ぼくがそのカードを見つけたのは、下校中のことだった。今日は家庭訪問があるから、早く帰ってきてねってママに言われてたんだけど……よそのおうちの生け垣に、なにかキラキラした金色のカードが引っかかっているのを、ぼくは見つけてしまった。
「なんだろう?」
ぼくはカードを手にとった。金色で、金属でできてるみたいなカードだった。「入れ替わりパスポート」と大きな字で書いてある。裏をめくると、説明がいくつか書いてあった。
「このパスポートは、誰とでも、何でも入れ替えることができます」
「このパスポートの所有者は、熱烈な入れ替わりフェチになります」
それを読むと、なんだか変な気持ちになってきた。
どくん
「な、なんだろ、これ……」
ぼくは急に胸がどきどきしてきた。入れ替わりフェチってなに? って思っていたら、さっきの文章の下に意味が書いてあった。「入れ替わりフェチとは、入れ替わりが大好きな人のことです」えっ、でも、さっきまでこんなこと、書いてなかったよね……? まるでぼくの心を読んで、書き足したみたいで、不思議な感じがした。入れ替わりフェチって、初めて聞いた言葉だけど……入れ替わりが大好きな人、って意味なんだ……ふうん……。
「んっ、なんか……ぼく……!」
ぼくはおしっこに行く前みたいに、そわそわしてきた。よくわかんないけど……入れ替わりたい! ぼくはとつぜん、そう思った。誰でもいいから、誰か他の人になってみたい! 誰かいないかな? 誰か……!
「おうい、そろそろ休憩にしようや」
近くの工事現場で、作業着を着たおじさんたちが働いていた。その中の、ひげを生やしたえらそうなおじさんに、ぼくは目が釘付けになった。もし、ぼくが……あのおじさんと入れ替わったら、どうなっちゃうんだろう。そのことを考えると、なんだかもう、体がばくはつしそうになる。はやくはやく! あのおじさんになりたい!
「あっあのっ! おじさん!」
「ん? どうした? 坊主」
ぼくは、ひげのおじさんにさっきのカードを見せた。
「ぼくと、入れ替わってください!」
「ん? おう……いいぞ」
ぐにゃりと、何かがゆがんだ感じがした。
※
「んあ? あ゛ぁ……」
野太い声が俺の喉から漏れた。視点が急に高くなる。気がつくと、ぼくは俺に──私立若葉が丘小学校に通う前田佑樹から、寺尾建設工業に勤める黒澤健治になっちまっていた。いきなり46年間分の、さっきまで他人だったオッサンの記憶が俺の記憶として思い出せるようになり、混乱しつつも俺は鼻息を荒くしていた。入れ替わった後の俺も、入れ替わりフェチになったままみてえだ。作業着の股間が、熱く、固くなり始めていた。
「んっ、あっ……す、すごい……ぼく……!」
俺になっちまったオッサンはというと、顔を赤くして、もじもじと華奢な足を動かしていた。精通もしていないガキになったうえ、どうやらオッサンも入れ替わりフェチになっちまったらしい。さっきまで俺が着ていた私立小の紺色のズボンの上から、股間をぐりぐりといじっていた。
「へへへ……こいつはすげえじゃねえか」
例のカード……入れ替わりパスポートは、いつの間にか俺の手の中にあった。どうやら入れ替わっても、こいつは俺のモノのままらしい。よく見ると右下隅に「所有者:黒澤健治」と書かれていた。裏にあった説明の続きを読んでみた。
(ふーん。『何を入れ替えたいのか、個別に指定することもできます』『相手に入れ替わることを話すと、相手も入れ替わりを認識したうえで入れ替わります』『相手に話しかけずに念じると、相手は入れ替わりを認識できないまま入れ替わります』『入れ替わりを認識していない相手に、パスポート所有者が入れ替わったことを後から教えると、入れ替わりが認識できるようになります』なるほどな……)
俺は試しに「外見だけ入れ替わりたい」と、オッサンに話しかけずに念じてみた。急に視界が低くなる。すると、野太い声が俺の上から聞こえてきた。
「あのっ! おじさん……ぼく、なんだかその……お、おちんちんが変なんですけど……こういうの、どうすればいいんでしたっけ?」
そこには「俺」がいた。私立若葉が丘小学校の制服を着た、厳つい中年男が。整髪料を付けた濡れパンチパーマの上に白い通学帽を被り、口髭と顎髭を蓄えた強面のオヤジが、白い半袖のワイシャツと、サスペンダー付きの半ズボンを着て、私立小のランドセルを背負ってもじもじしていたのだ。半ズボンにはくっきりとデカマラが浮かび上がっていやがる。入れ替わりフェチになっちまった俺は、その光景に興奮しながら口を開いた。
「お、おう……悪ぃ悪ぃ。そんじゃ、いま元に──いや、ちょっと待ってろよ」
俺は入れ替わりパスポートの裏面の説明書きを読み直して、いくつか入れ替わりをした。
※
「あっ、あのっ……佑樹くん……だっけ? また、おじさんと入れ替わりしてくれると……うれしいな」
「おう。俺も楽しかったぜ。黒澤のおっちゃん。また入れ替わろうな」
俺はランドセルを背負い直した。俺たちはある意味では──「元に戻った」。「何も言わなければ、入れ替わりを認識できない」という入れ替わりパスポートのルールを利用して、一度全て入れ替わりを元に戻してから、もういちど黙って入れ替わった。今の俺は「体も性格も黒澤健治だが、立場は前田佑樹」の状態だ。そんでもってあのオヤジ、黒澤健治の方は、体も性格も前の俺に──前田佑樹になっちまってるが、そのことに気づいていない。「元の自分の体に戻った」と思っている。小学生サイズの作業着を着て、入れ替わりフェチになっちまった小学生の体で、さっきの入れ替わりでも思い出しているのか、うっとりとした表情をしていた。
(ま、さすがにこのままだと、ドカタ仕事にも苦労しそうだしなぁ……)
俺は黒澤のおっちゃんと別れると、たまたまそこを通りがかっただけの30代くらいのがっしりした体格のサラリーマンと、黒澤のおっちゃんの体を入れ替えてやった。中身はがきんちょのままだが、体が大人ならどうにかなるだろう。後で会った時に入れ替わっていることを教えてやれば、体も心も別人になっていることに興奮するに違いない。
※
「おう、帰ったぞ」
「もう、佑樹ったら……今日は家庭訪問だから早く帰ってきてねって、朝も言ったでしょ」
「おう。悪ぃ、母ちゃん」
入れ替わりパスポートをあれこれ試しながら帰っていたら、家庭訪問の時間ギリギリになってしまった。服装だけ入れ替えてみようと思い、コンビニにいたトラックの運ちゃんの服を幼稚園児と入れ替えたり、髪型だけ50代のサラリーマンと女子中学生を入れ替えたり……元に戻してはいないが、まあ大丈夫だろ。家に帰ると、母ちゃんが俺を出迎えた。朝、家を出たときは小学生の息子が、身も心もむさ苦しい中年オヤジになって帰ってきたのに、母ちゃんはこれが普通の状態だと思っているみたいだった。俺はそのことにも興奮しつつ、自分の母親の後ろ姿をじろじろと眺めた。
(へへへ……なかなかエロい腰つきしてんじゃねえか。胸もでけえし……あーくそっ! 母ちゃんのおっぱいにむしゃぶりつきてえっ!)
「母ちゃ〜ん!」
「ど、どうしたの?」
「今日、学校で嫌なことがあってよぉ……なあ、いつもみたいに頭撫でてくれよぉ」
「もう……佑樹ったら本当に甘えん坊さんね」
俺は濁声で頼み込むと、母ちゃんが頭を撫でやすいように帽子を脱いで、かがみ込んだ。母ちゃんは苦笑しながらも、俺の濡れパンチのごわっとした頭を──整髪料と加齢臭の混じったむさ苦しい髪を、よしよしと撫でてくれた。俺の興奮は最高潮に達し、半ズボンの中でデカマラがビンビンに勃起し、厳ついオヤジ顔がデレッと緩むのを感じていた。
(んほぉっ! おっ、俺っ! オヤジになっちまったのに、母ちゃんにいい子いい子されちまってるッ! 母ちゃんで勃起するような悪い子なのにッ! ぐへへ……!)
「佑樹?」
「あー……先生が来るまで部屋で勉強するわ」
俺はのしのしと階段を登り、自分の部屋に入った。そこも、入れ替わる前と様子が違っていた。外見も性格も中年オヤジになっちまった俺の子ども部屋は、学習机もあるしベッドもあるのだが、カーテンやベッドカバーの色が地味になっているし、本棚にある漫画のラインナップも少年漫画ではなく、麻雀や野球を扱った青年漫画に変わっていた。ゴミ箱に詰まっている丸められたティッシュからは、むわっとイカ臭い匂いが漂っている。ベッド下には、外見がオヤジであることを利用してこっそり買ったオナホとエロ本が隠してある。私立小に通う、典型的ないい子だった前田佑樹の人生は、過去にさかのぼって、見た目も中身もスケベオヤジの小学生の人生に変わってしまった。
「いっ……いい……たまんねえぜ……」
俺は制服のままベッドに倒れ込んだ。加齢臭がツンと鼻を刺す枕に顔を埋める。そのままサスペンダーを外し、制服のズボンも脱いで一発抜こうとしたところで──チャイムが鳴った。
※
「いやー。遅くなってすみません」
「いえいえ。佑樹もついさっき帰ってきたところなんですよ」
俺が制服を着直して階段から降りると、担任の西脇が来たところだった。西脇憲太郎。年は確か……25歳ぐらいだったか。トライアスロンをしているという西脇は、逆三角形の筋肉質な体をしていて、肌も日焼けしていて赤黒くテカっていた。白いポロシャツがよく映えている。そのいかにも精悍なスポーツマンといった風貌から、授業参観の日は母親たちが詰めかけていた。
(なかなかどうして……西脇の野郎も、そそるじゃねえか)
俺はじゅるりと涎をすすった。黒澤のおっちゃんが、男も女もイケる口だったらしく、俺も同性に興奮するのに抵抗はなくなっていた。そのまま俺も母ちゃんに呼ばれ、リビングで家庭訪問が始まった。
「いやあ、佑樹くんはリーダーシップがあるので、僕も助けられているんですよ。こう言ってはなんですが、硬派な番長タイプと言うか」
「まあ、うちでは甘えん坊なのに──」
学校での俺の立ち位置も、入れ替わる前と変わっているようだった。それはともかく、すっかり入れ替わりフェチになっちまってる俺は、目の前の二人をどう入れ替えてやろうか、そればかり考えていた。
(そうだな……まずは自覚なしで、全部入れ替えてみるか)
ポケットに入れ替わりパスポートを入れたまま、母ちゃんと西脇を「全て入れ替えた」。途端に、俺の隣に座っていたの母ちゃんの姿がぼやけたかと思うと、西脇になった。そして俺の目の前の、西脇が座っていた席には、いつの間にか母ちゃんが座っていた。
「ん?」
「あれ?」
二人とも、同時に声を漏らした。入れ替わりを自覚していないとはいえ、何か変だと感じたのだろう。
「すみません……僕がそっちの席に座った方がよかったですね」
西脇になっちまった母ちゃんが、俺の隣で申し訳なさそうな声を出して腰を浮かせた。母ちゃんになっちまった西脇も、不思議そうに首を傾げている。
「いえ、私も……いつの間にこっちの席に座ったのかしら」
なるほどな。黙って全て入れ替えちまうと、傍から見たら単に席が変わっただけに見えるのか。まあ、ここで俺が入れ替わりについてバラすのも、それはそれで面白そうなんだが──
(もっと変態みてえな状態でバラしてえよな。一旦、元に戻して……っと)
「ん? それじゃあ席を……あれ?」
「あら? こっちの席でよかった……のよね?」
俺がもう一度全てを入れ替えると、最初の状態に戻った。席を移動しようとしていた西脇と母ちゃんが、混乱しながらもう一度座り直した。
(ちょっとずつ変えていくか。まずは胸だろ? あとは髪型と──)
俺は、少しずつ西脇と母ちゃんを入れ替えていった。西脇の白いポロシャツの厚い胸板が、突然女の乳房と入れ替わる。ぷっくりとした乳首の輪郭が西脇のポロシャツに浮き上がっちまってるが、本人は気づかず話を続けている。西脇のソフトモヒカンと母ちゃんのゆるくパーマが掛かった髪が入れ替わり、さらに化粧と服装も入れ替わっていく。レディースのブラウスとスカートを着た逞しい西脇と、男物の白いポロシャツとベージュのチノパンを着た母ちゃん。そうなると西脇は「トライアスロンと女装が趣味だが、あくまでもノンケの男性教師」になり、母ちゃんは「ノーブラとノーメイクで男装している母親」になっちまっていた。
「それにしても西脇先生って、すごく話しやすい方ですね」
「いやあ、俺もそう感じていたところです。他人じゃない感じがするというか……あらっ、いやだわ! これだと私が、お母様を口説いているみたいになっちゃう!」
「いやあ。俺は別に気にしませんよ。ハハハ!」
二人が打ち解けてきた頃合いを見計らって、俺は二人の性格を入れ替えた。女言葉で喋るようになった西脇と、男言葉で喋るようになった母ちゃん。それから少しして、家庭訪問はお開きになり、俺も最後の仕上げの入れ替わりをいくつかした。
※
「それじゃ、佑樹くん。またね」
「おう。またなー、西脇先生」
西脇先生──どこからどう見ても、体も性格も服装も、何もかも俺の母ちゃんになっちまってるのに、あくまでも「西脇先生」であるそいつが、家庭訪問を終えて帰っていった。自分が、家庭訪問先の母親に、身も心も変えられたことも気づかずに。そして──
「いやあ、なかなか西脇先生って美人だなぁ……あれで男っていうのが信じられないよ。そりゃあ授業参観で父親たちから人気なわけだ」
俺の母ちゃん──体も性格も服装も、何もかも俺の担任の西脇憲太郎と入れ替わっちまってるのに、それに気づかないままの「母ちゃん」が、西脇のことを思い出してうっとりしていた。白いポロシャツには脇汗が染みをつくっており、ツンと男臭い匂いを放っている。ポロシャツの袖は筋肉質な腕でパンパンになっている。ノーブラで男物のポロシャツを着て、下着もズボンも男物で、さらにチンポもちゃんと生えているのに、「母ちゃん」は自分は女だと思っている。
「おいおい母ちゃん。父ちゃんから浮気するなよ」
「バカ。するわけないだろ? 俺はパパ一筋だぜ?」
赤黒く日焼けした精悍な顔に笑みを浮かべて、こつんと俺を小突く母ちゃん。俺はそろそろ、ネタバラシをしてやることにした。
「なあ、母ちゃん──西脇先生と、入れ替わってるぞ」
「え? んん?……ああぁぁあっ!!???」
西脇の姿をした母ちゃんは、一瞬きょとんとした顔をしたかと思うと、ようやくこの異常な状態に気づいたらしい。自分の分厚い胸板をポロシャツ越しに触り、ぐぐっと盛り上がりつつあるチノパンの股間を押さえ、もじもじと恥ずかしそうに筋肉質な体をくねらせた。
「なんでっ……俺! さっきまで、女だったのにっ……! なんで全然気づかなかったんだ……!!?」
「へへへ。俺が教えるまでは、入れ替わりに気づけねえんだよ。ちなみに俺も、工事現場にいたオッサンと入れ替わってるぜ」
「うおおっ!? ほ、本当だ……佑樹が、佑樹じゃない……!!!」
俺を見ている母ちゃんの小鼻が、むふりと広がるのが見えた。入れ替わりフェチになっちまった母ちゃんとしては、可愛い息子が厳つい中年オヤジになっちまってたら、そりゃあ興奮しちまうよなぁ?
「なあ、母ちゃんよぉ……俺、このおっちゃんの体になってから、まだ全然抜いてねえんだよ」
「おっ、おい……佑樹!」
俺は母ちゃんに近づきながら、小学校の制服のサスペンダーを、バチンバチンと外した。ポロシャツのボタンも一つずつ外し、内側に着ていた白い肌着ごと脱ぐと、胸毛と腹毛の密生した、ビヤ樽のようにがっしりとした胴体が現れた。俺も思わず生唾を飲み込んだが、母ちゃんもそれは同じだったようだ。食い入るように俺の雄臭い体を見つめている。俺はニヤリと笑って続けた。
「母ちゃん。このまま俺と、スケベなことしちまおうぜ……もう俺、我慢できねえ」
「そ、そんなことできるわけないだろう! 俺たちは親子だ!」
身も心も息子の担任教師にされてもなお、母ちゃんはそう言い張った。視線は俺のむさ苦しい体に釘付けになっているし、チンポもビンビンに勃っているのがまるわかりだったが。俺は顎髭を撫でながら、ふうんと呟いた。
「おう。だったらよぉ……この俺の、このおっちゃんのスケベな性格やら男の好みやら……今の俺の「性格」?「精神」? まるごと母ちゃんに貸してやるよ。母ちゃんの中身がスケベオヤジになっちまえば……俺とも喜んでヤれるだろ?」
「佑樹……!? やめろ! 男になっても、俺はお前の母親だ。お前とそんなことをするなんて、絶対に──」
俺は入れ替わりパスポートに触れて念じた。いつものように、ぐにゃりと視界が歪む感じがして、次に目を開けたときには──
「ぐひっ! うひひ……」
母さんの顔が──西脇の精悍な顔が、鼻の下をデレッと伸ばした情けない表情に変わっていた。俺はというと、バイセクシャルの黒澤の性格から、ノンケの西脇の性格に変わったせいで、そこまで男同士のセックスをしたいとは思わなくなっていたが──それでも、入れ替わりフェチになっている俺としては、自分のむさ苦しい体には興奮するし、担任教師の肉体とガテンオヤジの精神になっている母さんの姿に、ムラムラする程度には変態をこじらせているようだった。
「どうだ? 母さん。心がスケベオヤジになった感想は」
「おう! 最ッ高じゃねえか! へへへ……俺も前から西脇の野郎は、なかなかイカしてるとは思っててよぉ……授業参観の時も、こんなマッチョな野郎に種付けされてみてえって、まんこをきゅんっと濡らしちまってたんだぜぇ……ぐへへ。おっと、今のは父ちゃんには内緒にしてくれよ」
母さんは西脇の顔で、西脇の声で、スケベオヤジの黒澤の口調で喋ると、おもむろに白いポロシャツを脱いだ。赤黒く日焼けした逆三角形の上半身から、若く筋肉質な男の体臭がむわりと立ち上る。その匂いをすんすんと嗅ぐと、母さんはうっとりと呟いた。
「あぁ……たまんねえぜ……これが新しい俺の体か……おう、佑樹。俺に断りなく、他の体に入れ替えるんじゃねえぞ。もちろん中身もだ。いいな?」
「わかってるって。俺も、今のスケベな母さんが大好きだよ」
「嬉しいこと言ってくれんじゃねえか。母親冥利に尽きるってもんだぜ」
母さんはそう言って西脇の顔でニヤリと笑うと、チノパンと下着も脱いで裸になった。ビンビンに勃起した25歳男性のチンポが割れた腹筋に当たっている。トライアスロンをしている西脇はすね毛も剃っているのか、首から下はつるりとしていた。
「おう、佑樹。そんじゃ父ちゃんが帰ってくる前に、おっぱじめるとすっか。母ちゃんがおめえに、男の味をたっぷり教えてやるよ」
母さんは爽やかな担任教師の顔に下品な笑みを浮かべると、俺の股間をぐにっと揉んだ。上半身だけ裸で、下半身はまだ制服の短パンを穿いていた俺は、その刺激に濁声で喘ぎ声を漏らしながら、母さんに短パンと下着をずり下ろされた。ぶるんと跳ね上がった太短いチンポに、母さんが鼻息を荒げながら自分のチンポを押し付けた。太短い俺のチンポに対して、西脇先生のチンポは全体的にデカい。丈は亀頭ひとつぶんほど俺よりデカいだろうか。母親と息子なのに、担任教師と見ず知らずのドカタオヤジの体になってチンポを比べ合うという異常なシチュエーションに、母さんも俺もすっかり興奮してしまっていた。
「うほおっ! おっ、俺っ! さっきまで女だったのにっ! 担任の体にされて、スケベなオヤジの性格になって……佑樹とチンポ、比べ合っちまってるッ!」
「すっごいエロいよ、母さん……ああっ! すごい! チンポ、ごりごりって! あううっ!!」
「っへへへ……そんな厳ついオヤジの顔して、なかなか可愛い声出すじゃねえか」
母さんは西脇のゴツい手で、俺と自分のチンポを兜合わせにねちねちと扱き始めた。体毛を剃ってつるりとした赤銅色の肌の西脇の体と、毛深く脂の乗った黒澤の体で、お互い初めての男の快感を貪り合う。
「あっあっあっ! やべやべやべっ! イク! イッちまうッ!!」
「おっ、俺も! あうぅっ!! チンポ! チンポが変! んああっ!!」
興奮した母さんが、ぶちゅうと俺にキスをしてきた。夕方になって伸びた西脇の無精髭が、俺の口髭と顎髭とジョリッと擦れ合う。互いに舌を絡ませあう中で、母さんと俺は初めて男のオルガスムスを味わい、二本のチンポから精液を噴き上げた。
※
「えへへ……佑樹。すっげえよかったなぁ……」
「あぁ……」
2時間後。俺と母さんは息も絶え絶えに、寝室のベッドの上に横たわっていた。互いに入れ替わりフェチになった俺と母さんのセックスは、体位を変え体を入れ替えて、何度も続いた。お互いの体が、元の体と全く違うということを確かめ合うたびに、猛烈な興奮が襲ってくるのだ。男の味を知っている黒澤のアナルの性感帯を入れ替えあったり、あるいはチンポだけを入れ替えたりと、様々なバリエーションを試した。
今はついさっき「肉体の年齢」を入れ替えたところだ。25歳の西脇憲太郎の肉体だった母さんは、「肉体の年齢」だけ俺と入れ替わった。そのため、25歳の西脇憲太郎から、46歳の西脇憲太郎の姿になっている。若い男性教師から、中年教師へ。母さんの体は西脇憲太郎のままなので、基本的な顔立ちはそのままだが、髪の生え際がM字に後退し、額や目尻にシワが増えている。髭の剃り跡も青々しい。体格も逆三角形ではあるが、全体的にむっちりと脂肪が乗り、日焼けした赤黒い肌も、さらに脂でギラギラとテカっていた。酸っぱい加齢臭もツンと薫るようになっている。
「見ろよ、佑樹。あんなに爽やかな教師のナリだった俺が……こんなに脂ぎったオヤジになっちまった。ぐへへ……たまんねえぜ……しばらくはこれでいくかな」
俺はというと、46歳の黒澤健治が26歳の黒澤健治になったので、体型が変わっていた。ビヤ樽みたいだった体型が、引き締まった筋肉質になっている。体毛は中年だったときより薄い感じだが、口髭と顎髭はそのままだ。
「ただいまー」
父さんが帰ってきたようだ。ひとまず俺は服を着ると、入れ替わりパスポートを持って一階に降りていった。玄関では青いワイシャツを着た父さんが靴を脱いでいた。その爽やかな若パパといった風貌を見ているうちに、母さんのように性欲の強い男に変えたくてたまらなくなってきた。
(そういえば……この場にいない人間とも、入れ替わりはできるのか?)
試しに、近所の角野さんちの男子高校生──角野健太くんと父さんの肉体と性格を入れ替えてみた。父さんの姿が急にぼやけたかと思うと、次の瞬間にはもう、坊主頭で浅黒く、芋臭い顔立ちの高校球児がワイシャツとスラックスを穿いた姿になっていた。父さんは自分の身体と性格が近所の男子高校生になったことも知らず、ネクタイを解きながら口を開いた。
「んあー、マジでやっべー疲れたー。つーか課長クソすぎんだよー」
性格も口調も男子高校生になってしまった父さんは、ぶつくさ愚痴を言いながら2階に上がっていく。父さんのスラックスが高校球児のプリケツでむっちりと盛り上がっているのを見ていると、一応頭の中はノンケ教師になっているはずの俺でもムラムラしてくる。寝室のドアを開けた父さんは、ベッドの上で全裸で寝ている母さんを見て驚いた声を上げた。
「うおっ! 母ちゃん! なんつう格好してんだよ!」
「おっ、父ちゃんも帰ってきたか。へへへ……いやあ、佑樹がすげえモンを拾ってきたおかげで、かなり楽しかったんだぜ」
「父さん……母さんは、他の人と身体も性格も入れ替わってるんだよ」
「ん?……えっ! ま、マジだ! 母ちゃんが、なんでこんなオッサンに……!」
父さんの浅黒い顔がぎょっと驚きで固まる。しかし、既に入れ替わりフェチになっているその体は、しっかりとスラックスの股間を固くしていた。
「で、俺も入れ替わっているんだ」
「ゆ、佑樹も……! 嘘だろ……!?」
興奮で小鼻の穴を膨らませる父さん。鼻息が荒くなり、ごくりと生唾を飲み込んでいた。
「それで、父さんも入れ替わっているんだ。ほら、近所の角野さんちの息子さん、健太くんと」
「俺が……あっ! えっ! 俺が、俺じゃなくなってる!! マジで!? んああっ!!?」
父さんは、高校球児の濃い眉根を寄せ、悩ましげに自身の胸板を抑えた。野球部の練習で汗臭く、そして引き締まった体躯。割と偏差値の低い高校に通っている健太くんは、父さんほど頭がよくないはずだ。汗臭くて頭の悪い高校球児の肉体と性格を押し付けられて、さらに入れ替わりフェチになってしまった父さんは、そんな自分に猛烈に興奮してしまったらしい。芋臭い高校球児の顔がでれっと緩み、手も触れずに絶頂に達してしまったようだ。股間の膨らみがヒクヒクと痙攣し、続いてイカ臭い染みが父さんのスラックスに浮かび上がった。
「えへへ……俺、すっげえバカな高校生になっちまった……あー……たまんねえ……」
よだれをじゅるりと啜りながら、父さんはスラックスのベルトを外し、精液で粘ついた下着ごとずり下ろした。父さんの包茎チンポが糸を引いてぷるんと震えた。
「うひっ! 俺のチンポちっさ! あぁあ……恥ずかしい……」
「おっ! 父ちゃんはすっげー粗チンだなおい! へへへ、これからたっぷり可愛がってやるよ」
「ああっ! 母ちゃん! それすっげ……マジでやべっ……! んあぁぁっ!!!」
母さんが脂ぎったオヤジ顔で舌なめずりしながら、父さんの粗チンをしゃぶりはじめた。あっあっああっ!と低い声で喘ぎながら、母さんの頭を押さえる父さん。その高校球児の浅黒く日焼けしたうなじを、背後から俺も舌で愛撫しながら、高校球児のまだ未開拓な乳首を弄っていく。父さんはあっという間に二度目の絶頂に達し、射精直後の敏感な亀頭を執拗に母さんに責められて、しまいには泣きそうな喘ぎ声を漏らしていた。
こうして身も心も他人になってしまった俺たち親子は、夜ごとに互いの体を愛撫し、さらに入れ替わりの興奮を近所や学校に広めていくことになるのだが──それはまた別の話である。
(終)
──────────
今回は入れ替わりです。なんでもありの入れ替わりは自由すぎて方向性が難しいんですけれど、今回は「家庭訪問」「無自覚と自覚ありの入れ替わりの違いを描写する」のを切り口にして書いてみました。入れ替わった人間同士が入れ替わりを自覚して、しかも新しい肉体に興奮するの、催眠っぽさがあって好きなんですよね……!
ちなみにこの話の「肉体も性格も入れ替わった結果、座っている席が逆になる」という描写は、かなり昔の小説ですが『おれと和幸の一夜』という話からインスパイアされています(著者:三浦俊彦 『たましいの生まれかた』所収)。興味がある方は探してみて下さい。
くろねこ@9605
2022-05-07 14:38:46 +0000 UTC羊谷 日辻(ひつじたにひつじ)
2022-05-07 12:45:00 +0000 UTCくろねこ@9605
2022-05-07 11:49:42 +0000 UTCゼノン
2022-05-06 14:18:51 +0000 UTCくろねこ@9605
2022-05-06 12:58:21 +0000 UTC黒竜Leo
2022-05-05 17:09:44 +0000 UTC