NokiMo
yukikazefactory
yukikazefactory

fanbox


第1章 第四話

第1章「目覚めの草原」 ⸻ 第四話「踏まれた道」  朝の光は、思ったよりもやわらかかった。  ドロシーは目を覚ますと、少しだけ伸びをして空を見上げた。  身体が冷えていたせいか、肩に掛けていた布がくしゃくしゃになっていた。  草の香りが濃く、風の音も朝は静かだ。  「……夢……だったのかな」  夜の夢──あの黒い羽根の男。  はっきりとは覚えていない。ただ、あの視線だけが妙に心に残っていた。  立ち上がって、身体の土を払う。腹が鳴る。  「……何か、食べられそうなもの……」  草をかき分けながら進むと、ふと視界の先に、不自然に地面が踏みならされた部分があった。  草がすり減って、土が見えている。獣の通り道でもなければ、風の流れでもない。  ──これは、人の足。  「誰かが、ここを通った?」  嬉しさと不安が交錯する。  けれど、進まなければならない。  その先に、誰かがいるかもしれないから。  ドロシーはそっと足を踏み出した。  一歩一歩、その「道」をたどっていく。  それは、確かに誰かの痕跡。  そしてその誰かも、もしかしたら──この不思議な世界で、ひとりだったのかもしれない。


Related Creators