【Prev】

【Prev】 【3】 「ド素人相手に何瞬殺されてんだ!?」 「ふざけんなッ!金返せ金ェッ!!」 団体戦の1回戦は多くの観客の予想を裏切って、それも一瞬の決着で、MMA部が勝利する結果となった。期待を裏切られた観客たちの怒号は、ディザイア側の入場口近くで次の出番を待つ青年の耳にも届いていた。 黎司「あーあー、...
試合開始と同時に刃連が走り込む。そして間合に入ったところで高く跳ねるとーー
バンッ!!
ーー黎司の頭部に向けて強烈な飛び蹴りを放つ。
しかし、その蹴りは寸でのところで黎司の太い腕で防がれた。
黎司「あっぶなァ〜!ってうぉッ!?」
刃連は蹴りを戻す勢いを利用して、逆サイドへの飛び蹴りを2連続で繰り出す。これも黎司はガードしていく。
黎司「少しは手加減してぇや。一緒にボール追いかけた仲やろ?」
刃連「だから早く終わらせようとしてるんです。さっさと倒れてください」
黎司「嫌やて〜。ごっつ痛そうやもん」
刃連は反撃する隙も与えずに激しい連撃を続けていく。その光景に彗翔たちは舌を巻いていた。
彗翔「なんだよあの動き…もうスタントマンじゃん…」
蒼惟「これ本当に刃連が勝っちまうんじゃね…?」
それに興味を示していたのは亮も一緒だった。
亮「へぇ、あんな面白そうなおもちゃ入荷してたんすか。なんで教えてくれなかったんです?」
日向「お前が部活に出ていればわかることだ。それと、刃連に手を出したらただじゃ置かないぞ」
亮「やだなァ、冗談スよ。でもあのバンダナもなかなかやりますね。あのラッシュを全部防いでますよ」
亮が言う通り、黎司は刃連の激しく複雑な攻撃をことごとくブロックしているのだ。
亮「それにあんなペースで攻めて、チビのスタミナは保つんですかね?」
日向「刃連にその体力はまだない。だが攻撃を緩めれば階級違いの反撃を受ける。体力が切れる前に決定打を入れるしかない」
日向が言う通り、圧倒的に体格で劣る刃連が勝利を収めるには、立ち技でノックダウンを奪うほかにない。攻められる前に攻め切るしかないのだ。
だが、黎司の堅い守りが文字通りの壁となる。
黎司「こーしてると昔を思い出すわァ。慎哉がフォワードで俺がキーパー。慎哉が攻めて、俺が守って。今とおんなじやな」
刃連「ならPK戦で勝ってたのは俺です。さっさと決めさせてください…よッ!」
バシィッ!!
またしても刃連の飛び蹴りが黎司の腕でガードされる。だがいくら体格差があるといってもスピードが乗った強力な蹴りのラッシュだ。いくら黎司のガードのレベルが高かろうと、腕に段々とダメージが蓄積されていく。
黎司(痛いなァ~…慎哉のスタミナが切れるまで耐えといてもええんやけど…)
黎司はチラッと観客席に横目を向ける。
『チビ相手に何亀になってんだァ!!』
『殴り返せよバンダナァッ!!』
観客たちは防戦一方の黎司に声を荒らげていた。
黎司(試合も盛り上げんと徠クン怒るからなァ。しゃァない。こうすりゃ慎哉なら『視える』やろ)
黎司はわずかにガードを上げる。刃連のテクニックであれば脇腹に蹴りを十分打ち込めるスペースだ。
刃連(観客席を見てからガードを上げた?わざと誘っている罠?だとしても…ッ!)
ドスッッ!!
刃連はガードの隙間をぬって黎司の右ボディに回し蹴りを叩き込む。
黎司「が…ッ!!流石、期待どーりのトコ、入れてくれるなァ…!せやけど!」
ガシッ!
刃連「…!」
黎司は刃連の左足を抱え込むように取り押さえる。刃連の足を掴んで封じるのが黎司の作戦だった。
彗翔「やべェッ!!」
蒼惟「逃げろ!刃連ッ!!」
黎司「いくでェッ!慎哉ァッ!!」
黎司が空いた腕を振りかぶり、刃連に殴りかかろうとした瞬間、刃連は飛び上がりーー
バンッ!!!
刃連「それはもう『視てる』んですよ」
ーー掴まれた足を軸にした延髄斬りで、黎司の頭を吹き飛ばしたのだ。
黎司「…ん…な…!?」
ドサァッ!!
勢いよくマットに叩きつけられる黎司。観客たちの戸惑い混じりの響めきとともにスピーカーからはカウントダウンが始まる。
彗翔「すっげぇ!オレと戦った時は足掴まれて終わりだったのに!」
蒼惟「まさかお前とのスパーの経験が役に立つとはなぁ…」
彗翔「まさかって何だよ。オレとのスパーだぞ」
後輩の想像以上の成長に喜ぶ彗翔と蒼惟。しかし日向は黎司が立ち上がってくることを予想して、刃連に呼びかける。
日向「深呼吸で呼吸整えろ!また立ってくるぞ!…刃連…?」
刃連「…………」
刃連はゼェ、ゼェと息を荒げていた。発汗量もすさまじい。体力を使い切りつつあるのは明らかだった。だが、ただ単純に疲労しているのではない。刃連は倒れた黎司を見つめながら目を見開き、浅い呼吸を繰り返しているのだ。
日向「刃連!?聞こえてるのか!?」
日向の呼びかけに全く反応しない刃連。そうしている間に黎司はゆっくりと立ち上がった。
黎司「いった〜。あ、しもたわ。取れてもうたわ」
黎司のバンダナは刃連の蹴りで外れていた。そこに隠されていたのはーー
刃連「ッ…!!」
黎司「アカンなァ。まだバラすなー言われとったのに」
ーーそこに隠されていたのは大きな傷跡であった。
刃連「…その傷…まさか…」
顔を真っ青にしながらなんとか言葉を振り絞った刃連に、黎司はこれまでとは違う冷たい笑みを浮かべ、返す。
黎司「せや。3年前の傷痕やで。自分のせいでついた、な」
SS作成協力:スケトウダラ・マキコ様(https://www.pixiv.net/users/1614613)

【Prev】 【6】 黎司「ほな、いこか」 ダダダッ!ドンッ!! 刃連「んう゛ッ!!」 黎司は助走をつけたタックルで、呆然と立ち尽くしていた刃連をマットへと叩きつける。そして馬乗りになり、刃連の手脚を封じた。 黎司「思うてたよりだいぶショックそーやなァ。まさかこんな傷痕になっとるなんて想像できんかった?」...
うらき
2023-06-02 01:24:57 +0000 UTCうらき
2023-06-02 01:24:19 +0000 UTC具志川葛巳Kuzumin
2023-05-06 02:38:56 +0000 UTC