↓part3
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カーンッ!
第2ラウンドのゴングが鳴り響く。
「行くぜ、宮鷹!」
インターバルで気合を入れなおしたオレは、第1ラウンドと同様に真っ直ぐに宮鷹へと突っ込み、右ストレートを放つ!
「オラァッ!」
「…だから当たんねえっつってんだろ」
宮鷹はそれを避け、右ストレートを返す。
バシィッ!
派手な音がオレの顔面に炸裂する。だがそんなの関係ない。
「…へッ!これぐらいのパンチ、なんでもねぇんだよッ!」
オレは吠えるとダメージに臆することなく、さらに前へ出て宮鷹に攻撃を仕掛ける。
「…………」
宮鷹はオレの攻撃をバックステップで避けると、反撃の拳を入れようとする。だが、それよりももっと早く。オレは宮鷹の懐に入りこみ、脇腹めがけたボディーフックを放つ。
「めんどくせぇ…!」
宮鷹は攻撃の手を止め、それをさらに後ろへと避ける。
(そうだよ!どうせ考えたって、オレには突っ込むしか脳がねえんだ!そんならアホはアホらしくやってやるぜッ!)
オレは受けるパンチにひるむこともなく、ひたすら前に出て拳を打ち続ける。宮鷹はだんだんと攻撃の手が減り、いつしか回避一辺倒となっていった。
「どうした宮鷹ッ!このラウンドでオレを潰すんじゃなかったんかよッ!?」
「…ちっ!」
オレは宮鷹に喰らい付き、ストレートを、フックを、アッパーを放ち続ける。どれも当たりはしないが、
「オラッ!」
宮鷹がオレの左フックをバックステップで避けたその瞬間だった。
「ッ!?」
背中にロープが触れたことで、宮鷹の意識が一瞬だけそれた!
「そこだッ!」
オレはその瞬間、宮鷹に左のボディーフックを放つ!
ドゴォッ!!
「ぐッ…!」
オレの赤いグローブが宮鷹の脇腹に喰い込んだ!
動きが止まった宮鷹の額には汗が浮かび上がっているのがわかった。
(これなら…いけるッ!)
オレは、そのままの勢いで右のフックを宮鷹のボディーに放とうとした。
「…調子に乗んなよ」
パァン!
「がッ…!?」
宮鷹の予備動作のない左ストレートが、至近距離からオレの顔面を打ち貫いた!
「今度こそブッ潰れろ」
バランスを崩して後ろに倒れかかるオレを追いかけるように宮鷹は踏み込み、前に突き上げるような右アッパーをオレに放った!
ズガッ!!
「ぐ…ふぉ…ッ!!」
オレはその直撃を受け、頭を弾き飛ばされる。そして。
ドタンッ!
リングマットへと仰向きにその身を投げ出した。
(…な…なんだよ今の…オレ、何されたんだ…?)
驚くオレをよそに、レフェリーがカウントを始める。
(…クソッ!立たなきゃ…!)
オレはアッパーで揺らされた頭に喝を入れなおすように立ち上がろうとした、その瞬間だった。
「―—ッ!」
オレは冷たい、いや、冷酷といっていいほどの目を向ける宮鷹と目が合った。
(…なん…だよ……あの目…!)
オレはその冷たさに体が一瞬凍りつき、体がわなわなと震えを覚える。
(…あんな奴に勝てんのか…?)
オレの頭に、そんな不安がよぎった。
(…オレと宮鷹じゃ実力差ありすぎんだろ…。そもそもこれ、ただのバイトだろ…?無理に勝たなくたって…10万は入るんだ…。だから…このまま、KOされたって…)
恐怖と諦めに飲み込まれたオレは、ゆっくりと、目を閉じようとした。
だが、その時不意に、オレの頭にあの時の日向先輩の言葉が蘇った。
『そりゃ俺だって勝ち目が薄いことは分かってた。
でも、同じ部の仲間をあんな目に合わされたのに、俺が逃げたらダセぇだろ』
勝ち目がなくても樹神に立ち向かっていった日向先輩。
そうだ。オレは、あの時―—
『…ダセぇ…か…』
(…そうだ!そうだった!あの時の日向先輩を見て、オレ、なにかから逃げ出すようなダセぇヤツにはなりたくねぇって、そう思ったんだッ!だったら…オレは…!)
オレは体に力を入れなおし、宮鷹をギッと睨み返す。そして、
「…まだ…終わらせねぇよ…ッ!」
オレはカウント8で立ち上がり、フラフラしながらもファイティングポーズをとる。
「…オレは…まだ負けてねぇぞ、宮鷹ッ!」
「…!」
無表情な宮鷹の顔に一瞬だけ、驚きが見えた。
「…へへっ、これがブッ潰せなくて残念だったな、宮鷹…ッ!」
「…アホ面が…」
「オレはこんなところで負けるダセぇ真似はごめんなんだよッ!」
オレはそう叫ぶと、再び宮鷹に真正面から飛びかかる。
「くらいやがれッ!」
「…何度も言わせんな…!」
宮鷹は一言そう言い再びファイティングポーズを取ると、飛び込んできたオレへカウンターの左ストレートを放とうとする。
お互いの拳が肉薄したその瞬間。
カーンッ!
第2ラウンド終了のゴングが鳴った。
オレも宮鷹もグローブをピタッと止め、少しの間そのまま睨み合う。
そして、宮鷹はまた「チッ」と1つ舌打ちをすると、自分のコーナーへと戻っていった。
(…身体中マジ痛ってぇ…頭もグラグラしてるし、息切れも全然治まんねぇ…)
コーナーに戻ったオレは、倒れるようにポストにもたれ掛かって、必死に深呼吸をする。
(……いや宮鷹強すぎだろ…ぶっちゃけ最後のもあのままゴング鳴らなかったらオレ、カウンター食らって、今度こそKOされてたわ…)
額から流れる汗や、口元から垂れた血を拭いながら、それでもオレは思う。
(でも…やっぱ、楽しい…!こんなつえーヤツと戦えるのが、最高に楽しい…!)
ボロボロで、超しんどいはずなのに、オレは自然と笑みが浮かんでいた。
目を正面に向けると反対のコーナーにいる宮鷹の姿が見えた。
(なんだよ。宮鷹のヤツも結構キツそうな顔してんじゃん)
俺は目を閉じると、息をすっと吸い込む。
(オレの限界まで戦ってやる…ッ!)
ビーッ!
無機質なブザー音がインターバルの終わりを告げる。
3ラウンド目。泣いても笑っても次が最終ラウンド。
「っしゃあッ!やるぜッ!!」
オレはボロボロの身体にムチを打って、再びリング中央へと前に進むのだった。
↓part5
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今回、次回はおまけなしです!🙇♂️
その代わりではありませんが、Support++会員の方向けにpart1~今回までの挿絵のpsdファイルをまとめた記事を作成しておきます!
うらき
2020-10-24 06:59:53 +0000 UTCゆーと
2020-10-24 06:04:40 +0000 UTC