「ジャスティス・ストライク!」
ヒーロー、レッドストライカーの必殺技は、戦闘員の群れを一斉に吹き飛ばした。赤色に白いラインが入った彼のヒーロースウツは、はちきれんばかりの筋肉で満ち満ちている。逆三角形の筋骨隆々たる体躯からは、必殺技を放った余波で蒸気が立ち上っていた。
油断はなかった。ただ、彼は知らなかった。皮怪人・レザーミステリアの能力は「相手を皮に変えて着ること」であり、「ダメージは全て皮が肩代わりする」うえに、「戦闘員の皮を被って潜伏し、勝利直後のヒーローを狙っていた」という事実を・・・・・・。
「レザー・プロセス! ぐひひ・・・・・・」
「なにっ!?」
必殺技を放った直後のヒーローと、ダメージを皮で防いで無傷の怪人。反応速度には明確な差があった。革を継ぎ接ぎした異形の怪人の手が、ヒーローの体に触れる。途端にヒーローの体が厚みを失っていく。
(なんだ!? 私はいったい・・・・・・!)
「皮になったのさ。これから、オイラがお前を着てやるよ」
(なんだと!? おい、よせ!)
怪人はヒーローの皮を手に取ると、背中に開いた穴から皮を着込み始めた。怪人の足がヒーローの足の内側に侵入する。
(はぅん!)
それは甘美な感覚だった。皮膚の内側に、怪人の短足がぬるりと入り込む。それだけで、ヒーローは性感帯を愛撫されたかのように喘いでしまった。続いて、ヒーローのデカマラと怪人の短小包茎チンポが重なり合う。
(あっあっ、ああっ!)
途方もない多幸感が押し寄せた。まるで愛しい人と体が溶け合い、一心同体となったような悦び。ヒーローは情けない喘ぎと共に、一瞬で精を漏らしてしまった。両腕も着込まれ、最後に怪人がヒーローの頭を被った。
「あぁ・・・・・・私が、オイラになってしまった・・・・・・」
ヒーローの声帯が、恍惚とした声を漏らす。それは怪人に隷属する喜びであると同時に、ヒーローを支配する悦びでもあった。
(終)
「おい! これはどういうつもりだ!?」
「真壁刑事、どうかお静かに」
真壁の手足を拘束した信徒が、淡々と告げた。床に転がされた真壁嘉宏は、ギクリと体を強ばらせた。なぜ自分が刑事だとバレている? その理由はすぐに明らかとなった。
「ええ、僕が報告したんです。ぜひ先輩のことも導いて欲しくて・・・・・・」
共にこの教団に潜入していた後輩の山口が、うっとりと呟いていた。真壁と違って手足を拘束されず、連中の仲間のように佇んでいる。
「山口! てめえどういう了見だ!」
「先輩もすぐに理解できますよ。この教団の真の『ご本尊様』を拝見さえすれば・・・・・・」
本堂の暗がりの最奥。信徒の一人が壁際で何かを操作すると、安置されていた仏像がぐるりと反転し、「何か」が壁の奥から出てきた。
信徒に頭を押さえられ、真壁はそれを、正面から見てしまった。
それは巨大な男根を象った暗褐色の木像だった。幾人もの人間が触れて来たのか、てらてらと艶光りしている。そしてそれを見た真壁の脳内に、膨大な情報が流れ込んできた。
「〜〜〜〜〜ッ!??」
それは人類が男根を使ってきた記憶。数百億を超える他人の記憶が、断続的に真壁の脳にフラッシュバックする。時代が、人種が、国が全く違う男たちのオナニー。同性とのセックス。膨大な量の記憶を、真壁は一瞬で「理解」させられた。
「えひっ! うひひ・・・・・・」
真壁の頬に笑みが広がっていく。戒めはいつの間にか解かれていた。勃起を隠そうともせず、ふらふらと「ご本尊」へと近づく。たったいま与えられた、人生の真理。男根への奉仕と崇拝。
「素晴らしい・・・・・・チンポ・・・・・・あぁ、俺は、もう・・・・・・」
「さあ、全ての男根への奉仕と崇拝の証を、ここに」
そうして、信徒に促されるまま、真壁は自身の男根を露出させ、男根像と重ね合わせた。それだけで真壁自身の男根は瞬間的に絶頂に達し、彼は体を仰け反らせた。
(終)
「浩樹、今日のお風呂は温泉だぞー」
「やったー! ぼくがいれる!」
長谷川健一郎は試供品の入浴剤の袋を開けてやって、浩樹に手渡した。妻は同窓会で週末は不在にしている。脱衣所に置いてあったのを見つけたのだ。「融けて分かれる気持ちよさをあなたに」という奇妙な売り文句が気になったが・・・・・・浩樹はにこにこしながら、袋をさかさまにした。ピンク色の粉が湯船に落ちていき、湯船が乳白色の桃色に染まっていった。二人で湯船に入る。お湯が肌に吸い付いてくるようで、何もかもが曖昧になるようで。
「ああ・・・・・・体がとろけそうだ」
健一郎はうっとりと呟いた。
※
「はひっ、はひっ・・・・・・んっ、んぐっ」
もう何度目かわからない。湯船の中で健一郎と浩樹は・・・・・・いや、健一郎と浩樹だった二人は、互いに舌を絡め合い、チンポを扱き合って絶頂に達した。二人の姿は、湯船に入る前とは別人になっていた。二十代半ばだった健一郎と、幼稚園児だった浩樹。しかし現在は、全く同じ顔をした中学生程度の男子になってしまっていた。
(あの入浴剤の・・・・・・せいだ)
融けて分かれる気持ちよさ。健一郎と浩樹は融合した。肉体も記憶も人格も。そして、等分された。今や二人とも健一郎でもあり、浩樹でもあり得た。そして「元々二人は親子ではなく、双子だった」ということに事実が改変され、名前もまぜこぜになってしまった。健一郎は浩一郎に。浩樹は健浩に。
「ぼ、ぼく・・・・・・パパだったのに! 俺と・・・・・・浩樹と混じっちまってる! くそっ!」
「こら。そんな言葉遣いしちゃだめだぞ、パパ。いや、俺もパパなんだよな・・・・・・ややこしい」
父親から息子への愛情。息子から父親への憧れ。それらが混じり合い、相手と己に同時に向けられる。ナルシスティックな愛情に突き動かされるまま、元父親と元息子は、うぶな包茎チンポを兜合わせにして、絶頂に達した。
(終)
「すげえ……」
「どうなってんだ?」
X刑務所で行われた慰問のマジックショー。舞台上では胴体切断マジックが行われている。受刑者の岩田と、刑務官である吉岡さんが箱に入り、胴体の箱が切り離され、相手の胴体とすげ替えられた。屈強な岩田の胴体の上には、50代の吉岡さんの頭が鎮座し、固太り体型の吉岡さんの胴体の上には、厳つい岩田の首が鎮座している。箱が取り外されると、2人は驚きながら自分たちの体を触っていた。舞台下にいる800人の受刑者と、会場警備として配置された僕のような刑務官たちも、目の前で起きていることが信じられなかった。
「さて、次のマジックは全員での『要素シャッフル』です! それでは……3・2・1……シャッフル!」
「ん゛い?」
「あ゛ッ!」
会場のあちこちから、奇妙な声が漏れた。受刑者も刑務官も、全員の外見が勢いよく明滅し、ちぐはぐに入れ替わり続けていた。刑務官の髪型が丸刈りに変わり、丸刈り以外禁止されているはずの受刑者の髪型が、ソフトモヒカンに変わる。顔立ちもスロットマシーンのように次々に変化し、まるで定まらない。身長も伸び縮みし、視界が上下する。会場の混乱が頂点に達したところで、マジシャンが大声で叫んだ。
「はい、ストップ! それでは皆さん、新しい自分を受け入れて、これからの人生をお過ごしくださいね」
全員の変化がピタッと止んだ。皆、肩で息をして、自分の体を触って確かめている。ショーはお開きになり、受刑者たちは房に戻っていった。俺も仕事を済ませると、職員のトイレに寄った。鏡には、丸刈りで人相の悪い中年男が、ギロリとこちらを睨んでいた。入れ墨の入った毛深い腕で真珠入りのチンポを出して小便をする。こんなヤクザみたいな風体なのに、結婚詐欺で逮捕された記憶がある。見た目も中身もチグハグで、妙に興奮しちまう。小便を終えた俺は、鼻息荒くイボマラを扱き始めた。
(終)
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お題を元に800字で小説を書いていくチャレンジ。今回は、
「皮モノ」+「ヒーロー」
「拉致」+「男色化」
「融合」+「等分」
「刑務所」+「要素シャッフル」
の4本でした。
800字小説のお題のリクエストは「2つの単語」までOKです。例えば「寄生」「柔道部」とリクエストすると、柔道部が舞台の寄生モノになります。
簡易的なリクエストとして、思いついたものがあればコメントしてみてください。リクエストしたいお題は、今まで通り800字小説のコメント欄にどうぞ。
それと、どんなリクエストしたのか他の人に知られたくないときは、どうしたらいいか?という問い合わせも頂きました。その場合は、TwitterのDMやpixivのメッセージでリクエストを下さい。それ以外の通常のリクエストは、今まで通り800字小説のコメント欄にコメントを下さい。
※リクエストする際のお題を「2つの単語」に絞っているのは、複雑な内容を文章でリクエストされても、800字という文字数では対応できないためです。ご了承下さい。
くろねこ@9605
2021-11-16 12:12:35 +0000 UTCブウ
2021-11-15 18:08:21 +0000 UTCくろねこ@9605
2021-10-19 05:42:05 +0000 UTCmtosak
2021-10-19 02:32:23 +0000 UTCくろねこ@9605
2021-10-18 07:05:36 +0000 UTC蓋
2021-10-17 03:17:54 +0000 UTCくろねこ@9605
2021-10-16 13:23:43 +0000 UTCフカヒロ
2021-10-16 09:14:51 +0000 UTCくろねこ@9605
2021-10-16 07:51:05 +0000 UTCくろねこ@9605
2021-10-16 07:48:39 +0000 UTCくろねこ@9605
2021-10-16 07:29:13 +0000 UTCtasat0818
2021-10-16 06:35:29 +0000 UTCkoh
2021-10-16 05:31:23 +0000 UTC黒竜Leo
2021-10-15 17:52:42 +0000 UTC