◇
「ぁ……」
小さな舌がオマンコをなぞる感触に、ついはしたない声が出てしまった。
私にそのような声を出させるぐらい、彼の仕事ぶりは丁寧だったので。
(動く気配がなかったからどうしたものかと思っていましたけど、しっかり汚れを落とそうと舐めてくれてますね)
実は彼の洗浄にあまり期待はしていなかった。 だけど中々良い意味で裏切られ、心の底から驚かされた。
彼はくまなく私のオマンコに舌を這わして、汚れ一つ残さないようにしようと気概を見せてくれていたから。
これまで様々なトイレの備品を使ってきたから感触で分かるのだ。
――ああ、この “塩木便器” は当たりだって。
「ン……ン……❤」
オマンコの周囲はもちろんの事、わざわざヒダを広げて隙間奥にも舌を入れて舐めてくれている。
クリトリスの周辺は、くすぐったくもならないギリギリの力加減で優しく舐ってくれている。
また膣の口を広げると、やれとも言ってないのに頭を中に入れて穴の周りまで舐めてくれるではないか。
(あら、すごい……。 膣から垂れていた “おりもの” まで舐めて取り除いてくれています)
――ここまでの事は、塩木さんの前任者だったどの個室の備品達もしてくれなかった。
「ん……ぁぁ❤ ん……ふぅ……❤」
心地の良い舌遣いに、段々と気持ちが昂りはじめる。
彼が舐めている膣奥が、先ほどからズンズンと疼っきぱなし。
もしかしたら彼は、自慰用性具の素質もあるのかもしれない。
自慰用性具として私と出会っていれば、間違いなく彼を好みの性具の一つにしていただろう。
性欲の捌け口に使うため、かなりの頻度で度々買って使っていたはずだ。
「……でも」
彼は便器の備品として、あまりにも完成されすぎていた。
ゆえにこそ、彼はこの便器から絶対に出られない。
あんなに出してくれと言っていたのに、こうして頑張れば頑張るほど、私達人間の女性に気に入られてしまっているから。
――この便器をまた使いたいと。
そんな彼を哀れに思いつつ、心地良く便器の洗浄機能を楽しんでいると、
「ほ……さま……。 ――菜穂様!」
「……ん?」
真下から、私を呼ぶ声が聞こえた。
不思議に思い視線を真下に向けると、何故だか彼は洗浄する事を止めて、私に喋りかけている。
両手をブンブン振って、私に合図を送るみたく。
「……はぁ……いったい何ですか? 喋る暇があるのなら、もっと洗浄を続けてほしいのですが。 ……せっかく良い所でしたのに」
「も、申し訳ございません……。 お、終わりましたので声をかけさせてもらい……ました。 もう、汚れ一つも残っておりません……」
「……ああそう、終わってしまったのですか……」
ちょっとだけ残念な気持ちになる。
後少しだけこの心地の良い洗浄を堪能していたかったのにと。
「あ、あの……菜穂様。 誠心誠意心を込めて綺麗にしましたので、どうか……どうかもう一度考え直して、私をここから――」
「ああぁッ! ウワァァッ!」
彼の言葉が言い終わる前に、私は無言で洗浄リモコンのボタンを押した。
また『便器から出してほしい』とつまらない事を言いそうだったので。
慌てふためく姿を最後に、彼はオマンコの真下から消えてゆく。
彼の乗っている伸びた洗浄ノズルは、機械音を上げながら私のお尻の真下まで縮んでいったから。
「ふふっ♪」
そして彼が御覧になっているであろうお尻の穴を、わざと執拗にヒクヒクさせて、言葉にせず教え込ませてあげる。
――絶対に助けてなんてあげない。
あなたは、一生女の排泄した箇所を洗浄して生きていくのよ? と。
まあ、そんな意味を込めてお尻の穴をヒクつかせているなんて、彼は気づくはずもないのだけど。
ピチャ……プチャ……
「あっ❤」
そんな哀れな彼は未だ私に助けてもらえると思っているのか、うんちを出した後の汚いお尻の穴を舐り始めた。
臭くて辛そうに咳き込んではいるが、オマンコと同様、丁寧に隅々と。
「はふぅ~❤」
ああ、心の底から思う。 知っている人をこういった用途で使うのは、なんて満たされるのだろうと。
ウンチのついたお尻の穴を舐められる刺激を感じるたびに、なお――強く思わされる。
「ふふ、お尻のシワにゆっくり舌をなぞられるこの感じ……ほんと素敵❤」
私はもう、すっかり塩木便器に心を奪われていた。
この店で用を足したくなれば、迷わずこの便器を使用しに来ようと思うほど夢中に。
「――あんっ❤ お尻の穴の内側にも頭を入れて舐めてくれてる❤」
何故なら彼がこの便器に囚われたように、私もこの便器に捕らわれてしまったから。
意味は全然違うけど、この便器から抜け出せないのはまったく同じ。
――だから私は、この塩木便器をずっと使用するために、一つの嘘をつこうと心に決めた。
一生この便器を……彼を使い続けられるために。
………………
…………
……
◆
水が流れる激しい音。
あれほど便器内は安藤君の汚物で満たされていたのに、全て底の穴へと流されていった。
見上げれば、安藤君は立ち上がったままお尻をこちらに向けて、ぐいっとシアータイツを上げている。
臭く、悍ましい汚物を吐き出したお尻を隠すように……。
「な、菜穂様! 本当に……本当に私をここから出してくれるのですか?」
私の声を聞いてか、安藤君は捲っていたドレスのスカートを元に戻し、上品な仕草で私のいる便器を上から覗き込む。
「はい、出してあげますよ。 その代わりちゃんと約束を守れたらですけど」
「この便器の洗浄機として、菜穂様を満足させたら……という約束ですよね?」
「ええ、そうです。 なので備品のあなたは今以上に努力して洗浄をしないと駄目ですからね? もし私をガッカリなんてさせたら、この約束自体無かった事にしますから」
「――や、やります! 必ず菜穂様に満足していただくよう、身を粉にして洗浄させていただきます」
「うん、よろしくお願いします。 あ、それとたまにですけど私、トイレでオナニーとかをしたりしますけど、そういった用途でも自分なりに工夫して頑張ってくださいね? お礼にイッた後の特別なお蜜を御馳走してさしあげますから」
「あ、ありがとうございます……。 こ、光栄です」
「ふふ、では私はこの後、お友達と食後のコーヒーを飲む約束をしていますので行きますね。 便意を催しましたらまたこの便器を使用しに来ますので」
「はい、ご友人と良いお時間をお過ごし下さい。 私はいつまでも便器の中で菜穂様が来られるのをお待ちしておりますので」
自動で便座の蓋が閉じるというのに、安藤君は微笑み浮かべて自らの手で蓋を下ろしていく。
まるで “大事な私物” を仕舞うかのように。
コツ……コツ……コツ……………
そして真っ暗になった便器内に、ドアを開けて閉じる音と、安藤君が遠ざかっていく足音が聞こえた。
そんな遠ざかってゆく彼女に向けて、聞こえていないのに私は改めて「ありがとう」と小さな声で呟く。
助けてもらえるという希望が出来、何があってもここで “生きていける活力” を貰えたから。
私はこの便器の中――仄暗い底の中で待ち望む。
蓋が開き、安藤君のお尻が降ってくるのを楽しみに、ずっとずっと……。
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読んでいただき、ありがとうございます!
これにて安藤菜穂と塩木克久のお話は終わりとなります。
さてさて、彼はこれから長く長く便器の中で生き続ける事になるでしょう……。
毎日女性客の排泄する姿を間近でみせられて。
いつかは菜穂との約束が嘘だと気づいたとしても、それでも塩木は信じて洗浄の技巧を磨いていくしかないのでしょうね('ω')