気が付いたらおおイグアナの顔が私の精液で真っ白でした。あいつはそれを舐め取っては口に運び……私がコイツでせっせと作った子種は、モンスターの餌にされてしまったわけです」
アモスが自身の股間をぐっと持ち上げる。
男たちの睾丸は何故かここ最近、異様なペースで精虫を生み出し続けているのが彼らにも分かった。
「最後はまるで私の逸物と玉袋を褒めるように舐め回して……」
やがておおイグアナは立ち去り、魔物の舌技に屈した戦士だけが残される。
アモスは朦朧とした意識の中で、腰の軽さだけを確かに感じていた。
「……」
熱い静寂が馬車の中に渦を巻く。
やはり互いに知っていた、モンスターの快感。
今、馬車の中で二本の巨大な肉棒が過去を思い出し、未知を想像し、狂おしい程に勃起している。
だが、アモスの毅然とした声が沈黙を破った。
「ですが、もう二度とモンスターのいいようにされるつもりはありませんよ」
「ああ、当然だ」
モンスターから与えられる凄まじい快楽。
それは同時にハッサンとアモスの男としてのプライドを酷く傷つけていた。
決して魔物の誘惑になど負けない。
その決意は真実だった。
だからこそ、二人はリップスとテンツクを遠ざけてきたのだ。
「……」
だが、男が頭でした決意など下半身の欲求の前にはいとも簡単に溶解する。
自信に満ち溢れたハッサンとアモスだからこそ、その滑稽な真実に気付けない。
異形の影たちが再び馬車へ戻ろうとしてた。
─旅の武闘家と村の英雄は魔物使いに転職した!!(6/6)へ続く─